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「ダイキンエアコンとAI」から

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三点に注目したい。
 1.業界・競合を跨ぐ相対優位
 2.業界内王者の戦略
 3.XaaSの時間軸と課金

関連代表記事 日本経済新聞 2018/10/4 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3612462004102018LKA000/

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A XaaSの世界の資本はデータ。例えば、従来業界のプロダクトプレイヤが巨大なシェアをとることで、そこをベースにし、as a serviceに転換しやすい。例えば、GEであったり、ダイキンのエアコンであったり…。或いは、デジタル車シフトで崖っぷちに立たされている村上開明堂なんかも、デジタルコックピットに本格的にコミットできれば可能性はでてくる。


B 別の視点では半導体商社やリース業なんかも、XaaSに向いている。この場合、競合するプロダクトを跨いで、顧客に対して常にベストな組み合わせを提供していくことになる。これは既に複合機のMPS(Managed Print Service)で生じている。すべての機器がリコーである必要はない、その状況に応じ最適な組み合わせを顧客に届ける立場。


A プロダクトとしての競合関係を飛び越せる企業は、データの支配度があがるから、今後より強くなっていく。自動車のEVシフトで、車がシステムの1パーツに成り下がるというのは非常に理解しやすい。例えばB2Bで考えれば、スマホやタブレットがあり、これらがスマートホワイトボードや費用精算システムなどと連動している(く)状況。このような部分にもMPS的な仕組は適用しやすく、情報基盤ができ、XaaSとして粘着性を高め収益化しやすくなる。


B 例えば派遣やBPO業。コールセンターを外に出したり、業務を委託するケースは非常に多い。一方で、AIでの自動応答は人財経費面でも、オペレータの健康面でも、消費者のストレス面でも重要になってくる。ただし、顧客からみれば、AIという頭脳の育成や長いリードタイムというコストが重く圧し掛かる。そこで、顧客からコールセンター対応を打診されたと仮定した場合、初めに従来方式(人)でその仕事を請け負う。コールセンター業務を受託し運用しながら、自前投資で構築したAIを育て続ける。この間、AIのミスに対する指導も当然行う。AIは育ち、AIのミスを人がカバーするというノウハウも貯まる。数年で立派に成長したAI系コールセンターを顧客に提案。


A この流れは綺麗。第一フェーズは人のみ。第二フェーズで、AIと人を導入。AIのミスをオペレータが迅速にカバーし、データ蓄積。所定期間後、オペレータ不在でAI任せでOKと判断できれば、第三フェーズ、即ちFULL・AI化に進む。顧客からみて、AI育成コストを肩代わりしてもらった状況となり、更に、AI対応ミスによるリスク極小化までサービス提供されることになる。学習ノウハウが強く貯まるため、BPO業のような形態をとる企業がデータ基盤を支配し、より強くなっていくことになる。


B ダイキンは空調のリーダであるが、デジタル面やXaaS面では後続の立場であり、緊張感のあるステージに直面していると言える。油断をすれば直ぐに、空調 as a serviceの世界の1パーツとして認識され、直ぐに代替されることになる。それぐらいの危機感が重要。空調の与える人(健康、集中力、リラックス、睡眠…等)への効果・影響や、空調の与える建屋そのものへの影響、或いは空調と照明の関係など、XaaSに必要な要素をデータで学び、科学で解き明かす必要がある。


A 既に世界に波及させた空調機からどれだけデータを吸えるのか。物理的に吸えないのであれば、吸い出せる小型デバイスを作り無償で導入するという行動も必要かもしれない。御礼とては、メンテナンスや買い替え時の割引などが妥当か。目前の利益を圧迫する行動だが、現状の立場をフルに活かした施策であり、リーダならではの行動ともいえる。


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