図1

「人を重視する」から

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3点に注目したい。
 1.ルールや規則は、自由裁量権のためにある。
 2.社員は誰でも創業者になれる、なるべき、なりたいと思う必要がある
 3.透明性が「逆」に考えられているケースが多数ある

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A デジタル革命の力は強烈であり、多くの既存産業・ビジネスを破壊したりアービトラージする力を持っている。同時に、「デジタル」というのは無形的であり、人のクリエイティビティを現実化する力を持つ。


B テクノロジーにより武装された現代と、デジタルで加速度的に進化する未来に対して、最大のリソースは「人」である。嘗ては、「人・モノ・金・情報」といったが、「人」という資源により残りの3資源を有効にコントロール可能であり、これが最大の差別性になってくる。


A このような背景もあり、「人重視」の企業が増えている。人材を人財とよび、人を貴重資源として据え、人を重視していく。


B 人を重視すると「PRする」企業は多いが、多分に漏れず、ここでも「言葉だけ」のことが非常に多いのが現実である。人財に目を向けるというのは、個人としてのパフォーマンスを持続的に最大化し、チームとしてのクリエイティビティを持続的に最大にするということである。単に福利厚生を充実化するのはお門違いであり、単に給与の高さや残業の少なさをPRするのも、見当違いである。


A 人財を重視するといっておきながら、旧来の年功序列が(事実上)残っている企業はごまんといる。厳格な指揮命令系統から逸脱する勇気を持つこともない。権限と責任を履き違え、権限移譲と丸投げを混同する。アカウンタビリティの恐怖に束縛され、自由裁量権の付与に踏み込むことができない…∞。


B 第一に、規則やルール、或いはマニュアルについて。前提は、デジタル革命が進み、自動化やAI、IoT…が普及していく世界である。


A ルールというのは、自由度をつくるためにある。縛るためではない。顧客に最高の体験を提供することを目的とし、そこにむけて社員が自由に振る舞うために自由裁量権を付与する。そのためにルールがある。


B 第二に、報酬系の考え方。給与・賞与や昇進などの報酬デザインは重要であるが、マネジャーの行動主原理は、制約条件や障害を率先して取り除きチームのモラールをあげ鼓舞することにある。


A チームとしてのパフォーマンスを最大化することが、マネジャーの使命であり、それには報酬系よりも重要な要素がある。それは、心であり、気持ちである。チームメンバーが、マネジャーに会ったからこそ「私はさらに成長し魅力的になろうと思う」と思えるような、マネジャーの振る舞いが重要。報酬系などのツールよりもより深い部分にコミットするマネジメントが必要。


B 第三に、人財との向き合い方である。単に、わが社は人「財」と呼ぶとか、人を重視する企業である!と宣言するだけであれば、小学生でも出来る。


A 人材は確かに人財であるが、2つの観点が必用。
 ・社員を(本当に)信じること
 ・与えられた自由度を自ら操り最適解を産み出せるオーナーであると、捉えること


B 「信じる」というのは、非常に難しい。特に、旧態文化が浸透しアカウンタビリティの呪縛があったり、既得権益を守る行動にでようとすれば、尚更である。社員は、機械ではない。社員の個性の相乗が最高の差別性であり競争力である。社員個人をオーナーとして捉え、信頼し、自由裁量権を与える、そんな勇気が必用である。


A 人財の力をフル活用しようと思うのであれば、社印のクリエイティビティを最高にする必用がある。そのためには、「働きたくて仕方がない」という職場を作る必要がある。最高の職場は最高のライフ(私生活)をも実現する。


B 例えば、大きな夢やビジョンを有する社員がいるのであれば、社員その人自身でその企業を創る機会を与えることが出来る。


A 言われたことを実行することに快楽を覚える人も多くいるのが現実であるが、考えるべきはそこではない。クリエイティブクラスな人財が次々と自然に集まってくる企業を作ることを、考える必要がある。


B 社員は誰でも創業者になれるし、なるべきであるし、なりたいと思うべきである。そして、創業者足るべく、行動を楽しんでとるべきである。オーナーシップ、起業家としてのマインドが重要で、それと整合する自由度を与えることが必要である。創業者というのは全社だけの話ではない、1つのチームでもそうである。


A 社員が自ら企業や、チーム、個人の雰囲気や文化を維持・進化させることに、コミットする必要がある。文化は非常に重要であり、文化により企業戦略が制限される。この文化を適切に保持し、進化させることが、ゴーイングコンサーンに対して重要な課題となる。


B 文化は常に変化する。よき日々に固執するのではなく、コア文化を体現し続けて維持し、今の何が問題でどうすべきかをオープンに議論できるようにしていく。社員から経営層へと意見・質問が可能で、種を芽にする作業が透明化していることで、文化は常に進化し続ける。


A 人財の士気を考えるのであれば、人の働く理由を考える必要がある。


B 仕事は仕事でおさまらない。社会に対する、世界に対する、人々に対する貢献である。仕事の意義を深く理解する機会と仕組みが必要。


A 仕事の意義を向き合う機会は、意識して仕組を創らねば、まずないといっていいだろう。仕事の意義と対峙する場。貢献を感じることができる仕組み。これらを整備する。顧客の顔は見えているだろうか。


B 何事も透明性が前提になる。士気を持続的に高め、非効率さを排除し、成長し続けるために。この透明性は「逆」に考えられていることが非常に多い。即ち、情報の制限が先にあり、その状態からどれだけ透明にするか?と思考されている。逆だ。


A あらゆる情報は共有できるし、するのが、前提となる。これがベースである。共有するためには。どうすればいいか?これが、最初の質問である。この土台に対して、意識的に、根拠を持ち、的確にデザインした規制・制限がのってくる。この順番が望ましい。

 

/2018.01.11 JK

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