図1

「ジャパンディスプレイ、中国提携」から

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三点に注目したい 
 1.シャープ×鴻海の、意味あい
 2.開発力を提供する組織、という位置づけ
 3.さらなる飛翔には、顧客の表情を管理できる力が必用

関連代表記事 Bloomberg 2018年12月13日 18:47 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-13/PJO5MQ6S972801
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A JDI(ジャパンディスプレイ)が、中国系企業・ファンドから総額500憶円の出資を受ける検討をしているとのこと。また、中国側はJDI株の33%以上を持ち、5,000億円規模の資金を拠出してOLEDなどの新工場を中国に建設することも検討している。


B 単に中国資本が入った、中国市場へリーチしやすくなった…程度で思考を停めるのは、浅すぎる。JDI×中国という構図は、SHARP×鴻海の構図と類似性が高い。


A シャープ×鴻海について、日本ブランドや技術が終わった…と嘆く声も聞かれたが、これは全くのお門違いである。逆である。日本の技術優位が活きる/生きる術をシャープが手に入れたと、考える。


B 鴻海のような製造業は、OEMという専業形態をとることで資本を集約化し、カテゴリーキラーを実現してきた。起きたことは、圧倒的に「早く」「安く」「作り」「ばらまく」術の獲得である。単に「安く作る」というとあまりに素っ気ないが、部品調達力から始まり、製造・管理のスキル、そして流通させる術に至るまで、複雑で深いノウハウを構築している。


A 振り返り日本である。日本の代名詞は「ガラパゴス」である。悪い意味では、視野狭窄。いい意味では、技術などに角があるということ。日本独自の発想から始まったモノは数多い。技術的に、他国が真似できないフィールドも、未だに多数存在している。独特なグレーゾーンを操る組織運営による開発力も、一級品である。

 

B 日本の利点は、技術性や開発力にある。しかし、それをマーケットに受け入れられる形で、スピーディに製造化し、世に届ける術が欠如している。


A 鴻海のような企業の課題は、オリジナリティである。受託中心に構築してきたノウハウは一級品だが、オリジナルの発想から技術を構築しモノにしてブランド化していくノウハウは皆無である。


B シャープは単に鴻海に買収されたのではない。鴻海がシャープブランドを獲得したかったのも事実だろうが、それだけではない。鴻海は自身に足りない「発案し、研究し、開発する」スキルを丸ごと買ったと考えていいだろう。シャープは鴻海という大きな組織において、「新しい発想や研究力を提供する部隊」として機能していく。


A  ジャパンディスプレイでも同じことを起こせるのではないか。JDIは、日立製作所、東芝、ソニーの液晶パネル部門がドッキングして出来た組織体である。技術はある。自社の位置づけを、中国系の量産型企業に対する「発案~研究~開発力を提供する企業(組織)」と位置づけ直すことで、連携・運用の仕方も変わる。


B 仮に中国系企業が製造部分を担い、そこにJDIが発案/開発力を提供していくとした場合、次なる飛翔にはパーツが不足しているとわかる。顧客の素顔を暴き、インサイトを得て、彼らのカスタマーサクセスを実現し続けるノウハウである。買収でも提携でもいいが、「高度なモノを確実に作る術」を獲得したのであれば、さらなる未来に向けて、カスタマーサクセスを継続的に実現していく組織体を組み込むべきだ。

 

/2018.12.18 JK

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