【DIR EN GREY 楽曲感想】 GAUZE

2回目となるDIR EN GREY楽曲感想、今回は1stアルバム『GAUZE』について書いていきたいと思います。

1999年1月20日、結成からわずか2年でメジャーデビューを果たします。しかもデビューシングル3枚(『アクロの丘』『残 -ZAN-』『ゆらめき』)同時発売、いずれもYOSHIKIプロデュースという、話題性抜群のスタートを飾ります。DIR EN GREYというバンドの面白いところは、何をするにしても極端というか、徹底的にやるんですよね。今でこそ、音楽業界のメインストリームからは少し外れたところで名を馳せていますが、メジャーデビューというメインストリームへの仲間入りのタイミングでここまで話題性に振り切ったプロモーションをしているあたり、方向性は変わっても、根本的な部分は全然変わっていないな、と思います。

デビュー直後、日本一有名な音楽番組「ミュージックステーション」に出演し、3枚のシングルの中でも、よりにもよって一番凶悪な『残-ZAN-』を演奏してクレームが殺到。本当に話題性に事欠かないなと思います。(ちなみに、私はyoutubeでこの映像を見て一気に引き込まれました。)
続く4thシングル『Cage』、5thシングル『予感』でもMステ他多数の音楽番組に出演し、特に『予感』はドラマ主題歌として起用され、曲のポップさから今なお人気の高い曲となっています。のちに1stアルバム『GAUZE』をリリース。キャリアの中でもこの頃が一番売れていた時期ということもあり、デビュー直後の勢いを感じる作品となっております。

ではリリース順に感想を書いていきます。


アクロの丘(1999.1.20)

メジャー1stシングル。三枚同時発売の中で、公式ではこの曲が1stらしいです。

1 アクロの丘

音源化された作品では初の長尺曲。デビューシングルでいきなり長尺曲をぶっこんでくるあたりがDIRらしくて良いですね。最近の長尺曲とは違って、途中で速くなったりもしないし、各パートのフレーズがシンプルで音数もそこまで多くないですが、シンプルだからこそ、どこか温かくて切ない音にも聴こえます。DIRの魅力って、シンプルなフレーズでも説得力を持って聴かせられることにあると思っていて、既にこの頃からその真価が発揮されていたように思います。1コーラス終えた後、セリフ→ギターソロ→ベースソロと、メンバーそれぞれに見せ場があって、この頃の総括的な曲にもなっているのかなと思います。
「本当にデビューシングルかよ」と思わずツッコみたくなるくらい、美しい構成の曲ですね。プロデューサーのYOSHIKIからも「良い曲」認定をいただいたようです。
ライブでは2014年のGAUZEツアーで聞きましたが、ラストの歌メロで京さんが悲痛な叫びを上げていたのが印象的でした。2014年当時ってDUMの後だったので、貫禄がついてより重厚に聴こえましたね。 2024年にリメイクされましたがこちらもめっちゃ良かった…詳しい感想はまた今度。
ちなみに、残-ZAN-が衝撃的すぎて感覚が麻痺してますが、アクロの丘も1stシングルとしてはだいぶぶっとんでると思います…笑 でもこの曲はシングルカットできるレベルのキャッチーさを保ったまま長尺にしたのが、他の長尺曲にはない魅力ではないでしょうか。


残 -ZAN-(1999.1.20)

三枚同時発売のデビューシングルで、一応公式では2ndシングルという位置づけ。言わずと知れた問題曲ですね笑 

1 残 -ZAN-

自分がDIRを知ったきっかけは-I'll-だったけど、心を掴まれたのはMステでの残-ZAN-の映像をYouTubeで観たときでした。
まずこの曲をシングルで出したのもおかしいし、それをゴールデンタイムの音楽番組で演奏するのもおかしい笑 後追いとはいえ、当時17歳だった自分には、それこそ価値観が一転するほど衝撃的でした。ボーカルはずっと叫んでるし、なんかメンバー皆真っ黒で怖いし、逆さ吊りの人が暴れてるし…笑
とにかく、他のバンドにはできないことをやってやろうという野心、世の中に抑圧された狂気を見せてやろうという反骨精神を感じましたね。そこにすごく惹かれました。
曲はよく黒夢の「親愛なるDEATHMASK」に似てると言われていますが、これをインディーズで出すかメジャーで出すかで全然違うと思います。というかインディーズ時代にもここまで狂気に振り切った曲ってほとんどなかったような気がします。初期京さんの切れ味鋭いシャウトをじっくり堪能したいならこの曲ですね。
昔のライブでは終盤のパートを何回も繰り返し演奏してたみたいですが、めっちゃ疲れそうです…笑 2009年と2024年に2回リメイクされましたが、個人的に2024年のリメイクが最高すぎました。早くライブでも聴きたいです。


ゆらめき(1999.1.20)

三枚同時発売のデビューシングルで、一応公式では3rdシングルという位置づけ。

1 ゆらめき

長尺のアクロ、狂気の残と来て、超王道のV系歌モノ曲。ザ・シングル曲と言えるようなキャッチーなミドル曲で人気も高く、歴代シングルで最高の売上を記録しています。
聴きどころとしては、泣きのクリーンギターとうねるように動き回るベースライン、そして耽美な歌メロ。LUNA SEAへのリスペクトを感じますね。歌メロはこの頃の京さんの音域がフルに使われているそうで、当時としてはレンジが広いです。歌詩はどこか若さとか青臭さを感じるような失恋ソングで、やや背伸びしているような印象もあります。
正直個人的には、最初はDIRらしくないなと思って、しかも予感ほどポップに振り切れていないような感じもして、あんまり刺さりませんでした。でも、2014年のGAUZEツアーの映像を見たときに、歌と演奏の重厚さに魅了されて良さが分かってきた、といったところです。個人的にアウトロのベースとクリーンギターのあのズンズン迫ってくる感じがめっちゃ好きで、ここを聴きたいがためにこの曲を再生することもあります笑 2024年版も最高でした!


Cage(1999.5.26)

4thシングル。こちらもYOSHIKIプロデュースで、初期の曲では-I'll-、予感に次いで人気曲な印象があります。

1 Cage

8ビートのV系歌モノ曲。サビの「時計は左回りでも犯した罪は変えれず」という歌詩とメロディが印象的ですね。SMと虐待という重いテーマの曲ですが、全体的に西洋的な耽美さを感じる曲です。GAUZEのシングル曲の中では、曲のキャッチーさとヘヴィな世界観が上手く共存していて、そこが評価が高いポイントなのかなと思います。
いろいろ聴きどころはありますが、なんといってもベースソロが目玉ですね。他のパートは音が重なってたりエフェクトがかかってたりで比較的音数が多い曲ですが、ベースソロの部分は音数が少なくなり、しっかり聞かせようとする意図を感じます。
あと、全体的にプロデューサーのYOSHIKIのカラーが一際目立った曲だなという印象もありますね(ベースソロ後のCメロとかラスサビ前のピアノとか)。 歌メロが強い曲なので、2014年のライブで聴いたときは純粋に京さんの歌の進化を一番感じた曲かもしれないです。 新曲のカップリングでリメイクされるそうなので楽しみ。


予感(1999.7.14)

5thシングル。またまたYOSHIKIプロデュースで、DIR史上最もポップな曲と言っても過言ではないと思います。

1 予感

歌詩をそのまま読めばチャラ男の恋愛ソングなんですが、ある映画の殺人鬼をモチーフにしているという説もあり、もしそうだったらめっちゃ怖い曲。でも京さんならやりかねない笑
Dieさん作曲ということもありクリーンギターを基調としていて、全体的に白のイメージが漂っていますが、ドラムが跳ねているので、耽美というよりはやはりポップな印象です。 個人的には密かにめっちゃ動いてるベースラインが好きですね。 あと、ギターソロでDie節が炸裂していているのもポイント。薫さんのギターソロは「歌っている」イメージですが、Dieさんのギターソロは「鳴らしている」イメージがあり、この曲はまさに後者の印象です。
歌のキーもこの頃にしては高めで結構歌うの難しいですね。しかもちょっとチャラいセリフも付いているのが、この頃ならではって感じで面白いです。 個人的には、ベタだけどなんだかんだ初期DIRでは一番好きな曲かもしれません。DIRの魅力は音楽性がどれだけコアになっても隠しきれないポップセンスだと思いますので。
ライブでは2014年のGAUZEツアーで聴きましたが、元々歌い上げるようなメロディなので、当時の京さんの力強い声とも合っててむしろしっくりきたのを覚えています。 新曲のカップリングでもリメイクされるみたいですが、これどんな感じになるんですかね…?気になるところです笑


GAUZE(1999.7.28)

満を持してリリースされた1stアルバム。デビュー直後のアルバムということもあり、全アルバムの中でも最もキャッチーな作品です。メンバーいわく、全曲シングルカットできるようなアルバムにしたかったとのことで、全曲MVが存在しているという気合いの入りっぷり。90年代V系のお手本のようなアルバムと言われることもあり、当時のV系シーンの概要を知りたければ、このアルバムを聴けばだいたいイメージが湧いてくるというような作品です。
ただ、これは裏を返せば、先輩V系バンドたちが築き上げてきた様式美的なものに追随しているとも言えなくないため、(特に近年のDIRと比較すると)オリジナリティが今一つ足りないという印象です。しかし、一曲一曲しっかり作り込まれていて完成度は高く、普通に良い曲が多いので、コテコテな90年代V-ROCKを堪能したいという人には間違いなくオススメできるアルバムです。

1 GAUZE -mode of adam-

オープニングSE。無機質な金属音、不気味に愉快な遊園地系メロディ、気だるげなカウントダウンと、何とも不安を煽るような滑り出し。そして、京さんが5までカウントを数え上げた瞬間に、一気に四つ打ちのバンドサウンドが駆け巡る構成。そのまま次のSchweinの椅子に繋がります。
ライブでも入場SEとして使用されることがあり、この曲で始まると気持ちが高ぶります。ギターのエフェクトと京さんのノイズ混じりのシャウトが暴れまくってて、曲としても聴き応えがありますね。囚人が拷問椅子にかけられて、目を抉られ高圧電流にさらされるというなんともグロテスクなMVも存在しており、 このMVは京さんもお気に入りとのことです。

2 Schweinの椅子

実質1曲目。セールス的にもかなり波に乗っていた時期なのを象徴するように、とにかく勢いを感じるスピードナンバー。「Geist Seele Wille Zelle」の野太いコーラスと京さんのシャウトのかけ合いが特徴的で、初っ端から切れ味抜群です。
ボーカルもさることながら、Dieさんのギターリフもめっちゃ耳に残りますね。またドラムのパターンも、一曲の中で何回も変わっており、展開がジェットコースターのようで楽しいです。京さんの何やら医学的な解説のようなセリフは、初めて聞いたときはカッコいいと思ったけど、今聴くとちょっと面白い笑
曲全体のイメージとしては、なんかヤバイ人体実験でも行われてるような情景が思い浮かびます。 また、全編通して、とにかくライブで盛り上がるように工夫がなされてるなと思います。2014年をはじめ、何回かライブで聴きましたが、いつ聴いても高ぶりますね。もっと定番曲になってもいいと思います。

3 ゆらめき

3rdシングル。Schweinの椅子から間髪入れずに曲が始まります。曲のイメージとしては対極的なのにこの2曲を繋げているのは、守備範囲の広さを強調する意図でしょうか。前曲との対比が面白いです。

4 raison detre

DIRでは珍しいダンスビート系の曲。リズム隊2人が作曲というのも珍しい。 個人的にはDIRの曲の中で最も異質な曲っていうイメージです。GAUZEの他の曲ともまた異なった古さを感じますね。歌謡曲チックな歌メロが京さんの歌い方とマッチしていて、耳に残ります。
ギターのカッティングが何とも妖艶な感じで、ソロも妖しくて良いですね。また、リズム隊作曲ということもあり、ドラムとベースがの音が分厚いです。 そしてMVが全裸の女性が自らの目を抉り取るというエログロなものになっています笑 ライブでは2014年GAUZEツアーで聴きましたが、正直あんまり印象に残ってないですね… 歌メロが好きなので、地味だけど良曲っていう感想です。

5 304号室、白死の桜

Dieさん原曲のミドル曲。GAUZEのアルバム曲の中では人気曲のイメージがあります。病気で衰弱して記憶もない主人公が死を目前にして大切な人を思い出す、という哀しくも美しい詩世界に、リズミカルかつ不協和音気味な演奏が絶妙な耽美さを醸し出しています。
ドラムの手数が結構多かったり、ベースがスラップしてたり、Dieさんがこれでもかと言わんばかりにカッティングしてたり、一曲の中でメンバーが自由に動き回っているような感じです。間奏で入るDieさんのギターのリフが「和」って感じで耳に残ります。
歌のキーが全編通して低めで、サビでもあまり高くならないのが新鮮。DIRの曲では比較的歌いやすいと思います。 曲全体としては音質も相俟って90年代V系特有のややアングラなノスタルジーを感じます。 MVでは廃れた病院でメンバーがそれぞれ病気に苦しむ姿が描かれていますが、これまた完成度が高い。特にShinyaさんの美しさが目立っています。
メンバーも気に入ってるのか、定期的にノ限で演奏されている印象。 2014年のGAUZEツアーでは白い照明でステージが照らされており、綺麗な演出でした。MVも流れましたがメンバーの顔は隠れてました笑 ちなみに304号室の曲は京さんの詩集でもいくつか発表されています。初期DIRにおいて非常に重要な曲と言えるでしょう。

6 Cage

4thシングル。304号室のアウトロの余韻が、冒頭のオルゴールとマッチしています。前曲は「和」のイメージが強いですが、この曲は「洋」のイメージが強く、対照的ですね。ミドルテンポが続いたので、この曲でスピードを上げて、そのまま次の蜜と唾に流れ込む構成になっています。

7 蜜と唾

エログロなファストナンバー。タイトルの「蜜」と「唾」の字が反転して「つみとばつ」と読ませたり、薔薇薔薇とかQ+Ⅱとか、規制対策もあってか言葉遊びが多くて面白いです。曲としても、変拍子になったりパンキッシュに疾走したりと、展開も凝ってます。要所に出てくる中音域のブリッジミュートが耳に残ります。
この曲は何と言ってもボーカルが耳を惹きますね。「加害者の僕から被害者の君へ」のセリフに始まり、ドスの利いた声で歌とシャウトを自在に混ぜ込み、セリフっぽい歌いまわしになったり、サビでは高音域のキャッチーなメロディになったりと、聴きどころ満載です。
正直、最初聴いたときは「1・Sad・ Sexually・ 2・Sad・Sexually」の部分がちょっとダサく思えたり、歌詩がちょっと気持ち悪いなと思ってあんまり好きになれなかったんですが、気づいたらめちゃくちゃハマってましたね笑 とにかく曲としてめちゃくちゃ面白いし、完成度が本当に高いと思います。
2014年のGAUZEツアーで原曲版を聴いたときも楽しかったです。「1・Sad…」の部分で指を突き立てるのが癖になります笑 2011年に魔改造レベルのリメイクが行われましたが、こっちはこっちでなかなかカッコいいです。 なお、地味にクリスマスソングというのも面白い笑

8 mazohyst of decadence

長尺のスローナンバー。中絶された胎児が主人公となっており、全編に渡って鬱々しくて閉塞的なイメージ。薫さんも「聴いてる内に眠たくなって次に飛ばしたくなる感じにしたかった」と語っており、どちらかといえば不人気な印象です。
でも、自分はこういうダルい曲めっちゃ好きなんですよね。キャッチーな曲が多いGAUZEでは浮いてるけど、近年のDIRを踏まえて聴いてみると、めちゃくちゃエッセンスが詰まった曲だと思います。特に、Shinyaさんの優雅なドラミングは遅い曲でこそ映える部分があり、この曲も例外ではないかなと思います。
随所に気色悪いエフェクトが加えられたギターであったり、主張強めのベースであったり、楽器隊の聴きどころもさることながら、やっぱりボーカルが面白い。全編シャウト混じりの歌唱法で、寸劇のようにセリフが入ってきたり、この頃なりの狂気を感じます。
1999年のGAUZEツアーが終わった後、しばらくライブでは演奏されず、2011年頃にショートバージョンで復活し、2022年にはついに再録されました。 自分はショートバージョンでしかライブで聴いたことがないですが、今の重さマシマシのDIRでこそ最大限にこの曲の魅力を発揮できているように思います。

9 予感

5thシングル。mazohyst of decadenceの後ということもあり、解放感とキラキラ感が倍増ですね。キャッチーな曲が多いGAUZEの中でもひと際聴きやすい曲です。

10 MASK

ヒトラー…ではなくチャールズ・リンドバーグの演説から始まる軽快な思想系ソング。演説は反戦的な内容ですが、歌詩はヒトラーのファシズムを想起させるような集団洗脳を歌っているように聴こえるので、残酷な現実への皮肉が込められているのかもしれません。
予感と残-ZAN-に挟まれてるのでどうしても地味な印象が拭えませんが、この頃特有のダサさと気持ち悪さ(いずれも褒め言葉)があって面白い曲です。ギターのカッティングと怪しげなベースライン、フレーズが細かなドラミングで踊れるような感じで、ライブでは「振り」も存在してます。
ボーカルも歌メロ以外にあちこちからシャウトや囁きが聴こえてきて、まさに「洗脳」のような作りになっています。 2014年のGAUZEツアーで聴きましたが、ファンが皆、当時の「振り」をやってて面白かったです。多分メンバー的には恥ずかしかったかもしれませんが、レアな体験ができました笑
ちなみに、曲の最後に、本編とは全く毛色の違った演奏パートが始まりますが、当時のライブではこの部分で各メンバーがソロ回しをしていたみたいですね。(京さんにもソロのパートがあるのも面白いです。) 近年のライブではこのパートがなくなっていて残念でした。

11 残 -ZAN-

2ndシングル。DIRのアルバムでは終盤にハイスピードの暴れ曲が入ってくるのが鉄板なんですが、その枠ですね。予感でしっとりした後にMASKでエンジンをかけ、残-ZAN-でめちゃくちゃにする、という流れが良いです。

12 アクロの丘

1stシングル。残-ZAN-で狂い果てた後に最高の感傷を与えてくれるエンディング曲。名曲が多いGAUZEですが、最後はこの曲以外に考えられないですね。壮大なスケールの詩世界が、「物語の終わり」を感じさせます。

13 GAUZE -mode of eve-

エンディングSE。トラック上はアクロの丘のラスト1分頃からスタートし、最後の5秒だけが、この曲のタイトルとなっています。タイトルの通り、-mode of adam-とは繋がっており、京さんのカウントダウンも4から始まります。
金属音のパートがひたすら続き、最後に水が流れる音、何かが吸収されるような音が流れて終わります。 個人的には、この曲で終わることで、アクロの丘が残す強烈な余韻を掻き消す効果があり、アルバム全体のイメージとして、どこか無機質な印象を残しているように思います。真意は分かりませんが、後味の悪さみたいなのを残したかったのかもしれません。あるいは、何かが無に帰していくようなイメージを演出しているんでしょうか…?


DIRは今でこそコア路線で活躍していますが、いつになっても「売れてるバンド」の風格みたいなのはずっと残っていると個人的には思っていて、この頃に売れ線を徹底的にやり抜いたのも大きいのかなと思います。DIRの歴史を概観していく上で、このGAUZEという作品は、ある意味最も「異質」で非常に面白い作品といえるのではないでしょうか。

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