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GWスペシャル『ゴスペル』後編 5/3追記

前編からの続きです。後編は実際にゴスペルを聞きながら読んで頂く記事になります。ヘッドフォン推奨です。

7.ファクトチェック

ここで一旦話題を戻します。冒頭で紹介した音楽の調律に関する記事は、どうやら昨年のロイターのファクトチェック記事を元にしていたようです:

ファクトチェック:A=432HzとA=440Hzの音高に関するソーシャルメディア上の主張の否定

ソーシャルメディア上で人気のあるミームが、音楽の調律ピッチA=432HzとA=440Hzについて、後者はナチスが敵を操るために課した基準であるなど、一連の疑惑を唱えている。複数の専門家がロイターに語ったところによると、これらの疑惑は根拠のないものだという。

「あなたは知っていましたか?ジミ・ヘンドリックス、ジョン・レノン、ボブ・マーリー、プリンスは皆、自分の音楽を432Hzという特定の周波数にチューニングしていたのです!これは『地球の音』として知られ、癒しの効果があり、古代エジプトやギリシャの楽器は432Hzにチューニングされていたことがわかっています。しかし、1953年以降、すべての音楽は440Hzにチューニングされています。この周波数は私たちの宇宙と科学的な関係はなく、実際に脳を興奮させる原因となっています。第二次世界大戦中のナチスは、敵に対してこの周波数を使い、特定の感情と思考を起こさせました。」とミームは言う。

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音楽におけるピッチとは、「音の高さ、低さ」のことで、BBCはここで説明している。ブリタニカ百科事典の説明では、A=432HzやA=440Hzのように、与えられた音楽のピッチは、「それを生み出す音波の振動数」によって決定されるそうである。( こちら )

現在、ほとんどの楽器はデフォルトでA=440Hzにチューニングされている(つまり、中央ハのすぐ上のイは周波数440Hzに設定されるべきである)が、世界中の主要オーケストラがすべてそうしているとは限らない、とオスロ大学音楽学部名誉教授Tor Halmrast氏は2012年に書いている。(bit.ly/3xiStjz 、13ページ参照)

この2つの音高に関する歴史的な主張と、それが人間の脳に与える影響については、長い間インターネットを駆け巡り、音楽関係者や学者が異議を唱えてきた(こちらこちらこちら)。

ロイターの取材に応じた専門家も、このミームには証拠がないうえ、歴史的にも不正確な主張があることに同意している。

バークリー音楽大学の音楽制作・エンジニアリング(MP&E)教授であるスーザン・ロジャース氏( こちら )は、ロイターに対し、「宇宙が好む音響周波数があることを示唆する実証研究はない」と述べている。

偶然にも、ケンブリッジ大学の音楽科学センターの教授兼ディレクターであるイアン・クロス( こちら )は、ロイターに対し、この主張には「経験的根拠がない」と述べている。

バークリー音楽大学(の音楽制作・エンジニアリング教授でもあるプリンス・チャールズ・アレキサンダー( こちら )は、「ほとんどのリスナーの感性は、(A=432HzとA=440Hzの)違いを識別できるほど微調整されていない」と述べている。

標準化
1939年、ロンドンで開催された英国規格協会主催の国際会議(こちら)で、ヨーロッパ諸国はまず、コンサートピッチの基準をA=440Hzとする共同勧告を出した。1939年のネイチャーの記事によると、この勧告は、すべての演奏と録音音楽において、この値を「可能な限り近い限界内に維持しなければならない」とも定めており、国際標準化協会(ISA)- 1947年に国際標準化機構(フランス語ではISO)となった -bit.ly/3rLO6fM 15ページ参照- やその他の国際委員会に提出されることになったという。

クロス氏によれば、このa'音のピッチは、1834年、シュトゥットガルトの物理学者会議で、Johann Heinrich Scheiblerによって初めて提案されたようだ。( こちら )

1917年には、このA=440Hzという「標準ピッチ」が、すでにアメリカ音楽家連盟で守られていたとTor Halmrast氏は言う。( bit.ly/3xiStjz 、13ページ参照)

第二次世界大戦後、ISOは1955年に勧告を出し(R 16-1955, bit.ly/3iiMqXP )、1975年に規格化された。これが現在の規格(www.iso.org/standard/3601.html , bit.ly/3iiMqXP )であり、クロス氏によれば、全面的にではないが、ほぼ遵守されているとのことである。

1939年の会議以前は、ヨーロッパの各拠点でチューニングにばらつきがあった。1880年に初めて音高基準の歴史を体系的に研究したイギリスの数学者アレクサンダー・エリスの研究によると、「374Hzから567Hz」まであったことが、イリノイ大学シカゴ校の准教授ルース・エミリー・ローゼンバーグ(こちら)のエッセイ『パーフェクトピッチ:432Hz音楽と周波数の約束』(こちら )で記録されている。

A=440Hzに標準化された歴史的経緯は、こちらでご覧いただける。

ナチスと標準化
ロイターの取材に応じたメリーランド大学の歴史学教授で、『The Jewish Enemy: Nazi Propaganda during World War II and the Holocaust』(こちら , こちら)の著者であるJeffrey Herf氏は、ミームが主張する、ナチスが音楽のピッチA=440Hzを使って敵を操っていたという主張を退けた。

「そんな話は聞いたことがない。ばかげている」と彼はロイター通信に電子メールで語った。

ローゼンバーグ氏は、そのエッセイの中で(こちら)、ナチスとA=440Hzの標準化に関係があるとする説の発端を、1988年に発表された記事(こちら)に辿り、ナチスドイツの宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルス(こちら)が、1939年の会議に貢献したと主張しているのである。しかし、この記事では、この周波数が敵に「ある種の感情を抱かせ、考えさせる」ために使われたことについては、全く触れられていない。

この1939年の会議に、フランス、イタリア、イギリス、オランダとともにドイツも参加していたことは事実である。そのことはこの年の『ネイチャー』誌の記事(こちら)に書かれている。

すべての音楽がA=440Hzに調律されているわけではない
さらに、このミームが主張するように、その後、世界中のすべての音楽がA=440Hzにチューニングされたというわけでもない。

「80年代にプリンスのツアーで日本に行ったとき、ピアノの調律が違っていたのを覚えている」とスーザン・ロジャース氏は語り、「キューバ音楽はA-436で調律している」とも指摘した。

2016年のNPRのインタビューで、クラシックピアニストのシモーヌ・ディナースタインは、キューバ国立管弦楽団がA-436に調律されていることに触れている( こちら )。

クロス氏は「一部のオーケストラは時折、最高でA=450Hzまで上げることがあり、それが音を明るく見せる効果を生む」と同調している。例えばニューヨーク・フィルハーモニックのオーディション資料には、同楽団がA442にチューニングしていると書かれている。( bit.ly/2Vj6MaG, bit.ly/37eF5Cp )

古代の楽器
ロイターは、このミームが主張するように、古代文化が音楽をA=432Hzにチューニングしていたことを示す文献的証拠を発見していない。

オックスフォード大学ジーザス・カレッジのアーマンド・ダングール教授(こちら)は、古代ギリシャ音楽を中心に研究しており(こちら)、ロイターに対し、この主張は根拠がないと述べた。

「古代の弦楽器の絶対音感は、リソース、場所、状況などによって変化するものです。A=432Hzというピンポイントでの調弦が分かっているというのは幻想です」とダングール氏。

ポーランド科学アカデミー・地中海東洋文化研究所エジプト考古学助教授のHeidi Köpp-Junk氏(こちら)も、古代エジプトの楽器がA=432Hzに調律されていたという「証拠はない」と述べている。

評決
虚偽。ロイターの取材に応じた専門家によると、ミームには周波数432Hzと440Hzに関する根拠のない主張と歴史的な不正確さが含まれているそうだ。

(A=432Hzについて)実証研究はない、経験的根拠がない、証拠はない、とロイターの取材に応じた「専門家」が言っているだけで、実際はどうだかわかりませんし、A=444Hz(C5=528Hz)については少なくとも実証研究によるエビデンスが存在します。

むしろ、すべての音楽がA=440Hzにチューニングされているわけではないという事実や、実際にドイツが1939年の会議に出席していたという事実がわかったのは有意義でした。

「提案(propose, suggest)」という言葉から、拘束力はないことがわかる

そしてプリンス・チャールズ・アレキサンダー(※実は三流ミュージシャンで駄作しか残していない)の「ほとんどのリスナーの感性は、(A=432HzとA=440Hzの)違いを識別できるほど微調整されていない」という言葉はハッキリ否定しておきたいと思います。

実際にブラインドテストをしてみればわかります。

440の方がピッチ(音高)が高いので、こうして聴き比べれば違いはわかりやすいと思います。個人的には440の方が少しヒステリックに響くように感じました。

しかし、やはり音楽そのものに魅力がなければ、432Hzであっても気持ち良さは感じません。

音質も大切な要素です。YouTubeで音楽を聞いたり、Spotifyなどのストリーミング・サービスで非可逆圧縮された音楽を聞くことは避けるべきです。

ストリーミングやmp3(YouTube)は試聴に利用する程度にして、気に入った音楽はCDやLP、またはロスレスやハイレゾで聞くことをおすすめします。

8.ゴスペル

では良い音質で、どんな音楽を聞くべきなのか?基本的にはその時に自分に合った、気持ち良いと感じる音楽を聞けば良いと思います。音楽は指圧マッサージのようなものであり、お香のようなものであり、食事のようなものでもあります。

ニューエイジ・ミュージックとアンビエントやヒーリング・ミュージックはよく一緒くたにされていますが、全く異なるものだと思っています。個人的にも精神的に疲れている時や、邪念を払ってマインドをリセットしたい時、エネルギーをクリアにしたい時、心を癒やしたい時はチル・アウト系の音をよく聞いていました。

(特に音楽の周波数にこだわっていた時は、バッハを中心にクラシックばかり聞いていたこともあります。クラシックは同じ曲でも最良の演奏や録音を求めだすときりがなく、いくら時間があっても足りないので、探究は一時的にストップしたままです。去年はシティポップばかり聞いていました。)

音楽には「真実」があります。実は、この記事を書いて一休みしたかったのは、何が真実かわからない昨今の情報戦に(傍から見ているだけでも)疲れてしまったからです。一度自分にとっての真実に立ち戻って、自分をチューニング(調律)し直したかったのです。そして、ローズマリーが歌を通じてそれを行っている姿を見たことがそれを後押ししてくれました。

ローズマリーの歌を聞いて、まず頭に浮かんだ言葉が「ゴスペル」でした。この言葉の意味を知らなかったので、辞書を引いてみました。

アドバイスに「ゴスペル」のように従うということは、あたかもそれが鶴の一声か権威であるかのように思ってしまうことを意味します。

ゴスペルという言葉は、古英語で「良い」を意味するgodと「ニュース、物語」を意味するspelに由来しています。キリスト教では、「良い知らせ」とは、イエス・キリストの誕生、死、復活の物語を指します。ゴスペル音楽は教会で聞かれ、ゴスペル聖歌隊によって歌われます。宗教への適用以外では、ゴスペルという言葉は、間違いなく真実であると認められている考えやルールを表すのにも使われます。

以前はゴスペルと言うと「教会で黒人のクリスチャンが歌う説教臭い歌」という先入観を持っていました。私自身、クリスチャンではありませんし、かといって仏教徒でもなく、宗教とは無縁なので、「ゴスペル」というジャンルを意識して聞いたことはありませんでした。しかし、ゴスペルの本来の意味を知ると、自分にとってのゴスペルはたくさんあったことに気がつきました。

今回の記事はそれらを紹介して終わりにします。まず、10代後半によく聞いていた曲からいきます。

これは「内なる宇宙」を初めて意識した曲です:

シール『Prayer For The Dying 死にゆく者への祈り』
Fearless people, Careless needle.
恐れを知らぬ人々、心ない嘲り
Harsh words spoken, And lives are broken.
吐き出される辛辣な言葉、生命は傷つけられ
Forceful ageing, Help me I'm fading.
老化は避けがたく、私は消えかかっている、助けて欲しい
Heaven's waiting, It's time to move on.
天国が待っている、先に進むべき時だ
Crossing that bridge, With lessons I've learned.
学んだ教訓を胸にその橋を渡れば
Playing with fire, And not getting burned.
炎の中も、焼かれることはない
I may not know what you're going through.
あなたの経験していることを私は理解していないのかもしれない
But time is the space, Between me and you.
しかし私とあなたを隔てているのは時間だけ
Life carries on... it goes on.
命は進んでいく、続いていく
Just say die, And that would be pessimistic.
ただ死ぬだけと言うのは悲観的
In your mind, We can walk across water.
マインドの中では、海を歩いて渡ることもできる
Please don't cry, It's just a prayer for the dying.
泣かないで、それはただ死にゆく人への祈り
I just don't know what's got into me.
自分が何に惑わされていたのかわからない
Been crossin' that bridge, With lessons I've learned.
学んだ教訓を胸にその橋を渡ってきた
Playing with fire, And not getting burned.
炎の中でも、焼かれることはなかった
I may not know what you're going through,
あなたの経験していることを私は理解していないのかもしれない
But time is the space, Between me and you.
しかし私とあなたを隔てているのは時間だけ
There is a light through that window
あの窓から明かりが射している
Hold on say yes, while people say no
みんながノーと言っていてもイエスと言い続けて
Life carries on, It goes on....oh-ee-oh, whoa-ee-oh ho oh...
命は進んでいく、続いていく
When nothing else matters.
他のすべてが問題ではなくなっても
I just don't know what's got into me.
自分が何に惑わされていたのかわからない
It's just a prayer for the dying.
それはただ死にゆく人々への祈り

マーヴィン・ゲイは高3の夏休みによく聞いていたのを覚えています。この曲と南国の海の映像を合わせた自作のミュージックビデオを流して、気を紛らわしながら勉強していました。おかげで成績は落ちました:

Woah, ah, mercy, mercy me Ah, things ain't what they used to be
あぁ、どうかお許しください、地球がかつての姿と変わってしまった
Where did all the blue skies go?
あの青い空はどこに?
Poison is the wind that blows From the north and south and east
毒が風にのって、北から南から東から吹いてくる
Woah mercy, mercy me,
あぁ、どうかお許しください
things ain't what they used to be
何もかも前とは変わり果ててしまいました
Oil wasted on the ocean and upon our seas, Fish full of mercury
石油が浮いた私たちの海、水銀まみれの魚たち
Ah oh mercy, mercy me
あぁ、どうかお許しください
Ah things ain't what they used to be, no no
ああ、以前とは何もかも違ってるのです
Radiation under ground and in the sky
放射能汚染が地中にも空にも広がり
Animals and birds who live nearby are dying
近くで生きていた動物や鳥たちも死にかけてます
Oh mercy, mercy me Ah things ain't what they used to be
あぁ、どうかお許しください かつてとは変わってしまっています
What about this overcrowded land
人口が過密したこの地はどうなるのでしょう?
How much more abuse from man can she stand?
地球は人間による虐待にどこまで耐えてくれるのでしょう?
Oh, na na...My sweet Lord...
ああ 私の最愛の主よ

トッド・ラングレンの作品もよく聞いていました。彼の曲の歌詞はほとんど恋愛に関することばかりなので、ゴスペルとは呼ぶには軽いかもしれませんが、ソウルやゴスペルを感じさせる素晴らしい曲をいくつも残しています:

私が20代の頃は、東京に最も多くの中古レコード店が存在していた時期でした。特にお世話になったお店が神田神保町のエイムス(AMS:Adavanced Music Service)です。このお店が特別だったのは、「メロウ」という当時は新鮮な切り口で様々な音楽をレコメンドしていたことです。

何かが「メロウ」になるとは、より柔らかく、よりリラックスした状態になることです。つまり、攻撃的で皮肉屋、短気な人が、より気楽で温和な態度に変わるのです。ワインなどの食品も、人と同じようにまろやかになり、尖ったところがなく、味わい深いものになると「メロウになった」と表現することができます。ジョン・コルトレーンの「マイ・フェイバリット・シングス」のようなジャズ曲のゆったりとした質感は、しばしばメロウと表現されます。それを演奏するミュージシャンもメロウであることがあります。また、ほんのりと心地よく酔っているとき、人はしばしば「メロウな気分だ」と言い、年を取るまでもなく、リラックスした心地よい状態に到達しているのです。

このお店の常連さんから「ライトメロウ」という言葉が生まれ、この切り口で70~80年代のソウル、AOR、ブルー・アイド・ソウル、和モノ(と当時は言っていた)、CCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)、などの埋もれた名盤がボーダーレスに掘り起こされていきました。これが後の世界的なシティポップ・ブームの土台を築いたと言っても過言ではありません。今にして思うと、保町にCCMに強いお店があったというのはおもしろい偶然です。とにかく、このお店の「先進的なサービス」のおかげで音楽体験のはばが大きく広がりました。

この時代に知った「ゴスペル」を少し紹介します。まず、ハワイの有名グループ、カラパナのメンバーであるカーク・トンプソンが組んでいた「レムリア」の名前を持つゴスペル・バンドの曲です。これは確かロンドンのクラブシーンで火がついた曲で、日本でもクラブ系のリスナーを中心に人気が高かった曲です:

Hunk of Heaven 天国の塊
I just want my world to be like Heaven
私は地上世界を天国のようにしたいだけ
Come together sing my lullaby
一緒に集まって私の子守唄を歌って
I just want a bigger hunk of Heaven
ただもっと大きな天国の塊が欲しい
Master, Leader, Ruler of the sky
マスター、リーダー、空の統治者

I'm in love with you
あなたを愛してる
Although I play the fool, I can spread the love I feel for you
私は愚か者を演じるが あなたへの愛を広めることができる
And I can't tell a lie, my music makes me high
嘘はつけない 私の音楽は私を高揚させる
Everytime I sing my song in time,
歌うのが間に合った時はいつも
With lovin' you
あなたを愛して

I just want a bigger hunk of Heaven
ただもっと大きな天国の塊が欲しい
I just want a bigger hunk of You
もっと大きなあなたの塊が欲しい
I just want to sing of what You've given
あなたがくれたものについて歌いたい
And show the love I feel inside for You
そしてあなたに感じている私の愛を示したい

Cause lovin' You, is not that hard to do
だって、あなたを愛することはそんなに難しいことではないのだから
(Cause) everytime I sing I feel from You,
歌うたびにあなたから感じるから
A love I never knew, that's here for me and You
私が知らなかった愛、それは私とあなたのためにここにある
tellin' 'bout the lovin' things You do
あなたがする愛のあることを語って

歌詞カードの裏にはカーク・トンプソンの音楽に対する想いが書かれています:

「忘れないで。私たちは何よりも神を愛し、私たちの才能を使って真実を守り、喜びをもたらし、私たちが感じる音楽と歌詞に目的を与えなくてはなりません。信仰とこの目的によって、私たちは日々起こる不安な出来事を乗り越えていくことができるのです。私たちの音楽がすべての人のための媒介となり、神の言葉を他の人に教え、共有するために少しでも役に立ちますように。これこそが、変化し続ける競争の激しい音楽の世界で成功するための唯一の方法なのです。イエス・キリストを通して、神の祝福があり、私たちを強く保ってくれますように。」

私は20年以上前に、カーク・トンプソンが自らこのレコードのリプレス盤を細々とeBayに出品していた時代を知っています(「カーク・トンプソン本人から買ったのにペラペラの再発盤が届いてがっかり」という話をしていたら、AMSのディラーKさんがオリジナル盤を個人的に譲って下さいました)が、その後このレコードは純粋に音楽性の素晴らしさと曲の美しさが世に広く知れ渡り、何度も復刻を繰り返され、カーク・トンプソンの言葉通り、「変化し続ける競争の激しい音楽の世界で成功」したと言えるアルバムになりました。

同じくハワイ出身で、LAに渡ってきたフュージョン・バンド、シーウィンドの代表曲もゴスペルでした:

Listen to the laughter, Of children in love
愛の中にいる子供たちの笑い声に耳を傾けよう
Brought together, By the good Lord up above
天の善の神に呼び集められた
They are singing songs and melodies of love
彼らは愛のうたとメロディーを歌う
For you
あなたのために
Just listen with all your heart, And you can sing them too
心で聴いて そうすればあなたにも歌える
Take love by His hand today
今日、神の愛を受け取って
And you will have that love come what may
その愛を手にするの 何があろうとも
Love won't pass you by, He's here to stay
愛が素通りすることはない 神はここにいる

Listen to our laughter, We're children in love
笑い声を聞いて 私たちは愛の中にいる子供たち
We were brought together, By the good Lord up above
私たちは呼び集められた 天の善の神に
We are singing songs and melodies of love
私たち愛のうたとメロディーを歌う
For you
あなたのために
Just listen with all your heart, And you can sing them too
心で聴いて そうすればあなたにも歌える

'Cause the longer you wait, The harder it gets
待てば待つほど 辛くなるから
And the harder it is, The longer you will wait for your love
辛ければ辛いほど 長く愛を待つことになる
The longer you wait, The harder it gets
待てば待つほど 辛くなるから
And the harder it is, The longer you will wait for your love
辛ければ辛いほど 長く愛を待つことになる
(Repeat verse x3)

There's no need for fear my friend
恐れることはない 友よ
'Cause His love will never end
神の愛がなくなることはないのだから
Love won't pass you by, He's here to stay
愛が素通りすることはない 神はここにいる

Open up your heart, And hear what He's got to say
心を開いて 神の言葉に耳を傾けて
And you can have His love
あなたも神の愛を手にできる
Each and every day
毎日毎日
(Repeat verse x6 FADE)
(Third time)
He loves you
神はあなたを愛してる
(Fourth time)
He will always love you, yeah
いつでもあなたは愛してる
(Fifth time)
He loves you
(Sixth time)
He will always love you, love, yeah

正直な話、当時は歌詞の内容などよくわからずに音楽を聞いていました。単純に音として曲を聞いた時のフィット感や感動、心の琴線に触れるかどうかだけを頼りにしていました。しかし、どこか音楽に救いを求めるようにして「自分の音」を探し集めていた気がします。

そうやって集まった「マイ・フェイバリット・ソングス」の中に、今にして思えばストレートなゴスペル・ソングが高い確率で含まれていたことに、今になって気づいて驚いています。当時は「良い曲にはLOVEがタイトルに入っている事が多いな」くらいにしか思っていませんでした:

これもAMSのKさんに個人的に譲って頂いたレコードで、マーヴィン・ゲイやバリー・ホワイトの影響を色濃く感じさせるコープランド・デイヴィスの一曲です。この曲の歌詞は単純なラブソングですが、霊妙なコーラスといい、とてもゴスペル的な高揚感のある曲です:

コンテンポラリーR&Bの世界で大成功したビービー&シーシー・ワイナンズのファースト・アルバムはCCMで、ゴスペル専門のマイナー・レーベルからリリースされたため、未だにCD化されていません:

こちらの曲のコメント欄もポジティブなヴァイヴスに溢れていて、見ているだけで嬉しくなってきます。自分の所有しているLP盤には歌詞カード入ってなかったので、歌詞を知りたいなぁと思っていたら、サビの歌詞だけコメント欄にありました:

I choose to suffer affliction for a reason.
私が苦難を選んだのには理由がある。
Knowing through my sorrows I could smile.
悲しみを知ったことで私は微笑むことができる。
The joys of sin they only last a season.
罪の喜びは一時的なもの。
And the seasons just to me aren't worth the while.
その季節は私にとって価値がない。

他にもCCMには、AORやブルー・アイド・ソウルとして聞ける良い曲がたくさんあるのですが、歌詞が「キリストの再臨を信じてる」みたいなものも多く、ちょっと微妙です。「キリスト」や「神」を「自分の中の善の心」とか「宇宙のロゴス」とか「地球」とか脳内変換して聞いている身としては、ベタな宗教観で書かれた歌詞だとさすがに気持ちが乗れません。

9.グレッグ・アレクサンダー

それよりはむしろ、こういった曲の方にゴスペルを感じます:

ニュー・ラディルズ『You Get What You Give』1998年
Wake up, kids, we got the dreamers disease
目を覚ませ子供たち、僕たちは悪夢の病気にかかっている
Age fourteen, they got you down on your knees
14歳で、彼らは君をひざまづかせる
So polite, we're busy still saying please
礼儀正しく、お願いしますと
Frienemies, who when you're down ain't your friend
友だちの顔をした敵、彼らは君が辛い時に手のひらを返す
Every night we smash a Mercedes-Benz
毎晩、彼らのベンツを叩き壊して
First we run, and then we laugh 'til we cry
走って逃げて、涙がでるくらい笑おう

But when the night is falling
でも夜の暗闇がやってきて
You cannot find the light (Light)
光が見えなくなった時
You feel your dreams are dying, hold tight
希望を失いそうだと感じても、しっかりつかめ

You've got the music in you
君の中に音楽ある
Don't let go, you've got the music in you
希望を手放すな、君の中で音楽が響いてる
One dance left, this world is gonna pull through
残り1回のダンス、世界はその困難を乗り切ろうとしている
Don't give up, you've got a reason to live
諦めるな、君には生きる理由がある
Can't forget, we only get what we give
忘れるな、人に与えたものだけ得ることができる

I'm comin' home baby
僕は帰還するよ
You're tops
君たちが頂上に立つんだ
Give it to me now
さあ、声を聞かせて

Four A.M., we ran a miracle mile
午前4時、僕たちは奇跡の1マイルを走った
We're flat broke, but hey, we do it in style
一文無しだけど、格好いい生き方だ
The bad rich, God's flying in for your trial
悪の金持ちには、神の裁きが下るだろう

But when the night is falling
でも夜の暗闇がやってきて
You cannot find a friend (Friend)
友が見えなくなった時
You feel your tree is breaking, just bend
心が折れてうつむいても

You've got the music in you
君には音楽が宿ってる
Don't let go, you've got the music in you
人生を手放すな、君の中で音楽が響いてる
One dance left, this world is gonna pull through
最後のダンス、世界はその困難を乗り切ろうとしている
Don't give up, you've got a reason to live
諦めないで、君には生きる理由がある
Can't forget, we only get what we give
忘れてはならない、人は人に施した分だけ得ることができる

This whole damn world could fall apart
この世界は崩壊するかもしれない
You'll be okay, follow your heart
でも君なら大丈夫、心の声に従って
You're in harm's way, I'm right behind
君は危険な道にいるが、僕がついているよ
Now set your mark
さあ、立ち位置を決めるんだ

You've got the music in you
Don't let go, you've got the music in you
One dance left, this world is gonna pull through
Don't give up, you've got a reason to live
Can't forget, we only get what we give
Don't let go, I feel the music in you
手放すな、僕は君の中に音楽を感じてる
You, you, you
君は
Fly high, high
高く羽ばたく
What's real can't die
真実は死なない
You only get what you give
与えたものだけ得るんだ
You're gonna get what you give(※アルバムバージョンのみ)
与えたものだけ得るだろう
Don't give up, just don't be afraid to live(※アルバムバージョンのみ)
諦めないで、生きることを恐れないで

Health insurance, rip-off lying
健康保険は嘘つき ぼったくり
FDA, big bankers buying
食品医薬品局は銀行家の言いなり
Fake computer crashes dining
偽のコンピューター・クラッシュ 食事中
Cloning while they're multiplying
クローン増殖中
Fashion shoots with Beck and Hanson
ベックとハンソン 写真撮影中
Courtney Love and Marilyn Manson
コートニー・ラブとマリリン・マンソン
You're all fakes, run to your mansions
お前らは偽物、自分の豪邸に逃げ帰れ
Come around, we'll kick your ass in
こっちに来きたら、ケツを蹴り上げてやる!

最後にラップ調になるところは韻を踏むための言葉遊びの部分もあるので、意味がよくわからないのですが、「偽のコンピューター・クラッシュ」はY2K問題への言及では?と考察している人もいます。

この曲に寄せられたコメントはとても興味深いです:

私は76歳の認知症の妻の介護をしている64歳の元ミュージシャンです。この曲は懐かしい思い出です!ありがとう。
私は長い間、うつ病で自殺願望があったのですが、この曲を聴いて涙が出ました。音楽の力には驚くべきものがあります。
私の元妻は私を捨て、子供を連れて出ていきました。私は家を失い、彼女が残した借金を支払うために懸命に働いていました。彼女は、私の親友と駆け落ちしたのです...私はある日バンの座席に座り、すべてを終わらせようと決めました...するとこの歌がラジオから流れてきました。私は20年以上たった今でもこうして生きています。
この曲は、私の素晴らしい友人が殺された後、私の人生で最悪の時を乗り越えるのを助けてくれました。1999年の春、私はこの曲を聴き続けました。一発屋かもしれませんが、とても良い曲で、生きていることが幸せだと思える曲です。
この曲は、私が自殺を考えていた時、人生の深い暗闇の中にいた時、いつも家族から聞かされていた曲です。どんな困難があっても、それを乗り越えるためにベストを尽くさなければならないということを教えてくれます。
何年経っても、何年経っても、この曲は私の中でヒットし続けるわ。何度聴いても気分が良く、飽きない曲よ。これはとても気持ちの良い曲で、エネルギーを高めてくれる。この曲とアルバムは本当にノッテたから、彼らが他のアルバムを出さなかったのが残念!!!!
もし90年代にエンドクレジットのシーンがあるとしたら、これが流れるでしょう。
この曲は、私自身の解放を歌っているんだ。10年前、私は完全なジャンキーだった...家もなく、混乱していて、いつ死のうかと考えていたんだ。それ以来、多くの戦いに立ち向かってきた。 今は新車の車、将来性のあるちゃんとした仕事、今までにないほどたくさんのお金が入った銀行口座、そして今、私の夢の女性が私と会ってくれている...前に進み続け、盾を持ち続けるんだ。
私は70歳で、60年代の音楽の中を生きてきた。私が言えるのは、これは素晴らしい曲だということだ。以上。
この曲が発売された時、私はこの曲が大嫌いでした。あまりにも大袈裟で、個人的にはとても陳腐な曲だと思っていました。しかし、30代半ばになり、燃え尽き、色あせ、借金まみれで、どうしようもなく落ち込んでいるときに、90年代後半のショッピングモールを駆け回るバンドと人々のこのビデオを見ると、本当に悲しくも楽しいノスタルジアを感じるのです。
どう説明したらいいのかわからない。でも、この曲は1990年から2001年の時代をとてもうまく要約している。より良い、より明るい、より平和な未来と、陰惨な20世紀に比べればずっと良い21世紀に対する楽観主義と信念。アメリカだけでなく、(西側)世界全体で。その希望は9.11で終わり、消え去り、2022年の今日まで続いたすべてのクソなこと(戦争、政治的影響、より厳しい人々のコントロール、より少ない自由)が起こったのです。誤解しないでほしいのですが、90年代は完璧ではありませんでした。世界にも多くの問題がありましたが、今の世界に比べれば「ベル・エポック」のようなものでした。そして音楽に関しても、90年代の曲は一般的に、今の音楽と呼ばれるような性的なたわごとよりも、ずっとハッピーでポジティブで高揚感のあるものだった。
外出禁止の今聞くとまた違った感慨がある。
この曲は、決してレレバンス(※時代への適合性)を失わない。なんて素晴らしい、元気の出る作品なんだろう。 しばらくラジオからノンストップで流れていたのを覚えているが、今ではたまにかけなければならない。いつも私を元気づけてくれる。みんな元気でね、大変な時もあるけど大丈夫。精神的な健康を考えることを忘れずに、人生にイライラするときは自分に優しくしてあげてください。一日一日を大切に、そして短い道のりを楽しんでください。愛をこめて
わー、歌詞がとてもパワフル!この曲は、私がたくさんの個人的な問題に対処するのを助けてくれました。生きている実感と前向きな気持ちをくれる。みんな、強く生きてね!辛い時もあるけど、きっと乗り越えられるよ。ありがとうございました。
私は76歳だけど、この演奏は私の心を揺さぶって、立ち上がって踊りたい気持ちにさせるわ。
10年ほど前、この曲に命を救われました。私はとても落ち込んでいて、車で帰宅中に木に突っ込もうかと考えていたんです。突然、あなたの曲が流れてきたんです!泣き出してしまいました...ありがとうございます🧡私は諦めませんよ!
この曲は、私を重度のうつ病と自殺未遂から救ってくれました。感謝してもしきれない。ありがとうございました。
あなたの音楽は素晴らしい。そして私の命を救ってくれています。私は孤独を感じ、自殺を考えていたのですが、これを聴いて救われました。ありがとうございます。
歴史上最も過小評価されている曲の一つ。なんて美しい曲なんだ。
なんて美しい曲…多くの人の命を救ったに違いない。
この曲を聴くと、最後にはすべてがうまくいくような気がしてきます。そして同時に、泣きたくなる。
この曲はとてもポジティブで高揚感があり、そして最後は「権力者をぶっ飛ばす!」で終わるんだ。
単なる歌ではなく、賛美歌よ!90年代のベストソング。歌詞もクールだし、歌もうまい!あなたは音楽の才能がある!複雑な構成...才能が必要ね。最後の数行の言葉が深いわ。 「コートニー・ラブ、マリリン・マンソン..尻を蹴り上げるぞ

最後のコメントに関して:カート・コバーンは実は自殺ではなく、コートニー・ラブが殺したのではないかと疑っている人たちもいるのです。真偽は不明ですが、映画まで作られています。

マリリン・マンソン(本名ブライアン・ヒュー・ワーナー)の方は好き好んで「マンソン」を名乗っている時点でどんな人間か想像つくというものですが、アントン・ラヴェイのサタン教会の入会者であり、とてもわかりやすいサタニストです。

ハンドルネームgmize78さんは、曲の最後にこの2人の名前が出てきたことから、何らかの隠されたメッセージがあると思ったのでしょう。しかしこれは深読みに過ぎない可能性が高いです。当時、コートニー・ラブとマリリン・マンソンは、話題性のためにメディアで対立を煽ってプロレスごっこをさせていたようです。そういう販売戦略だったのではないでしょうか。

仲の良い2人。

ニュー・ラディルズの中心人物、グレッグ・アレクサンダーは、こういった虚飾に満ちた音楽メディアを揶揄したかっただけなのでしょう。

おそらく名前の語呂の良さで歌詞に盛り込まれただけのベックとハンソンは、結果的に巻き添えを食う形になりました。ハンソンは後にグレッグと楽曲を共作して和解済みです:

ベックにはスーパーでばったり出会ったグレッグが謝罪しています

ベック:食料雑貨店にいたとき、彼(アレキサンダー)が駆け寄ってきて、とても申し訳なさそうに、「気を悪くされたのでなければいいのですが。個人的なことを言うつもりはなかったんです。」と言っていたよ。彼は大きな男だから、なんだか嬉しかったよ。

しかし、やはりマリリン・マンソンにはとても禍々しいものを感じます。

マンソンの邪気払いに、私が一番好きなグレッグ・アレクサンダーの曲をかけたいと思います。これは彼が元BOYZONEのローナン・キーティングに提供した曲のデモ音源で、非常に残念なことに音盤化されていません:

Gregg Alexander - My One Thing That's Real (Demo)
グレッグ・アレクサンダー『私のたったひとつの真実』

I hope you feel, The same way I feel
あなたも 私と同じ様に感じていたらいいな
My one thing that's real
私にとってのたったひとつの真実
And I pray your mine, To the end of time
一緒にいれることを祈るよ 時の終わりまで
Thank god you're alive
あなたが生きていてよかった

In this world of pain, You've never changed
この苦痛の世界で あなたは決して変わらなかった
You're sun through the rain
あなたは雨に差す太陽

World look at us
世界よ 私たちを見て
We've got an everlasting love
私たちは永遠に続く愛を手にした
And I know there's a god above
天に神がいるとわかるよ
Because he sent you...you
あなたを遣わしてくれたのだから

This is our life, There's no time to fight
これは私たちの人生 争っている時間はない
You're my guiding light
あなたは私を導く光
World look at us, We've got an everlasting love
世界よ 私たちを見て 永遠に続く愛を手にした
And I know there's a god above
天に神がいるとわかるよ
Because he sent you...you
あなたを遣わしてくれたのだから あなたを

I hope you feel, The same way I feel
My one thing that's real

グレッグ・アレクサンダーの書いた『You Get What You Give』が、多くの人々に生きる力を与えた特別なゴスペル・ソングであることは明らかです。現在進行形で寄せられているコメントの全てがそれを物語っています。

だからこそ、とても残念なことに、彼は政治に利用されました。彼は2008年の米大統領選挙で、バラク・オバマ陣営に依頼されて、キャンペーン・ソングを作りました。

これはグレッグの曲の「健康保険はぼったくり」という批判的メッセージをうまく逆手に取られたのだと思います。この歌詞はすでにアメリカの老若男女の頭に刷り込まれていたからです。なんともずる賢い手口です。

多くの米国民と同様に、グレッグは騙され、利用され、結果は皮肉なものとなりました。

グレッグもこれに懲りて民主党の関係を断てばよかったのですが、今度はジョー・バイデンとカマラ・ハリスのイメージアップに利用されてしまいます。

New Radicalsが22年ぶりに再結成し、ジョー・バイデンの就任式で『You Get What You Give』を演奏することになった経緯は?それは長い話になる。

ニュー・ラディカルズがバイデン・ハリスの就任式の見世物の一部となったのには、2つの理由がある。

理由その1は、カマラ・ハリスの夫であるダグ・エムホフが、2020年の大統領選挙キャンペーンで『You Get What You Give』を個人的なウォークオン曲として使用したことである。

理由その2は、ジョー・バイデンの2017年の回顧録『Promise Me, Dad』によると、『You Get What You Give』は息子のボー・バイデンが癌と戦っている間、ボーが自分のテーマソングのようにしていて、朝食を食べながら流していたそうである。ボーは2015年に亡くなったが、ジョーは息子に敬意を表して、この曲のブリッジからこの歌詞を引用している:
This whole damn world could fall apart(この世界は崩壊するかもしれない)You'll be okay, follow your heart.(でも君は大丈夫、心の声に従って)

残酷な話だ。本当に、言いようのないほど残酷だ。

ボー・バイデンの場合は、本当にこの曲が好きで心の支えにしていたのだと思います。だから何も言えません。

音楽に感動するのに、右も左も、上も下もないということでしょう。普通これだけ幅広く多くの人々から愛されているミュージシャンであれば、レコード会社が大プッシュしてデモ音源集から何からリリースされてもおかしくないと思いますが、一向にその気配はありません。ニューラディカルズとしての唯一のアルバム『Maybe You've Been Brainwashed Too(あなたも洗脳されていたのかもしれない)』がアナログ化されただけです。

YouTubeのコメント欄の意見にもありましたが、グレッグ・アレクサンダーは過小評価されています。日本の音楽ジャーナリズムでもまともに取り上げられていません。彼についての海外記事が日本語に翻訳されないのです。音楽専門誌がやろうとしないので、仕方がないから自分でやります。

まずこれは、New Radicalsの解散後、初のインタビュー記事です:

見つかった星:ニュー・ラディカルズ、グレッグ・アレキサンダーが15年ぶりにインタビューに応じる(独占インタビュー)
ヒットシングル『You Get What You Give』を生み出した1990年代のバンドのフロントマンは、長い間の自暴自棄の後、オスカー最優秀オリジナル曲候補の『Lost Stars』を含む『Begin Again』の曲を書くために業界に呼び戻された。

スコット・フェインバーグ著 2014年10月14日 15時35分

これほど痛烈に書き記すことはできない。先週、私はニューヨークのホテルのロビーで、1990年代に活躍したバンドThe New Radicalsのフロントマンで、大ヒット曲「You Get What You Give」を発表した直後にグループを解散し、名声に背を向けたグレッグ・アレキサンダーに15年ぶりのインタビューのため、待ち合わせていた。エアロスミスのジョー・ペリーが私の前を通り過ぎ、ドアを出て、待ち構えていた大勢のファンの中に飛び込んでいった。ファンたちはサインやセルフィーを欲しがり、偉大な人物、あるいは有名人に触れる機会を求めて、彼に群がった。その横を、180センチの薄らハゲのアレキサンダーが歩いてきた。90年代後半、ビルボードチャートでエアロスミスの曲と並んでいたにもかかわらず、ファンの誰にも気づかれなかったのである。「あれを見た?」彼は子供のように驚嘆して、そして妬みのかけらも見せずにそう言って、私たちは握手した。

このインタビューが行われる部屋に行き、席に着くと、アレキサンダーはステレオタイプのロックスターから最も遠い存在であるように感じた。彼は、優しくて、繊細で、控えめで、私が彼と話すことに興味を持ったことにとても感謝している。彼は私を誘惑しているのだろうか?高校時代のパーティーで『You Get What You Give』が流れないことはなかったと思う。今でも聴いているし、大好きだ。そして、最近まで、この曲を歌った人はどうしたのだろうと定期的に思っていた。

アレクサンダーは、私がジョン・カーニーの『ビギン・アゲイン(邦題:はじまりのうた)』のファンであると公言してきたことが決め手となり、仲介を通じて私に最初のインタビューを申し込んでくれた。この映画のために、彼は自ら課した亡命から復帰して、オスカー最優秀オリジナル曲候補の『Lost Stars』を含む素晴らしい楽曲を作曲/共作している。私はこの映画が2013年のトロント国際映画祭で『歌は命を救うか』というタイトルで上映されて以来のファンだ。この低予算のインディーズ映画は、音楽の力、そして音楽業界の危険性(つまり、彼が昔、ある意味で音楽業界から足を洗ったこと、そして、現在ではさらに悪化していると彼が感じていること)について描いたもので、彼にとってこれほど意味のある創造的な試みは、ほとんどなかったろう。

『Lost Stars さ迷う星たち』
Please don’t see just a boy caught up in dreams and fantasies
そんな風に見ないで、夢と空想に囚われた少年ようだなんて
Please see me reachin’ out for someone I can’t see
見えない誰かのために手を伸ばしているんだ
Take my hand, let’s see where we wake up tomorrow
手をつないで、明日どこで目覚めるか見てみよう
Best laid plans sometimes are just a one night stand
一夜限りのつもり関係が、運命の出会いのこともある
I’ll be damned, Cupid’s demandin’ back his arrow
何てこと、キューピッドが愛の矢を返せと言う
So let’s get drunk on our tears
それなら、お互いの涙に酔おう
And God, tell us the reason youth is wasted on the young
神よ、教えてほしい、若さを無駄にしてしまう理由を
It’s hunting season and the lambs are on the run
狩りの季節、子羊たちは逃げ惑う
Searching for meaning
理由を探して
But are we all lost stars
でも、僕らは皆さ迷う星々で
Trying to light up the dark?
暗闇を光に照らそうとしているのだろうか?
Who are we? Just a speck of dust within the galaxy?
僕たちは誰なの?銀河系の中の塵の一片に過ぎないの?
Woe is me if we’re not careful turns into reality
悲しいかな、気をつけなければ現実になる
Don’t you dare let our best memories bring you sorrow
僕らの素敵な思い出を悲哀に変えないで
Yesterday I saw a lion kiss a deer
昨日鹿にキスをするライオンを見た
Turn the page maybe we’ll find a brand new ending
ページをめくれば、新しい結末が待っているかもしれない
Where we’re dancing in our tears
そこでは、僕らは泣きながら踊っているかも
And God, tell us the reason youth is wasted on the young
神よ、教えてほしい、若さを無駄にしてしまう理由を
It’s hunting season and the lambs are on the run
狩りの季節、子羊たちは逃げ惑う
Searching for meaning
理由を探して
But are we all lost stars
でも、僕らは皆さ迷う星々で
Trying to light up the dark?
暗闇を光に照らそうとしているのだろうか?

I thought I saw you out there crying, ooh
君が泣いてるのを見た気がしたんだ
And I thought I heard you call my name, yeah
君が僕の名を呼んでると思った
And I thought I heard you out there crying, oh
君の泣き声を聞いた気がしたんだ
Just the same, oh, yeah
どっちでも同じさ

しかし、その話の前に、アレキサンダーにとってすべてが始まった場所、モータウンに戻らなければならない。「私と母は車に乗って、デトロイト近郊のAMラジオを聴いていました。」と彼は言う。エホバの証人に育てられ、多様なグループの友人がいたアレクサンダーが好きな音楽は、ソウルやロックンロールばかりだった。ポール・マッカートニーの「Band on the Run」、エヴァリー・ブラザーズの「Cathy's Clown」、ジョージ・クリントンなどを聴き、家族のピアノで遊び、「他の人のメロディーを覚えることができなかったので、本能的に自分のメロディーを書いていた。」そして後にギターとドラムに集中したことを思い出す。しかし、13歳か14歳のときに『パープル・レイン』のプリンスを見たことが、私にとって大きな転機となった。」と彼は言い、R指定の映画に忍び込んだことに言及した。「『Let's Go Crazy』で頭が真っ白になったが、『The Beautiful Ones』を聴いたら、とどめを刺された。その時点で、カリフォルニアに逃げようと思ったんだ。」

アレクサンダーが最初にロサンゼルスを訪れた時は、母親と一緒だった。表向きは叔母を訪ねるためだが、実際は「秘密の研究開発のための旅」だったと彼は笑いながら言う。そこで彼は、「80年代半ばにまだ生きていた60年代以降の精神」を感じ、オープン・マイク・ナイトを訪れ、「文字通りグラミー賞に忍び込んだ」のだそうだ。そこで彼は「私のヒーローたち」を見て、「すべてが手の届くところにあるように思えた」と言う。彼は、自分の居るべき場所がわかったのだ。その夏、デトロイトに戻った彼は、「両親に『カリフォルニアに逃げてロックスターになる』と言ったんだ。」と振り返る。「母は私が本気だと知っていたが、父は『もしうまくいかなかったら、9月に学校に行くために必ず帰ってきなさい。』と言った。」

L.A.での彼の夏は、映画自体の焦点とも言えるかもしれない。アレクサンダーは、コンプトン、スタジオ・シティ、ノースハリウッドで暮らした。「そうでなければ、路上で寝ていたかもしれない」と彼は言う。彼は定期的に生のデモテープを持ち運び、「デトロイトのボロいスタジオで、肺のてっぺんで吠えている自分」をサンセット・ブルバードに持ち込み、そこで多くの励ましを受けた。「みんながみんな、『レコード契約してやるぞ、小僧』って言ったわけではないけれど、不思議なことに、天使がちょっと肩越しに見てくれているような気がした。」と彼は言う。

9月までにアレキサンダーは、A&Mレコードと制作契約を結んでいたレコードプロデューサーのジミー・アイオヴィンに会い、レコード契約を持ちかけられた。彼はまだ16歳で、18歳になるまで契約することは許されないが、それまでの間、ある種の「お小遣い」をもらうことになった。もうデトロイトに戻ることはできない。

それから2年間、アレクサンダーはバスに乗って海辺に行き、一日中、曲を書き続けた。1988年に18歳になったとき、どんな将来を思い描いていたのか、ソロ活動、バンド活動、あるいはそれ以外の活動か、彼にたずねた。「悲しい質問ですね」と彼は涙をぬぐった。彼は当時、「歌と情緒で世界の過ちを正し、人々が実際に愛し合うようになる」と信じていたという。しかし、彼の理想主義や楽観主義は、やがてビジネスという側面から脅かされることになる。

その後9年間、アレクサンダーは「いろいろな意味で、完璧なまでに自由を満喫」し、その大半はヨーロッパを旅しながら曲を書き、技術を磨いた。しかし、彼のキャリアはジェットコースターのように展開した。A&Mとの契約はしばらく続いたが、ポリグラムが5億ドルでA&Mを買収した直後に出した彼の最初のレコードは、「悲しいかな、ビジネスが大金になり始めた頃」であり、完全に迷走してしまった。

彼はすぐにまた無所属となったが、予想に大きく反して、2年後、彼は再びエピック・レコードと契約を結んだ。しかし、2枚目のレコードはグランジ全盛の時代に発売され、「死んだよ。自分じゃないから、そういう音は拒否したんだ。私はそれを偽ることができなかった。クリエイティブに自分の心に従わなければならなかったんだ。」その後、彼はそのレコード契約も失った。

27歳のとき、アレクサンダーはすでに最高と最低を経験しており、「すでに老練な魂のように感じていた」と言う。この時点で彼は「聴いてもらえないレコードを作ることに慣れていた」ので、新しい曲を書き始めると、「最初の2枚のレコードに適用されたいくつかのルール」を「完全に破り捨て」、3枚目を自分でプロデュースした。「3枚目のほとんどは、私がスタジオや以前のレコードで演奏したミュージシャンに便宜を図ってもらったもので、『ああ、グレッグは運が悪いな。おもしろ半分に彼のデモを演奏してみようか。それで一笑いしてビールを飲んで、ジョイントでも吸おうか』みたいな感じだったよ」と彼は回想している。

しかし、最終的には、このアルバムが強い印象を与えた。「私たちが捉えた『何か』を、当時の音楽業界は、すでにあまりにもビッグ・ビジネス的で、企業的で、認めてくれるとは思わなかった。でも、驚いたことに、誰かが僕と契約したいと言ってきたんだ。信じられなかったよ。」その誰かとは、マドンナと契約していたマイケル・ローゼンブラットで、彼は友人からアレキサンダーのデモテープを送られたのだ。通常、アーティストが最初の2つのレコード契約で「失敗」した後、3つ目のレコード契約を獲得することは前代未聞であり、普通なら一回しかチャンスはないものだ。しかし、アレキサンダーは、その例外を証明したのである。

1998年、「The New Radicals」の作品として、『Maybe You've Been Brainwashed Too』と題されたアルバムが発表された。その中のシングル『You Get What You Give』が、ビルボードチャートのトップ40に躍り出た。アレクサンダーは、「レコードが発売された直後にサンセット大通りを歩いていたら、誰かの車からこの曲が流れてきて、すぐに『大変だ、誰かが僕のデモテープを盗んだ!』と直感した」と笑顔で振り返る。「私も本当に真剣でした。それから1分後くらいに別の車から聞こえてきて、『なんてこった、どうやってこの人たちは僕のデモテープを手に入れたんだ!』って思ったんだ。」彼はその思い出に笑い声を上げる。(その後、U2のザ・エッジは「You Get What You Give」を最も「嫉妬する」曲として挙げ、ジョニ・ミッチェルは「軽薄音楽の沼地から希望の花のように咲いた」と断言し、VH1は「90年代の偉大な100曲」のひとつにこの曲を選んだ。

アレクサンダーは、本格的なロックスターになったのである。それに付随する全てを伴って。彼は、「ツアーは楽しかった。ライブで演奏するのは刺激的だった。ただ、オフボタンがあればよかったと思うんだ。もし現代のポップカルチャーが、仕事とパフォーマンス、そして自分のやっていることを好きになってくれる人たちにある種の幸福感を与えることだけだったら、ステージを降りたときにそれをオフにする方法があったら、それは地球上で最も素晴らしい仕事になるだろうね 。」と言う。ああ、それ以上のことが求められるのである。

「私の好きな作家やアーティストの作品には、人間や政治の理念の側面があり、それが私の原動力にもなっていました。」とアレクサンダーは言う。しかし、「その気持ちの一部でも伝えるのは困難な挑戦だと、私はおそらくあまりにも早い段階で感じてしまったんだ。」と彼は嘆く。彼はさらに、「『You Get What You Give』という曲で実験的に、当時はかなり長い間見ることがなかったとても政治的な歌詞を書いたのだけれど、それは一緒に仕事をしていた何人かが怖がるほどだった。」と説明する。「ポップソングの中で、私は健康保険会社と腐敗、つまり「健康保険のぼったくり」、FDA(食品医薬品局)と実態のない麻薬戦争の偽善、「大銀行家」とウォール街を非難していたのです。そういうことをすべてポップソングの中で暗示してしまうというのは、今思えば、ナイーブでクレイジーな提議でした。」その政治的なリフの直後に、コートニー・ラブや当時のポップ・カルチャー界の著名人を叩く歌詞を「ほとんど冗談のように」挿入したのだと彼は言う。「でも、この2つの歌詞を並べると、皆が、自分たちを押さえつけている権力者について歌っているこの歌詞ではなく、いわゆるセレブ叩きの歌詞に注目していることに気づいたんだ。」彼はつぶやくように言う。「それによって私は幻滅してしまった。」

また、アレクサンダー自身が有名になることは、彼にとってますます悩みの種となった。「芸術家は人生を観察するものだ」と彼は言いい、人々から観察を受けずにそれを行うことが難しくなった。しかも、人々は芸術よりも彼の私生活について知りたがった。「私の好きなアーティスト、プリンス、デイヴィッド・リー・ロス時代のヴァン・ヘイレン、そして最先端の仕事をしていた頃のマドンナでさえ、彼らは私にとって謎を秘めた存在だった」と彼は強調する。「彼らの作品は、30秒ごとにツイートされたり、フェイスブックにアップされたりしないところが魅力的でした。プリンスが夕食に何を食べているかなんて、知る由もない。それが良かった。だから、それが私が理想としていた、アーティストの生活として思い描いていたことだったのです。」--ただ、その時代はすでに過ぎ去り始めていた。

しかし、アレクサンダーにとって最も耐え難かったのは、業界そのもの、つまり「レコード会社や、アーティストが音楽を世に送り出すためのすべての経路を所有する企業や多国籍企業を経営する大企業」が、彼や他のアーティストに対して、芸術活動を続けるために「魂を売る(Whore Out)」よう求めていることだろう。例は?「例えば、放送局の宣伝で、『パーティー・ピッグと愉快なひとときを!』と言わなければならないようなことです。(パーティー・ピッグは、LA地区の今はなきKQLZ 100.3 AMのマスコットだった。)こちらはニュー・ラディカルズのグレッグだ!みんなはパーティ・ピッグと愉快に過ごしている!「パーティ・ピッグ」というのは、今日に至るまでアーティストがしなければならないあらゆることの比喩で、当時でもそれは悪く見えましたが、今ではそれが1000倍酷くなっています。アーティストにとって、それは悲しい交換条件のようなものです。それは悪魔との取引なのです。自分の作品を世間に見てもらいたければ、残念ながらそれは作品だけの問題ではありません。そして、それが芸術についてでなくなったとき、芸術は苦しむのです。」

「自分が芸術家だと感じられた毎日、曲を書いていた毎日、自分の時間がコントロールされ、企業の株主に答えるために管理されているように感じない毎日を失ったことが、単純に寂しかったんだ」とアレクサンダーは言う。さらに、「昔の生活が恋しかった」と付け加えた。そこで1999年、『You Get What You Give』がビルボードチャートのトップに接近したわずか1年後に、彼はThe New Radicalsを解散し、名声と富に背を向け、ただ立ち去ったのである。

15年後、私は彼に、脚光を浴びる人生のプラグを抜くのが早すぎたと思うことはないかと尋ねた。「素晴らしい思い出がたくさんあるし、素晴らしいことがたくさんあった」と彼は言い、特にファンとの心の交流を強調した。「『後悔先に立たず』とはよく言ったものです。今にして思えば、逆に積極的に、目隠しをしてアクセルを踏み続けることもできたし、そうすべきだったかもしれない。でも、28歳のとき、音楽を作ることが私の人生のすべてだったのが、突然、機械のわき役や創造性の対極にあるようなことに変容し始めたのです。」

その時点で、アレクサンダーはロンドンに移り住み、音楽的に創造的でありながら、匿名性を保つ方法を見つけることを目指した。「イギリスのレコード会社と『ルシアンおじさん』に感謝しています」と彼は言う。これは、ユニバーサル・ミュージック・グループのチーフ、ルシアン・グレンジが、ペンネームを使いながらUMG所属アーティストのために曲を書き、プロデュースする「オープンドア・ポリシー」を彼に与えたことを指している。

「私は、楽曲自体の意志作用で、人々がそれを好きになったり、そうでなかったりすることを望んでいたのです。」と彼は説明する。「それによって、私は何かやることができますし、また、私が表に出て犬や子馬のショー(見世物の宣伝)をする人間にならなくても、私の音楽が人々に聴かれているという実感を得ることができたのです。」

アレクサンダーは、ソフィー・エリス・ベクスターの「Murder on the Dance Floor」やローナン・キーティングの「Life Is a Rollercoaster」など、ヨーロッパ全域で6曲のヒット曲を短期間に書き上げた。そして、ソニー・ミュージックエンタテインメントのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるクライヴ・デイヴィスが、アレクサンダーとリック・ノウェルズが共作した「The Game of Love」をサンタナというアーティストと組み合わせ、「それはサンタナが録音するような曲ではなかったのに」と彼が驚嘆するほど、大ヒットする結果となり、アレクサンダーはグラミーを受賞した。

「別の名前を使って、5年間ほどやっていました」と彼は言う。しかし、そうして離れたところから見ていても、彼は音楽ビジネスが「変容し、より企業的になっている」と感じ続け、「その時点で(再び)一歩引きました。」アレクサンダーは、ヨーロッパ、ニューヨーク、ロサンゼルスを行き来するようになり、浄水プロジェクト、貧困緩和、オフショア口座とデリバティブへの課税を促進するロビンフッド税などの、音楽とはまったく関係のない仕事を引き受けるようになった。

そんなアレクサンダーに、2年ほど前、脚本家・監督・ミュージシャンのジョン・カーニーから電話がかかってきた。カーニーは、同じアイルランド人のボノからアレクサンダーの連絡先をもらっていた。ボノはアレクサンダーの作品に常に協力的であり、カーニーが2007年にオスカーを受賞したインディーズ映画『Once』(映画好きのアレクサンダーはこの映画を観て気に入っていた)の続編で、音楽を中心にした『Can a Song Save Your Life?』に彼のソングライター仲間が大きな助けになるだろうと感じたのだった。「カーニーとは90分ほど電話で映画や音楽の話をしていて、彼が間違いなく天才であることが早い段階で明らかになりました」とアレクサンダーは振り返る。

カーニーはアレクサンダーに脚本の草稿を送り、若いカップル、グレッタ(当初はスカーレット・ヨハンソンが演じることになっていたが、最終的には「信じられないほど勇敢な」歌の初心者キーラ・ナイトレイが演じることになった)とデイヴ(ポップスターのアダム・レヴィーン)は、彼がスターになり彼女が置き去りにされてしまったことで疎遠になるが、落ち目のレコード会社社長ダン(マーク・ラファロ)に発見されることになる、という話だった。アレクサンダーは、「脚本を読んだとき、私は完全に不意を突かれました。」と振り返る。グレッタの音楽への純粋な愛、デイヴのスターダムへの衝撃的な経験、ダンの今日のビジネスの状況への幻滅など、すべての主要登場人物に「多かれ少なかれ、自分自身の投影を見た」と認め、このプロジェクトに参加する機会を逃すことはできなかったという。「休憩から足を洗うきっかけになった」と語る彼は、そう決心した途端、「もうガンガンやりましたよ。すぐに曲作りを始めました。」

もう20代後半の子供ではなく、40代前半の男性になった彼は、マイクの前ではないが、マイクを持つ人たちが演奏するのに最高の楽曲を提供できるようにと、戻ってきた。彼が特に完璧に作らなくてはならないとプレッシャーを感じていた一曲がある。カーニーが映画の大半を構成し、暗黙のうちに映画のタイトルのインスピレーションとしたこの曲は、劇中ではグレッタがデイヴへのクリスマス・プレゼントとして書き、ソウルフルで「無邪気な」歌声を披露し、デイヴが「どちらかと言えば余計なアップテンポのダンス・バージョン」としてカバーしてヒットさせる。そしてそれは、最終的に2人の関係の運命を決定づける形で、3度目の正直としても披露されることになる。

この曲は、3回それぞれのバージョンで良い音を出す必要があり、彼は「謙虚な意味で」この映画の「パープル・レイン」、つまり「映画の最後に、うまくいけばすべてを結びつける曲」だと考えていたのだ。

アレクサンダーと共同作曲者のダニエル・ブリスボワ、ニック・ラシュリー、ニック・サウスウッドは、『Lost Stars』と名付けたこのナンバーに猛烈に取り組んだ。彼は、「目標は、歌詞や情緒のひとつひとつが、それ自体が物語となり、思考になるのと同時に、人生の大きな謎、つまり、私たちは皆、この人生においてただ行き交っているということを表現することでした。」と振り返る。「私たちはさ迷う星々(Lost Stars)に過ぎません。私たちは地平線上に見える一筋の閃光なのです。」アレキサンダーは続ける。「この曲は、おそらく人生で書いた中で最も悲しい曲で、高揚感を出すためにメロディとコードを変形させなければならなかったほどです。」それは成功した。カーニーはこの曲を気に入った。「『Lost Stars』をジョン(・カーニ)に渡したとき、彼がキーボードの上で泣いていたという、とても美しいメールが返ってきました。あれは、コラボレーターとして最高の経験でしたよ。」

アレクサンダーは、自分の音楽を中心に展開される映画の完成品を初めて見たとき、涙を流していた。そして、夏に『Begin Again』というタイトルで劇場公開されて以来、多くの人々が『Lost Stars』が自分にとって意味のある曲だと言ってくれることに、深く感動しているそうだ。「この曲を聴いて、悲しみの涙ではなく、喜びの涙を流してくれる人がいるという事実。それが一番嬉しいことなんです。」また、映画は今、アーティストが意義のある作品を発表するための理想的な手段であると考えている彼は、音楽の出口を映画の中に探し続けたいと思うようになったそうである。「重要なメッセージを持ち、権力と闘うインディペンデント映画やスタジオ映画は、新たなロックンロールだ」とアレクサンダーは主張している。

それでは......彼は今、「長期休暇とサバティカル(研究休暇)」と呼んでいたものから「戻って」きたのだろうか?

まあ、最初に彼をビジネスから遠ざけた懸念は、確かに消えてはいない。「ロックンロールは、悲しいことに、横ばいになり、消滅してしまった」と彼は嘆く。「歌詞がビートとサウンドの添え物になっているのを見るのは心が痛みます。私の好きなアーティストはちゃんと全てをまとめ上げていました。」さらに、彼はいまだに「音楽の企業化、セレブリティ中心の白痴化した音楽」への警戒心が消えずに残っているという。「つまり、次のディランやプリンスを探そうとするのではなく、見た目や、エゴ丸出しの風変わりなビデオの再生回数でアーティストと契約することです。ベッドルームで音楽を作っているような変人、人非人、奇人。それが常に音楽業界の仕事だったのです。」そして、有名人に執着する文化は悪化する一方だという。「アーティストにとって、夢は自分の芸術で人々に感動を与えることです。今は、アーティストが自撮り写真の小道具になっているようです。」

そして、彼は自分が表舞台に立つことを必ずしも望んでいない。「ただステージを歩きながら、あの電気的なエネルギーを感じること、それは私を超越していました。それは自分が本当は属していない不思議な別世界のような感じでしたが、楽しかったです。」

それでも彼は、「私は復帰しました。今までで最高の音楽を書き続けたいと思っていますし、願わくば他の芸術分野では言われないようなことを言う方法を見つけたいです。」そして「これらの曲をうまくいけば世界に届けることができるような適切な声(歌手)やプロジェクトを見つけたい」とも言っている。

彼の歌声が、再びそのような歌声のひとつになる可能性はあるのでしょうか?と聞くと、アレクサンダーは笑いながら「あれまあ!また連絡するよ。」と言った。

グレッグ・アレクサンダーの共作者として名前が挙がったダニエル・ブリスボワは、元子役で、わりと有名な女優さんでした。

グレッグは、2枚目のソロアルバムで「死んだ」1992年から2年後に、ダニエル・ブリスボアのファースト・アルバムを共作しています。これが4年後のニュー・ラディルズのアルバムに勝るとも劣らない傑作なのです。

グレッグはプリンスから多大な影響を受けていることがよくわかりました。言われてみれば確かに、ゴスペル的に情緒が高まった時の歌い方がよく似ています。そして、プリンスもまた、悪魔に魂を売らなかったミュージシャンです。

プリンス、セックス、暴力、音楽の影響について語る 1999年 MTV

インタビュアー:今日の音楽を聴いていて何を感じますか?「もっと何か出さなきゃ」「これをやらなきゃ」と思ったことはありますか?

プリンス: 主に、音楽の中に大きなネガティブさとエントロピーを感じました。私たちが本当に取り組まなければならない崩壊が進行しているのです。私たちの価値観は大きく損なわれています。VH1はいいでしょう。自分たちのチャンネルではあまりクレイジーなものを見せない。しかし、他のバイアコム・チャンネルでは見せている。

だから、このことが文化に何をもたらしているのか、コミュニティとして取り組むべきだと思います。人々が、「この子たちが音楽を聴いたせいで誰かを撃ちに行くなんて、根拠がない。」と言うのは勝手ですが、きっかけになっている何かがあるのです。

インタビュアー:あなたはアーティストとして責任を感じますか?

プリンス:とても感じています。

インタビュアー:他の人々は責任を感じていると思う?

プリンス:いいえ、思いません。

(編集点)

インタビュアー:今、流行っている音楽について話していますね。あまり良い影響を与えないと思うものについて、何か特定のタイプの音楽のことを言っているのですか?

プリンス:言葉や歌詞を聞けば、それが啓発させるものか意気消沈されるものかは一目瞭然でしょう。

インタビュアー:ヒップホップはよく叩かれますね。マリリン・マンソンも叩かれます。コーンも叩かれる。 そういう人達が沢山います。そういう話をしてるんですか?

プリンス:そういう話ではありません。

インタビュアー:違う?

プリンス:真実の話をしてるのです。

インタビュアー:一般論?

プリンス:そう。真実は、啓発するためにここにいるのか、意気消沈させるためにここにいるかのどちらかだということです。

インタビュアー:あなたはどう思います?1982年、80年代に音楽を発表して頃と比べると、あなたは明らかに大きく成長し、変化しました。しかし、あなたは常に極めて性的な音楽を出す人だと思われていました。それはあなたにとって問題ではないのでしょうか、それともあなたが問題にしているのはもっと冒涜的なことについてなのでしょうか?

プリンス:ええ、性的なことは悪いことではありません。性について話すことはとてもスピリチュアルなことで、それも神から授かった恵みです。そうではなくて、私が言っているのは、単なる崩壊のことです。そこではもはや真実が語られていないのです。暴力的なイメージが私たちの社会と音楽に浸透しているでしょう。そして、サンプリングも手に負えないところまで来ています。もうすぐ、すでにサンプリングされたサンプルをサンプリングするようになるでしょうね。

インタビュアー:誰かがマライア・キャリーが最新アルバムで自分の曲をサンプリングしたというジョークを言っていました。(苦笑)

(編集点)

インタビュアー:あなたは自分の成功をどのように計りますか?

プリンス:そうですね・・・あのラッパーは誰だったかな?そう、マスター・Pは「俺を裁けるのは神だけだ」と言っていましたよ。そういうことです。神のみが私を裁くことができる。

インタビュアー:なるほど。

プリンスはジョニ・ミッチェルを敬愛していました。

Oh I am a lonely painter
私は孤独な絵描き
I live in a box of paints
絵の具の箱の中で 暮らしている
I'm frightened by the devil
私は悪魔に怯える
And I'm drawn to those ones that ain't afraid
だから恐れを知らない人に惹かれる

ジョニ・ミッチェル『A Case of You』より抜粋

そしてプリンスを敬愛するグレッグ・アレクサンザーの曲をジョニ・ミッチェルが絶賛していたことから、それぞれがお互いの音楽に通じ合う「何か」を感じていたことがわかります。

もう一つ翻訳したいグレッグの記事があります。これは2018年、『はじまりのうた』の仕事でのカムバックから5年後のインタビューです:

いつまでもラディカルに:グレッグ・アレキサンダー、引退、再出発、そして歌が革命を起こすと信じる理由とは? (ビルボード誌)

90年代後半のグループ、New Radicalsのソングライターでありマスターマインドである彼は、3度この業界を去った。しかし、彼はいまだに復帰の道を探し求めている。

By Steven J. Horowitz
11/12/2018

90年代後半の一発屋バンド、ニュー・ラディカルズのフロントマンとして知られるグレッグ・アレキサンダーが姿を現したのは、小雨降る秋のニューヨークの夜だった。その姿を見逃すわけにはいかない。イーストビレッジのトンプキンス・スクエア公園の木陰で、身長185cmの大きな体格を持つ彼は、キャリアの初期によくバスキング(※音楽を演奏して帽子にお金を入れてもらう)をしていた。今日の彼はトレードマークのバケットハットの代わりにベースボールキャップをかぶり、姿勢を正すための靴を履くなどして、さりげなく着飾っている。

「念のため、傘を余分に持ってきたよ。」と言う彼。私はすでに持っていると言うと、「じゃあ、ここに置いておくよ。」彼は公園を囲む鉄の手すりに歩み寄り、傘を引っ掛けた。

元ポップスターで、スポットライトを浴びた途端、その座を降りたアレクサンダーは、こうした小さな親切を積み重ねてきた。彼はおしゃべりだが物思いに沈んでいるようであり、好奇心旺盛だが自信ありげで、いつでもウェイターに礼が言えるようにポケットに20ドル札を忍ばせているほど気前がいい。そして、あらゆる場面で、尊敬する人たちを「素敵な人たち」と表現する。名声にこだわらない人物のエゴのない親しみやすさがある。そう、彼は一度も名声を気にしたことがない。音楽業界の陰湿さを知って、すぐに音楽業界から足を洗い、チャリティー活動や他のアーティストを媒介にした自由な曲作りに専念するようになったのも、そのような本能があるからだろう。

その陰で、彼は素晴らしいキャリアを築いてきた。コンテンポラリーポップの一匹狼として、彼のグループが輝きを放ってから20年。2002年にビルボード・アダルト・トップ40とアダルト・コンテンポラリー・チャートで首位を獲得したサンタナとミシェル・ブランチの『The Game of Love』、イギリスでそれぞれ1位と2位を獲得したローナン・キーティングの『Life Is a Rollercoaster』とソフィー・エリス・ベクスターの『Murder on the Dancefloor』などのヒット曲を作曲、2014年には映画『Begin Again』のサウンドトラックで、『Lost Stars』によるアカデミー賞オリジナル楽曲部門ノミネートを獲得している。

彼は、ライナーノーツを勉強しない人たちの間では、自分が比較的無名であることを楽しんでいる。「私の創造的な感情の健康を感謝しています。うまく言い表せませんが、ある時点で音楽ビジネスは私にとって趣味に変わったと思います。」と彼は後で説明している。アレクサンダーは、2014年、そしてその前の1999年以来、実質的なインタビューに応じていない。今、彼はローワーイーストサイドにあるホテルの誰もいないロビーで、安いコーヒーを片手に、ギシギシ言う革張りのリクライニングチェアに座っている。「だからといって、音楽で生計を立てていないわけではありません。でも、心の奥底では、偉大なロックンロールの歌や偉大なポップ・ソングは、革命を引き起こすことができると、今でも信じているんです。」

48歳のアレキサンダーは、アーティストとしての最初の大きな襲撃であり、政治的破壊活動であるニュー・ラディカルズを結成せざるを得なかった時と同じ視点を、多くの点で持ち続けている。「私が世の中に言えることのほんの一部でも、音楽を通してしか言えないと思ったんです。それをもし屋上で叫んだりしたら、どこかで拘束服を着る羽目になると思いました。」

80年代後半から90年代前半にかけて、2つのソロ契約と2枚のアルバム制作に失敗した後、彼はデトロイトとロサンゼルスのダウンタウンのスタジオで、ミュージシャンの友人たちとデモテープをかき集めた。その多くは、カセットからそのままマスタリングされ、10月16日に発売20周年を迎えた『Maybe You've Been Brainwashed Too』となった(最初の3曲を除く)。その当日、彼は受け取ったメールでそのマイルストーンを思い出したのだった。この作品は、「実はソロプロジェクトだった」と彼は言う。そして商業的なジャガーノートはあまりなかった。

ビルボード200の最高位は41位で、シングル曲は『You Get What You Give』1曲のみで、Hot 100では36位と控えめな結果だった。

今日、『Maybe You've Been Brainwashed Too』は、アレキサンダーのメジャーセブンス・コードの才能と、魅力的なコーラスが思わぬところで発揮された、極めて不朽のポップ集として知られている。メランコリックな『Someday We'll Know』のビデオはYouTubeで1100万回再生されており、グループはシングルを出す前に解散したが、ホール&オーツやマンディ・ムーアが別途カバーし、第二の命を吹き込まれた。『You Get What You Give』は全盛期、Total Request Liveのカウントダウンで、マックス・マーティン制作の巧妙な成り上がり者ポップや、KornやLimp Bizkitといったバンドのニューメタルの波に寄り添うように流れていた。この曲は、明るく軽快なピアノと流れるようなパーカッションがアメリカ企業に対する叫びを軽やかにしてくれるという音楽的楽観性だけでなく、メジャーレーベルがミュージシャンを商品として位置づけつつあった時代に、その芸術的手腕でも際立っていた。

レコード会社や報道関係者の多くは、私が点けようとしていた大きな火の粉をあおるのを手伝おうとはせず、困惑していたと思う」とアレキサンダーは振り返る。「もし、そのまま続けていたら、私は撃ち殺されていたかもしれないのだから、これでよかったのかもしれない。」

そんなに深刻な話だったのか?彼は長い間、沈黙した。「現状に挑戦するという意味で、私や他のアーティストがどこまで足を踏み入れていたかについて、本人以外の誰が言えるだろうか」と彼は問いかける。「もし私が、社会、テクノロジー企業、大企業の行く末について、一般の多くの人々が感じていることを代弁し続けていたら、ある時点で、『アーティストに、セックス、ドラッグ、ロックンロール以外のことを話してもいいなんて思わせてはならない』という協調的な取り組みが行われていただろうね。」

ある意味、『You Get What You Give』は彼のホールマーク(純度の証)であり、かつてないほど壊れた社会に対する彼の信念の結晶である。この曲は、世界中のカラオケ・バーをひとつにする曲でありながら、我々の文化の表面性を表現した歌詞を初めてスクリーン上で読んだリスナーに衝撃を与える。(最も顕著な例として「健康保険はぼったくり 嘘をつく/FDA 大銀行家は買う/偽のコンピューター・クラッシュ 食べる/クローン 増殖している間に)彼はこの曲を、一行一行が最後の言葉が始めに来るようにという目標をもって、作曲の練習として組み立てた:「Four A.M., we ran a miracle mile(朝4時 ミラクルマイルを走った)」は、ロサンゼルスのミラクルマイル周辺に住んでいた頃のことを指しており、不謹慎な軽薄さを楽しんでいる。「We're flat broke but hey we do it in style(一文無しだけど、格好いい生き方だ)」は、2年間街中でカウチサーフィン(居候生活)していたことやソロアーティストとして脱落してしまった時のことを指している。

コートニー・ラブやマリリン・マンソンの名を出したセレブリティへの非難が、メディアの反応としてクローズアップされたが、彼はそのようなことを意図していなかったのだ。「私は、世界中のラジオで流れるポップソングの中で、私が権力者たちに挑戦しているつもりだったものに対して、このばかげたセレブリティのバッシングの方に焦点を当てられたことに、少しがっかりしています。そのような政治的な歌は、それまでの20年ぐらい(※1978~1998)出ていなかったんです。」それでも、標的にした人たちからの反発はなかったという。「もちろん、そんなことは起きませんでしたよ。私は大男で、アイス・キューブという名のクレイジーなマザーファッカーですから。」と彼は冗談を言った。(※ギャングスタラップの歌詞からの引用)

『You Get What You Give』は、アレクサンダーのキャリアに当てはめると、詩的な皮肉が効いている。この曲が成長し始めると、彼のファン層も広がった。2000年、ジョニ・ミッチェルはこの曲を「私が長い間好きだった唯一の曲」と呼び、彼を「私好みの熱のあるホワイトボーイ」と呼んだ。アレクサンダーは、彼のヒーローのプリンスとジョージ・マイケルに会った時のことを思い出す。彼らはどちらも『Maybe You've Been Brainwashed Too』を絶賛した。しかし、称賛の声が高まるにつれ、彼は曲の中で嘆いたまさにその企業の強欲さへの嫌悪感も出てきた。彼がこのプロジェクトを中止するきっかけとなった特定の瞬間があったわけではない。その代わりに、彼はこのプロジェクトに伴うプロモーションの責任を挙げている。「私の生活は取り返しのつかないほど変わりつつあり、もはや毎日音楽についてではなく、スターの機械装置に付随する多くの狂気についての生活になっていました。」

「言うなれば、夢の工場の中を見学者として見てきたのです。許可証も手に入れました。」彼は続ける。「それが現実に起こり始めて、不正や政治や意義深いことについて話したいと思ったとき、支援体制が全くなかったんです。私をバックアップしてくれる人は誰もいなかった。私は若くて幻滅していたし、ラジオ・ケーブル会社の統合や大企業について、壁に書かれた文字をかなり見ていました。」

ニュー・ラディカルズのメンバーで、アレキサンダーと長年にわたって仕事をし、『Lost Stars』を共同作曲したダニエル・ブリスボワは、それを直接目撃した。「1999年当時でさえ、私たちは音楽ビジネスとメディアがどこへ向かっているのか、ぞっとしたものです」と彼女は言う。「グレッグは、『キャリアを積んだロックスター』ではなく、『日々のアーティスト』に戻りたいと考えていました。彼はその仕事に対して、あまりにも寛大というか、ナイーブな精神を持っていたのかもしれません。彼は謎めいたパフォーマーで、ツアーのアンコールではよく観客をステージに押し上げ、踊ったり飛び跳ねたりしていましたが、人々が彼につかみかかって離さないことに驚いていました。その子供のような驚嘆が、ちょっと美しかった。」

アレクサンダーは、「どうなっていたか」をあまり気にしていない。その代わりに、彼はニュー・ラディカルズの没落をそのルーツに辿り、急成長した自分の名声をホテル・カリフォルニアになぞらえ、名声がすぐに監獄になってしまうことを暗喩している。「28歳の痩せっぽちのクソミュージシャンが、突然、人々のボーナスや大きな目標のためのパイプ役になったんです」と彼は言う。「私の中には、このままでは破滅してしまうという思いがありました。ホテル・カリフォルニアから逃げ出すチャンスは一度きりだと思ったし、そのためにはあのクソッタレを焼き払うしかないと悟ったんです。」

彼は肩をすくめる。「5枚か6枚のシングルが出ていたら、あと1枚売れていたか、あと2000万枚売れていたか、誰にもわからない。誰も知らないし、今のところ気にもしていない。でも、アーティストというビジネスから離れたときは、感謝しました。その状況から自分を引き離したとき、私が今持っているのと同じものがそこにありました。何百ものポップ・ソングです。」

1999年にニュー・ラディルズを解散した後も、音楽はアレクサンダーの生活の中に常に存在していた。それ以来、彼は『Maybe You've Been Brainwashed Too』の続編となるアルバム7から10枚分ほどの曲をレコーディングし、マスタリングしている。彼はおそらくそれらをリリースすることはないだろう。「スティングはかつて、音楽はそれ自体が自分への報酬であると言いました。」と彼は説明する。「その意味では、私にとって音楽は自分へのご褒美なんです。今でも時々、レコードを出したいと思うことはあります。おそらく私が死んだら、毎年レコードが出るかもしれません。」

彼が卓越し続けるのはソングライターとしてである。アレクサンダーの曲には透かしがあり、それは作家が励むことによってのみ曲の上に残すことができるものだ。アコースティックギターの重低音、雄叫び、ハンドクラップ、ロマンスについての魅力的なもの想いなど、彼の名曲を並べると、そこには一本の線が通っているのだ。そして、インターネットに流出したデモや、インタビューの前に彼がメールに添付して送ってくれたデモには、どこかほころびや親しみがあり、とても情熱に満ちているので、その音楽的説得力は他のアーティストが録音したバージョンに肩を並べるほどだ。

「グレッグの作家としての最大の強みは、魂を揺さぶるような歌詞とメロディのアイデアが、一見何もないところから現れることです。」とブリスボワは言う。「午前3時にモロッコの列車の中でアコースティックギターとボロボロのカセットデッキを持っていても、カリフォルニアのど真ん中にある巨大なスタジオでも、素晴らしい曲を書くことができるんです。彼はコールドプレイやマックス・マーティンのように大物になることは簡単だったと思うけれど、名声やゲームは彼にとって本当に重要なものではなかったのよ。」

ニュー・ラディカルズ解散後、アレクサンダーはイギリスに渡り、ノッティングヒルに居を構えた。音楽業界は彼のことを決して忘れなかった。ロンドンに落ち着くと、クレイグ・カールマンルシアン・グレンジといった音楽界の重鎮たちが彼に電話をかけてきたし、クライブ・デイヴィスコリン・バーロウもそうだった。「クライブは私を怒鳴りつけるために電話してきたのかと思った」と彼は微笑みながら言う。「彼は、『私は本当に君のバンドを信じている。もしレコードを作りたいなら......』って。」

これらの電話の結果、他のアーティストのために曲を書く機会が増え、彼いわく、クリエイティブな面では「白紙委任」されたのだそうだ。ローナン・キーティングは彼との仕事を懐かしく思い出す:「グレッグは、私がこれまで光栄にも一緒に仕事をしてきた中で、最もインスピレーションを与えてくれるソングライターの一人です。彼はソングライティングに関して、境界や障壁を気にしないところが好きです。彼は心から曲を書き、自分の曲に100%コミットしている。それは本当に人の心に伝染するものだと思います。」

メイシー・グレイ(そのバージョンは未発表)とティナ・ターナー(その演奏は2007年のサンタナのグレイテスト・ヒッツに収録)がデモをした『The Game of Love』は、結局、彼の最大のヒット曲となった。しかし、2003年にサンタナとブランチがこの曲でグラミー賞のベスト・ポップ・コラボレーション・ウィズ・ボーカル賞を受賞した後、昔のような幻滅感がよみがえった。アレクサンダーは、自分のカタログをいくつかの音楽出版者に売ったが、マスターは手元に残した。「私はそれほどクレイジーではない、そんなことは決してしません」と彼は言う。

それでも彼は、何度も連絡をくれれば誰とでも仕事をする気でいたが(これが、今日、彼が新しいアーティストと仕事をするときの基準になっている)、彼のアイドルたちに会うために業界の集まりに何度か顔を出す以外は、ほとんど人前に出なくなった。ビリー・アイドル、ライオネル・リッチー、アレサ・フランクリンなどのアーティストのことを、彼は真の音楽ファンならではの熱烈さと感謝の気持ちで語っている。そしてアレサ・フランクリンは逝去前に『Lost Stars』を称賛した。彼は「私が3分の1でも業界に足を踏み入れた理由は、スモーキー・ロビンソンのような人たちに会った時のぞくぞくする感じです」と語る。

アレキサンダーの計算では、彼は(完全に去ることはできないようにみえる)この業界を3回引退している。彼の情熱は、慈善事業とより良い世界をつくることだという。『The Game of Love』の成功をきっかけにカタログを売却した後、サハラ以南のアフリカの貧困緩和のためのアドボカシー活動に乗り出し、NGOと協力して「7桁前半(数億円)」の寄付を様々な団体に行った。オプラ・ウィンフリーやバラク・オバマ大統領など、利他主義の仲間を寛大にほめたたえ、大統領就任前のオバマ大統領の自宅で会い、世界基金のためにもっと努力するよう催促したことを回想している。

2014年、ジョン・カーニー監督の映画『Begin Again(はじまりのうた)』で彼は引退の機会を再び奪われた。それはアレクサンダー自身の業界における経験とこれ以上ないほど合致していた。この映画は、ニューヨークの若いミュージシャン(キーラ・ナイトリー)が、名声を求めた元カレ(アダム・レヴィーン)に捨てられた後、失脚した重役(マーク・ラファロ)と共にアルバムを書き、レコーディングを始めるというものだ。この作品は、企業の強欲さと創造性の収益化を軽やかに非難するもので、アレクサンダーがキャリアを通じて経験したことを忠実に再現している。

「音楽ビジネスの表面的な部分の多くに幻滅したんです」と彼は言う。アレクサンダーは話を中断し、私たちが座っている場所のすぐ近くで『Begin Again』が撮影されたことを指摘した。「そして願わくば、その歌詞が脚本に、私たちは皆、さ迷う星々(Lost Stars)なのだという概念を吹き込んでくれたらと思います。私もある点では1つのさ迷う星です。もし今までに7枚のアルバムを出していたら、もっと大きな、本当の運命から遠ざかっていたかもしれないですからね。」

『Begin Again』は、800万ドルの予算で6,000万ドル以上の興行収入を上げるヒット作となった。また、ストリーミングサービスや飛行機で大きく取り上げられ、ユビキタスに偏在する作品となった。『Lost Stars』はアカデミー賞にノミネートされ、コモンとジョン・レジェンドの「Glory」はそれを打ち負かした。アレクサンダーは、予想通り、気にすることはなかった:「その年、#OscarsSoWhiteキャンペーンが起こったという事実の影で、歌曲賞を除いてアフリカ系アメリカ人の素晴らしい作品が賞賛される部門がなかったことは、映画ビジネスがいかに偏ったものであるかの証しでもありました。」

稀なパフォーマンスやインタビューなど、節度のあるメディア露出を行った後、再びスポットライトから退いた。ロック・グループ、ザ・ストラッツの2014年のアルバムの収録曲『Put Your Money on Me』に参加し、その2年後にはスペンサー・ラドウィグの『Right Into U』で共同作曲を行い、現在はNYでイギリスの人気バンドと音楽制作をしている。彼の家はどこなのかはっきりしない。(彼は熱烈な旅人だ。)今はローワー・イースト・サイドにいるようだ。彼はソーシャルメディアを利用しておらず、適切なチャンネルを持たない人にとっては、彼と連絡を取るのはそれだけで障害物コースとなる。この1年、彼は病に倒れた両親の看病に明け暮れている。彼の話を聞く限り、彼は世界に対するのと同じように、彼なりのやり方で両親を深く気遣っているようだ。

5時間に及ぶインタビューを通して、アレクサンダーはニュー・ラディカルズが長年にわたって彼に与えた影響を象徴するいくつかの瞬間を持ち出す。2015年に行われたジョー・バイデンの息子ボーの葬儀で『You Get What You Give』の歌詞が引用されたことや、2001年の113日間にわたるElevationツアーでU2がステージに上がる直前に『Mother We Just Can't Get Enough』を毎晩かけていたことを思い起こしているのだ。

アレクサンダーは、10年前の記憶に落ち着く。彼がレストランでランチを食べていたら、ある女性が『You Get What You Give』の話をしてきたときのことである。「彼女は、『この曲を作ってくれたことを、私の何十人もの子供たちに代わって、あなたにお礼を言わなければならない』と言ったのです。私は、『へえ、何十人も子供がいるんですか?』みたいに言ったら、彼女は『いいえ、私は癌病棟で働いています。あなたの歌は彼らに希望を与えたのよ』って。曲のせいだけでなく、私の剃った頭のせいでもありました。彼らは私を見て、化学療法みたいなことに耐え抜いたそうです。」

「私は小さな導管に過ぎません。」と彼は続ける。「それが『Lost Stars』です:『私たちは何者なのか、銀河の中の塵の一片に過ぎないのか?』私はすぐに忘れ去られるでしょう。ショービジネスの世界では、ほとんどすべての人が、記憶に残ることはないでしょう。でも、もしある感情や歌が人々の心の中で生き続けたり、子供たちと共有したりして、それが生き続けるなら、それは自分を超えた存在になった時です。それは、溢れる愛へのパスポートなのです。そのために、私が船(脈管)になることを許してくれた宇宙と音楽に、私は永遠に恩義を感じるだけです。」

最後に「導管」という言葉が出てきて、すぐにコーリーのこの言葉を思い浮かべました。

生前のアレサ・フランクリンが『Lost Stars』を称賛していたなんて、この記事でしか知ることができない貴重な話です。感動しました。

記事について少し補足です。ニュー・ラディカルズ解散後のグレッグに直接連絡をよこした人たちとしてクレイグ・カールマンやルシアン・グレンジという名前が挙がっていました。仮に彼らが音楽業界のホワイトハットだとして、どのくらいの位置にいる人たちなのかを伺い知れる記事があります:

彼らがグレッグに未発表アルバム7枚をリリースする気にさせることができたら、ホワイトハットとして認めましょう。

記事中には良くない噂のある人たちの名前も出てきていました。でも彼らとのグレッグの関わりをよく見てみると、利用されていた面は否めませんが、グレッグの方からは常にポジティブな関わり方をしており、ある種の清廉潔白さを失わずにいたことがわかります。

蛇足になりますが、U2がコンサート・ツアーで登場前にニュー・ラディルズの曲を流していたという件について、さらに詳細な情報があります:

まずはU2がステージに立つ前に流された曲のミックスである。これらの曲を混ぜて、ツアー中、複数のコンサートで流したようだ。これらはすべてU2がステージに上がる前に演奏された:
・Yellow - コールドプレイ
・Movin' On Up - プライマル・スクリーム
・Elevate My Mind - ステレオMCs
・Move On Up - カーティス・メイフィールド
・Higher Ground - スティービー・ワンダー
・Mother, We Can’t Get Enough - ニュー・ラディカルズ
・Stop at Nothing - ステレオMCs
・(Your Love Keeps Lifting Me) Higher and Higher - ジャッキー・ウィルソン
・Astounded - ブラン・ヴァン3000
・I Want to Take You Higher - スライ&ザ・ファミリー・ストーン
・Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band - ザ・ビートルズ
・All You Need is Love - ザ・ビートルズ

ツアー序盤、フォートローダーデールのオープニング・ショーから、U2がステージに上がる直前の曲は、ニュー・ラディカルズの『Mother, We Can't Get Enough』だった。それがツアーの3レッグ目になると、ステージに上がる前に「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」、そして「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」が演奏されるようになったのだ。このように、収録曲を見ていくと、選曲にテーマが見えてくる。

※レッグとは・・・長いコンサートツアーの異なる区間は「レッグ」と呼ばれる。レッグを分ける最も一般的な手段は日付(特にどこかの時点で長い休みがある場合)、国や大陸、または異なるオープニングアクトである。最大規模のコンサートツアーでは、異なるレッグがそれぞれの地理的な地域ごとに、別々のツアー制作クルーや機材を採用することが一般的になっている。コンサートツアーは、コンサートプロモーターや舞台芸術プレゼンターによって地域レベルで管理されることが多い。

10.最後に

この記事をまとめようというインスピレーションを与えてくれたローズマリーですが、つい最近、かなり動揺した様子の動画を限定公開していました:

「666ELE」のナンバープレートの赤い車(おそらくテスラ)に数日間に渡ってストーキングされたそうです。そしてHugo Talksチャンネルの動画で彼女のことが言及された後、その車が彼女の仕事先の教会の前まで来て、犬におしっこをさせるために表に出てきていたローズマリーの前をゆっくりと通り過ぎながら、車内にいた女性が、髪を後ろにかきあげ、目を見開き、チャッキーのように邪悪に、大口を開けて舌を見せ、狂ったように笑いながら、まるで「見ーつけた」と言うかのように彼女のことを見ていたそうです。この恐ろしい体験をして精神的に追い込まれた様子の彼女は、すがるようにライブ配信のチャットを見ますが、運悪く最初に目にしたのは「抗精神病薬を飲め」という心無い言葉でした。彼女は動画の後半でゴスペルを歌って祈り、気持ちを奮い立たせています。この歌には心打たれるものがありました。

心無い言葉を投げかけたのは一人だけで、コメント欄では彼女の安全を祈る人たちがたくさんいたのが救いでした。

一つだけ訳しておきます。

Arin:私は断食をして、あなたの保護と癒しのためにシャローム・ガールと共に祈っています。神から与えられた直感が何かおかしいと言っているとき、あなたはクレイジーでもパラノイアでもありません、それに耳を傾けてください。それは神からのものだから、それが感じられるのはあなたを守るために良いことです。私は、あなたが幼い頃、神があなたをあの環境に置き、あなたが世界に警告できるようにあなたをそこから連れ出したと信じています。あなたの心を知っていたからこそ、神はあなたを選んだのです。勇気を出して、彼らのことを話してくれてありがとう。あなたの音楽と声が大好きです。私の魂に降り注ぐ太陽のようです。

世界は彼女の警告に耳を貸すことはないでしょう。「真実」コミュニティですら、その気配は皆無です。彼女をストーキングした赤い悪魔は、彼女を嘲け笑いに来たのでしょう。ツイッター買収騒動におけるコミュニティのはしゃぎっぷりは、とにかく醜悪だと思いました。結局陰謀論を飯の種にする人々と、常に何かにすがって自分以外の誰かに問題を解決して欲しい人々が、お互いに永遠に寄生し合っている世界のように思えて、ますますコミュニティから距離を置きたくなりました。

もちろん、少数派ながらも、認知的不協和に陥ることなく、冷静に見極める力を働かせている人々もいます。

脳神経インプラント、衛星監視システム、グローバリストのネットゼロ・アジェンダを支援する電気自動車を推進し、数十億ドルを稼ぐ男が、ソーシャルメディアのプラットフォームを購入し、言論の自由を与えるためだと言っているのだ。
そして、あなたは彼を信じている。

イーロン・マスクの支持者たち、以下の9つの事実が誤りであることを証明して!そうすれば、私は今後ずっと彼について黙っています。もしできないのなら、私が妄想家だと言うのはやめてください。いい?

(1) イーロン・マスクはテスラの共同創業者ではない
(2) 彼と元妻はエプスタインのNYのアパートに行ったことを認めている
(3) 彼の祖父はカナダのテクノクラシー党の党首であった
(4) ビル・ゲイツとはAzureで一緒に仕事をしている

(5) テスラの大株主はヴァンガードとブラックロックである

(6) 彼はCOVIDワクチン接種を支持している
(7) RNAワクチンの製造に使用されるCureVac社のRNAマイクロファクトリーを建設した

(8) 彼は政府から数十億円の補助金を受け取っている

(9)自分の力で成功したのではなく、ザンビアのエメラルド鉱山を所有していた裕福な家庭の出身である

もう一つの明白な危険信号を忘れていました。ニューラリンクです。もしあなたが世界経済フォーラムのデジタルコントロールの目標に反対なら、マスクがここで提案している技術を正当化する理由はありません。これはトランスヒューマニズムです。彼はまた、ほとんどの仕事が自動化されると公言しており、だからベーシックインカムが必要になるのでしょう。

Tresidential:私たちは本当に、我々にパンくずを投げて与える人なら誰でも崇拝するのをやめなければならないよ。

Just.A.Thought:同意見!

ウクライナはDSで、プーチンはホワイトハットだと主張してアクセスを稼いでいたのと同じ「インフルエンサー」が、ウクライナをスターリンク衛星で支援したイーロン・マスクが、ツイッターを買収しただけで「イーロン・マスク万歳」と言っている姿は、あまりに節操がなく、深刻な認知的不協和が生じていると思います。

元々ツイッターの大株主はヴァンガードやブラックロック、モルガン・スタンレーです(その実態はサウジアラビアや中国)から・・・

結局資金の出処も行き先も同じであり、同じところでお金がぐるぐる回っているだけで、サウジアラビアや中国とぐるであることがわかります。

サウジアラビアにはAI市民ソフィアがいますし、中国にはAIマンハッタン計画があります。そしてイーロンは「メトロポリス」のフレーダーのように、調停者として、AI預言者として、聖書の「偽預言者」の役割をまっとうしているのです。

もうこれまでの「インフルエンサー」から情報を得る時代は終わったように思います。自分で調べ、自分の頭で考え、自分の心で感じる。誰しもがパンくずに群がる鳩を卒業する必要があります。本当のゴスペル(良い知らせ)を自分の内面に見つけるべきでしょう。それでは皆様、どうか良いゴールデン・ウィークをお過ごし下さい。私も久しぶりに情報の喧騒を離れて、良い音楽を聞き、土いじりをしてリフレッシュしたいと思います。

ジェームズ・ブラウン『みんな目覚めよそして生きよ』
Now I know Mother Nature feels very, very, very disgusted
私はわかる 母なる自然が、とても、とても嫌な気持ちになっている
With you and you, and especially you
あなた、あなた、特にそこのあなたに
Because we have really played a sho'nuff rip-off game on Mother Nature
私たちが母なる自然に対して、ぼったくりゲームをしてしまったからだ
We’ll kill all the grass
草を全部枯らして
And won't let the cool breeze last
涼しい風を止め
We just won't let the water flow
水の流れを止め
And won’t let the natural things grow
自然のものを成長させない
I know sometimes you feel the world has turned its back on you
わかるよ 世界があなたに背を向けていると感じることがあるのは
But don't give up, heh, it'll come through for you
でもあきらめるな きっと切り抜けられる
So wake up, people
だから目を覚ませ 人々よ
Wake up, people
目を覚ませ
Give yourself a chance
自分にチャンスを与えるんだ
You owe that to yourself
自分自身への課題だ
So wake up, people, give yourself a chance to live
だから目を覚ませ みんな 自分に生きる機会を与えるんだ
This morning I woke up, heh, feeling kinda bad
今朝 目が覚めたとき いい気分ではなかったよ
I missed all the cool breeze, and the clear air that I had
あの涼しい風が恋しい 澄んだ空気が恋しい
Ah, ooh, I've got to wake up
ああ、ああ、私は目を覚まさなきゃ
We've got to wake up
私たちは目を覚まさなくては
Let's give ourself a chance
私たちにチャンスを与えよう
We owe that to ourselves
私たち自身への課題だよ
Wake on up, we got to wake right up
目を覚まそう 目を覚まさなきゃだめだ
Ah, woo-hoo, we wanna wake on up
ああ、ああ、私たちは目覚めたいんだ
Sometimes I get so uptight
時々 私はひどく緊張してしまう
I feel, feel, feel, feel, feel like the world is gonna clean outta sight
感じてしまうんだ 世界が見えなくなるように
People, come on back
みんな 戻ってこい
We just can't afford to overlook the crossroads
私たちは 岐路を見過ごすわけにはいかないんだ
Let's go back, let’s go back
戻ろう 戻ろう
And let’s go right on back
引き返そう
And live
そして生きよう

ランス・アレン・グループ『生き延びる理由』
Reasons So many reasons
理由 たくさんの理由
All things Have a reason why
すべてのものには 理由がある
Oh, reason And what's your reason?
理由 あなたの理由は何?
Is it fading?
それは消えかかっている?
Or is it real?
それとも本物?
Open your eyes Open your eyes
目を開けて 目を覚まして
A real life
本物の人生
The meaning We all signed up
生きる意義 私たちが皆 契約した
Existence
この世に存在すること
Were we born to die?
私たちはただ死ぬために生まれてきたの?
Without a reason There is no purpose
理由がなければ 目的が生まれない
Without a meaning It's so worthless
生きる意義がなければ 価値がない
Without a life
本物の人生でなければ
There is no reason To survive (Reason to survive)
生き延びる理由がない
To survive (Reason to survive) ×3
生き延びる理由

Reasons, Oh, so many reasons
理由 とてもたくさんの理由
Oh, all things Have a reason why
すべてのものには 理由がある
Without a reason There is no purpose
理由がなければ 目的は生まれない
Without meaning It's all, all so worthless, yes it is, yes it is
生きる意義がなければ 全ては無価値 そうさ そうなんだ
Without love
愛がなければ
Oh there's no reason, reason, reason, reason To survive (Reason to survive)
生き延びる理由がない
To survive (Reason to survive) ×3
生き延びる理由

11.おまけ(証拠)・・・5/3追記

今日、コズミック・エージェンシーのテレグラムにこんな投稿がありました:

アテナ・スワルーが最近、(食糧の)不足について語ったことと、別件でイーロン・マスクについて語ったこと(スペイン語からの翻訳)。

食糧不足:
「私は一般的に言われている噂を確証します。人間に対するアジェンダは今、食糧不足を作り出すことに集中しています。人為的なものです。騙されてはいけません。彼らはパンデミックのせいだと言うでしょう。そうではなく、世界中の食品加工工場を攻撃しているからです。」 (04/27/2022)

Corey's Dig『新食品管理システム導入、彼らは管理体制強化のために手段を選ばない』より

イーロン・マスク:
「彼は秘密クラブの出身で、そこに良い要素はありません。騙されないでください。私の意見では、誰かが表現の自由のために戦っているという印象を与える制御された反体制側の、Q anonと同じ方式です。
私は、彼が表現の自由のために何かをしているかどうか、とても疑わしいと思います。しかし、彼がやっていることは、人々が検閲されていることにさえ気づかないような「シャドウ・バン」アルゴリズムを課し、表現の自由のように見せかけることです。マスクはAIとそのようなトリックに長けているので。人々は、そこに存在していないように見せかけた新しい検閲システムには、注意深く観察しない限り、その存在を信じることはないでしょう。しかしそれはこれまで以上に厳しい検閲なのです。一つ確かなことは、マスクは人々のために働いていない、ということです。(04/29/2022)

チャットでは、世界経済フォーラムのアジェンダとイーロン・マスクの発言がマッチしていることを指摘するミームが投稿されていました。

ちゃんと検証しておきましょう。アテナ・スワルーに「Qが制御された反対派(Controlled Opposition)」と言われて、脊髄反射で感情的になる前に:

CureVac、Moderna、その他数社。テスラはCureVacが使う機械を作っています。それは既知の遺伝子配列から、何十兆もの脂質でコーティングされたmRNA鎖を作るために使います。

私たちは4年ほど前からこれに取り組んでいます。元々は狂犬病のワクチン用でしたが、RNA配列であればほとんど何でも作ることができます。クリティカルパスは、人間での試験を完了することです。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団HPより「CureVac AGの目的:小規模農家とその家族に不釣り合いな悪影響を及ぼす病気に対する安全で安定した次世代ワクチンを特定する目的で、ピコルナウイルスに対する複数のメッセンジャーRNAワクチン候補を試験すること。」

家畜に対して使う「狂犬病ワクチン」を開発していた会社が、「コロナワクチン」の開発に乗り出したということみたいです。

世界経済フォーラム:炭素税が気候変動抑制に不可欠な理由
69いいね

イーロン・マスク:もうとっくに炭素税があってもいい頃だ!
24万いいね

世界経済フォーラム:都市がユニバーサル・ベーシック・インカムを導入すべき4つの理由
78いいね

イーロン・マスク:念のため、私はユニバーサル・ベーシック・インカムに賛成です。
5.7万いいね

世界経済フォーラム:COVID-19ワクチンへのためらいを克服する3つの戦術
218いいね

イーロン・マスク:はっきり言って、私はワクチン全般を支持し、特にコロナのワクチンを支持しています。科学的根拠は明白です。

ごくまれにアレルギー反応が出ることがありますが、これはエピペンで簡単に対処できます。
18.8万いいね

世界経済フォーラム:グローバル#AIアクションアライアンスは、包括的で透明性が高く、信頼できる人工知能の採用をグローバルに加速しています。
103いいね

イーロン・マスク:世界最高のAIソフトウェアエンジニアでさえ、テスラのAIがどれほど進化しているかを理解していません。
25.8万いいね

世界経済フォーラム:あなたは雇用主に自分の脳波を読ませますか?
119いいね

イーロン・マスク:ニューラルレースを作ることは、人類が機械との相利共生を実現するために本当に大切なことだ。
4835いいね

世界経済フォーラム:あなたは手にマイクロチップを埋め込むことを雇い主に許可しますか?この労働者たちはしています
21いいね

イーロン・マスク:ぜひ、ニューラリンクで働くことを検討してみてください。
短期目標:脳・脊椎の損傷を解決する
長期的な展望:人間とAIの相利共生
後者は人類種レベルで重要
13.2万いいね

イーロン・マスク:私たちは文字通り、大桶の中の脳なのです。その桶とはあなたの頭蓋骨です。あなたが現実だと思っているものはすべて、単なる電気信号にすぎません。でも、とてもリアルに感じるのです。
7468いいね

Jack Posobiec:世界経済フォーラムのユヴァル・ノア・ハラリが語る:「自由意思はもう終わりだ」

Jack Posobiec:彼を特集した60ミニッツで詳しく紹介されています。
トランスヒューマニズムは危険です。

60ミニッツ:世界的な作家ユヴァル・ハラリは、人工知能が世界的に規制されなければ、人間は「ハッキング」されると警告しています。
日曜日、ハラリ氏はアンダーソン・クーパーに、人間のデータが少数の権力者の手に渡るのを防ぐために、世界的な協力が必要であると語っています。

世界経済フォーラムとイーロン・マスクが同じことを言っても、大衆への訴求効果が全然違うのですね。ついている「いいね」の数の桁が3つも4つも違うわけですから。特にトランプがいなくなってからは、ツイッターがイーロンの独壇場になっていたことが「いいね」の数の伸びでわかりました。(2020年のベーシックインカム賛成発言が5.7万「いいね」で、2021年4月のコロナワクチン支持発言が18.8万「いいね」。トランプのTwitterアカウント凍結が2021年1月。ベーシックインカムよりワクチンの方がなぜ「いいね」なのですか?)

買収前からツイッターはすでにイーロンのホームグラウンドと化していたのでした。

5/3追記

イーロン・マスクの子どもの名前が「X Æ A-Xii」と「Exa Dark Sideræl」だということはご存知でしょう。

イーロンの子の母、グライムスの曲を聞いたことがありますか?本当はこんなグロテスクな呪いの歌をこの記事に載せたくはありませんが、これも証拠の一つですから、仕方ありません。イーロン・マスクに期待し、支持するのは個人の自由です。しかし、そのために一体いくつの証拠から目を背け、耳をふさぐことになるでしょうか?そのために何を容認し、何を受け入れることになるのでしょうか?

グライムス『私たちは権力を高く評価します』
We appreciate power
私たちは権力の価値を認めます
We appreciate power
私たちは権力に感謝します
We appreciate power, power
私たちが高く評価するのは力、力

What will it take to make you capitulate?
お前たちを屈服させるために何が必要?
We appreciate power
私たちは権力の価値を認めます
We appreciate power
私たちは権力に感謝します
Elevate the human race, putting makeup on my face
人類の価値を高めて下さい 私に化粧をして
We appreciate power
私たちは権力の価値を認めます
We appreciate power, power
私たちが高く評価するのは力、力

Simulation, give me something good
シュミレーション、何かいいものをください
God's creation, so misunderstood
神の創造物、とても誤解されている
Pray to the divinity, the keeper of the key
鍵の番人である神力に祈りなさい
One day, everyone will believe
いつの日か、誰もが信じるでしょう

What will it take to make you capitulate?
お前たちを屈服させるために何が必要?
We appreciate power We appreciate power
私たちは権力の価値を認めます 権力に感謝します
When will the state agree to cooperate?
国家はいつ協力に応じるの?
We appreciate power
私たちは権力の価値を認めます
We appreciate power, power
私たちが高く評価するのは力、力

People like to say that we're insane
人々は私たちが狂っていると言いたがる
But AI will reward us when it reigns
でもAI君主が統治する時 私たちは報われる
Pledge allegiance to the world's most powerful computer
世界で最も強力なコンピュータに忠誠を誓いなさい
Simulation: it's the future
シミュレーション(見せかけ):それが未来
What will it take to make you capitulate?
お前たちを屈服させるために何が必要?
We appreciate power We appreciate power
私たちは権力の価値を認めます 権力に感謝します
Elevate the human race, putting makeup on my face
人類の価値を高めて下さい 私に化粧をして
We appreciate power
私たちは権力に感謝します
We appreciate power, power
私たちが高く評価するのは力、力

And if you long to never die
お前が不死を望むなら
Baby, plug in, upload your mind
プラグを入れ 心をアップロードしなさい
Come on, you're not even alive
いいでしょう お前は生きてすらいない
If you're not backed up on a drive
ドライブにバックアップしていないなら


And if you long to never die
お前が不死を望むなら
Baby, plug in, upload your mind
プラグを入れ 心をアップロードしなさい
Come on, you're not even alive
いいでしょう お前は生きてすらいない
If you're not backed up, backed up on a drive
ドライブにバックアップしていないなら

What will it take to make you capitulate?
お前たちを屈服させるために何が必要?
We appreciate power We appreciate power
私たちは権力の価値を認めます 権力に感謝します
Elevate the human race, putting makeup on my face
人類の価値を高めて下さい 私に化粧をして
We appreciate power
私たちは権力に感謝します
We appreciate power, power
私たちが高く評価するのは力、力

What will it take to make you capitulate?
お前たちを屈服させるために何が必要?
We appreciate power We appreciate power
私たちは権力の価値を認めます 権力に感謝します
When will the state agree to cooperate?
国家はいつ協力に応じるの?
We appreciate power We appreciate power
私たちは権力の価値を認めます 権力に感謝します
We appreciate power We appreciate power We appreciate power
We appreciate power We appreciate power We appreciate power
We appreciate power
Neanderthal to human being
ネアンデルタール人から人類へ
Evolution, kill the gene
進化、遺伝子を殺せ
Biology is superficial
生物学など表面的なもの
Intelligence is artificial
知性とは人工的なもの
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服従しろ 服従しろ 服従しろ 服従しろ

nouvus ordo seclorum

音楽には真実があります。


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