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作家、編集者、ライター。珈琲と北海道、古楽が好き。いま、エシカル、SDGs、起業に注目したwebメディア立ち上げを企画中!

最近の記事

僕の好きな俳句たち(1)

山本健吉『俳句鑑賞歳時記』より、いくつか紹介したい。春の句から。 雪とけて村いっぱいの子ども哉 小林一茶こういう無邪気な句はとても好きだ。すらりと読めてわかりよく、それでいて一文字もゆるがせにしない。 外(と)にも出よ触るるばかりに春の月 中村汀女これも直接的な句。「外に出てみなさいよ。触れそうなほどの春の月です」という、冒頭の強い呼びかけがやわらかい「春の月」に終止してゆく様は見事。 ふらここの会釈こぼるるや高みより 炭太祗「ふらここ」は「ブランコ」のこと。唐代の女性

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    • リルケの詩とリルケというひと

      リルケ(1875ー1926)の作風は、一見掴みづらいな、と思っていた。あるとき、ゆっくり読むことができて、少し明かりが差したと思う。(『リルケ詩集』富士川英郎訳、新潮文庫、1963年) 引用を多くしながら、リルケの作風を眺め、作家論を入れてまとめよう。  私が親しくし、兄弟のようにしている  これらすべての事物(もの)のなかに私はあなたを見出す  種子としてあなたは小さいもののなかで日に照らされ  大きなもののなかでは大きく身を与えていられる  『時禱集』(1899ー19

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      • はてしない物語のふたつの読み方——ファンタージエンの友達

        はてしない物語には、ふたつの読み方があると思う。焦点は後半だ。ここは文学的で、思想的になっているが、奥底には平明なものがあると思う。それをどう読むか。『はてしない物語』はミヒャエル・エンデの作品で、児童文学として日本でも親しまれている。物語は、「でぶでエックス脚の」いじめられっ子、バスチアンが古本屋に入るところから始まる。彼は、ある本に引きつけられて、店主がいない間にその本を盗み出してしまう。お母さんが死んでからというもの、お父さんは虚ろになってしまった、学校では教師からも仲

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        • ポール・ギャリコ『雪のひとひら』を読む。

          ポール・ギャリコの『雪のひとひら』は、空から落ちた雪のかけらの生涯を扱った物語。それは長めの童話のようです。雪のひとひらは、はるか上空で生まれ、地上へと降りてゆきました。  おかしなこと、と雪のひとひらは思いました。どちらをむいても、わたしとおなじ、生まれたばかりの雪の兄弟姉妹がこんなに大勢いるのに、それでいてこんなにさびしくてたまらないなんて。 雪のひとひらは思弁的な——自分を作った造物主への問いかけをときどき頭に浮かべながら、「旅」をします。春になれば解けて水となり、

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        僕の好きな俳句たち(1)

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        • ポール・ギャリコ『雪のひとひら』を読む。

          珈琲を愛飲する作家です。よろしくお願いします。

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