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「スター・ウォーズ」の特殊効果を支えた1970年代の心理学実験-3。

一定の信憑性があること。

「私は、自分ができることを集めた奇妙な鍋を持っていて、その組み合わせが、彼らが必要としているものにぴったりだったのです」とダイクストラ(Dykstra)は言う。

彼は数年前、スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)と組んで『2001年宇宙の旅(2001: A Space Odyssey.)』の画期的な視覚効果を制作した人物である。

ダイクストラは、バークレー研究所(Berkeley lab)の実験に関わるようになった頃の映像制作の仕事について、「モデルを設計し、モデルを作り、モデルを撮影した」と回想する。その頃、バークレー研究所の実験に関わるようになったダイクストラは、映像制作の仕事について、「研究所のスタッフから連絡があり、ほどなくして、より地球に近い模型を撮影することになった。

UC Berkeley シミュレーションラボ02 切り出し

この模型は、サンフランシスコの北、マリン郡の1.5×1マイルの郊外を精巧に再現したものである。
小さな車や家、ガソリンスタンド、樹木、低木、ミニチュア信号機までが配置され、幅20フィート以上の模型の各インチは、マリン郡の道路や地形30フィート分を丹念に表現している。

模型の上には、U.C.バークレー校のエンジニア、カール・メランダー(U.C. Berkeley engineer Karl Mellander)が設計した16ミリフィルムカメラと潜望鏡のような複雑な光学系を備えた移動ガントリ(moving gantry)が設置されている。潜望鏡はミニチュアの道路をかすめ、自動車を運転する人が見るのと同じような「目の高さ」で模型を見ることができるようになっています。

このシステムの重要な革新点は、ミニチュアの街並みを「走る」カメラリグの動きを、すべてコンピューターで制御したことである。研究室では、業務用冷蔵庫数台分の大きさの当時最新鋭のPDP-11メインフレームコンピューター(PDP-11 mainframe computer)を使用していたとダイクストラは言う。このコンピュータを使えば、特定のルートを必要な回数だけ正確に繰り返すことができる。

「というのも、自分が何をしたいのかを把握するために移動をプログラムし、それを撮影して気に入ったことを確認し、そのリアリティを出すためにすべての付属品を取り付け、また撮影する必要があったからです。」とダイクストラは言います。

「複数の要素を撮影し、それを後から組み合わせることで、あたかも同時に撮影したかのように見せるわけですから、視覚効果にも応用できます。」と、ダイクストラは言った。正確で再現性の高いカメラの動きを可能にするコンピュータベースの技術は、やがてマリンカウンティをのんびりとドライブ(drive through Marin County)することから、デス・スター(Death Star)の表面を急降下することへと飛躍していくだろう。

イルミネーション・ダイクストラフレックス・クルー ミレニアム・ファルコン

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ILMが開発した革新的なダイクストラフレックスカメラシステム(Dykstraflex camera system)は、映画の特殊効果にダイナミックな動きをもたらした。当時は、宇宙船のミニチュアモデル、デス・スターの表面、背景の星野など、特定のショットを構成するすべての要素を別々のフィルムに撮影し、後で光学的に1枚のフィルムに合成する必要があった。この複雑な工程は、何枚もの中間マットで構成され、カメラのプログラムされた経路が各要素を撮影する際に全く同じでなければ成立しない。

バークレーカメラシステム(Berkeley camera system)とその発展型であるダイクストラフレックスは、どちらも素晴らしい技術的飛躍を遂げたが、根本的な科学的疑問は残ったままだった。

シミュレーションされた環境に対して、人は現実と同じように反応するのだろうか?

「このシステムの本当のテストは。これだったのです」と、ダイクストラはバークレーのオリジナルの装置について語る。

2023-05-08---「スター・ウォーズ」の特殊効果を支えた1970年代の心理学実験-1。
2023-05-09---「スター・ウォーズ」の特殊効果を支えた1970年代の心理学実験-2。

つづく。

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