図1

「転職と賃金増減」から

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3点に注目したい。
 1.日本の状況を考える必要がある
 2.マスを見るな
 3.クリエイティブクラスをみろ
代表関連記事 日本経済新聞 2019/1/29 https://www.nikkei.com/article/DGXKZO40590560Y9A120C1EE8000/
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A 転職市場を見る時に、転職による賃金上昇度合を示すことが非常に多いが、どうなのだろう。


B 私の身の回りには、世にいう「出来る人」が多くいるが、転職する場合、「賃金増加」の優先度を非常に低く設定している。逆に、自身のキャリア感や「やりたいこと(及び環境)」に対する優先度を引き上げている。


A 日本の平均年収は非常に低く、450万円程度である*1。また世帯当たりの純金融資産高で見たときに、3,000万円にみたないマス層は全体の80%弱存在している*2。


B 日本の人口動態を考えた時に、移民の議論も出るが、日本人の意識しがちなのは「労働力としての移民」である。しかし、重要なことは「クリエイティブクラスとしての移民」を日本へと呼び込むことである。


A ロボット、IoT、AI…という世界の行く末を考えた時に、単純労働力を人で補うという発想をすること自体が、非効率である。


B AIにより仕事を奪われる*3…と騒ぐケースも多いが、「奪われる」と騒ぐこと自体がナンセンスである。AIが入ってくる世界において、人として何ができるか?を考え、その力を身に着ける必要がある。


A 転職市場が活況になったとしても、「言ってしまえば、単純労働に近似できる人々」の流動性が上がっても、本質的ではない。今後の日本の置かれる状況を考えれば、重要なことは、クリエイティブクラスの流動性をあげることである。


B クリエイティブクラスの流動性を考えた場合、転職により賃金が上がるかどうかに注目することは、あまり意味がないと考えられる。本人の希望するキャリア感や「やりたいこと」、或いは「好適な環境」に対する優先度が上がってくる。一時的に収入が減ったとしても、すぐに元に戻りそれを追い越していく。それがキャリアである。


A 例えば、収入を犠牲にしてでも「やりたいことと、その環境」を手に入れたクリエイティブクラスの人財が、数年後にどれだけの収入を得ているのか。このようなデータをみることは意義がある。


B 同様に考えれば、現状よくあるように「転職により賃金X%増加傾向」で止めてはあまり意味がない。やるのであれば、その増加が数年後で見たときにどうなのか?という部分にまで食い込みたい。一時的な労働力不足で賃金増を獲得しても、本人の能力が不足していれば、収入増加率は制限される。


A どうしても「マス」をみる風潮やマスを見たくなる傾向があるのだろうが、日本の置かれる環境を考えれば、べき乗分布のハイエンド側に属する人々に目を向けることが重要になる。それは日本人でもそうであるし、移民でもそうである。


*1  国税庁 民間給与実態統計調査 https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/top.htm  
*2 NRI https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2018/181218_1.pdf
*3 現代ビジネス 2014.11.08 https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2018/181218_1.pdf

/2018.02.04 JK

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