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特別目的事業体が照らし出す海外直接投資の原動力。

IMF(International Monetary Fund/国際通貨基金)が定期的に公開している「IMF Blog」は2022年03月25日に、従来の資本移動の常識では、海外直接投資(Foreign Direct Investment)は長期的であり、証券などのフローは変動が大きいとされてきた。

しかし、オリヴァー・ブランチャード(Olivier Blanchard)とジュリアン・アカリン(Julien Acalin)が示したように、測定された海外直接投資の大部分は、最終目的地に向かう途中で国を出たり入ったりするフローである可能性がある。これを説明するものは何だろうか。

その答えは、SPE(Special Purpose Entities/特別目的事業体)である。

https://time-az.com/main/detail/76517

SPEは、ホスト国から特定の利益を得るために設立された法人であり、その国では雇用、物理的存在、生産がほとんどないに等しい。

通常、低税率の恩恵を受けるために設立されるが、資本市場や金融サービス、熟練した労働力へのアクセスのしやすさなど、その他の理由で設立される場合もある。経済への影響がほとんどないため、こうした金融の流れは、海外直接投資の数字が示す経済活動の真の姿を歪めてしまう可能性がある。SPEからのフローを直接測定することは、この問題を解決するのに役立つ。

IMFの新しいデータベースは、国際的な定義に基づいて、参加26カ国に居住するSPEのクロスボーダーのフローとポジションを初めて測定した。

このデータベースを用いて、「Chart of the Week」はこれらの経済圏における海外直接投資を分類している。ルクセンブルグでは経済規模の45倍、モーリシャスでは30倍、バミューダでは28倍と、SPEを通じて行われる海外直接投資のポジションが非常に大きいことがわかった。

最近のIMFブログで紹介されているように、世界有数の海外直接投資の受け手には、SPEを経由したものを含む大規模な金融ストックが存在する。このため、この新しいデータベースは、新しい国際法人税協定による変化の見込みをよりよく理解することを含め、データのギャップを埋めることによって対外部門統計の透明性と比較可能性を向上させるための大きな一歩となるものである。

このデータベースは、IMF国際収支統計委員会(IMF Committee on Balance of Payments Statistics)が2018年の報告書で承認した、国際的に合意された方法を反映しています。OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development/経済協力開発機構)およびEurostat(European Union statistical office/欧州連合統計局)が加盟国向けに発信しているSPE統計を補完するものである。

このデータベースのリリースは、今年からSPEデータの報告が義務化されるEU経済圏(EU economies)を含む、対象国の増加を特徴とする年次更新に続いて行われる予定である。


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