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大人のERs情報室 テルノルド編

はじめまして、大学3年生のDiNAです。普段はよく机と本と文房具で遊んでいます。ジャグリング面では、信州大学のJuggling Cycloidに所属しており、橙黄のエイトリングと仲良くさせていただいています。また、本企画をご主催のまゆこさんも所属なさっているJuggloriousの名親でもあります。よろしくお願いします。

さて、今回はジャグリングアドベントカレンダー2019の12月18日分ということで、僕的エイトリングのベストテックの1つの“テルノルド”についての解説記事を書かせていただきました。一般ジャグラーさん向けの記事かつ練習方法は発生と基礎を理解して真面目に考えればわかるじゃろという思いから、チュートリアルというよりは1つの技の良さを語り尽くそうという趣旨で参ります。それでもよければゆっくりしていってね。

これがテルノルドです。前の離す方が半回転しかしないのがハーフテルノルド、後の回転数が揃っている方がフルテルノルドです。良い技でしょう?個人的良い技ポイントは沢山あるのでこれからオタク語りさせてもらうのですが、もしよろしければ、先を読む前にここで少し立ち止まって、この技にあなたがどんな良さを見出したかを言語化してみてください。

《正課》

さて、まずはとりあえずこの技の教科書的な説明をします。教科書的な説明といえば、発生/基礎/臨床/練習の4つの視点から技を説明すれば足りると思うので、それでいきます。なお、普段は僕はこの4項目に加えてどのような派生や発展等が見込めるかという「発展」という項目を加えて技の把握をしているのですが、テルノルドについては語りはじめると無駄に長くなるので省きます。

発生

 この動画は、テルノルドの素材となった技2つです。それは①(ノービートウィーブの謎の派生技で、片方を離して投げるときに回転をかけてその間にもう片方をアイソレーションするもの)と②のワンハンドノービート/ロングラインフープです。見ての通り、①はノービートを基底とした派生技であり、それを②のワンハンドノービートを基底にした片手で実行できるものに変換できないかというアプローチからテルノルドが生まれたとわかりますね。

基礎

白と橙、それぞれ片方しかないと思って動画を見てみてください。白は内側から、橙は外側からフチを握って操っています。1枚ずつ見ると、動画の通りかなりシンプルな構造の技だとわかります。2枚を片手で扱うために、①で離していた方がもう1枚と同じ手に移って外から握って操作されていると言えますね。

臨床

 実際の演技では、基本的にはワンハンドノービート/ロングラインフープに入ってから、それを基底として挟んだり続けたりしていきます。ロングラインフープを挟むことで少しの歪みは矯正できてしまうので、連続で投げ続けられた方が難しくて格好良い気がします。逆に、激しく歪んでしまったロングラインフープでは、片方を空中に飛ばすテルノルドを挟むことで、力技的にまっすぐに伸びた良いかたちに戻れたりもします。

 テルノルドは、現状僕の専用技であり、後述の通り無限の良さを積んでいる技なのですが、手から離れるエイトリングが律速段階となってしまい全体としてスピード感を出しにくいのが玉に傷です。したがって、演技内では、2枚パートの1番大事なところに置くことが多いですが、スピードを大切にしたいときは外すこともあります。ちょっと使いにくいけど主砲級ではあるかなという印象です。

練習

基礎のところの動画を見れば、1枚ごとの操作方法を把握してそれを組み合わせれば良いということはわかると思います。個人的には組み合わせるところで苦労すると思うので、そこのポイントだけ書いておきます。詳しく知りたい方は僕に連絡してくだされば対応します。

画像1

大事なことは、写真の通りに、内側から握る方を親指側に寄せて、外から握る方を人差し指側でキャッチ/リリースする感覚を掴むことです。ワンハンドノービートや内側から握るIsolationの練習の時点からこれを意識すると良いと思います。

《放課後》

さて、これで教科書的な説明は済んだので、あとは自由に良い技ポイントを列挙して語ります。ここからが本領です。


2枚の好対照

テルノルドにおいては、2つのエイトリングが性質のズレる要素を複数対持っており、それが好対照となっています。また、ハーフとフルのテルノルドで、それぞれ対が加わったり逆に共通点がついたりして楽しいです。

具体的には、手から離れない方については、内側から握られて(Hoopの細区分)常に手と接触していて(操作法)アイソレーションというエイトリングの円を生かす起動を描いており、手から離れる方については、外側から握られていて(Hoopの細区分)手から毎周期離れるように投げられて(操作法)端点に力を加えるトスによって線のかたちが生かされている(線状のものは端点に力を加えることで気持ちよく重さを感じながら回転を生かして投げることができる気がします)といった具合です。

加えて、ハーフにおいては、投げる方が半回転しかしないので、投げない方について回す時間が短くなるため速度が上がり、投げる方の緩と投げない方の急の対が出現します。この急を空気を切るように一瞬で処理する感覚がたまらないです。

また、フルにおいては、両方のエイトリングの回転数が揃うことによるシンクロ性と、一回転のトスが軌道の頂でアイソレーション的な挙動を示すことを生かした上下二箇所でのアイソレーションの同時実行という2つの共通した主張が加わります。良き。

Tossの偶像

僕は、テルノルド(とその派生)がエイトリングのトス技の中で一番好きです。それは、ただ投げるためだけに投げている技(ウィンドミルや2in1等)や、ただ通すためだけに投げている技(タイフーンやノービート等)とは違って、トスを古くからの操作法であるアイソレーションと組ませて良さを出力するためのパーツとして有効活用できていると感じるからです。以下の2つは、あまり好きではないトスの2枚の具体例です。


個人的には、これからのエイトリングのトスは、ただ投げることの凄さだけを押し付けたり、かたちを保つためだけに仕方なく投げるよりも、もっとテルノルドのように、素直なエイトリングの良さを引き出すための組み合わせの選択肢を広げるためのパーツとしての発展を遂げてほしいと思っています。

https://peing.net/kob_eightrings

感想や内容についての疑問批判等は、この質問箱に入れてくださると僕が確認できますので、よろしければどうぞ。最後までお読みくださりありがとうございました。

May the Eightrings Be With Us All !