麻利支天

蘇る摩利支天

【序文】
ここで言う摩利支天とは、実在した妖術士のこと。過去世の私は実際に摩利士天の撹乱の妖術に遭い、二度命を落としている。

ここに書くのは私と同じ時代に蘇り、短い命を閉じた摩利支天の生まれ変わりのことであり、伝説で言われているその人とは若干人物像がかけ離れているかもしれないが、これは本当に私の身に起きたことを織り交ぜて書いているのでそのつもりで読んで頂けたら幸いである。


麻利支天


タイトル通り、現代に蘇った摩利支天とはつまりは私の実弟のことである。

魂の比率としては過去世から持ち込んだものが2割、残りが今世の母体で構成されたものであると推測している。
善悪が逆転している人格であり、彼の中ではこの世の善が悪であり、彼の悪が善である。つまり彼自体は彼が「善」だと思うところにふんだんに妖術を使って今世を生き抜いたことになる。


家族の中で唯一、私は「存在してはいけない人」だった。なので本来は遠い国の皇族の末裔として登記される筈の私の名前の登録も、実母と実弟の手によって阻害され続けて今日に至るが、聞くところによると弟も皇族の末裔としての登録が為されていないと最近知った。


勿論弟の中では私に対する疎外行為の大半が「善」であり、何故その歪んだ善に彼が疑問を抱かなかったのかと問われたら、彼の魂の根っこが摩利支天その人だったからとしか説明のしようがない。

私が長きに渡りPTSDAC(アダルト・チルドレン)を柱とした精神や思考の障害に悩まされ続けて来た原因の一つも、おそらく弟の本体となっている摩利支天の妖術が大きく影響していたように思われる。


2012年、父の遺産整理の件で私が二度実家に帰った時、私はマンションの一室で想像もしなかった‥ 心と思考回路が狭く委縮する感覚を持った。この人たちの中では私は奴隷のような立ち位置にあり、人間としての意見や主張が一切まかり通らない。
それが彼等が私に強要した権利であり、それは現在実家に母一人となった今でも脈々と続いている。


摩利支天2


私の記憶が正しければ‥ と言う前置きをあえて付けておく。

記憶では私は二度、しのびと言う女忍者としての生を生きている。いずれも摩利支天の妖術の被害に遭い、そのいのちはとても短いものだった。

二度目の生の後半で、私は茶人 千利休のボディーガード 兼 情報収集係のような役目を仰せつかった。利休は善悪の分け隔てをあえて持たず、味方から得る情報の分敵方からも多くの情報収集をしており、実際に茶室が合戦の縮図のような状況になる事も多々あった。

茶室では刀を所持することが出来ない。もしも出来るとしたら女性の懐刀のような短刀に限られるが、それもボディーガードによって茶室の中では一時的に没収扱いとなる。


私と利休の最期のシーンを今も忘れることが出来ない。
敵は味方の中に在った。と言うより、味方が摩利支天の妖術で思考回路を撹乱され、衝動的に利休を斬り、その場から立ち去った私を複数名で追跡し山道で私は首を刎ねられた。

その時私は味方であった弟弟子の顔を見た。その顔が摩利支天と同化して映り込み、瞬時にそれが摩利支天の妖術による撹乱だと察知した。


あの世で私は何度も摩利支天の追跡を試みたが、彼の転生の速度が余りに早かった為、結局私が今世で弟と再会する迄、摩利支天との再会は持ち越されることとなった。


摩利支天の術で有名なのは「陽炎の術」。
その術に遭うと今自分がどこに生きているのかが分からなくなり、摩利支天が設定した情景の一員となって動くことしか出来なくなる。
敵・味方の区別を自分でつけることが不可能になり、摩利支天の意のままに操られるように行動することしか出来なくなる。

まさに弟が作為的かそうではないのか分からないけれど、人を自分の意のままに操る能力に長けていた。
私もその術にハマりかけていたが、24歳で実家を出ると次第に彼の妖術から心が開放されて行った。その後私は渡米し、表向きはPTSDやACによる脅迫障害及びパニック障害だと病状を診断され、その後現在のようにほぼ完治に至るまで数十年を要した。


そして2015年、現代の摩利支天として生きた私の弟の寿命が尽きた。彼の身体が摩利支天の弟に与えたミッションにおそらく、耐えきれなかったのだろう。
最終的に弟は、動脈瘤の破裂でその生をいきなり閉じた。


おそらく摩利支天は既に、次の転生場所を確保しているだろう。潰すべき者は確実に潰し抹殺するのが摩利支天の性格であり、そうすることが彼のミッションである以上、ここに転生した私を摩利支天が見逃す筈はないだろう。
だが私にもミッションがある限り、この戦いはきっと終わりを見ない。


摩利支天については私の気持ちが向いた時に、時々こうして語ることが今後もあるかもしれない。
ここで見聞きしたことは、なるべく他言しないようお願いしたい。
摩利支天に入り込まれた人にも人権があり、人間としての生をもってこの世に生きていることには変わりないのだから。


記事を最後まで読んで頂き、ありがとうございます(o_ _)o))


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