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にじうよんにちめ(つかれる)

昨日は高校3年になろうかという時期、1995年の3月20日のことについて書いた。
あの時代に物心ついてた人なら確実に暗い影を落としたであろう地下鉄サリン事件から始まった一連のオウム関連の事象。
実際には地下鉄サリン事件以前から人知れず始まっていたのだが。

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CMに入る時の曲がMETALLICAの“Through the Never”だった、とんねるずの新番組『生でダラダラいかせて!!』に出演したり当時の麻原彰晃は明らかに時代のトリックスターだった。
薄ぼんやりと「胡散臭いやつおるなぁ」くらいの感覚だったのが地下鉄サリン事件で一変。
何故だか、そこから連日連夜放送されるオウム事件の特番をビデオに三倍で録画して、ビデオテープを買い足し買い足ししていった結果、一本に6時間分録画されたテープが10本以上になってしまった。
もちろんちゃんと見た番組もあるけど、連日連夜放送されるものの既出情報がループされるだけの内容の変わらないものばかりで、そのほとんどは見返すこともなかった。

今思えば何故にあそこまで連日連夜変わらない内容のオウム事件特番を録画し続けたのだろうか。
熱に浮かされたような何かに憑かれたような、その当時あの事件を目の当たりにした人にも僕と同じ感覚になった人はいるんじゃないか。
オウムにハマった高学歴の人々云々の話はあるけど、高校進学すらままならない僕はそんな要素があるはずもなく。けれども何か目に焼き付けなければならない勝手な使命感みたいなものがあったんじゃないか。
そこから何も生まれるわけじゃ無いんだが。

高校の最寄駅近くに宮脇書店があった。
そこの店員はいつも無精髭を生やして書店員の制服もエプロンすらも着ず、薄汚れた私服で店頭に立っていた。
当時の他の宮脇書店がどうだったかはわからないが、志度駅近くの宮脇書店は何故かオウム関連本が多く、何なら平積みで一番目立つ場所に陳列されていた。

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結局ついぞ読むことは無かったけど、その宮脇書店で当時の最新刊である「日出る国、災い近し」を購入した。
それが地下鉄サリン事件以前だったのか以後だったのかは記憶が定かではないが、やはり当時からGONやマーダーケースブック等を定期購読していた身である。その延長線上で購入したのは確かだ。

ただ今の感覚で思えばもちろん、当時の感覚でも面白がる部分もありながらしっかり恐れを抱いていたとは思う。
その恐れから憑かれたように連日連夜放送される特番をひたすら録画し続けていたんじゃないか。
今だと貴重な時代の映像アーカイブとなったかもしれないオウム事件特番を録画したビデオテープだが、それも天命というべきか綺麗さっぱり焼失してしまった。
ある種のあの時代の熱気をパッケージングしたものとも言えるだけに少々惜しいとは思うが。

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