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Retool で加速する dinii の全社データ活用事例

はじめに

こんにちは。dinii CTO の大友です。

最近 dinii では、Retool というローコードツールを活用しています。

Retool とは、crunchbase によると、2017年設立、現在シリーズ C で早くもユニコーンとなっている企業です。

2023年現在のタグラインは、”The fastest way to develop effective software.” とあります。
単純なローコードのビジュアライゼーションツールではなく、ソフトウェア開発を爆速にするための立ち位置を目指しているように見受けられます。
それに恥じない、ソフトウェアを素早く顧客に届けるための数多くの特徴がありまして、dinii でも非常にそのメリットを享受しています。

そのいくつかの dinii でのユースケースをご紹介できればと思います。

Retool のここがすごい (1): 多様なデータソースへの対応

BigQuery はもちろんですが、ほとんど思いつく限りの全てのクラウドデータソースに対応しています。
分かりやすいインターフェースで、直感的にデータ連携ができます。
開発も活発でして、特に dinii が AlloyDB に対応したすぐ直後に、既に AlloyDB の integration がサポートされていたのには驚きました。

Retool 公式より

Retool のここがすごい (2): JavaScript によるデータトランスフォーム

Retool では、BigQuery である程度まとまった集計データを持ってきた上で、複数のコンポーネント向けに JavaScript で transform 出来ます。

いくつかのデータ処理に有用なライブラリもサポートしています。

例えば Lodash も標準でサポートしているため、group by や簡単な統計値を、簡単に導出できます。
また、transformer とコンポーネントの反応もよく、プロダクトとしての体験が良いです。

Transformer 内に、外部変数を仕込むことができ、変数を変更するとリアクティブに transformer の再計算、及びその transformer に依存するコンポーネントの再描画が走ります。
これでインプットをグリグリいじりながらサクサク表示が変わるツールを量産出来ています。

Retool のここがすごい (3): 豊富なビジュアライゼーションコンポーネント

多くの汎用的なインプット、データ表示、テーブル表示など、思いつく限りの基本的なコンポーネントは全て網羅されており、UI を構築するにあたって、ほとんど必要なコンポーネントはデフォルトで揃っています。
また各コンポーネントのカスタマイズ性も高く、非常に細かい部分まで調整が可能です。

各コンポーネントのあらゆるプロパティに対して変数設定ができるため、すべてを動的に変更できてしまします。
特に table は、デフォルトでフィルター、ソート、 CSV Export もついており、強力なデータ出力ツールにもなっています。

実際の Retool 画面より

Retool のここがすごい (4): Plotly によるグラフ描画

Retool の Chart コンポーネントは、Plotly をベースに作られています。

通常は簡便な設定のみですが、JSON カスタマイズモードにすると、Plotly 上でサポートされているすべての表現に対応できます。

つまり、Plotly でサポートされているあらゆるデータ表示が出来ることになるため、グラフビジュアライゼーションの幅が非常に広いです。

以下は実際に社内ツールで利用しているグラフのサンプルになります。ヒートマップや散布図行列なども、非常に簡単に出力することができています。

弊社サービスをご利用いただいている店舗の時間帯別売上ヒートマップサンプル

サービス加盟店全店の、各種プロダクトメトリクスの相関分析(グラフが大きいので部分的になっています)

サービス加盟店全店のプロダクトメトリクスの相関分析
(グラフが大きいので部分的になっています)

Retool のここがすごい (5): Workflow

アプリケーション作成だけでなく、ワークフローの構築も優れています。
このように、ブロック単位で自由にワークフローが組め、各ブロックの要素も豊富です。

Retool 公式より

直感的なワークフロービルダー、App と同等のデータソースサポートなど、Zappier や Make といったサービスを代替しうる使い勝手に感じます。

あらゆるデータソースと接続でき、かつブロックベースで直感的にワークフローが組めます。さらに直近、Slack API も標準でサポートされたため、複雑なデータソースに対してもとても簡単に Slack 通知などの自動化実現ができます。

もちろん、途中のあらゆる処理に対して JavaScript (Workflow の場合は Python も可) での中間処理を実装できます。

dinii ではこちらの Workflow を使って、社内 CRM データと BigQuery のデータ同期を実現しており、これによって社内データがすべて一元管理できるようになっています。

dinii での活用事例

dinii では、すべてのデータを BigQuery に保存しているため、開発チームだけでなくビジネスチームにおいても、Retool をフル活用出来ています。

(1) 全ての顧客の分析データにアクセスできるツール

社内 CRM と、プロダクトデータの統合によって、各クライアントのビジネスステータスとプロダクト活用度を統一管理できています。
これにより、ビジネス観点まで一貫したプロダクトインサイトの発掘や、プロダクト利用率直結での Call to action やヘルスチェックの設計と、ビジネスチームの計画を常に同期出来ています。

実際の統合顧客データダッシュボードのサンプル

(2) 社内の仕入れ管理ツール

dinii では、ハードウェアやネットワーク機器の取り扱いもありまして、社内での仕入れ・在庫管理が重要視されています。
これまでスプレッドシートベースで管理しておりましたが、業務効率化とデータ統合のため、機材管理系のデータと社内 CRM を統合した管理プラットフォームが構築できています。

実際の在庫管理ツールのサンプル

(3) ワークフローのフル活用による自動化

dinii では、Retool であらゆるデータを統合できているため、様々な角度からの業務自動化が実現出来ています。

例えば、サービスインフラの構成変更のアラートから、社内 CRM で議事録更新があった場合の通知まで、その全てが Retool Workflow で実現できます。

これまでは Zapier 等をメインで利用していたのですが、プロダクトデータとの統合だったり、複雑なワークフローの構築がやりきれずにおりました。
Retool Workflow ではその柔軟性の高さから、社内の情報流通に求められるニーズにほとんどすべて答えることが出来ています。

社内のビジネスチームの商談報告の通知の例
システムインフラの構成変更の通知の例

まとめ

このように、Retool は社内の情報流通の円滑化や、プロダクト開発の加速において非常に有用なツールだと思います。
dinii では Retool をフル活用することで、データを軸に、プロダクト開発だけに関わらず全てのチームの生産性向上に寄与できています。

社内のデータ活用促進には、まずデータがあること、次にデータが一箇所に集まっていること、最後に優れたインターフェースが必要です。
そこに対して Retool はローコードで最適な体験を提供してくれています。

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