インターフェースを設計する際に気を付けたいこと (融けるデザインを読んで)

「融けるデザイン」を読んで、自分なりに解釈した内容をまとめてみたいと思います。スマホアプリやWebアプリとかの文脈で書いていることが多いです。

1. インターフェースの役割
2. よりよいインターフェースとは
3. よりよいインターフェースにするためには
4. これから新しいものをつくっていく際に考慮したいこと

1. インターフェースの役割

まずはインターフェースの役割としては、「ユーザと道具やサービスとを繋げる」という役割が大きいのかなと思いました。

1-1. 新しい価値とユーザをつなぐ

世の中にはどんどん新しいアプリケーションやサービスが生まれており、その中には、これまでになかった全く新しい価値が生まれたりしている。twitterとか。そんな新しい価値とユーザをつなぎとめる役割として、インターフェースが重要なんだと思う。

新しい価値を提供するサービスでインターフェースが優れていない場合、サービスが提供する価値を十分に体験できず、ユーザが離れていってしまう。逆に優れたインターフェースであれば、サービスが提供する価値をユーザが体験することができ、ユーザの獲得に繋がるのだと思う。
このような意味合いで、「新しい価値とユーザをつなぐ」というのがまずあげられるかなと思いました。

1-2. 人の能力を拡張するために道具と人をつなぐ

道具は本来、人の能力を拡張するためにある。
包丁は切るという行為を拡張するし、ランニングシューズは走るという行為を拡張する。
しかし、十分に拡張能力を発揮するためにはインターフェースが優れていないといけない。
持ち手が掴みにくい包丁は切るという行為を存分に行えなくさせるし、締め付けがゆるいランニングシューズだととても走りづらくなってしまう。

そこで、インターフェースが道具と人とをうまくつなぐことで、人の能力を拡張するということができるのだと思う。

2. よりよいインターフェースとは

よりよいインターフェースの条件として、道具の透明性というのが大事になってくると書かれていた。
道具が透明であるということは、道具が身体の一部となり、無意識のうちに操作できる状態にあるということ。

私たちは普段、手を動かすときにあまり意識していない。意識せずとも思いのまま動かせるから。つまり、手は透明性の高い道具(身体の一部だから当たり前)。
しかし、慣れていない道具を使うときは、道具の操作に集中しないといけない。道具に集中しながら目的のタスクをこなす必要がある。
そうなると、本来達成したいタスクに集中できず、道具の操作ばっかりに気を取られてしまう。そのような状態はすごくストレスがたまるし、本来の目的を達成できなくなることもある。

例えば、車の免許をとるとき、最初は車の操作にばかり気を取られて、本来達成したい「移動する」という行為がおろそかになってしまう。
しかし、練習して慣れくると、車の運転はほぼ無意識で行うことができ、「移動する」という行為に集中することができるの。

例にあげた車の運転のように、練習すればほとんどの道具は思いのまま操作できると思うが、身近にあるちょっとしたものまで練習しないと使えなくなるというのは無理がある。そんなんじゃ生活の中にストレスが多すぎる。
なので基本的には、練習せずとも人が無意識に扱うことができるように、道具のインターフェースを設計しないといけない。

つまり、よりよいインターフェースとは、透明性が高いということだと思う。

3. よりよいインターフェースにするためには

では、よりよいインターフェースにするためにはどうすればよいのか?
それは、「自己帰属感を高める。自己帰属感の高いインターフェースを作るためには、人間を理解する。」ということになるのだと思った。

自己帰属感を高める

透明性の高い道具は自己帰属感がある。自己帰属感がないと、操作時に引っ掛かりを感じ、意識がそこに向いてしまい透明性は失われる。例えば、漫画アプリでページを送る際に、指の動きとページの動きが連動してなかったら、違和感を感じてしまう。この違和感、引っ掛かりをなくすことが透明性を保つのに大事なんだと思う。

そもそも自己帰属感は、特に自分の身体を動かした時に感じることができる。
じゃあ何故、手を動かした時に自分が自己帰属感がある(手を動かしたとわかる)のかを考えてみると、動かした時にその結果をリアルタイムで知覚することができ、知覚した結果、イメージしていた行為と同じ行為が行われているからだと思う。

ユーザーインターフェスで自己帰属感を高める時にも、同等のことを実施できれば、より透明性の高い道具になれるのではないか。
つまり、ユーザーインターフェースで自己帰属感を高めるには下記の2つがポイントになると思う。

1. 操作に対してリアルタイムにフィードバックを返し、常に何が起きているかを知覚させる。(例:読み込み時にはローディングを表示するとか、スマホアプリでジャスチャーした時に画面の動きと指の動きを連動させるとか)

2. ユーザのメンタルモデルとシステムの挙動の差分をなくし、ユーザが行為によって得られると思っている結果と、実際に起こった結果とをリンクさせる。

人間を理解する

じゃあ、常に何が起きているかを知覚させたり、メンタルモデルを合わせるにはどうすればいいのかというと、人間を理解することが必要になってくる。認知心理学や文化人類学といった分野の知識。

人間を理解せずにインターフェースを設計してしまうと、規格違いが起きて、道具(サービス)と人とをつなぐことができない。

だから、まずは自分たちの道具やサービスとつなげたい対象のことを理解することで、よりよいインターフェースを設計することに繋がるのではないか。

4. これから新しいものをつくっていく際に考慮したいこと。

最後に、上記には書いていないが、今後ものづくりしていく上で考慮したいなと思ったことを書いていく。

情報を道具化する

「ググるは易し、行うも易し」を目指す。情報を得るだけのサービスになっていないか気をつける。
情報を得ることは容易だが、実際に使うことは難しい。
本書に書いていたのは、料理のレシピをインターネットを通して知ることは簡単だが、そのレシピ通り作ることが難しいとい書いていた。

これを読んで考えた案としては、電車の乗り換えがあるのかなと思う。
私は沖縄出身なので、関東に来た時には電車にすごく戸惑った。電車の乗り換えアプリで、乗り換え情報はわかるのだが、本当にここのホームであってるのか、乗った電車があっているのか、乗り過ごさないか、を心配することが多かった。実際に間違って乗って大惨事になりかけたこともある。
なので、乗り換え情報を知れるだけでなく、乗る電車が到着したら通知して知らせしてくれたり、降りる駅が近くなったら通知して知らせしてくれると、まさに「ググるは易し、行うも易し」になるなと思った。

サービスを環境に溶け込ませる

人間は常に活動している動物であり、その活動している間も情報を得たいと思っている。歩きながらtwitter見たり、ご飯作りながらNetflix見たり。
なので、「片手間で使えること」、「いつでも中断できること」といったことが大事になってきそう。
あとは、「ユーザの時間をどう使うのか、どう奪うのか」。

本書に乗っていた面白い事例としては、レンジでチンする時に、温める時間分の動画をレンジのドアで流す、というのがあった。
これはまさに環境に溶け込んでいて、ユーザの時間をうまく使っている事例だなと思った。

一つのタッチポイントに縛られない

今は、 いろんなデジタルデバイスがあるので、一つのサービスに対してタッチポイントが多い。
なので、つくるサービスの特性を考え、どういうタッチポイントでどういうことをできるようにしたらいいのかを考えると、より体験の価値を高められるインターフェースの設計ができるのかなと思った。

例えば、日記アプリを作ろうと思った際に、スマホアプリではいつでもどこでも気軽にアクセスできる利点を生かし、日記をつけることに集中させる。振り返りや過去の記録を遡るような、少し複雑な操作はノートPC上からも行えるようにしておく、とか。
一つのタッチポイントでなんでもできるようにすると、複雑になって使う側も作る側もしんどいと思う。

つまりいいたいことは、一つのタッチポイントに縛られないで、いろんなタッチポイントを意識したインターフェース設計をすればいいんじゃないかってことですかね。
まずデジタルサービスが存在して、そのデジタルサービスの接点としてスマホがあったり、PCがあったり、タブレットがあったりみたいな。

まとめ

よりよいインターフェースを作るためには、まず人間を理解し、いかに自己帰属感を感じさせるかを学ぶ。
そうすることで透明性の高い道具を設計することができ、ユーザと道具(サービス)をつなぐことができるんじゃないか。

「融けるデザイン」では、インターフェースを設計していく上で、どういうことを気にして行えばいいのかを学ぶことができた。
次は「誰のためのデザイン」を元に、認知心理学周りをまとめられたらいいなと思う。

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