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飛び出せ!佐久間探検隊


第三十六回 沈んでるから流されない沈下橋を探検!


ドモドモ。
佐久間探検隊の隊長、佐久間ディックです。

皆さんは沈下橋という橋を御存知だろうか?
普通の橋より、水面からの高さが低い位置に掛けられている。
川が増水すると、川の中に沈んでしまう橋なのである。
そうする事によって、橋が流失するのを防いでいる。
幾度となく洪水で橋を流された、先人が生み出した知恵の結晶
そんな沈下橋を探検すべく、
探検隊は近鉄田原本線大和田駅のホームに降り立った。




大和田駅は無人駅
交通系ICカード用の出札機が、所在なさ気にポツンと立っている。
シンプルを通り越して殺風景な改札を、探検隊は通過した。




改札を出て、右折する。
早速上り坂がお出迎え。
真夏の昼下がりには、あまり歓迎したくないモノである。




少し歩くとT字路に差し掛かるので、右折する。
どうやら勾配は緩くなるようだ。




右折した先にも、細い道が続く。
舗装はされているが、古から集落内の道なのだろう。




やがて道は下り坂に。
ただ角度が急なので、帰りの事を考えたら嫌になる。




そのうち道は二股に。
探検隊は左折した。




左折した先も、細い道。
アスファルトで熱せられた空気が、容赦なく探検隊を襲う。




道はまたもT字路に。
探検隊は右折した。




右折すると道は少し広くなり、典型的な田舎の道へ。
青々とした緑が目に眩しい。




道は堤防に突き当たり、右折して上りに。
夏の日差しは相変わらず遠慮なく、厳しい。




やがて道は堤防の道と合流。




合流した堤防には看板が。




この橋が沈下橋。
大城橋という名である。
北葛城郡河合町と生駒郡斑鳩町を結んでいる。
渡る川は一級河川の大和川
大和川で唯一の沈下橋である。
特徴は欄干が存在しないこと。
欄干があると増水した時にゴミが引っかかったり、
橋が壊れる原因になるからである。




そしてこの橋のもう一つの特徴が、

自動車通行が可能


であるということ。
この橋を通らずに対岸へ渡ろうとすると、
かなりの遠回りが必要になるからである。
つまり、この橋が河合町と斑鳩町の間の重要なルートなのだ。
それゆえ双方向通行が可能だし、交通量は閑散時でもそこそこ存在する。
橋の幅は2メートルほどしかなく、もちろん橋上での行き違いは不可能。

そのため通行時は対向車に十分注意する必要がある




河合町側の袂には、そのものズバリ「大城橋」という名のバス停がある。
正式に言うとバスではなく、町内巡回ワゴン「すな丸号」の停留所だが。
特筆すべきことは、運賃が無料であるということ。
地域の足となっているからだろう。




眺めてばかりもアレなので、探検隊も大城橋を渡ってみる。
橋への道路で目に付くのが、進入防止遮断機
増水時に誤進入を防ぐため、遮断棒が下りて封鎖されるのであろう。




少し下ると、ここにも遮断機が
増水時の対策が、入念に施されているのが分かる。




道は更に下り、右カーブを描いて川岸へ。




やがて見えてくる大城橋の全景。
川からの高さは1メートルぐらいか。
恐怖感を全く感じない高さである。
しかし恐怖感というのは不思議なもの。
高さ54メートルである十津川の谷瀬のつり橋より、
高さ5メートル程の野猿(人力ロープウェイ)の方が恐怖を感じるのだから。




そうこうするうち、橋の先端に到着。
対向車が来ないか注意をする。




橋を三分の一ほど進んだあたりに、何やら謎の出っぱりが。
かなり頑丈に作ってあるようだ。




実はこれ、歩行者用の待機所なのだ。
先ほど言ったとおり、この橋は自動車の通行が許可されている。
しかし全幅は2メートルほど。
歩行者とクルマがすれ違うのでさえ、
かなり難しいというよりほぼ不可能だろう。

そこで歩行者にここで待機してもらい、
すれ違いを可能にしている。

でも決して広いスペースとは言えないので、
実際には使用するのに勇気が必要だろう。




上から見た待機所。
この狭い所で滑ったら、即川へ転落になる。
ここで待機するよりは、走って橋を渡り切った方がマシだと思う。
個人的にはお世話になりたくない




橋からから下流側を見た風景。
見えている鉄橋はJR関西本線の鉄道橋
では一番近い道路橋はどこになるのかと言えば、
王寺駅東側を通る国道168号線の昭和橋になる。
かなりの距離である。
昭和橋までの途中で竜田川が合流するので、
橋を架けられなかったのかもしれない

それに大和川自体が王寺の街を巻き込むように、
Ωの文字のようにカーブを描いている。
昔から何度も氾濫をしているし。
下流側に新たな橋を設けるのは、無理なようだ
川に集まっている鳥は、川鵜
鵜といえば鵜飼を思い出しがちだが、あれは別種の海鵜を使う。
かつては水質汚染が原因で絶滅の危機に瀕したが、
現在では水質が改善された為増え過ぎて問題になっている
和歌山市の六十谷水管橋が崩落したのも、
川鵜の糞害が一因
とされている。




こちらは上流側の風景。
こちら側の一番近い橋は、
西名阪自動車道の法隆寺インターと交差する県道5号線の新御幸橋となる。
こちらも1.5kmぐらい離れている
この橋が自動車通行を禁じられていないのは、仕方ないと言えるだろう。




そうこうするうち無事に橋を渡り終えた。
ここから先は堤防へと上り坂になる。




上り坂は途中で右カーブに。
更に勾配の角度を増して続く。




カーブの途中に何やら石碑のようなものが。
近づいてみる。




石には「南無阿弥陀仏」とあるだけ。
個人名がないので墓石とは違うようだし、
明記していないので慰霊碑でもなさそう。




やっと見えてきた反対側の入口。
こちら側も遮断機、警告ランプと増水時の対策は万全。




増水時の注意を促す看板。
少し見づらくなってるが、これも対策の一環である。




堤防から見た斑鳩町側の入口。
欲を言えば待避所が欲しいところ。
現状では普通車同士がすれ違うのは、厳しいようなので。




渡り終えた探検隊が感じたのは、
「貴重な地元の橋だけど、インフラとしては問題あり」
という事だった。
特に自動車通行が可能という点が問題
理想を言えば関西本線の鉄道橋付近に道路橋を新設し、
自動車通行はそちらに任せて大城橋は自動車通行禁止にすべき
だろう。
ただ牧歌的な風景と素朴な橋は、観光地として魅力的だった。
もっと存在をPRしても良いのに。
その為にはやはり自動車通行の分離が必要だろう。
探検隊はそんな事を考えながら、橋を戻ろうとするのであった。

「沈んでるから流されない沈下橋を探検!」

おわり。

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