図1

「店舗の重要性」から

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3点に注目したい。
 1.消費者の感じる効用関数(t)の積分値を最大化
 2.実店舗の優位性は大きい
 3.ネット⇒リアルと、リアル⇒ネットは大きく異なる

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A カスタマーサクセスを考えた時に、ネット企業が「リアル進出」を企むようになっている。これは自然の成り行きであるが、重要なことは、デジタル技による経時的カスタマーバリュー最大化という主軸があり、これを達成するためにリアル化が必用ということである。


B ECの成長がグローバルに著しい中で、ネット企業により旧態業界のディスラプション現象が起こっている。このような状況であっても、感度の鈍い企業や勘違いしている企業が未だに無数にいるのが、悲しい限りである。


A 確かに、規模でいえば小売全体に対してECは、アメリカでは10%程度の支配度しかない。還元すれば90%強の買い物は、実店舗を介しているのが現状である(参照: https://note.mu/dialogue_of_j/n/n428e35b4421e)。


B 未来の世界像を考えた時に、「無駄」であったり「不要」と感じる作業はまず淘汰される。部分的に、トイレ掃除のような道徳に訴える作業が、需要供給原理を逸脱して残るのだろうが、そうでないものは、対外、テクノロジーに基づきディスラプションされる。


A 実店舗を基盤に運営してきた企業が、そのアセットに依存した状態で、単にネットに進出してもまずうまくいかない。それは、ビジネスモデルを支えるB/Sの構造や事業ポートフォリオの構造が、ネット基盤型のそれとは大きく異なるためである。


B 別のもっと重要な側面は、経営層含めた「思考形態」に、どうしても旧態ビジネスモデルのアンカーがかかることである。現在、年が明けたこともあり「初売り」を行っているが、行ってみると、単なるプロダクト売り以外の何物でもないと実感できる。


A つまり、プロダクト(例えば、洋服)を消費者に引き渡したら(押し付けたら)終わりという構造である。50%OFFといった割引を目玉にすえるが、残っているのはXLやSなどがほとんど。色々な洋服を組みあわせて楽しんだり、それを纏って過ごす生活を想像させたりといった工夫が皆無である。たまたま、単品の製品が自分の嗜好とサイズに合ったらお得といった程度である。正直、つまらない。


B このような企業(ブランド)でも、その場でスマホで検索すれば、ネットで同じ服を購入できることがほとんどである。この場合、実店舗は、「現物を触ってみる場」でしかなく、プロダクトを消費者に流通させるという枠を大きく超えることはない。


A 服などのモノを売っている企業であれば、「自分だったら、どう買いたいか」を真剣に考えるべきである。そもそも、なぜ、その服を買うのだろうか?どのような服をのぞむのか?それはなぜか?この根底にある疑問への回答が重要になる。


B リアルの優位性はある。例えば、本を指で一気にパラパラと捲る行動であったり、書店の書籍を一気に俯瞰して見るといった行動は、まだネットでは補完できない。服の質、肌ざわり、縫い目の状態、光加減、あるいは、自分が纏った時の全体感なども同様である。


A このリアルの優位性は、プロダクトを消費者に押し付ける(引き渡す)ためにあるのではない。リアルの優位性は、カスタマーサクセスを実現するためにある。カスタマーサクセスを考えるのであれば、消費者個人との対話が必用であり、消費者個人に対峙する必要がある。デジタルは必須だ。


B 例えば、アパレル。ほとんどの消費者はブランドAで全身を統一したいとは思っていない。自分のもつコンセプトや嗜好を満たすような製品が欲しいと思っている。そこに、ブランドイメージやそれを持つことのステータスが乗ってくる。よって、好きなブランドの中で、自分のもつコンセプトや嗜好を満たすように、ブランドA,C,D,Xから最適な商品が提示されるのが望ましいのだろう。


A ブランドAを訪れて、現物の製品に触れ、あるジャケットにトキメイタ。このときに、店員とのコミュニケーションがあり、「であれば、(5店先の)ブランドXで出ているパンツなんて、組み合わせたら素敵ですよ」となぜ言えないのか?


B ブランドAの店員が、ブランドXのパンツを薦めると同時に、「今から、Yさん(お客様)が行きますよ」と知らせておいたり、推奨したパンツが現物としてあるかを予め確認できたり、なぜ出来ないのか?


A 「出来ない理由」は現状のビジネス構造を前提にすれば、いくらでも挙げられる。しかし、「そんなことは消費者には関係ない」。消費者が望む状態をいかに作り上げるのか?それをいかにしてビジネスに乗せるのか?ここが頭の使いどころだが、言い訳に頭を使い続けるのが現状の大半である。


B すべてのベースは、消費者の感じる効用関数(t)の積分値を最大化させることにある。ここに視点をおき現状を見つめ直すことで、リアル店の使い道(優位性)を最大化できるというもの。ちょっとネット化しようというのは、ほとんど意味がない。


/2018.01.06 JK

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