notoと本_書き方編

「noteを書くこと」と「本を書くこと」の違い【書き方編】

noteと本、同じ書くメディアで記事/原稿の構成も似ていますが、書き方の作法はだいぶ異なります。出版を意識した時にnoteはどのように書いておくべきか、逆に、本を書いている著者がnoteをどう活用できるか、それぞれの書き方のポイントをまとめていきます。

このシリーズは、「noteを書くこと」と「本を書くこと」の違いについてまとめています。全体の目次はこちらからどうぞ★

①記事の長さ

note→好きな分だけ書ける

noteはブログと同じく好きな分だけ書くことができます。好きなことについて書いていると、文章もつい長くなってしまいますが、noteならあまり問題なし。noteユーザーは比較的長い文章を読み慣れているので、テーマが合っていれば長くても読んでもらえます。

記事を書くうえでとても便利なのが、記事作成画面の「文字カウンター」。自分がふだんどれくらいの文字量を書いているのかを把握していると、執筆力レベルがわかってきます。1記事1200字前後で書いておくと本の1項目に近いので目安として覚えておきましょう。

本→1記事/2P~4P想定

ビジネス書における原稿のページ単位は、少ない時で2ページ、ふつうの時で4ページあたりの構成が主流です。これは、さっと読み切れる(飽きない)分量であることと、本全体のページ印刷単位が16ページになっていることから、自ずとそうなっているようです。

つまり、できるだけこの構成に則ろうとすると、常に一定の分量で原稿を書いていく必要があります。原稿が長いと改行位置をツメまくることになったり、短いと加筆するか項目を無くすかの判断になったりするので、好きな分量で原稿を終えることができません。

②書き出し

note→内容紹介があると○

noteの書き出しでは、毎回、記事内容を紹介するリードを付けられるとベター。FacebookなどのSNSと同じで、noteも最初の数行で読む・読まないを判断されるため、書き出しを枕代わりの世話話で埋めてしまうと記事をクリックしてもらうことができません。

これは「マガジン」をやっていても同じこと。フォロワーは毎記事読んでくれるわけではないので、常に新規ユーザーを意識する必要があります。とすると、唐突に始まった感が出るのを避けるため、記事の位置づけがわかるように内容紹介が必要になります。

本→すぐ主論に入る

本では、最初に章立てする時に各単元の位置づけは決まっているので、(単元全体のイントロダクションで位置づけを解説したうえで)各項目ではいきなり主論に入って大丈夫です。2ページか4ページで主張を完結させるため、逆に枕話はほぼいらないくらい。

noteと本の違いで、私が一番適応が難しかったのは実はここです。本における「導入」は、「はじめに」と「第一章」でだいたい出来ているので、メインのノウハウ解説は結論のみを書いていくことができました。でも、noteでは毎回導入部が必要になります。

③引用・参照

note→SNSの投稿引用が盛ん

noteでは、自分のnoteやSNSの過去投稿を引用してひとつの記事を構成していく文化があります。引用した投稿は見やすくカード状のプレビューになるので、本文をあまり邪魔せず、読者が関心に応じてリンク先に飛べるような仕様になっています。

一般のブログでは画像が大きなアクセントになりますが、noteだとそれが投稿引用のイメージ。私的研究や事例研究のテーマが多いnoteでは便利な機能です。私もnoteを書いていて、画像を出せないような時に画をつくるのにとても重宝しています。

本→原則必要最小範囲

本における引用可否は厳密です。テーマによってはふつうに事象を掲載するだけで許諾が必要になることも。たいてい、分析する対象の中に肖像権や個人情報が絡んでいないか?という視点からのチェックになり、記事が成立しないこともあります。

ただ出版社によって方針はかなり異なるので、企画段階ですり合わせておくと安心です。私が教わって参考になったのは、「引用は主論を展開するにあたっての必要最小範囲で」という心がけです。この基準を常に自分で守れるよう努力しています。

④校正・修正

note→記事ごとの修正でOK

noteでは、文字の修正は後からもできますし、基本は記事単位での修正なので、大幅な修正というのはありません。何を当たり前のことを…と思うかもしれませんが、後述する通り、本の場合こうはいかないので、noteの方が書きやすいのは事実です。

出版を意識している人は、のちに記事が原稿になるので、あまり書き散らかさず、初期段階で体裁を揃えていると後々楽です。体裁とは、記事の位置づけ、構成、文体などを指します。マガジンの機能を使うと、うまく意識付けすることができます。

本→単元ごとの修正

本における誤字脱字は残り続けるので注意が必要です。校正作業は基本的に著者+編集者の仕事。テレビドラマの影響で出版社の校閲部門がチェックしてくれることを期待してしまいますが、ふつうのビジネス書では「校閲ガール」は出てこないです。

また、本を書くうえで一番手間がかかるのが、テーマや章立てといった構成を変えると、原稿の内容も影響を受けることです。たいていは企画段階で何度か書き直すのですが、企画に合わせて何度も文の構成を変えるのはけっこうな忍耐力が必要です。

⑤図表

note→自分でつくる必要アリ

noteでは図解がウリのnoteもあるくらいなので、図表(図解)があるとインパクトを出せます。図解は、本文のサマリ代わりになるだけでなく、「シェアされる時の画になる」ため、記事の拡散を狙うなら、大きな武器になります。

ただ、見栄えが「ふつうのパワポ」だとダサく映ります。周りの図解noteの完成度がけっこう高いので、それに負けない完成度の高さで勝負するか、もしくは、手書きイラストなど独自性の高さで勝負する、などの措置が必要です。

本→DTPでの仕上がり

本の図表はDTPとも呼ばれ、デザインは出版社側でやってくれることがほとんどです。ごくふつうのパワポ図がそれなりの画になって変換されてくるので感動します。ただ、デザインラフは自分で用意する必要があるので、場合によっては原稿よりも大変…

それとイラストについて。本を見ていて、「文章ばっかりでもっとイラストを入れればいいのに?」と思ったことはありませんか?実は本の制作費に占めるイラストの費用はけっこう高くつくため、あまり多用できません。この点、自分で書ける人は有利です!

まとめ

note→本の視点

「noteを書き続けていくと本のコンテンツが出来上がる」、というのは本当です。「マガジン(自分中でのくくり)」や「まとめタグ(note内でのくくり)」を持っておけば、本のパッケージに近い状態で準備ができるので、あとあと便利になります。

また、「書く習慣がライフサイクルの中に入っている」ことは、大きな強みです。執筆スタイル(どの時間にどの場所でどの工程を作業するか)が出来ていれば、単行本制作はそれを集中的に行うだけなので、すぐにアクティブなペースに入れます。

本→noteの視点

単行本を書く執筆力があれば、noteを書くのは作業的には難しくありません。また、本の企画(出版社の企画会議)時に相応のネタ出しを行うので、noteユーザーが困りがちな「ネタ不足」の状態に陥る心配もあまりないはずです。

ただ、長距離走の走りは短距離走の走りを兼ねる…わけではありません。noteでは、ウェブ特性・note特性に適した書き方が必要。しかもプロジェクトの基本単位は自分ひとり。noteに合わせた書き方を身につけていくことになります。


読んでいただき、ありがとうございました!
「noteを書くこと」と「本を書くこと」の違い。【テーマ編】【プロフィール編】もお楽しみに!目次エントリーはこちら。


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