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裏打ち頑張ってみた報告書2023夏その①

私の普段の作品を見てくださっている方にはとっくの昔にバレているとは思いますが、私、もの凄い大雑把な人間であります。
作品は水彩であろうと水墨であろうと、バッサバッサ仕上げていくのが好き。
とにかく丁寧さ、几帳面さ、手先の細やかさが求められることが苦手(よくそんなのでアニメーターやってたよね、というツッコミが聞こえてきます)。

こんな私でも、水墨画を始めてからは、せめて自分の作品で今後も取っておきたいと思うものはピシッと裏打ちしておきたいよね、と思い、昨年から年に一、二回、家で自分の作品の裏打ちに挑戦するようになりました(それまで書の作品は自分で裏打ちしたことはなく、書の依頼が来たら作品にOKが出てから表装に出してました)。

ちなみに私の前に教えていた墨絵教室の先生は生徒さんの作品の裏打ちを全部やってたんですよ。私にはとてもじゃありませんが他人の作品を裏打ちする勇気なんてございません。自分のでもこんなに緊張するのに。

本記事は裏打ちの解説書ではありません。
どれだけ私がテキトーにやっているかという報告書です。
裏打ちはスピード勝負のような瞬間がたくさんあり、写真もろくに撮れていませんが、どのように進めていったのか、懺悔のような気持ちで書いてみます。
裏打ちのやり方を知りたくてこの記事にたどり着いた方はご覧にならないほうが良いかと思います(もしくは反面教師にしてくださいまし)。

今回、裏打ちをしたのはこの四作。

左からハクセキレイ、ニシコクマルガラス、ハヤブサ、薔薇

薔薇以外はnoteで紹介済みです。

ハクセキレイは描いた当初は気に入らなかったのですが、けっこうハクセキレイらしさを捉えているかな、と残しておきたくなりました。
ニシコクマルガラスは、らしさは出ていないのですが、これから先この鳥を水墨で描くことはない気がするので記念に。
ハヤブサは単に気に入ってるから。成鳥のつもりで描きましたが、専門家の目には幼鳥に見えるらしいです。笑
薔薇はかなり前に描いたのですが、これも数枚描いた中で一番薔薇らしいかなと思ったもので、今回ついでに裏打ちすることにしました。

次に恥をしのんで裏打ちの道具をご紹介します。

昔IKEAで買った額縁、和刷毛二本、ヤマト糊、バット

ヤマト糊はドイツアマゾンで買いました。和刷毛は日本から取り寄せたもの。
糊がヤマト糊って、すでに本格さを欠いていますが、でもでんぷん糊なんだから、ルール違反ではないはず…。
(ここまで書いて「そもそもヤマト糊とは」と思って検索したら、でんぷん糊でもヤマト糊は水で伸ばしにくく、水で伸ばすならフエキ糊だそうな…フエキ糊が欲しい)
額縁はガラス面を裏打ちの紙に糊付けするのに使います。もちろん「なぜ額入りのガラス板でないといけないの?」に対する回答はなく、板なら何でもいいんです、単に手元に糊でベタベタにできる大きい板がこれしかない、というだけ。
霧吹きの写真を撮るのを忘れましたが、霧吹きも使います。

では、裏打ちの始まりです。
まず絵を裏返して水を吹きかけます。

何回やっても皺よらず空気入らず、の状態に持っていけないワタクシ。

次にバットの中で水でゆるく解いておいた糊を、裏打ち用の紙の片面全体に塗ります(ここはスピード勝負で写真なし)。

そしてその紙を水浸しの絵の上に乗せて刷毛を使ってまんべんなく糊が付くように押します。

裏打ち紙と合わせてから表を向けた状態。写真撮っていたら隅がすでに乾き始めた…

そしてこの後、更なる「本格派が見たらギョッとする」かもしれない、マスキングテープの登場。
私、タンスの扉にもベタベタ絵を貼ってるんですが、それでも空けてあるスペースはあって、そこに裏打ちした絵をマスキングテープで固定。

扉に部屋の反対側がすごい映り込んでいるのに今気がつきました。
無視してやってください。

以前「四辺も糊を付けて固定」という方法を紹介していた動画を見たので、前回の裏打ちで試したら、乾いていくうちにべり~っと絵が剥がれてきまして、今回はそれは避けたいな、と。

しかし数時間後、最初に裏打ちしたハクセキレイは緊張しすぎて糊が行き届かないのにバタバタ仕上げてしまったのか、絵が裏打ちの台紙から浮いている部分が出てきたり、一辺が浮いてきたりしていました。

ニシコクマルガラスのほうは問題なく。

これ、絵を描いた紙の強さにもよるかと思います。
別に質がいいというわけではなく、ニシコクマルガラスと薔薇は厚手の半紙、ハクセキレイとハヤブサは条幅半切のサイズ調節をした際に出た切れ端を使っています。この半切、そこまで薄い紙ではないですが、それでも厚手の半紙よりは柔らかい感じです。

以下、乾いた後四辺を切り落とした作品です。ハクセキレイはスキャンしようと思えばできる大きさですが、あえてすべて写真を撮ってみました。

今回唯一落款済みの作品。よく「裏打ちの前にハンコ捺しちゃだめよね?」って相談されますが、質の良い印泥を使ってよく乾かしてあれば、裏打ちも問題ありません。


この後、今更ですが「簡単な裏打ちの方法」みたいな検索をしてみたら、やっぱり細かいところはそれぞれ違って、「何が正解って、ないのだろうな。自分のやりやすい方法を回を重ねて見つけていくしかないのだろうな」と思いました。
今回乾いていくうちに絵が浮いてきてしまった反省から、次回は乾かす時も裏向きにしておこうかなと思っています。

そう、この記事「その①」と銘打っております。近々「その②」登場予定。
というか、今回は予行練習だったのです。
この夏に裏打ちしておきたい作品は他にありまして。

次回もよろしければ、お付き合いください。


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