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クリスマス鯉の今昔・その他クリスマスに関する私事


去年話していた「鯉料理の話」はこちら↓

この「伝統」のクリスマスの鯉のフライ、ちょろちょろ調べてみると、「こういうのをチェコでは昔から食べていて、今も食べられているんですよ」という単純な話ではないことに気が付きます。

ということで、しつこく今年もクリスマスの鯉について書いてみます。

中世の池から鯉のフライまで

上記の一年前の記事のおさらいになりますが、クリスマスに鯉を食べる習慣は中世に修道院の傍に池を造りキリスト教の象徴である魚を飼い、断食の際の食事にしたことが始まりだそうです(「postní jídlo(断食の食事)」という謎の超矛盾した表現…断食は辛い、昔の修道士にとっても楽じゃなかった、魚くらいいいじゃないか…とサラっと流しておきましょう。私もキリスト教やその歴史には詳しくないのでその「断食の食事」がどのように食されたのかは分かりません。暇を見つけて調べておきます。)

チェコでは17世紀にはクリスマスのご馳走として魚を食べることが一般庶民にも広まったそうですが、特に貧しい層には経済的に難しかったようです。実際の魚の代わりに魚の形をしたお菓子を焼いてクリスマスに飾ることも多かったようです。

現在チェコでクリスマス料理として一般的な鯉のフライは19世紀にオーストリア・ハンガリー帝国の料理家、Magdalena Dobromila Rettigováの料理本に登場したレシピによるものだそうですが、実際にこのフライを一般家庭で食べ始めたのは第二次世界大戦以降だそうです。
それまでは鯉を食べたとしても酢や白ワインで煮たもの、ジャムなどから作った甘いソースで煮たものなどが食べられていたそうです。

冒頭の漫画に登場した魚のケーキ。もう何年も前、形が面白いからという理由で購入したケーキ型で今もよく使うのですが、きっとクリスマス用なのでしょうね。購入当時は全然頭にありませんでしたが。

と、ここまでの流れを見てもクリスマスの鯉のフライが「伝統」と言ってしまうには日が浅すぎる気がするのですが、日本に興味のあるヨーロッパ人によく「日本ではクリスマスにケンタッキーを食べるのが『伝統』なんでしょ?」と尋ねられるので、その日の浅さに比べれば、鯉のフライのほうが確かに伝統的…。

昨今の鯉食事情

伝統的なクリスマス料理と言われるものの、個人的には鯉のフライを「美味しいから食べている」と言うチェコ人に未だかつて出会ったことがありません。たいてい「骨が多くて食べにくい」「魚より肉が好きだよ」と言っています。

それに加えて、最近ではクリスマス前になるとヴィーガンの団体が「伝統の名のもとに毎年クリスマスに全国の路上で魚の大量殺戮が認められているとは何事だ」とデモをしています。

毎年12月19日から23日まで生きた鯉をその場で捌いて売る屋台がチェコ中に立つのですが、一番その屋台が出やすいのは大型スーパーの入り口隣りや駐車場。
何と今年はそれを禁止する大手のスーパーチェーンが出てきました!
理由は「美的観点からして云々」。でも捌いてある魚を店内で売るのはオッケーなんだとか。モヤモヤするものを感じるのは私だけでしょうか。

多くの人が美味しくないと言う、伝統とはいえそんなに長くない、残酷だからやめろという人達もいる…クリスマスの鯉料理に不利な点ばかり目につきます。
クリスマス前の鯉の屋台はほとんどのチェコに住む人にとってこの時期の風物詩と化していますが、なくなったらなくなったで「そういう時代の流れ」と納得していくしかないのでしょうね。

今年のヤドリギ・他

クリスマスの鯉については以上。
ここからはクリスマスに関する私事をつらつら書き散らしていきます。

先日クリスマス飾りのヤドリギについて書きましたが

今年はどなたからもいただけなかったので、昨日焦って買い求めてきました。
初めて自分で買ってみようとして気づいたこと。
ヤドリギとは言えみんな同じじゃない。去年頂いたものはかなり良かったみたいで、どこでもこんなのが手に入るわけじゃないようです。
先日写真を撮ったお店などは長めで立派なのが揃っていましたが、昨日そのお店目指して立ち寄ったところ、お店が出てない!雪で出せなかったのかな?
ふらふら別の売店に寄ったところ、最後の二つ三つあるだけで、随分と小さく、実もほとんどついてないのもありました。それでもないよりはマシ、と緑のと金のを一つずつ購入。
帰って早速、去年と同じ位置に飾ってみました。

白いリボンも混ぜてオシャレに見えるように、と頑張ったつもりですが、去年の飾りつけとそんなに変わりないですね。
とにかくヤドリギは手に入りました。

ヤドリギをもらい受けることは叶いませんでしたが、知り合いの女性からクリスマスに、とバラの花束をいただきました。

赤バラの花弁のへりに白い着色が施され、側面からも絵が描いてあります。

普段はこんな風に花を着色してしまうなんて好きじゃないんだけどねクリスマスだから、とくださったご本人もおっしゃっていましたが、こんな大ぶりのバラ、滅多に手にしませんからすごく嬉しかったです(実は下手の横好きで私もバラを育てているのですが、こんな立派なの絶対できません。)

その他、昨日のプラハ中心街のお散歩から。

まだクリスマスマーケットも全部は開店していない午前9時半ごろの旧市街広場
近影でヤン・フス像を撮ってみると…あれ、フスの頭の上に…?
やっぱり、いる…!

以上です。
お付き合いありがとうございました。


豆氏のスイーツ探求の旅費に当てます。