図1

「報酬が内発的動機を奪う」から

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3点に注目したい。
 1.人間的な不合理をフル活用する
 2.内発的動機を活かすように、報酬系を組み立てる
 3.経営戦略も組織構造もHRMも、全てが整合する。
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A 組織が変化している。これについては、何度か述べた*0。


B 組織の変化は必然である。それは、人々の意思や有する世界観が変わってきているため。


A モノやサービスが充足している。満足は一定レベルに達し、そこでアンカーをかけている。腐らぬように、新しい満足を追い求める。このような中で、満足感と生きる意味が、解離し出している。人々の心を正しく満たすのは、よくいう「こと」である。


B 企業活動でみれば、自動化が進み、人工知能が革命的な成長をとげている。意味するのは、定型型に近似できる仕事は機械代替可能と捉えれ、人がやる意味がうすくなる。つまり、よりクリエイティブな作業が必要で、そこへの欲求も高まる。


A 言い換えれば、これも「こと」の追求と言えなくもない。

B クリエイティビティや「こと」への欲求が高まり、そこに対峙していくのが、これからの世界であり、いまはその起点にいる。


A これを受け、組織が進化するのは自然である。人というものは、組織という大きな仕組を介して、集団としてのバリューを発揮する。組織は、アウトプットを大きく左右する手段である。


B 複数の現場にいると気がつくことがある。組織を新しいものへと進化させるように取り組んでいるが、周辺の仕掛けとの整合性がとれていない。


A 今までの時代が、科学的で合理的な人間の管理であれば、これからは、予想通りに不合理*1な人間らしさそのものをコントロールしていくことになる。


B 外部環境、経営戦略、人事戦略、そしてHRM戦略に組織構造。これらは整合する必要があるが、現実には、チグハグであったり、部分最適なケースが多い。


A 最近特に感じるのは、報酬系。最低限の満足を作るための、必要な報酬はある。しかし、報酬はベースラインであり、長期の競争力は生まない。


B 交換条件として提示されるif then型の報酬は、特にクリエイティビティの必要な場面で、ヒトのヤル気を削ぐことが証明されている*2。内発的動機が外部からの報酬により取って代わられてしまう。


A 全てが悪いとは言わない。例えば、短期的にギュット成果を作る必要があるのであれば、これを達成したらX円という交換条件を設計するのは効果的である。


B 或いは、バラバラのチームをまとめるための刺激材として、チームをグループにわけて、特別報奨をつけて競わせるのは効果的だ。


A ただし、目の前に人参をぶら下げる戦法に依存してはいけない。長期的な総戦力が低下する。


B ヒトの価値観が外部環境とセットで変わるいま、内面的報酬に焦点をあて、これでパフォーマンスをドライブさせることが、重要。


A それは、個人の価値観、社会的意義、自発的目的、自律性、尊重し尊重しあえるチーム関係、或いは成長の実感であったりする。報酬についても、不満足を生まない合理的な額面を個々に設定しベースを作りながら、内面的動機を打ち消さないように、現金以外のコトへと変えていくことも効果的だ*3*1。


B 外部環境、経営戦略、人事戦略、そしてHRM戦略に組織構造。これらの整合は本当に重要であるが、部分最適になっていケースが大半ではないだろうか。「今がいい」と言い訳するのは、ゴーイングコンサーンに対する責任放棄でもある。

 

*0 「自己浄化・自己成長する組織」から
  https://note.mu/dialogue_of_j/n/n5a66345ebfbc

 「ベンチャーと大企業病」から
  https://note.mu/dialogue_of_j/n/n95c135d04063

 「ゴーンとホリエモンと善悪の区別」から
  https://note.mu/dialogue_of_j/n/n3678a1787aa5

 「PDCA→ OODA」から
  https://note.mu/dialogue_of_j/n/nca47d0e1ab0f

*1 Predictably Irrational , Dan Ariely

*2 Drive: The Surprising Truth About What Motivate..., Daniel H. Pink

*3 Work Rules!: Insights from Inside Google That Will Transform How You Live and Lead, Laszlo Bock


/2018.02.08 JK

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