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女性誌にマーケティングを学ぶ!ビジネステーマ別「ママ雑誌」5選

はじめに


マーケティング活動に雑誌を活かす!」って、聞こえはいいけど、本当に成功している例を見たことが無い…記事のタイトルからそんなことを思ったかもしれません。

マーケティング・広報を仕事にしている方なら、「職場で雑誌を見ている」という人もいることでしょう。会社で雑誌を定期購読していれば、習慣づけるチャンスです。

でも、気をつけたいのが「使い方」です。
たとえば、次のような「活用法」に心当たりはありませんか?

30~40代の大人女性向けのサービスを展開している同世代の雑誌では『VERY』が一番売れているらしい。
皆で、できるだけ『VERY』を読むようにしましょう!

やってますか?(笑)

もちろん雑誌でトレンドに触れること自体は大切な努力なのですが、この接し方だと、残念ながらあまりマーケティングに活かせる学びは得られません。

その証拠に、今まで雑誌を見てきて何か企画に役だったことはありますか?おそらく、無い、もしくは、1~2回程度ならある、という頻度だと思います。

役に立つかどうかよくわからない中で、教養として読み続けるにはかなりの忍耐を必要とします。次第に読まなくなるので、あまりおすすめできません。

ここで問題なのは、ある雑誌を読む理由が「発行部数・知名度」になっていることです。なぜ自分たちはこの雑誌を読むのか?という問いが無いのです。

雑誌は「ターゲットメディア」です。お客様となる人たちの情報が集まる結晶体なので、予算が無い・時間が無い中で情報収集するにはもってこい。

特に発行点数が多いジャンルは比較参照がしやすく、雑誌の代表格である「女性ファッション誌」はリサーチ価値が高いセグメントになっています。

今回は一例として「ママ雑誌」のセグメントをフィーチャーして、「マーケティング視点で雑誌をいかに使いこなせるか!?」、見ていきましょう。

* * * * *

①ママのセグメンテーション→『VERY』2019年10月号

VERY』は30代~アラフォー世代のママ向け雑誌で、ふだん雑誌を読んでいなくても「知ってる!」という人が多いタイトルです。しかしながら細かく誌面の中を見ている人はそこまで多くないことでしょう。

ちょうどこの投稿を書いている時点での最新号:2019年10月号の巻頭特集『VERY読者5大キャラを徹底分析』は、一から特徴を理解するのに最適な内容になっています。以下で特集の冒頭を見てみましょう。

『VERY』2019年10月号
5大キャラ別 目指すは"去年の自分超え"ファッション!あなたは誰に共感する?いまどきVERY読者5大キャラを徹底分析

●Character1 オシャレも仕事も、取捨選択を極めた合理主義!
ミニマルモードさん 滝本眞規子(36歳)

●Character2 らくちん服が多めな産後の今、"可愛い"が必須!
甘寄せカジュアルさん 南原亜希(32歳)

●Character3 ひとり時間だって、女っぽさを忘れたくない
女っぷりコンサバさん 青林裕子(38歳)

●Character4 バタバタな毎日こそ、手早くアガるオシャレを
通勤ドラマチックさん 神山まり子(36歳)

●Character5 服もライフスタイルも最優先は”心地よさ“と“センス”
サスティナママ 浅見れいか(32歳)

実際の誌面での記事構成は、各キャラクタータイプのプロファイルデータ(自身の年齢・子どもの年齢・志向性)、ブランドマップ(HIGH-LOW、きれいめ-カジュアル)、お気に入りのアイテムスナップから成っています。

この巻頭特集は、いわば「読者ペルソナ」を雑誌のオモテに出した企画です。ですので、5タイプの読者イメージを見れば、30代ママの(おおよその)分類がわかってきます。

雑誌に出てくるモデルイメージ=ペルソナを見ていると、どんなクラスターが存在していて、どうアプローチするのがよいか、かなりヒントが得られます。ここまでは雑誌を見ていればなんとなくわかることかもしれません。

ここからが『VERY』の真骨頂です。
私がこの特集記事をお薦めしたい理由が2つあります。

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(1)ペルソナが「消費につながる情報」で構成されている

特集に登場している5タイプのキャラクターは、プロフィールから「消費につながる情報」が鮮明です。キャラクター2:甘寄せカジュアルさんの詳細プロフィールはこちらのようになっています。

●Character2
らくちん服が多めな産後の今、"可愛い"が必須!
甘寄せカジュアルさん 南原亜希(32歳)


0歳の男の子ママ。産後、カートも黒・旦那も黒・子供服も地味色で、気づけば「真っ黒ファミリー」と化していたことに気づき、せめて自分くらいはと、明るめの色の服を選ぶように。

最近買ってよかったもの:子どもにも自分にも使えるジョシュア・エリスの大判ストール。
ひとり時間の息抜き:食べ切る前に起きないことを祈りながら、子供がお昼寝中のこっそりハーゲンダッツ。

解説をします。甘寄せカジュアルさんは、「甘い・可愛い」が全体のキーワード。ファッションアイテムは甘めな型・カラーを選びます(誌面ではふんわりピンクのセーターを着ている)。また、食べるものも甘いものが好きで、子どものお昼寝中にアイスを食べちゃうかわいさを持っています。

ペルソナの志向性が消費の形になって表れていますね。この情報はセグメンテーションにあたり有意義なものになります。

いま良い例だけを見ているのでわかりづらいかもしれませんが、もしこのプロフィール情報が面白おかしいだけの内容で構成されていたら、マーケティングには使えません。
雑誌によっては誇張された読者ペルソナが登場することもあります。その時に皆さんは、「消費に結びつく情報を含んでいるか」で、参考にする・しないを判断しましょう。

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(2)雑誌の中で「複数の読者像」を提示している

宣伝会議から9月に発売された書籍『雑誌広告2.0』には、『VERY』の今尾朝子編集長のインタビュー記事が掲載されています。雑誌の方針を理解するのに役立つので、ここで紹介させてください。以下は書籍の中から近接する2箇所を引用したものです。

『VERY』の読者層は35歳ぐらいが多くて、そこを頂点に山型で分布しています。読者の子どもの年齢でいうと山が2つあって、子どもが0~3歳と、年長~小1が多い。ママも子どもも新しい社会に入ってライフスタイルが変わる頃ですね。
ちょうど『VERY』は、モデルさんの世代交代時期で、30歳そこそこの、これからVERY世代になる若いモデルさんに入ってもらっています。30代後半~40代前半と、29、30歳のマインドは全然違うので、意識して若い世代にも話を聞くようにしていますね。

インタビュー記事からは、読者のメインターゲットを30代~40代にしつつも、その中で自身の年齢、子どもの年齢/学齢によって「複数の読者像」をイメージしてモデルをキャスティングしていることがわかります。

実際に『VERY』を読み続けていると、近しい企画の時に、上の号ほど多くなくても、3人ほどの異なるタイプのペルソナが登場しています。他誌ではあまりここまでの人数になることはなく、1人~2人がメインです。

この投稿の「はじめに」の中で、「うちのサービスのペルソナ=VERY世代」という考え方が良くないと言及した理由、もうわかりますよね。そうです。VERY誌面に出てくるペルソナは読者層に裏打ちされた複数のクラスターから選出されており、<世代の中身>を読み解くのに最適な構成なのです。私たちがママのセグメンテーションに利用しない手はありません!

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②ママのエリアターゲティング→『Domani』2019年8・9月号~10・11月号

2冊目は『Domani』。『Domani』は、アラフォーのワーキングママを主な対象として、2019年のリニューアル以降「イケママ」をキーワードに、かっこよさとやんちゃ感のあるママイメージを打ち出しています。

『Domani』は「エリアターゲティング」目的で使います。

誌面リニューアルに伴い始まった連載記事「働く母の生態ファイル『23区の女』」は、各区在住のワーママとの座談会をベースに構成され、毎号入れ替わり各区住民の特性を言い得たりの観点で紹介しています。

連載は、2019年2・3月号以降~本記事執筆時の最新号の10・11月号まで、「千代田区・港区・江東区・世田谷区・渋谷区」と続いています。このうち、直近の2つの内容を見てみましょう。(※刊行ペースは隔月刊)

世田谷区の女(2019年8・9月号)
議題1:持ち家か賃貸か→「実家の近くに住む」。これがポイントです。
議題2:オフィスか在宅か→自宅やカフェでのリモートワーク派が増えてきました。
議題3:パン会かワイン会か→エンゲル係数は高めです。
世田谷区ワー/ママあるある→緑豊かな大きい公園がいっぱい、「オオゼキ」のバイヤーはすごい。
渋谷区の女(2019年10・11月号 )
議題1:アーバンかスローか→利便性と自然と。いいとこ取りしています。
議題2:区立か私立か→英語やITなど、区立小学校の取り組みは最先端です。
議題3:みこしかハロウィンか→どちらも本格的です。
渋谷区ワー/ママあるある→手土産もお礼も朝食もおいしいパン、坂が多いので電動自転車は欠かせません。

この連載のことを友人・知人に薦めると、私の周りでは共感の意見が多数出ます。各区に住んでいるか働いていないとなかなかピンとこないかもしれませんが、逆に言うと、「住んだり働いたりしていないと知り得ないリアルな生態」がよくわかります。

「23区の女」が優れているポイントは、「エリアに固有のトピック立て」ができていることです。エリアを構成する様々な構成要素の中から、各区を掘り下げるのに適切なトピックが設定されています。引用箇所を簡略化すると次のようなイメージです。

「世田谷区」編→食事情・家事情・働き方事情がメイン
「渋谷区」編→子どもの教育事情・地縁性事情がメイン

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マーケティングの中でも「エリアマーケティング」は難易度が高い業務のひとつです。商圏調査・地域戦略は、いわば事業活動の根本なのですが、地域ごとの特性を把握するのは殊の外難しいもの。

まして都内ともなると、有力な商圏である割に、「○○区(に住んでいる人)の特徴は何か?」と言われても、ぱっとは出てきません。(「港区」のように数字からもイメージからもわかりすいエリアはまれ)

もし私たちがゼロからグループインタビューをはじめて、23区各区の特徴を理解しようと思ったら大変です。時間も費用もかかるうえ、数をこなしたからといって、有効な情報を得られるとは限りません。

スタートアップやインキュベーションのステージでは、都内でテストマーケティングを行ったり、部分的にサービスインを試みたりするケースがよくあります。時間も予算も無い中で、どこからアタリを付けるべきか?、参考になるのがこの連載の情報です。

なお、連載記事のタイトルは「○○区」ですが、有名な町名や主要な駅エリアごとの解説も出てきます。市区町村単位では分析が薄くなるのではないかと懐疑的な方も、信用して読んでみて大丈夫です。

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③ママのファッションチェック→『STORY』2019年2月号

女性誌の花形といえば何と言ってもファッション誌。年代・年齢に応じて何層にも細かく分類されて、数々のタイトルが刊行されています。この傾向は個人で雑誌を楽しむ分には最適ながら、仕事で活かそうと思うと何をどう読めばいいか迷ってしまいます。

ここは割り切って、「ターゲット世代にはどんなファッションアイテムが求められているのか」を押さえるタイトルに絞って読むとよいでしょう。そしてマーケティングの観点からママ世代のファッションをチェックするには、断然『STORY』がおすすめです。

STORY』の特集記事は、「40代の自分に合った服を見直す」ことが全体の基調になっています。生活シーンとしては、仕事復帰・子育て初期を乗り切った段階で、心機一転に必要なファッションスタイルを提案しています。典型的な特集を見てみましょう。

2019年こそ、40代の手にデニムを取り戻す!宣言
・40代がデニムをはく方法1 テーラードジャケットと合わせてよそ行きとして
・40代がデニムをはく方法2 定番スキニーも流行ど真ん中なワンピースやマキシと合わせて脱・普通
(『STORY』2019年2月号)

ジャケット前提!「働く40代服」を見直し隊
・見直しStep1 やさしさと品を併せもつトレンドのボウタイブラウスがあればオシャレ心がよみがえる!
・見直しStep2 ドレスコードOKな色でお仕事服をもう一度楽しもう
(『STORY』2019年2月号)

この記事では、ファッションの定番アイテムである「デニム」と「ジャケット」を揃え直すことを提案しています。アイテムを細かくしたり増やしたりというよりも、「今の自分に合った定番服を見直す」という視点。この基調路線は引用したこの号だけでなく、別の号でもたびたび出てきています。

同世代の他誌と比べて、マーケティング視点では何が良いのか、もうわかりますね。そう、『STORY』は「世代・生活の変わり目」にフォーカスしているところが見どころです。上記のような基調路線により、他誌よりも同世代の「消費のポイント」が外から見えやすくなっているのです。

このパートでは直接的にはファッションアイテムの見方について言及していますが、『STORY』ならアパレル業態以外の人も、同じターゲット層に通じる消費のポイントを見つけることができます。別の号でその読み方を解説しましょう。

オシャレ苦手40代の細かい悩み、スッキリ解決できました!
悩み:「いい年だから、ピンクを着たらダメですよね?」
・ピンクよりのラベンダーでトレンドを意識
・悪目立ちしない淡ピンクで好感度アップ
(『STORY』2019年6月号)

この記事は、直接的にはファッションアイテム(誌面ではロングパンツ)を紹介する内容になっていますが、同時に、40代にとっての「ピンクを採り入れること自体の判断」「ピンクの中での望ましいグラデーション」がわかります。

女性にとってピンクは売れ筋カラーのひとつです。商品MDにおけるカラー展開をどうつくっていくのか、小売店なら雑貨を仕入れたり、メーカーならプロダクトデザインを行う参考になります。

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④ママの家事ポジショニング→『レタスクラブ』2019年4月号『Mart』2018年10月号


ママの家事に対するスタンスを知るには、『レタスクラブ』『Mart』がおすすめです。

家事・料理雑誌といえば、手の込んだ献立サイクルやあらゆる場所の掃除方法を紹介するイメージがありますが、このイメージを覆してヒットしているのが『レタスクラブ』です。

レタスクラブ』の中でも特に好評の企画が「手抜きごはん」です。ここでいう「手抜き」は、「適当に済ます」のとは違って、「抜ける手を抜く」技術を紹介してヒットに至っています。代表的な特集記事を見てみましょう。

『レタスクラブ』2019年4月号
具材も!手間も!最小限レシピ

Part1「具だくさんにしなければ」から解放します!
・レシピ2 餃子 万能ねぎはまさに"万能" 野菜をあれこれ刻まなくてOK!
・レシピ5 二宝菜 八宝菜の8つの具を2つに省略。ベースとなるものだけピックアップ

Part2「手間をかけねば」から解放します!
ゆでにんじんですぐでき副菜
・ごまポンがけ(切って盛ってかけるだけ!)
・たらこあえ(たらこが調味料代わり)

八宝菜→二宝菜に象徴されるように、あくまで手づくりを維持しつつ、少し手を緩めてもわびしくならないラインを伝えています。近年の料理記事の定番をリードしてきた、時短・レンチン・つくり置き・常備といったキーワードとはまた異なるブームになっています。

『レタスクラブ』のヒットは、料理雑誌全体にも大きな影響を与えています。実はいま類似する他誌を見ると同路線の企画をいくつも目にすることができるのですが、ヒット誌は発行部数をありがたがって見るよりも、中身の特性を押さえていくことがポイントです。

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一方で、食べるラー油、柔軟剤のダウニーなどのブームを巻き起こした『Mart』はどうでしょうか。
『Mart』読者は、モノを使って工夫したい、モノで気分を上げたい、という志向性を持っています。

『Mart』2018年10月号
元気な主婦が集まる地域で流行中!友達づくりに欠かせない!人気「雑貨&調理家電」の絶対盛り上がる!アレンジ法
・「ホームベーカリー」は今や"スイーツメーカー"です!
・「スロージューサー」は"ヘルシーカクテルメーカー"です

記事に出てくる雑貨&調理家電は、実用的な調理道具であり、インテリアであり、ご近所とのコミュニケーションツールでもある、といった趣きです。

日用品や家電品はマーケティング的には機能価値訴求の商品群ですが、『Mart』を見ていると、どういう文脈でモノに対する共感を得られるのか、参考になります。

各誌の家事に対するスタンスは様々ですし、その中でのトレンドもあります。雑誌の表紙を眺めているだけではわかりませんが、以前の記事と比べてみたり複数誌比べてみると、今のママの家事ポジショニングがわかってきます。

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⑤ママの家計マネジメント力→『サンキュ!』2019年7月号・9月号


女性誌の実用記事の定番企画に「貯蓄」があります。「貯まる」「貯める」コツを紹介する企画のフォーマット、よく見かけますよね。

しかし成功者のプロフィールをよく見ると、背景が実家暮らしだったり、若い時分から節約習慣があったり、副業・起業が成功していたり、どこか一般の人とは生活や性格のベースが違うことが少なくありません。

マネー企画は、定番のニーズがある割に個別性が高くて参考にしづらい分野でもあり、マーケティング視点で読み込もうとするとなおさら苦戦します。

そこでぜひ一度見て欲しいのが『サンキュ!』です。以下は2019年7月号・9月号の見出しを引用したものになります。

『サンキュ!』2019年7月号
年収200万円台~1000万円台 主婦193人の貯蓄と収入、大調査!!
年収300万円台、子ども3人。ボーナスなし それでも月5万円以上貯まる進化系やりくりをスクープ!

・「小さな暮らし」に整えていた!
・パターン化でムダづかいを防止していた
・家族旅行をプロジェクト化していた…など
『サンキュ!』2019年9月号
『サンキュ!』が7年間取材し続けたMAYUさんの1000万円貯めたブレないやりくりのすごさを紹介!子どもが増えても、家を買っても、とにかく月7万円以上貯めてる!
・欲しい物は徹底的にリサーチ。ゴーサインが出るまで待つ
・レジャー費は「ごほうび方式」。大きな楽しみが日々のやる気アップに!…など

『サンキュ!』は取材している読者のベースがおそろしくリアルです(!)
・子どもの数が多い
・突然の収入ダウン
・夫がいなくなる…など、貯蓄するには不利な条件が多め。

誌上で見ると少し大げさなようにも見えますが、「家計に困っている」家庭のリアリティが詰まっており、「給料右肩上がりではない」時代に起きるマネープランのリアルが描かれています。

誌面では取材した家庭のマネーデータを完全公開しており、収入と支出が詳細に記載されています。内訳はかなり細かく、児童手当(収入)から水道・光熱費(支出)まで載っています(笑)。消費サービスの提供者としてリアルな家計を眺めるなら『サンキュ!』がおすすめである理由、納得いただけたでしょうか。

マーケット全体の「平均」に合わせた展開を考えるなら、ママの家計マネジメント力を知ることが欠かせません。誌面のデータを見ていると、売上達成のための高額商品投入・売上達成のための緊急販促実施、といった施策は、付け焼き刃でしかないことがわかります。ママへのインタビューの下準備にも使えますね。

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まとめ

今回紹介した雑誌の活用法をまとめます。

<女性誌(ママ雑誌)をマーケティングに活かすポイント>
①ママのセグメンテーション→『VERY』
(消費につながる読者ペルソナ情報・同世代で複数の読者クラスター像)
②ママのエリアターゲティング→『Domani』
(エリアに固有のトピック立て・住んだり働いたりしている人の実像)
③ママのファッションチェック→『STORY』
(世代・生活の変わり目に必要なアイテムのセレクト=消費ポイント)
④ママの家事ポジショニング→『レタスクラブ』(手を抜きつつも手づくり)『Mart』(モノを使って気分を上げる)
⑤ママの家計マネジメント力→『サンキュ!』
(リアルすぎる現代家庭のマネーデータ)

見てきた通り、ひとつのターゲット属性を理解するには、有名な(あるいは人気の)一誌を見続けることはもちろん、複数誌組み合わせて情報を集めていく方法がキモになっています。

こうしたアプローチは、面倒といえば面倒ですし、趣味の範囲を超えるので、ここで「なんとなく雑誌を読んでいる人」と「マーケティング視点で雑誌を読んでいる人」の差がつきます。

今は雑誌を会社の図書購入費で「なんとなく」定期購読しているという場合も、「雑誌を活かすとこれだけマーケティングできる」ことをアピールできれば、自ずとマーケティング予算も充実してくる…はず(笑)、です!

もちろん雑誌だけですべてマーケティングしきるのは無理があるので、新規立ち上げやリニューアル時など、チャージをかける時の材料として採り入れはじめ、取り組んでいる施策全体の成果を大きくしていく形が理想的です。

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