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マレーシアのドリアン生産、IoTなど先端技術を採用。

アジア経済ニュースNNA ASIAは2022年12月16日に、マレーシア(Malaysia)で1986年に創業したドリアン輸出大手トップフルーツ(TopFruit)は、中国などで急速に拡大する需要に対応するため、IoT(Internet of Things/モノのインターネット)などの先端技術を活用したスマート農業システムを導入し、生産の効率化を目指していると報告した。
同社によると、こうした技術の導入から収量は年間3割ずつ増加。足元で深刻化している農業分野での労働力不足や生産コストの増大といった課題解決も目指す。

スランゴール州スリクンバンガン(Seri Kembangan, Selangor)に本社を構えるトップフルーツは、世界23カ国向けに年間1万5,000トンのドリアンを輸出している。

同社のタン・スエシャン(Dr Tan Sue Sian)社長によると、ジョホール州などに構える自社農園(200ヘクタール)で、3年前からスマート農業システムを導入し、生産の効率化に取り組んできた。

多くのドリアン農家では過去の経験に基づいて農薬や殺虫剤、肥料などの散布を行っているが、同社ではこれらの作業をデータで管理。その背景には、新型コロナウイルスの流行以降、農薬の価格が以前の2.3倍に高騰したため、コスト管理を厳格化せざるを得ないという事情もある。

また、IoT機器を導入し、湿度や風速など天候の観測、土壌の水素イオン指数(pH)測定、果樹の生育状況の監視などを行っている。農薬や肥料の散布もドローン(小型無人機)などを活用。機械化が進む。

タン氏は「データを活用したスマート農業の導入で、ドリアンの果樹はみるみる大きくなり、収量は年間3割ずつ増えている」と話す。

農業分野の研究で定評があり、トップフルーツの本社近くにキャンパスを構えるマレーシア・プトラ大(UPM)とも提携。ドリアンの果樹、土壌、収穫方法の3分野で共同研究を進めている。

一度は医学の道を志すも、家業を継いでドリアン農家に転身したトップフルーツのタン社長。今では「果物の王様」ドリアンを世界23カ国へ送り出していることは

熟し切らないうちに収穫するタイやベトナム産ドリアンと異なり、マレーシアの農園では完熟した果実が自然に落ちてくるのを待って収穫する。そのため、常温なら2日、冷蔵で保管しても最大5日程度と賞味期限が短く、輸出に向かないとされてきた。タン社長によると、マレーシア産ドリアンの輸出規模は、タイ産の2%程度に過ぎないという。

その一方で、ブランド品種の「猫山王(ムサンキング)」など、マレーシア産ドリアンの名声は、味や香りの良さから海外でも高まっている。中でも需要が急速に拡大している中国はマレーシア産ドリアンの生果実輸入を認めていないこともあり、トップフルーツではこうしたブランド品種の急速冷凍パックを開発。また、ドリアンの味わいに慣れない外国でも受け入れやすいケーキ、月餅、大福、アイスクリームなどの加工品も輸出している。

海外でのドリアン人気の高まりで輸出や加工品の需要が年々拡大する中、自社農園での生産量は年間800トンで頭打ちになりつつある。
タン社長は自社農園を拡大する考えはないと話す。年々深刻化する労働力不足や生産コストの上昇が「頭痛の種」となっていることから、スマート農業で生産性を向上してきたが、果樹の数から換算して「現在の収穫高はほぼ限界」と、タン社長はいう。これでは、輸出向け需要の5%程度しか確保できない。

そこで目をつけたのは、同業の農家である。タン社長はは30年以上続くドリアン農家の2代目。医師免許を取得して医学の道を歩んでいたが、家業を継いだ。

自らの経験をもとに、スマート農業の導入コンサルタントとして、同業者や新規参入希望者に技術指導も行っている。トップフルーツが最初の5年間、土地の開墾から果樹の植え付け、生産工程の最適化、収穫前後の管理までを指導。その対価として収穫量の35%を受け取り、輸出向けに回す。

経験に頼る伝統的な生産方法と異なり、データ化したスマート農業は再現性が高い。また、肉体労働を敬遠しがちな若年層の就農も期待できる。トップフルーツでは、これらパートナーとともに、今後3年間で約1,620ヘクタールの土地に作付けを行う計画だと話している。

次は、生産管理 にブロックチェーンの導入だろう。

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