ペルソナ01

キットカット「Sweet30CONFIDENTIAL」に学ぶ、生年月日・勤務地の設定を活かすペルソナ

皆さんが担当している商品・サービスには、代表的なお客様イメージである「ペルソナ」はありますか?

マーケティングの教科書にはよく、「まずはじめにペルソナを作成しましょう」と書いてあるものの、実際には「つくったけど使わない」「かけた労力の意義を感じない」ケースが多いものです。

無駄なペルソナづくりを避けるためには、お手本を見ることが一番です。ペルソナがあることの価値を実感できますし、作成にあたりどこがポイントになるのかを自然と理解することができます。

ということで、今回はキットカットのプロモーションに出てくるペルソナを分析していきます。いま「プロモーション」と書いた通り、背景設定としてではなく、オモテにも出てくるペルソナです。

商品ブランドのペルソナは通常、関係者理解用に作成されます。このペルソナだったらこういう商品を選ぶだろう、こういう場所に出かけるだろう、という社内理解用につくられることが一般的です。

一方、キットカット「Sweet30CONFIDENTIAL」では、プロモーション展開の中心にまるっと商品のペルソナが登場します。プロモーションページにもリーフレットにも、ターゲットのペルソナが!

少し極端な事例かもしれませんが、ここまでオモテに出てきていれば、冒頭のように「つくったけど使わない」「かけた労力の意義を感じない」ということは無くなります。

実際のペルソナを見てみましょう。

主人公はふたりの働く女性。平成元年生まれという共通点を持ち、それぞれ神楽坂・恵比寿で働いているという設定になっています。

木戸愛
誕生日:平成元年5月1日生まれ(現在29歳)
職業:神楽坂の出版社勤務
加藤愛
誕生日:平成元年5月1日生まれ(現在29歳)
職業:恵比寿の音楽配信サービス会社

=ふたりで「キットカット」(きど・かとう)
(実際にはもう少し細かいプロフィール設定が公開されています)

ポイントは、なんといってもペルソナの設定を使い倒しているところ。
2つの観点から解説しましょう。

①生年月日の設定

もともと、平成→令和の改元に合わせた企画の位置づけなので、30歳を迎えるまでを描くドラマをつくるにあたり、「5月1日生まれ」という生年月日設定が重要な背景情報になっています。

②勤務地の設定

プロモーション展開では、ふたりの勤務地がCM動画の撮影ロケ地になっていたり、エリアの飲食店でドリンク特典がもらえたり、リアルの企画展開と本当に連動した設定になっています。


もしあなたが、ペルソナの情報は"充実している"のに、なぜか使えない…という状況なら、無理に項目を増やさず、自社の展開で本当に必要な情報だけに絞ってみてください。

キットカットの例では、極論、生年月日と勤務地の設定だけでも、いま説明してきた通りの"充実した"プロモーション展開を成り立たせています。

ペルソナの情報設定で大事なことは、「基本項目数の充実(広さ)」ではなく、「必要な項目の充実(深さ)」です。キットカットの企画は、ペルソナの基本情報を活かして事業展開に結びつける好例です。ぜひプロモーションサイトを見てみてください。


いただいたサポートは執筆休憩時のお茶請けなどに大切に使わせていただきます★