図1

「クッキング」から

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3点に注目したい。
 1.プラットフォームは、情報を与え行動を促すのが、主体
 2.デジタルプラットフォームの顧客は、リアルでの不満を持つケースが多い
 3.諦めている課題は、絶好のチャンス

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A デジタルプラットフォームの進化はとまらない。参画者の規模を価値に転換する形式もあれば、規模により固定費を希釈する方式なども存在する。動画の進化も止まらず、例えば、「料理」に対してレシピプラットフォームに留まらず、「わかりやすく、簡便な」動画が大きく入ってきている。


B 「料理」というのは面白い。クックパッドやクラシルなどのプラットフォームがあり、多くの方が利用している。私も料理が好きであり、たまにアイディアの参考にと、これらのプラットフォーム内を徘徊しているが、常に気になっていることがある。それは「調味料」。


A デジタルプラットフォームは基本的に、情報を提供し行動を促すという役割を果たす。一方、実際の消費者の行動に対して、リアルな現場にまで踏み込むケースは非常に少ない。


B 私の言う「調味料」というのは、「計量行為」である。クックパッドなどを利用する消費者層から考えれば、レシピに「大さじ1/2」と記載があれば、人数調整(作る料理のボリュームでの補正)はするにしても、基本的にはこれを守る方が多いのかと推察する。


A 醤油:大さじ2、ナンプラー:大さじ1/2、バター:11g、牛乳:60cc、オリーブオイル:30cc、塩コショウ:少々…。これを逐一軽量しているわけだが、行為としては非効率であり、無駄である。よくマーケティングの教科書に、「ドリルではなく、穴」とか、「速い馬では意味がない」といった類のフレーズがかかれているが、まさにこれらに該当する。消費者は、「調味料を計量したいのではない、適量の調味料を欲している」ということである。


B 料理行為のフェーズを進めて同様に考えれば、1から料理⇒ カット済み野菜⇒ 献立と適量の素材⇒ 調理済み料理のデリバリーや冷凍食品など…と記載できる。クックパッドのような料理レシピのプラットフォームで考えれば、「自分で料理をすること」に価値や意義を見出す層が顧客に該当する。


A 顧客層を、自分で料理をやることに強く前向きで熱心な層。レシピサイト自体への不満は当然存在するが、仮に、「調味料の測定が面倒と潜在的に思っている(調味料を測るのは当たり前だと、疑っていない。調味料は自分で測るものだと諦めている)」という未決課題が存在すると考えてみる。さて、何ができるか?


B 私であれば、メーカー種を問わずに利用できる「自動計量器」を作る。例えば、醤油のヘッドに、直径30㎜・高さ40㎜程度の円柱状のデバイスを付ける。これを利用することで、消費者は、所望の量の醤油(例えば、大さじ1、25㏄、1滴など)を面倒くささなく手に入れることができる。このようなデバイスを調味料の種類ごとに作っていく。「さしすせそ」+「XXオイル」+「XX醤」+・・・。


A 便利な状態というのは、例えば、クックパッドを見ているのであれば、そのレシピに記載の調味料分量が自動で該デバイスに反映される状態であろう。当然、「レシピが2人前」に対して「3.5人前欲しい」というのであれば、これは自動で調整される。「ちょっと薄味」といか「濃い味」なども出来てもいいだろう。


B 細かいことを言えば、液だれしないであったり、洗わなくても清潔、といった状態を実現することも必要になる。これらも「諦めている課題」として存在しているハズであり、リーンで回転学習させる時に、すぐに明確になるだろう。最低限必要なこれらの機能候補の外側に、限りなく電池交換の手間がないこと、といった要素が入ってくると思われる。


A このようなビジネスをやる場合、立場(クックパッドのようなデジタルプラットフォーマー、第三者など)によって事業性や交渉力が大きくかわるが、UVP(Unique Value Proposition)に該当してくる機能部分を権利化できると非常に強いことはいうまでもない。


B モノづくりとデジタル企業とは、その事業構造が大きくことなる。デジタルプラットフォーマが「モノ」へと進出するのは、想像以上に困難な点が多い。ものづくり企業がこのようなデバイスを着想し作り上げ、多くのデジタルプラットフォーマと連携させるといったやり方をとるのは、事業的にも交渉力推移としても面白い。

 

/2018.01.23 JK

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