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超入門MBSE①モデルベースとは? 川合雅巳

“モデルベース”と聞いて、何を連想されるでしょうか?

1Dシミュレーションや3Dシミュレーションを行うためのシミュレーションに使用するモデルを連想される方もいらっしゃるかもしれません。

その前に、システムズエンジニアリングについて、簡単に触れておきます。
システムズエンジニアリングについて
INCOSE(The International Council on Systems Engineering)

「システムを成功させるための複数の専門分野にまたがるアプローチおよび手段」
と定義しています。
また、
「開発ステージの初期の段階で顧客のニーズを明確化し、機能要求を定義し、関連する問題をすべて考慮しながら設計のための統合システムの妥当性確認を進める」
ことを強調しています。

「顧客のニーズ」「機能要求」「関連する問題」が挙がっています。従来の開発では、これらを自然言語で記述し、ドキュメントで管理していました。

しかし、ドキュメントによる管理には問題がありました(今もあります)。

① ドキュメントベース管理の問題点

顧客のニーズや機能要求をドキュメントで管理すると

1) 人によって書き方や解釈の仕方が異なることがあります。
2) また、開発情報はさまざまな領域・フェーズにまたがっています。メカ・ソフト・エレキの領域、モジュールごとの領域、開発フェーズごとの情報が複雑に絡んでいるにもかかわらず、ドキュメントによる管理だと、1ページずつ見ていく必要があり、全体像がつかみにくいという点も挙げられます。
3) さらに、開発の途中で、設計変更が発生した場合、1つの変更に対して、数百ページにもおよぶドキュメント情報を修正しなければならず、変更漏れや間違いが発生しやすいという問題もあります。

② モデルベース管理のメリット

これに対して、
1) モデルベース管理では、顧客のニーズや機能要求を図的に表現するので、人による書き方や解釈の仕方の違いがなくなります。
2) また、システムを階層的に図示するため、全体と部分の関係が掴みやすくなります。
3) さらに、開発途中、設計変更が発生した場合も、あるモデルに変更をかければ、関連個所の変更が自動的に行われ、変更漏れや間違いが発生しやすくなります。

最近では、モデルから自動的にドキュメントを生成したり、ソースコードを生成するツールを開発しているベンダーもあります。

(超入門MBSE①了)

「デジタルで“もの”づくりから“こと”づくりへ」をスローガンにエンジニアリングチェーン改革支援を行っております。 https://www.monodukuri.com/specialists/profile/219