見出し画像

データを見れば今年のレノファが分かる! データアナリストへの道#31

勝手にレノファ山口FCを応援しているハラマルです。

業務に忙殺され、約1ヵ月ぶりの投稿になってしまいましたが、この間、筆は止まってもレノファ観戦だけは続けていまして、群馬戦では晴天の中4-0で快勝!(ぺこぱさん来場!)、アウェイ鹿児島戦では1-0の激闘の末、勝利!、そして5/6の山形戦では、試合直前の雨(一時、嵐)も試合中はやんで、2-0で快勝!と、すばらしい観戦体験をさせていただきました

私のビール消費量が増えてハラマル化が進んだのはもちろんのこと、周囲の方からも、「今年のレノファ、すごいね」、「もしかしてJ1昇格?」などの声もかけてもらうようになりました。
個人的には、まだ昇格云々を言うのは早過ぎると思っていますが、ただ、そういう目で興味を持っていただくことで、スタジアムに足を運んでくれる人が多くなるかも、という点では、そういう情報発信の仕方もアリかなと思っています。

遂には、サッカー観戦をしない実家の母からも、「レノファ、何が起きとるほ?」というLINEが来ました。
う~ん、母に何て説明したら分かるかなぁ?あんまりサッカーの内容を詳しく説明しても分からんだろうし…。
そんなときは、データで示すのが一番ですよね!

ということで、今回は(今回も?)、レノファ山口FCをテーマにデータ分析(可視化)をしてみたいと思います!


ダッシュボードのおさらい

さて、まずは、レノファのデータの可視化といえば、以前、こちらの記事で、ダッシュボードを作ってみました。

この中で、ダッシュボードを作るメリットとして以下の3点を挙げました。
①正確な現状把握
②うまくいっていない課題の早期発見と対応
③関係者で情報共有しながら意思決定できる

実は、このダッシュボードを何回か時点修正してみたのですが、その際、違うメリットにも気づきました。

④目標に立ち返ることができる

シーズン中、いろいろな試合があります。
良い試合の時もありますが、一方で、点が取れなかった、負けて順位が下がったという時も当然あります。
その際、その部分を切り取って否定的なことを言い出す人が必ずいます。わざわざ、多くの人の目に留まるように、レノファ公式のXに書き込む人もいます。(どこから湧き出てくるんや…?)

そりゃ、全ての試合で点が取れまくって、順位も上位で居続けられたら理想的ですよ。でも、そんなこと現実的に難しいじゃないですか。
あそこで点が取れたら、あそこで失点が防げたら、そんなことみんな思うけど、そう簡単にいかないのがスポーツじゃないですか!?
そういう時に、「いやいや、今シーズン掲げた目標は何だったっけ?そうそう、コレですよ。目の前の試合のことも良いけど、この目標に対して、うまくいっているかどうかで評価しましょうよ。」と、目標に立ち返ることができるというのは、非常に重要だと気付きました。

⑤周囲を巻き込むことができる

これは、前回の記事にサラッとは書いていたことですが、実体験して、メリットとしてきちんと認識しました。
ダッシュボードを時点修正して、Xでつぶやいてみたところ、とても好意的な反響をいただきました。
データを分かりやすく可視化することができれば、周りの方を巻き込んでいける力になるんだな~と、つくづく思いました。

ダッシュボードのアップデート

さて、そんなダッシュボードですが、しかしながら、これだけでは味気ないというか、実家の母に説明しようにも材料不足な気がします。
また、思いついてからExcelで急ごしらえで作ったのもあって、ダサいなと思っていました。(ダサさは私のセンスの問題です。Excelのせいではありません。)

というわけで、Jリーグ公式サイトに掲載されているデータを加え、Tableauで可視化してみることにします。

入場者数データはこちらから引用させてもらいました。

シュート数などのデータはこちらから引用させてもらいました。

データは5/6の試合(第14節)後のものです。ただ、サイトを見ながら手入力したので、もし数字間違いがあったら私のせいです。すみません。

①守備が素晴らしく良くなっていますね

さて、今年のレノファ山口FCの躍進の原動力は、何といっても守備の改善でしょう。まず、以前作成したダッシュボードと同じものを作ってみました。

1試合平均失点数

1試合平均失点は、昨年の1.6から、目標は1.18(年間45失点まで)という高い目標を掲げましたが、なんと、それよりも大幅に改善し、今年は0.79まで下がっています。昨年より半減しているということですね!

これがどれくらいすごいことかと言うと、他のチームと比べてみました。

1試合平均失点 他チームとの比較

なんと、失点の少なさは、J2リーグ全20チーム中、3番目となっています!すごくないですか!?
昨年のままだった場合は、今シーズンもかなり下位の方になっていた可能性がありますね。いやぁ、素晴らしい変化です。

が、これを実家の母に見せたときに、もしかしたら、「それって、キーパーがすごいってこと?」と言われる可能性もあります
確かに、失点が少ないという結果だけでは、ムチャクチャすごいキーパーがスーパーセーブを繰り返している可能性もあります。実際、そういう場面も何度か目にしています。

ということで、失点する一歩手前の状況はどうなのか調べてみました。
失点する一歩手前というと、シュートを打たれた状況ですね。

ここで少し話が逸れてしまいますが、実は、「シュート数」と「得点数」は、必ずしも関係性が強くありません。シュートの中でも、ゴールの枠の中に飛んだ「枠内シュート数」の方が「得点数」との関係性が強いです。

得点数(赤棒)と、シュート数(灰色折れ線)・枠内シュート数(黄色折れ線)との関係

得点数を赤棒で順に並べてみましたが、灰色折れ線のシュート数とは連動していませんね。黄色折れ線の枠内シュート数の方が、得点数と同じように右肩下がりに近い形になっています。
分かりやすいようにすごく単純化して言うと、「シュート数」には、目の前に相手がいたり、攻め手がなくて無理やり打ったものも多く含まれていますが、「枠内シュート数」は、ちゃんとゴールが狙える状況で打ったシュートが多いというようなイメージでしょうか。(もちろん、全部がこうじゃありません。)

ということで、一旦話が逸れてしまいましたが、失点数のグラフに、失点の直前の状態である、枠内シュートを打たれた数(「被枠内シュート数」)を赤丸で加えてみましょう。

1試合平均の「失点」と「被枠内シュート数」

なんと、レノファ山口FCは全20チーム中、一番少ない2.5となっているではありませんか!
つまり、もちろんキーパーのスーパーセーブもあって失点が少なくなっている面もあると思いますが、その直前の状態である枠内にシュートを打たれた数が一番少ないので、キーパー一人が頑張っているわけではなく、チーム全体でディフェンスをしっかりできているということではないでしょうか!

この数字、冷静に考えると、1試合に枠内、つまりゴールを決められる可能性があるシュートを2.5本しか打たれていないということは、その2.5本を防いでしまえば失点しないということですね…。すさまじい。

ということで、守備が素晴らしく良くなっていますね!!!

②攻撃も活性化しているじゃないですか

守備のところにフォーカスされていますが、実は、攻撃面も昨年より改善されています。嘘じゃないですよ、データで見てみましょう。

1試合平均得点

ね。得点の方は明確な目標が公表されていませんが、昨年の0.88から1.286にまで上がっており、リーグの中でも上位に位置しているのが分かります。
今年は、試合を観に行けば必ず1点は取るという数字になっています。これも頼もしいですね。

さらに、こちらも守備と同じように、得点の直前の状態、つまり「枠内シュート数」を赤丸で重ねてみましょう。

1試合平均の「得点」と「枠内シュート数」

1試合平均の枠内シュート数は4.5で、リーグの中でも上位から5番目です。
つまり、偶然で点が取れているわけではなく、その直前の枠内シュートまでしっかりたどり着いた上での得点ということでしょうか。
無得点で終わった試合には、「枠内にシュートを打て」とか言い出す方もいますが、いやいや、打っていますよ。データでちゃんと確認しましょう。

ということで、攻撃が活性化しているじゃないですか!!!

③何が起きとるほ?

さて、ここまでくると、うちの母親と同じように「何が起きとるほ?」と気になりますね。
では、試しに、私が勝手に整理した「局面別」にデータを見てみましょう。

③ー1 攻撃局面の変化

まずは、攻撃局面です。
攻撃局面って何?と考えてみると、一般的には、パスをつないで、時にはドリブルをして、クロス(センタリング)やスルーパスを出して、シュートして、ゴール!みたいなイメージを持たれるのではないでしょうか。
Jリーグ公式サイトにも、パス数、ドリブル数、クロス数、スルーパス数といったデータが掲載されています。そのほか、もうちょっとゴールに直結するような「チャンスクリエイト数」や「ゴール期待値」といったものもありますが、この辺りは私も理解が追い付いていませんし、うちの母親にも説明できそうにありませんので、今回は置いておきましょう。
今回は、この中でレノファが特徴的な「パス数」と「クロス数」を取り扱ってみます。

1試合平均の「パス数」と「クロス数」

昨年のレノファ(緑)はパス数がかなり多く、クロス数は少ない方に位置していました。つまり、パスを確実につないでいってディフェンスを崩してゴールを目指していたことが窺えます。
今年は、パス数は極端に減ってリーグの中でも下から3番目、クロス数が増えてリーグ上から3番目に変化しています。
このことから、少ないパス数でサイドを攻略して、クロスを上げて得点を狙うスタイルに変化していることが窺えます。

それにしても、集団の中で、右下から左上へと思い切ったシフトですね。

③ー2 守備局面の変化

次に守備局面です。
守備ってどんなことしているっけ?というのは、一般的にはイメージしづらいかもしれませんね。相手のパスをカット(インターセプト)したり、タックルしてボールを奪ったり、パスやシュートをブロックする、遠くにクリアするといった辺りがイメージしやすいでしょうか?

1試合平均の「タックル数」と「クリア数」

試しにタックル数とクリア数をグラフにしてみました。
昨年のレノファは真ん中下方辺りに位置していて、それと比べたらクリア数が増えたかなというのは分かりますが、そんなに大きな動きではないですね。
あれ、守備が改善されたっていう割に、ここのデータってあまり昨年と変わっていない?と思われたのではないでしょうか。

…はい、そうなんですよ!というか、私もこの可視化で気づきましたんですけど。

③ー3 競り合い局面の変化

実は、大きく変わっているのは、こちらの「競り合い局面」とでも言ったらいいでしょうか、どっちのボールになるか分からないところの、ボールの奪い合い部分なんです。

1試合平均の「こぼれ球奪取数」と「空中戦勝利数」

この「こぼれ球奪取数」と「空中戦勝利数」が劇的に変化しているんです。
昨年のレノファ(緑)は、どちらもリーグの中でも下位に位置していますが、今年は、「こぼれ球奪取数」はリーグトップ、「空中戦勝利数」はリーグ2位に位置しています。

ここの競り合い局面、ボールの奪い合いのところが強くなったことが、守備も攻撃も素晴らしく良くなっている要因なのではないかと分析できますね。
そうなんです、試合を観に行けば、そこの勢い、力強さ、粘り強さを実感できると思います。

④そして、今の順位

そして、この結果、勝ち点はこのようになっています。

勝ち点(棒)と1試合平均勝ち点(黄色棒)

昨年のレノファの勝ち点(緑棒)に対し、今年のレノファ(オレンジ棒)は既に21を獲得しているので、次の試合で引き分け以上であれば、早くも昨シーズンの半分に達することになります。
シーズン前に掲げた目標(青棒)まで積み上げていく必要がありますが、1試合平均(黄色棒)は目標を上回っており、このままのペースでいけば目標は達成できる見込みです。

試合ごとにいろいろ言う方はいますが、データ的には、こんなにうまくいっていいのか?!というぐらいに良い状況になっているのではないでしょうか。

⑤観客数はみんなで頑張ろう!

さてさて、全てうまくいっているのですが、一つだけ、目標値まで至っていないものがあります。

ホームの1試合平均観客数と1万人超試合数(黄色棒)

それはホーム戦の観客数です。
今年掲げた1試合平均5,500人に対して、昨年よりは上回っていますが、4,785人にとどまっています。また、1万人超の試合数もまだ達成できていません。
これはホントに、ホーム戦は1試合を除いて全て雨か雪という天候のせいではあります。
が、先日の山形戦では雨の中、7,694人の方が観戦されました。観戦された方は、多分、全員が「面白かった!また観に来たい!」と思われたのではないでしょうか?そういう方が増えることによって、次の試合からの観客数増加が見込めますし、絶対に達成したい目標です。

チームが頑張っているので、サポーターも、サポーターでない方も、スタジアムに足を運んでみるという行動で応えませんか?

まとめ

今回、ダッシュボードから少し踏み込んでデータ分析することで、現状を分かりやすく理解する試みをしてみました。
これで、うちの母親も、少しは理解してくれるかな~?と思いますが、いかがだったでしょうか?

敢えて身近なテーマを扱うことで、データ可視化について興味を持っていただこうという取組ですので、面白かった!という方は、是非、御自身が関与されている業務やプロジェクトなどでのデータ活用について、やまぐちDX推進拠点「Y-BASE」に御相談いただければと思います。
無料で、データサイエンティストが、相談対応やツールを活用した支援を実施しています!

というのが、表面上の目的ですが(笑)、裏の目的としては、「今年のレノファ、楽しみや!」と一人でも多くの方が思っていただけたら幸いです。

次の「1万人プロジェクト」は、8月3日(土)19時~の大分トリニータ戦となっていますが、今、興味を持っていただいた方や、雨の山形戦を観戦して興奮冷めやらぬ7,694人は、そこまで待ちきれませんよね!?
私のおススメは、6月2日(日)に、権田選手や乾選手がいる清水エスパルスがみらスタにやってきます。昨年は、大雨・雷・雹・大敗と四重苦を味わってしまいましたが、この悔しさを晴らすチャンスです。データを見ていただいたとおり、今年はきっと良い勝負になると思います。
データにあるとおり、ボールの競り合い、奪い合いで迫力あるゲームを目の当たりにできると思います!

クラブが設定する1万人プロジェクトとは別に、サポーターが勝手に作る1万人プロジェクトがあっても良いですよね?
皆さん、このデータを使っていただき、たくさんお声がけいただいて1万人を達成して、スタジアムで感動を分かち合いませんか?