音楽Pが発見!武道館で公演した歌手の共通点は「妄想力」
中脇雅裕『あなたの仕事はなぜつまらないのか』本文試し読み
「妄想」してますか?
2019年も残りわずか…。
なんだか毎日パッとしないまま、事務的に仕事をしていませんか?
少し先をイメージするだけで、今日からあなたも楽しく働ける!
明日からの生活を少しでも変えたいあなたに贈りたいこの1冊。
Perfume・きゃりーぱみゅぱみゅ等、数々の有名アーティストのクリエイティブに関わった音楽プロデューサーが教える「成功する心(メンタル)」の作り方。
今回は『あなたの仕事はなぜつまらないのか』(著:中脇雅裕)の試し読みを公開します!
INTRO 成功する人と、しない人
■どうしてあいつは成功できたのか?
ある新人アーティストがいました。
彼女はとても歌が上手く、自身で作曲する楽曲の音楽性も素晴らしいもので、しかも大変な美人でした。
いつか武道館や東京ドームのようなステージを満員にするのが彼女の夢。
そのために、彼女は楽曲を作り、ライブをし、ファンを獲得するために様々な努力をしました。メディアへの露出や、ファンサービスなども懸命にこなしていきます。
しかし、彼女の作った楽曲は一向に売れず、ライブも集客に苦戦します。
その一方で、彼女と同時期にデビューした新人アーティストが、またたく間にヒット曲を連発。東京ドームでのライブを成功させるまでになりました。
その成功を横目で見て、彼女は呟きます。
「自分は運に恵まれなかった」……
また、あるビジネスマンがいました。
彼は非常に勤勉で、大学では優秀な成績を収めて就職、身を粉にして一所懸命に働きます。
上司や先輩にやり方を学び、勉強会や交流会などにも積極的に参加、残業も休日出勤もいとわず、辛い仕事にも音を上げずに頑張りました。
ところがある日、会社の新規事業の責任者として、彼の同期が抜擢されました。
その同期の手掛けた新規事業は評判となり、メディアにも取り上げられ、その同期は有名人となり、収入も地位も、彼より何段も上になってしまいました。
彼は歯噛みをして悔しがります。
「自分が努力している間、あいつは遊んでいたのに」……
■欲望こそが、成功のカギ
私は音楽プロデューサーとして20年以上仕事をしてきました。お手伝いをさせていただいたアーティストの中には、成功した方もいれば、なかなか芽が出ないまま消えていったアーティストもいます。
芽が出なかったアーティストに才能がなかったわけではありません。素晴らしい資質、実力と魅力があり、さらに、たゆまぬ努力を積み重ねても、成功できなかったアーティストは数多くいました。
また、デビューして一度は成功をしたものの、次の作品が創り出せずに悩み、精神を病んでいってしまう方も、何人も目にしてきました。
同じくらいの実力があって、同じくらい、いやそれ以上の努力もしている。それなのに、成功する人と、そうでない人がいるのはなぜなのでしょう。
様々なアーティストと仕事をしていく中で、私はこの違いについて、ずっと考え、どうにかできないのか、ということを模索してきました。
もちろんこうしたことは、音楽の世界ならずとも、ビジネスの世界などでもよく見聞きする話。
「なぜあいつは成功するのか」、「なぜ自分は成功できないのか」……そんな思いは誰にでもあるはずです。
歯を食いしばって勉強して、懸命に仕事をしているのに、目立った成果を残せず毎日が過ぎていく。
その一方で、テレビでは連日、若手のビジネスマンや起業家がもてはやされています。
入り口は同じだったはずなのに、自分は毎日毎日、つまらない仕事をしている。
一体、この差はなんなのでしょう?
運に恵まれなかったからなのでしょうか?
本書のテーマはズバリ、「成功する方法」です。
運ではなく、コネでもなく、自らの願望を叶え、人生を成功させる。
それができる人と、できない人の差は一体なんなのか?ということについて、私がアーティストのプロデュースをする中で考え、また実践してきた内容を元に、ご紹介をしたいと思います。
「信じていれば、夢は必ず叶う」……こうした言葉は、Jポップの歌詞だけでなく、成功者の著した書籍などでもよく見られます。
これを多くの人は、「強い意思を持って実行する」のだと思いがちです。
そして、「自分が成功できず、仕事がつまらないのは自分の意思が弱いせいだ」と思ってしまう。
ですが、実際のところ、スティーブ・ジョブズだって宇多田ヒカルだってあなただって、同じ人間なのです。
能力にそこまで大きな違いがあるわけではないし、それこそ人間である以上、欲望もあればそれに屈する弱い部分だってあるはずです。
いや、むしろ、「欲望に負けない強い意志」ではなく、「欲望」こそが成功のカギである、ということが、本書の最大のポイントになります。
人の成功を作る、「欲望」そして、「妄想力」……これらの言葉がどんな物事を示しているのか。
ぜひ、ページをめくってみてください。
***
CHAPTER1 「妄想力」で脳をだませ!
■なぜ大スターは1万人の前でも緊張しないのか?
クライアントへの企画のプレゼンテーション。オーディションやコンテストでのパフォーマンス。スポーツの大事な試合。
これらいわゆる「勝負所」の大舞台。これをクリアすれば、成功を掴むことができるかもしれない!こういう山場は、どんな人にも訪れるものです。
しっかり準備をし、練習もして、前日は早く寝て体調も万全。そして挑んだ大舞台。それなのに、緊張して身体は動かず、頭の中も真っ白、言葉もうまく出てこない。
そんな経験、どなたにでもあるんじゃないでしょうか?
ここ一番の時に緊張してしまい、ベストなパフォーマンスをすることができない。
しかし、よくよく考えるとこれ、なんだか理不尽な話です。
これから成功しようとしているのに、どうして緊張しなくてはいけないのでしょうか?
わざわざ成功を妨げ、失敗するように仕向ける「緊張」という現象。一体、なぜこんなものがあるのでしょう?
■緊張の正体は、「変化を拒む本能」だった!
人間の脳というのは、実は基本的に「変化」を拒むようにできています。
これは、人間に限らず動物としての本能のひとつで、「とりあえず生きているという現状に対し、それが変化することで危険に出会うかもしれないリスク」を避けるための機能です。
生きていくのに困らない程度の餌がある場所に住んでいる動物が、より多くの餌を得るために住処を移動すると、場合によっては餌が増えるどころか少ない環境になってしまうかもしれない。
そうした事態を避けるために、脳は「ともかく生きているなら現状を変えない」という選択をします。こう考えないと、いつまでもリスクがある不安定な生活を続けることになってしまうからです。これは生存率をキープするためには非常に重要な機能です。
現実の世界で例えてみましょう。
プレゼンテーションに成功して企画が採用され、自分がその新しい企画の担当者になったとします。
そうすると、これまでやっていた仕事とは違う仕事をしなくてはなりません。新しいことを憶えたり、毎日顔を合わせていた会社の同僚以外の人と打ち合わせをしたり、様々な調整をしたりもしなくてはいけないでしょう。これまでに出会ったことのないような困難な課題を解決する必要もあるかもしれません。
または、オーディションに合格して歌手デビューが決まったら、新しい環境で新しい人たちとこれまでと全く異なる世界に臨むこととなります。
もしかしたら、プロとして全く通用せず、ひどく惨めな思いをする可能性だってあるかもしれません。
こうした「環境の変化」が予想される事態には、脳はこれを「生存率が下がるリスク」だと判断し、状況や環境が変化しないような行動をとります。
それが「現状維持機能」です。
嘘のような話ですが、脳は、失敗をしようとするのです。
■緊張する人と、しない人の違い
ところが、世の中にはどんな大舞台に臨んでも緊張をしない人というのもいます。
また、皆さんの経験の中にも、緊張してうまくできなかった場合と、同じくらいの舞台なのに全く緊張せずにやれた、という場合とがあるのではないでしょうか。
私も音楽プロデューサーとして仕事をする中で、様々なアーティストがオーディションや大きなステージなどの「大舞台」に臨むのを目にしてきました。
そうした大舞台で、堂々たるパフォーマンスを見せて成功を掴むことができた人たちは、一体どうして「失敗させようとする脳」に抵抗できたのでしょうか?
阿部真央さんというシンガー・ソングライターがいます。
彼女がまだデビューする前のことですが、ロックインジャパンという音楽フェスに一緒に行ったことがありました。
そこで彼女は、鬼束ちひろさんのステージを見て、大変感動した様子でした。
私はその時、彼女に「来年、君がこのステージに立つんだよ」と言いました。
そしてその後、彼女はメジャーデビューを果たし、デビューをしたその年のうちに、鬼束ちひろさんと同じ、ロックインジャパンのステージに立つことになります。
ロックインジャパンでの彼女のステージは堂々たるもので、その後は毎年出演し続け、現在もメジャーの音楽シーンで大活躍をしています。
彼女がなぜ、デビューした直後からこのように活躍することができたのか。
私のしたアドバイスが良かった、というつもりではありませんが、彼女の中で「自分が大きなステージで歌う」というイメージが明確にあったからでしょう。
何度も大きな舞台に出演しているアーティストなどであれば、聴衆の反応も、ライブの流れも、自分の中にイメージができているため、今更緊張するようなこともないはずです。
しかし、新人アーティストにとってはその舞台は未知の世界。
だからこそ、「その大舞台でのライブ」というイメージが頭の中にあることで、物怖じせずに堂々とパフォーマンスをすることができるようになるのです。
■燃えつき症候群にならないために
阿部真央さんはデビュー後から現在まで、第一線で活躍している例ですが、当たり前のことながら、デビューしてもうまくいかないケースも多くあります。
特に、新人のアーティストでよくあるのが、「デビューすること」が目的になってしまっているケース。
デビューがゴールになってしまっているアーティストにとっては、オーディションに合格したあとの世界は全く未知の世界であり、それは強烈な「環境の変化」となるため、現状維持機能が強く働いてしまいます。
こうした方は、オーディションなどを潜り抜け、いざデビューすることが決まっても、いわゆる「燃えつき症候群」のような状態になって次の作品が創れなくなったり、ライブでいいパフォーマンスができなくなったりすることも多いのです。
成功した結果、「次元がひとつ上がる」というような物事に対しては、特に強く現状維持機能が働きます。
だから、先の阿部真央さんのように、「デビューした後の自分」について、明確なイメージを持っているかどうかが重要なのです。ひとつ上の次元で自分がどう活躍するか、それをあらかじめ知っていれば、オーディション合格後の自分は「環境の変化」ではなく、日常の延長です。
「自分は毎年、武道館でライブをしています」こんなことをイメージしてるアマチュアミュージシャンにとっては、オーディションに合格し、自分のステージを上げることなど、なんということはないはずなのです。
逆に、こうした成功イメージがないままにデビューが決まり、周囲のイメージ、期待など自分との意識のギャップに悩むと、場合によっては心を病むまでに追い詰められてしまうこともあります。
「その舞台」でどうパフォーマンスをするか、というイメージを持つことも大切ですが、もっと重要なのは、「その結果どうなるのか」までイメージを持って、次の舞台とその次の変化を、自分の人生の一部としているかどうかなのです。
「晴れの舞台」という言葉がありますが、それが「晴れの舞台」という特別な場であってはいけないのです。なぜなら、これから大活躍をするあなたにとっては、その舞台は「当たり前の日常」の一部であるはずだからです。
このように、成功したイメージを「自分の現在の姿」とすることで、そこへ一直線に向かう……それがこの本で紹介する「妄想力」です。
■現状維持機能をだます「妄想力」
「成功したあとのことをイメージすることで、最大限のパフォーマンスを発揮する」。
こうしたことは、実はスポーツの世界でも行われており、世界の舞台で戦うアスリートたちの間では、このようなメンタル・トレーニングは非常に重要視されています。
2009年に開催されたワールド・ベースボール・クラシックの第二回大会決勝、日本チームは韓国と対戦しました。
実力の拮抗する両チームの試合は一進一退の壮絶なシーソーゲームとなり、同点で迎えた延長十回、二死二、三塁のチャンスが日本チームに回ってきます。
ここで打席に立ったのは、この大会中ずっと不振だったイチロー選手。
日本チームの象徴でもあった彼にとって、結果を出せなかった大会の最後、もっとも重要な場面で回ってきた打席のプレッシャーは、想像を絶するものだったはずです。
しかし、イチロー選手は試合後のインタビューなどで、この時の心境を、「ここで打てたら自分は本当に持っているな、と思っていた」と語っています。
打席に向かうときには、「さぁこの場面、イチロー選手打席に入りました」と、頭の中で実況をしながら、そのドラマチックな場面に自分を便乗させるようなイメージを持っていたそうです。
そしてその打席、イチロー選手は決勝点となるタイムリーヒットを打ち、ドラマチックなイメージを現実のものとします。
これがまさに、「妄想力」の効果。
ドラマチックな場面において、「実現できっこない」、「失敗したらどうしよう」といったネガティブなイメージではなく、ドラマチックな結果をイメージしてそこに自分を乗せることで、「ドラマチックな結果が当たり前」の精神状態になり、状況に萎縮することなく最大のパフォーマンスを発揮することができるのです。
実際に、オリンピックでメダルを狙うアスリートには、メンタルトレーナーがつき、競技に勝つイメージや、勝利した後に英雄となって称えられるイメージなどを作っていくことで、「成功することが普通」という精神状態を作っていくそうです。
そして重要なのは、成功後のイメージがポジティブなものであることです。
現状維持機能は、変化の結果、生存のリスクが下がることを回避するための機能です。
ですから、変化した先が今よりポジティブな、そこへ向かうことが間違いなく幸せだと思えるように、考えるだけでワクワクするような妄想をすることが大事なのです。
成功後の自分の姿を明確に、そしてポジティブにイメージすることで、「変化」を拒む現状維持機能を作動させないようにする。
それが、物事がうまくいくようになるための、「妄想力」活用の、まず第一歩だと言えます。
■現状維持機能は、日常的に成功を遠ざけている!
大事なプレゼンテーションやオーディションといった劇的な場面でなくとも、この「現状維持機能」は、日常の様々な場面で「変化」から私たちを遠ざけています。
例えば、気になる女性にメールを送り、デートに誘おうというとき。
まずは誘ってみなければ、その女性と親密になれることはない、ということはわかっていても、「迷惑に思われたらどうしよう」とか、「今、忙しいかもしれないから」とか、色々な言い訳を考えては「メールを送らない理由」を探そうとします。
また、ブラックな労働環境の職場を辞め、もっといい環境、待遇の会社で働きたいと思いつつも、「でも、自分が辞めたらこの職場に迷惑がかかる」と思ったり。
会えば喧嘩ばかりしている恋人に対し、「でも、今別れたら次の相手が見つからないかもしれない」と思って我慢することを選んでしまったり。
こうした「変化を拒む心の動き」は、現状維持機能がそれをさせているのです。
ただ、注意したいのは、こうした変化を恐れる心というのは人間にとって必要なものであり、それを否定するべきではない、ということです。
仕事も恋愛も変化を求めてばかりいては、生きていく上でスムーズにいかないことも沢山出てきます。
大事なのは、「人間は変化を恐れるようにできている」ということを理解し、それとうまく付き合う術を身につけること。
そのためには、自分がなにを求めているか、自分の欲望を正しく知り、それに対しての情報を集める必要があります。
まずは、「妄想力」によって本能の働きをだますことができる、ということを知った上で、次の項をご覧ください。
難しそうに見えるかもしれませんが、大丈夫。みなさんが日常的に出会っている、とっても身近な方法です。
***
CHAPTER2以降では「妄想力」実践テクニックを紹介しています!!
<収録内容>
INTRO 成功する人と、しない人
CHAPTER1 「妄想力」で脳をだませ!
なぜ大スターは1万人の前でも緊張しないのか?
オリコンの「左側」が当たり前になった話
「妄想力」実践活用法
「焼きそば理論」が未来を創る
「妄想力」実践テクニック① 通帳のケタをひとつ増やせ!
CHAPTER2 ビジネスはエンターテインメントだ!
自分の欲望を、正しく知る
ビル・ゲイツになっちゃえば大体問題は解決する!
「妄想力」実践テクニック② 妄想は現場から!
「クリエイティブ」とは「妄想できる」ということ
CHAPTER3 先入観に捉われない人は、妄想をしている
ダメなものは、良い
「妄想力」実践テクニック③ 好きなもの、嫌いなものを書く
ネガティブな欲望は、人の役に立つ
「妄想力」実践テクニック④ 自分の妄想はあまり人には言わない方がいい
欲望に逆らうと、引きこもるか鬱になるしかない!
「妄想力」実践テクニック⑤ 妄想画像フォルダを作ろう
CHAPTER4 妄想すれば、世界が平和になるしかない
情報化社会は想像力を生む!
感情を切り離すと戦争になる
欲望を突きつめると、もう平和になるしかない!
「妄想力」実践テクニック⑥ 妄想するなら朝と寝る前
OUTRO 妄想すれば、とにかくなにをやっても上手くいくモードになる
著:中脇雅裕『あなたの仕事はなぜつまらないのか』
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