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「スター・ウォーズ」の特殊効果を支えた1970年代の心理学実験。

米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2023年05月04日に、ミニチュアとコンピューター制御のカメラを使って、近隣地域のリアルなシミュレーションを作成することは、NSFの資金援助を受けた2人の研究者が考案した野心的な実験の目標であった。しかし、彼らの研究室が、「Star Wars(スター・ウォーズ)」第1作から「マンダロリアン(The Mandalorian)」まで、歴史に残る映画やテレビ番組の特殊効果の作り方に影響を与えることになるとは思いもよらなかったと、NSFの科学コミュニケーターで、NSFが支援する研究によって生み出された発見や成果に関するストーリーやその他のコンテンツについて、科学コミュニケーション担当スタッフアソシエイトとして執筆しているジェイソン・ストートン(Jason Stoughton)が報告した。

ジェイソン・ストートン(Jason Stoughton)

これは、つまり、「Star Wars」の特殊効果に対して、NSFの資金援助を受けた2人の研究者が参加して制作された国策映画であったということである。

ジェイソン・ストートンは、NSFに来る前は、NIST(National Institute of Standards and Technology/国立標準技術研究所)の広報室に勤務し、サイエンスライティングや写真撮影、内部コミュニケーションや教育ツアーの指導、PBSで全米、BBCなどで国際放映されたドキュメンタリー映画「The Last Artifact」のプログラム担当を務めた。

NIST入社以前は、映画・テレビ業界で15年間、クリエイティブ・ディレクターからチーフ・コーヒー・フェッチャーまで、さまざまな職務に就いていたため、危うくキャリアを棒に振るところだった。テレビ向けの教育用公共広告の制作と脚本で、エミー賞を数回受賞している。

では、ジェイソン・ストートンはNSFのスタッフであり、国家公務員のようである。

私はこれまでも何度もNSFが公開した実験報告を翻訳して公開してきたが、問題はなかった。

今回の実験原稿は、予算を提供し、執筆者のジェイソン・ストートンの給料を支払っているNSFが公開しているので、翻訳して公開しても問題はなさそうである。

ただし、膨大な原稿であるので、5回に分けて公開する。

「スター・ウォーズ」の特殊効果を支えた1970年代の心理学実験-1。

40年以上もの間、映画の観客は口をあんぐりと開けて、ある劣勢の反乱軍の宇宙船が巨大な帝国軍のスター・デストロイヤーから逃げようとする無駄な試みに見入っていた。1977年の「スター・ウォーズ」の象徴的なオープニング・ショットは、何百万、いや何十億もの人々の記憶に刻まれている。

もちろん、これは精巧な偽物である。

銀河帝国から遥か遠く離れたロサンゼルス郊外の質素な倉庫で、熟練したアーティストが組み立て、撮影したものだ。

このシーンは、ジョージ・ルーカス(George Lucas)が当時設立した特殊効果会社ILM(Industrial Light & Magic/インダストリアル・ライト&マジック)によって、映画「スター・ウォーズ」第1作のために作られたものである。

ILMのスタッフは、映画制作の美学に革命を起こした。人間の知覚の基本を理解した上で、技術と芸術性を融合させたのである。

その革新的な融合は、カリフォルニア大学バークレー校(the University of California, Berkeley)の研究プロジェクトで初めてテストされた実験的な技術に基づくもので、NSFの支援を受けていた。

1970年代にバークレー校の環境シミュレーション研究所(Berkeley's Environmental Simulation Laboratory)で、ジェリー・ジェフレス(Jerry Jeffress)、アルヴァ・ミラー(Alvah Miller)とともにこの実験に取り組んだジョン・ダイクストラ(John Dykstra)は、「プロジェクトの焦点は、映像を信じるに足るものにしているものを、科学的に解明することでした」と語る。

数年後、3人はILMの創設メンバーとなり、バークレー校での研究を発展させ、映画並みの特殊効果が可能なコンピューター制御のカメラシステム、つまり『スター・ウォーズ』で初めて使用された、その名も「ダイクストラフレックス(Dykstraflex)」システムを開発することになる。

ILM Dykstraflex filming TIE fighter

バークレー校の研究所で達成された研究と技術革新は、現実であれセルロイドであれ、人が見るものにどのように反応するかについての新しい理解をもたらし、その理解をどのように応用できるかを教えてくれた。

その過程で、ダイクストラと研究室の他のメンバーは、後にILMの創意工夫を凝らしたチームが、ドッグファイトするTIEファイター(TIE fighter)や塹壕を走るXウイング(X-wings)など、知覚的に信じられるファンタジーに観客を引き込むために使用する技術や装置の一部を試作した。

ILMのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターのジョン・ノール( ILM Executive Creative Director John Knoll)は、少年時代に初めて『スター・ウォーズ』を見たとき「どうやって作ったんだ?どうやって作ったんだろう?」と思いた。そして、それが全長3フィートの模型であることを知ったときの感想で、それを語っている。

2023年05月04日---銀河系映画戦線に和解はない

つづく。
次回は、いつかは書きません。なるべく早くか書きますが、明日は浅草に行く予定です。

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