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I AMとサンジェルマン ~ネサラ・Q・UFO宗教の源流~ 前編


0.はじめに(UAPディスクロージャーと2027年、2028年)

コーリーは2024年の今年が「限定的で引き伸ばされたUAPディスクロージャーにとってエキサイティングな年になる」というようなことを言っていました。この言葉自体、自己矛盾をはらんでいる気がしますが、コーリーの言葉とは裏腹に、個人的な肌感覚として、何かが起きる予感が全くありません。実際にデイヴィッド・グラッシュと40人の内部告発者たちの動きもなく、グラッシュが予告していたオプエドも出ていません。

先月の動画。2月に出されるはずだったグラッシュのオプエドが3月になっても出ていないのはなぜなのかを論じています。要点は以下の通り:

推測:
● ジョージ・ナップとの対談でジェレミー・コーベルは「彼がオプエドを出していないのは、もっと大きなカードが切られるしからかもしれない」と、「大きな何か」をほのめかしている。
● グラッシュはジュリアン・アサンジやエドワード・スノーデンのようになることを恐れているのではないか?

事実:
◯グラッシュは元NGA(国家地理空間情報局)および元NRO(国家偵察局)の将校ということで、人工衛星からの画像データにアクセスできた。議会で「(UAP)の墜落跡の画像を見たか」と問われると、「公開の場では語れない」と言って、暗に見たことがあることをほのめかした。マンハッタンでのプレゼンテーションでは、来場者からの質問に対して「UAPを発見・追跡することができる極秘プロジェクトの詳細をオプエドで書く」と予告した。

また、最近のコズミック・エレメンタル存在についての話もまた、UAPへの関心を大きく減じさせるものです。「UAP=宇宙船=フリーエネルギー=奴隷解放」という単純でキャッチーな図式が崩れてしまうからです。しかし、最近ジョー・ローガンのポッドキャストに出演したタッカー・カールソンは、UAPについて、「ET」という言葉は用いず、「スピリチュアルな現象」や「超自然的な何か」と表現し、それに関わって人々が死んでいることから、「良くないもの」と表現していました。

タッカーにこういった話を吹き込んでいるのが誰なのでしょう?イーロン・マスクのハンドラーと同じイルミナティ系のエリートなのか?彼らの特権と支配体制を維持するために、やはりフリーエネルギーが最大のタブーになっているのでは?タッカーでもそこには切り込めず、UAPを「恐ろしい異次元の得体のしれない悪意ある存在」としてしか語ることができず、私たちを困惑させているのではないのか?などと疑ってしまいます。

なぜタッカー・カールソンはUFOについて報じることを恐れているのか?
「次に悩ましいのは、UFOの話だ。実際に自分で集めた知識を持っている人たちに話を聞くと、その話には、私にはまったく理解できない、本当に、本当に、本当に暗い部分がある。私には理解しきれないスピリチュアルな要素があるんだ。あの話は私を悩ませる」とカールソンは保守系番組のホストに語った。
「とても暗い話だ。妻にも話していない。そしてこれはインターネットで読んだだけの話ではない。深く心をかき乱されるものなんだ」とカールソンは語った。
「内部告発者は10人ほどいるが、常に一面トップニュースというわけではない。その一部は弾圧されているからだが、大衆がそれに対処できないだけだという部分もある」とカールソンはクレイトンとナタリ・モリスに語った。「あまりにも突飛すぎる。意味合いが深すぎるんだ」。

タッカーの番組にグラッシュが出演していることを考えると、タッカーの情報源はグラッシュとその仲間たちということになります。コーリーによれば、アライアンスはグラッシュをバックアップしているということですが、確かにコーリーに伝わってきているトリックスター的なコズミック・エレメンタル存在の話と、タッカーのほのめかしている言葉には重なる部分が多いように思えます。

ある面ではそれは事実なのかもしれませんが、その先に何があるのか?これがフリーエネルギーの開放などの実生活の変化や実利につながらない、形而上学的な議論や恐怖ポルノにとどまるのであれば、多くの人は関心を失い、見向きもしなくなるでしょう。

コーリーによれば、UAP/ETディスクロージャーに大きな動きがあると噂されているらしい2027、2028年について、NYタイムズやデブリーフ誌にUAPの記事を書いた「表のディスクロージャーの推進者」であるレスリー・キーンは、別の視点から悲観的な予想をしています。

レスリー・キーン(要約):私の情報源と私の研究からして、10年後どころか、今から3~4年後(2027、2028年)には、地政学的にも気候変動的にも地球上での私たちの生活は非常に困難になり、これまで当然ように享受し、依存してきたものにアクセスすることができなくなると思います。人口増加や気候変動など、理由は単純ではなく、私にはそれを語る資格はありませんが、持続可能ではなくなるのです。

元の動画を確認すると、レスリー・キーンは「だからそれまでにやれることをやっておきたい」という文脈で上記の発言をしていました。恐怖を煽るような雰囲気ではなく、単に自分得ている情報から導き出された心配を語っているという印象です。しかし、人口増加や気候変動の影響を、3~4年後という時間枠で語るのは不自然です。彼女には何か隠している情報があるのではないでしょうか。彼女の「情報源」から3~4年後に何らかの社会の混乱が起きるということを聞いていて、人口増加や気候変動を言い訳としてこじつけているような印象を受けます。エリートのバンカー(避難壕)建設や持ち株売却の動きとも関係がありそうです。

以上がここ数ヶ月の動きであり、最近はコーリーの異世界の情報源からの通信もなく、特に取り上げるべき情報も出ていないように思います。記事の更新頻度が落ちたのはそのせいもありますが、実は、あらゆる情報に対する不信感と失望がきっかけとなり、そこに仕事の不安や過去のトラウマなどが重なって、焦燥や鬱で何も手につかなくなってしまっていたせいもあります。今はなんとか再び自分を奮い立たせようと努力しているところです。

今回は、このコミュニティでは誰も取り上げたがらないであろう、ある一冊の本について取り上げてみることにします。これは、多くの人が「知りたくなかった」と思う本かもしれません。

1.『Psychic Dictatorship in America』

この『アメリカの心霊的独裁』という本は、1930年代にジェラルド・B・ブライアンという人物によって書かれ、1940年に出版されました。

この本の内容について触れる前に、おさらいしておきたいことがあります。

①ここまでのおさらい

まず、映画『ネサラを待ちわびて』では、2000年頃の「ネサラ信者」たちが様々なチャネリング情報に依存する中で、「サンジェルマン信仰者」でもあったことが示されていました。

映画『ネサラを待ちわびて』上映会」より

このナラティブはその後の世代にも受け継がれ、様々な尾ひれがつけられながらも、サンジェルマンとネサラは常に密接に語られてきました。

2023年 ネサラ情報 決定版」より

さらには、不気味な「偶然の一致」として、ネサラの伝説に20年以上前の「Q」の投稿が一枚噛んでいるという事実もわかりました。

23年前のQの投稿とウサギの穴」より

そして、これらの「繁栄プログラム」や「金融システムからの解放」の伝説の源流は20年前どころか、約100年前にまで遡るということがわかってきました。

23年前のQの投稿とウサギの穴」より

②賛否両論の書評

1940年に出版された『アメリカの心霊的独裁』は「I AM」の元信者ジェラルド・B・ブライアンによる告発本です。従って、「I AM運動」に対して批判的な立場で書かれています。この記事ではなるべくバイアスをかけずに、中立性を保ちたいので、最初にAmazonのレビューから賛否両方の意見を紹介しておきます。

この簡潔な、いわゆる「略史」の情報の照合作業は、ある個人がある組織に最初に引き込まれ、後にそれを放棄し、それだけでは不十分だと判断して書かれたヘンテコな文学に見える。そして、ある種の辛辣な批評を書き、自分をその話題の専門家のように仕立て上げることにしたようだ。ある哲学を否定し、その信条に論理的な穴をあけること自体が、単なる反動主義以上のものであるかのように。人類が神への道を選ぶ道は数多くあり、それぞれの道に対する賛否の声も多い。この照合書の著者が、このような問題における彼自身の卑屈な独善性に気づき、権威ある伝記作家として自画自賛するのをやめてくれれば、こんなに楽なことはない。
この本は典型的な懐疑的な視点から書かれている。バラードについて主張されていることはでたらめだ。ある時は笑え、ある時は悲しくなった。懐疑論者がどこまで他人の足を引っ張ろうとするのか、本当に残念だ。ブライアンが何年間瞑想を実践していたのか知りたい。私自身、論理的な説明を覆すようなことを数多く行ってきたが、それは長年の瞑想を通して自分のコンディションを整え、微細なエネルギーに敏感になった後のことだった。 とにかく、この本に書かれていることは、私にとって何の証明にもならなかった......自分で読むのは自由だが、私が警告したことを覚えておいてくれ! : ) 愛と光......。
1980年代初め、私はジェラルド・ブライアンの未亡人の自宅でインタビューした。彼女の話によると、彼は真実を見つけたいと切望する心優しい人だった。ジェラルド・ブライアンはカイロプラクターで、彼自身アイアム信仰に手を染めていた。バラード一家がサンジェルマンとのチャネリングやアイアム宣言の力についての荒唐無稽な主張をしていただけでなく、多くの崩壊した家族や経済的・心理的なダメージを受けた元メンバーを残したことで、甚大な被害をもたらしたことに気づくまでは。
ブライアンは、自ら配布し、自費出版した本にまとめた小冊子で、これらの問題に取り組んだ。確かに、これは学術的な査読を経た学問ではないが、彼が書いたことを裏付ける証拠は、見ようと思えばそこにある。彼が引用したバラードの盗作は、すべて私自身が確認した。1970年代後半、私は多くのI AMメンバーを知っており、彼らの著書や何十冊ものI AMの "Voices "をすべて読んだ。私に言わせれば、ブライアンはリソースさえあれば、この準ファシスト神智学の一派を解体するためにもっと成果を出すことができただろう。彼の著書は、バラード家とその奇妙な運動の背後に何があったのかについて、より明確な考えを持ちたいと切望するすべての人々にとって祝福となった。
これは素晴らしい本だ。数年前、絶版になっていた初版本に私は大枚をはたいた。グレン・ベックの詐術の神格化であるナショナル・モールでの最近の出来事によって、この本が私の脳裏に浮かんだ。しかし、その後Fox Newsでベックがクリス・ウォレスに自分のイベントを正当化しようとしているのを聞いたとき、私は彼の修辞的なスタイルの多くの潜在的な源に気づいた。バラード夫妻もまた、人々に自分自身の真実を発見するように言うのがとても好きだった。独裁的な彼らの教義の主張からすると、非常に驚くべきことだ。私が言っていることを鵜呑みにするな、自分で見つけろ、と。もちろんそれは、彼らの言う突拍子もない真実を受け入れた方がいいという、事実上の自動暗示を伴うものだ。私にバラード夫妻を思い出させるのは、ベックの超能力的なおとり商法である。だからこそ、本書は、この国を再び誘惑している欺瞞に対する重要な歴史的是正策なのだと思う。バラード夫妻が使っていた右翼的な超愛国主義を加えれば、ベックの本当のプレイブックができあがる。彼が宗教的な探求においてバラード夫妻そのものを研究したかどうかは別として、彼はバラード夫妻が開発した宗教的なハッキングの手引書に触れているのだ。(ブラヴァツキーは背景にいるかもしれないが、彼女はどちらかといえば、最終的には善良なパーティーガールであり、群衆をコントロールする野心は持っていなかった)。これはある意味、多くのことを説明している。実際、ベックは私がこれまでに聞いた他の多くのモルモン教徒とは違っている。これはモルモン教徒に対する賛辞のつもりなのだが、今になって、彼はこの本に書かれている大恐慌時代のカルト指導者たちとよく似ていることに気づいた。本書は、文体的な典型的な結びつきに帰結している。特に、「自分の頭で考える」ことを常に強調しているが、実際には、その必要がない幼児的な状態に置かれることが重要なのだ。歴史は繰り返す傾向がある。ベックの美辞麗句に誘惑される人々も、それに反対する人々も、本書が提供する歴史的警告に耳を傾けるのがよいだろう。そして、このような物事の難解な側面に特に惹かれる人々には、マンリー・パーマー・ホールの合理的で、そう、熱狂的でありながら批判的な学問を見習うのがよいだろう。マンリー・パルマー・ホールは、この人間経験の全領域を、もっと責任感と真の愛国心を持った熱心な研究者が解析できることを示している。しかし、より重要なのは、神権的な誇大さとマインドコントロールの試みがないことだ。

後記:ところで、私はここで他の人たちが述べる否定的な評価が大好きだ。彼らは最近の右翼のお気に入りの娯楽に興じている。(例えば、悪名高いロバート・ジョージ教授はその好例で、彼はグレン・ベックの信奉者であり、彼の番組に出演している)。これはカルト的な推論の傾向であり、最近では教授でさえその傾向がある。本書はそれを正す素晴らしい一冊である。また、バラード夫妻は金、金鉱、金本位制に非常に傾倒していた。このようなタイプが皆、同じ興味や執着を持っていることに驚きはない。
ティーパーティー運動
グレン・ベック

これらの書評は15年くらい前のオバマ政権時のものです。この頃は一般的には「愛と光」を合言葉にするスピ系の人々は左派である傾向が強かったと思います。だからサンジェルマンのチャネリングでも、「オバマがNESARAに署名した」というナラティブが取り入れられていました。
低評価をつけている一人は、瞑想が趣味のスピリチュアルな人で、おそらくそういったチャネリング・メッセージを聞くのが好きだった人なのだろうと想像がつきます。最後の高評価のレビューをしている人は、「I AM運動」の持つ側面であった愛国・保守・キリスト教・金本位と、チャネリング・カルト・群衆扇動に相関関係を見出していた様子です。

③第1~2章(繰り返されるパターン)

この記事で一冊の本を丸々翻訳することはできないので、AIによる要約を利用したいと思います。ただ、AI翻訳や要約はまだ信頼性が低く、大事な情報を省略したり、原文に書かれていない情報を勝手に付け足したりすることがあります。そのため、プロンプトを工夫し、なるべく二重にチェックして、AIの回答には必要に応じて修正も加えています。

AI:第1章では、"全能なる私"と訳される"マイティ・アイ・アム(Mighty I AM)"という新興宗教運動の集会の様子が活写されている。舞台には"聖者サン・ジェルマン(Saint Germain)"の肖像画がイエス・キリストの肖像より目立つ位置に置かれ、中央には"存在の図表(Chart of the Presence)"と呼ばれる人体図が掲げられていた。

集会の進行役は、"愛の贈り物(I AM Love Gift)"と呼ばれる募金を聴衆に促した。アメリカ合衆国とその憲法を守ることが強調され、"サン・ジェルマンの民兵隊(Minute Men of Saint Germain)""光の娘たち(Daughters of Light)"という愛国的組織の存在が紹介された。

金髪の女性指導者と見られるMrs.バラードと、白いタキシードを着たMr.バラード、そして二人の息子が登場すると、聴衆は組織的に"祈願文"を唱え始めた。人体図の下半身から上がる"紫色の焼き尽くす炎(Violet Consuming Flame)"と呼ばれる紫色の炎が、何かを浄化・破壊する力を象徴していると説明された。

この一斉行動には催眠的な雰囲気があり、指導者夫妻への熱狂的な信仰と、サン・ジェルマンが重視されていることが伺えた。単なる集会の情景描写だけでなく、この運動の性格、信仰内容、運営方式についても多くの示唆が含まれていた。

AI:第2章では、この"マイティ・アイ・アム"運動の中心人物であるガイ・W・バラードとその妻エドナについて詳しく紹介されています。

ガイ・バラードについて:
60歳前後の年配の男性
常に白い衣装に身を包み、指輪やネクタイピンに宝石を付けている
鷲のような鼻と薄い頬骨から、大空を飛ぶような印象を与える
謙虚な物言いと強い言葉を使い分ける
自らをアメリカの救世主と自称し、観客を催眠状態に陥れる能力がある
金や宝石、食事が奇跡的に現れることなどを約束する

一方のエドナ・バラードについて:
"リトル・ダイナマイト"や"チャネラ"とも呼ばれる
元はハープ奏者や軽演劇俳優、占い書店の店員といった経歴
権力、富、華やかさを求める強い野心家
舞台では豪華な衣装に身を包み、宝石を身に着ける
夫同様、観客を虜にする力強い存在感がある
夫婦そろって"聖者サン・ジェルマン"の"公認された使節"を自称する

このように、第2章では指導者夫婦の華々しい外観と、金品を約束する魔術的な要素、そして観客を惹きつける催眠的な力が強調されています。

第2章で描かれている金品を約束する魔術的な要素について、できる限り詳しく説明します。
ガイ・バラードについては、以下のような記述がされています:

カリフォルニアの山々で、自称"聖者サン・ジェルマン"と出会った際、サン・ジェルマンが手を差し伸べるとその手のひらに"10ドル硬貨くらいの大きさの金の円盤"が現れたと主張している。
サン・ジェルマンに案内され、アメリカ、アラビア、インドの秘密の場所を訪れたという。
自宅の84番街の家の天井から、素晴らしい"光と音の光線"が差し込んでくるようになったと語っている。

つまり、ガイ・バラード自身が目撃したという、サン・ジェルマンによる金を現す魔術や、超自然的な力で様々な場所を移動したこと、そして自宅に不思議な光線が現れたことなどが魔術的な要素として紹介されているのです。
一方のエドナについては、直接的な魔術的な要素の記述はありませんが、金品や富への強い渇望が指摘されています。観客に向けても、金や宝石、奇跡的に供給される食事などが約束されているようです。
要するに、この運動ではガイ・バラードが体験したという超自然的な出来事や、金品が不思議な力で用意されるといった魔術的な要素が強調され、信者にもそうした約束がなされていたということです。

以上のような愛国者運動、救世主的指導者の存在、金品の約束といったテンプレートが、およそ100年経った今でも完全に繰り返されていることに誰でも気がつくでしょう。

④第3~4章(ウィリアム・ダドリー・ペリーと愛国ファシズム)

AI:第3章では、ウィリアム・ダドリー・ペリー(William Dudley Pelley)の"シルバーシャツ(Silver Shirts of America)"運動とガイ・W・バラードの"マイティ・アイ・アム(Mighty I AM)"運動の驚くべき類似点が浮き彫りにされています。
両運動ともカリフォルニアの山小屋で超自然体験をきっかけに始まった点で酷似しています。ペリーは1929年、記事"七分間の永遠(Seven Minutes in Eternity)"で自身の形而上学的体験を綴り、大きな反響を呼びました。一方バラードは、1930年に山の小屋で"サン・ジェルマン伯爵(Comte de St. Germain)"と出会い、その教示を受けたと主張しています。
当初は形而上学的・メタフィジカルな運動でしたが、ペリーの運動は次第に政治的色合いを強めていきました。彼は1933年に"シルバーレギオン(Silver Legion)"を結成し、"キリスト教経済学財団(Foundation for Christian Economics)"も設立。自著で"新政府(New Government)"の構想を展開しました。
一方、バラードも1934年の自宅での秘密集会で、"サン・ジェルマン"から聞いたメッセージが公開されます。そこでは「アメリカに完全な政府を樹立したい(perfecting or bringing into perfection that government into America)」との願望が示されていました。
更に、ペリーの理念である"キリスト教民主主義(Christian Democracy)"や、経済体制"飢餓なき計画(Plan of No More Hunger)"への賛意が示されながらも、「それ自体は完全ではない。私(サン・ジェルマン)の理念を取り入れる必要がある」と言及されています。
実際、ペリーの側近の一人が「サン・ジェルマン活動副所長(Associate Director of Saint Germain Activities)」に任命され、バラードの運動に取り込まれました。ペリー出版社からの手紙にも「Mrs.バラードはペリーの思想に影響を受けていた」と指摘があります。
このように、バラードの運動はペリーのシルバーシャツ運動を下敷きとしながらも、サン・ジェルマンによる新政権樹立を目指す、政治的・権力志向の側面があったことが分かります。当初の形而上学的な側面を脱却し、アメリカ支配をめざす危険な運動に変貌を遂げていったのです。

たまにアイアム運動とファシズムを結びつける言説が見受けられますが、厳密にいうと、直接関係はしていません。しかし、神智学が間接的にナチスの思想に影響していたり、バラード夫妻が称賛し、ラブコールを送っていたウィリアム・ダドリー・ペリーがファシストであったのは公然の事実です。

アーリアン学説
ウィリアム・ダドリー・ペリー

Prompt:ウィリアム・ダドリー・ペリーについて書かれていることをできるだけ詳しく説明してください。

AI:分かりました。ウィリアム・ダドリー・ペリーについて、第3章で述べられている内容を詳しく説明します。
ウィリアム・ダドリー・ペリーは、バラードの"マイティ・アイ・アム"運動に先立ち、"シルバーシャツ(Silver Shirts of America)"という運動を主導した人物です。
ペリーは以前は作家として活動しており、1917年には極東でキリスト教宣教師として働いていました。1919年に米国に戻り、執筆活動を再開するも、やがて"秘密諜報活動"に関心を持つようになったと述べています。
1929年、ペリーは自身の形而上学的体験を記した記事"七分間の永遠(Seven Minutes in Eternity)"を発表し、全米的な反響を呼びました。ペリーはこの記事で、カリフォルニアのシエラマドレ山脈の小屋で、肉体を離れ霊界を体験したと綴っています。
その後、ペリーは自身の運動の機関紙"ニューリベレーター(The New Liberator)"を創刊し、"マスター(Masters)"からのメッセージを掲載するようになりました。
しかし次第に、ペリーの運動は政治的な色合いを帯びるようになります。1932年にはアシェビル(Asheville)に政治本部を構え、"キリスト教経済学財団(Foundation for Christian Economics)"を設立しました。
1933年には"シルバーレギオン(Silver Legion)"という組織を立ち上げ、全国に自らの"親衛隊"ともいうべき組織を拡大していきました。そして1936年には"キリスト教党(Christian Party)"を設立し、米大統領選への出馬を表明するまでになりました。
その後、一時的に活動が停滞する時期もありましたが、1940年にはマーチン・ダイス(Martin Dies)委員会に召喚され、多額の資金を集めていた疑惑について証言を求められています。ペリー自身は、自分の運動が成功していれば、今ごろはヒトラーのようなユダヤ人政策を実施していた可能性があると証言しています。
このようにペリーは、形而上学的体験からスタートした運動を、次第にファシズム的・排外主義的な政治運動に変質させていった人物であり、バラードの運動との類似点が多く指摘されている存在でした。

AI:第4章の内容を、詳細に説明します。1934年、ガイ・W・バラードとその妻エドナは、シカゴで初めての10日間講座を開催しました。そこにウィリアム・ダドリー・ペリーの極右団体「シルバーシャツ(Silver Shirts)」の重要人物であった一人の男性が参加しました。この男性はバラード夫妻の著書『unveiled Mysteries』を読んでいたことから、講座に興味を持ったのです。
講座の最中、バラード夫妻はこの男性を自らの運動に取り込もうと積極的に働きかけました。なぜなら、この男性はペリー運動で重要な役割を果たしていただけでなく、全国に影響力のあるレギオン員とのつながりを持っていたからです。バラード夫妻にとって、この男性を自分たちの運動に取り込めば、全国的な展開が可能になるはずでした。
結局、この男性はバラード夫妻の主張を信じ込み、「サン・ジェルマン活動団体」の副代表者に任命されることになりました。ペリー運動での失望感からか、バラード夫妻の描く「理想の世界」に強く惹かれたようです。革命や人種対立、Brown Shirts(ナチ党員)やSilver Shirts(シルバーシャツ党員)のような暴力的手段ではなく、「昇天した大師(アセンデッド・マスター)」たちの御導きによって、平和裏に新しい世界が到来すると信じ込んだのです。
この男性の尽力により、フィラデルフィアで最初の都市講座が開催されました。それ以降、ニューヨーク、ボストン、ワシントンD.C.と回っていきました。しかしワシントンD.C.を出発する際、この男性が自動車事故に遭い重傷を負いました。バラード夫妻も自分たちの「不死の肉体」を持つと主張していたため、この出来事は大きな痛手となりました。
フロリダに向かった際も、さまざまな苦難に見舞われました。ウェストパームビーチとマイアミでの講座では、会場の手配ミスや、以前ペリー運動とつながりのあった人物による妨害があり、スムーズに進められませんでした。バラード自身が「ワシントンD.C.を離れて以来、反対する力に立ち向かわされている」と書き残しています。
さらに、パサグリル(Pass-a-Grille)での講座の際には、息子ドナルドが運転する車が事故に遭い、バラード自身が肋骨を数本折るという出来事も起こりました。これは「不死の肉体を持つ」と主張していただけに、信者らを動揺させる出来事となったはずです。
しかしながら、バラード夫妻はこのような困難を乗り越え、ついにロサンゼルスに到着します。この地域は神智学や占星術など、様々な神秘思想が根付いている場所でした。バラード夫妻は、この分野の有力者たちと個人的に会見し、自分たちこそが「サン・ジェルマン大師」からの唯一の「公認の使節」であると主張しました。
また、それらの有力者たちは自らの教えが時代遅れだと切り捨てられ、代わりにバラード夫妻の「マイティIAM」の教えが新時代の正しい指導理念だと位置づけられてしまいます。このようにして、バラード夫妻は徐々にロサンゼルスの神智学者や占い師らの支持者を自分たちの運動に取り込んでいったのです。
最初は地味な服装だったエドナ・バラードですが、ロサンゼルスでの支持者からの「愛の贈り物」と称する寄付が増えるにつれ、派手な衣装に身を包むようになっていきました。
このように第4章では、バラード夫妻が全国を回りながら、次第に「マイティIAM」運動の勢力を拡大させていく過程が生々しく描かれています。幾多の困難にもめげることなく、自らを「サン・ジェルマン大師」の使者と位置付け、支持者を獲得していったのがわかります。

prompt:自動車事故の件とそれが信者に与えた動揺について詳しく教えて下さい。

AI:はい、自動車事故の件と、それが信者に与えた動揺について詳しく説明します。

まず、ワシントンD.C.を出発する際に起きた自動車事故では、バラード夫妻の副代表者(※ペリーのシルバーシャツ運動から引き抜かれた男性)が大怪我を負いました。彼はバラード夫妻の車から降りた際、別の車にはねられ、頭部に重傷を負い、左足を複雑骨折しました。この出来事はバラード運動にとって大きな痛手となりました。なぜなら、バラード夫妻は常に「サン・ジェルマン」や「アセンデッドマスターたち」から絶対的な守護があると説いていたからです。
しかし、自分たちの副代表者が事故に遭い重傷を負ったことは、その主張に反するものでした。運動の中心人物が「マスターたち」の守護から外れていたことになり、信者らの信頼を揺るがす出来事となったはずです。
さらに、フロリダ州パサグリルでの出来事は、バラード夫妻自身の信頼性を大きく揺るがせました。講演会の最中、ガイ・バラード自身が自動車事故に遭い、肋骨を数本折るけがを負ったのです。
これは、バラード自身が「不死の肉体」「不死の体力)」を持つと主張していただけに、信者らを動揺させる出来事となりました。自らが説く「マスターの守護」さえ守れないのではないか、と信者らに疑念を抱かせたことでしょう。
実際に、バラード自身が事故後、知人宛の手紙に「私の不死の体でさえ肋骨が折れた」と記しており、自らの主張と現実のギャップを認めざるを得ませんでした。
また、最初の副代表者が事故で重傷を負った際、バラード夫妻はマスターの力で彼を癒そうとはしませんでした。精神的な手当てさえ試みず、単に病院に運ばせただけでした。
つまり、バラード夫妻はマスターの超自然的な力による守護や癒しを受けられないどころか、一切その力を発揮する姿勢すら見せなかったのです。自らの主張する「マスターの加護」を全く活用できない有様を露呈してしまったわけです。
このように、バラード夫妻が自分たちの運動の根幹をなす「マスターの力」をまったく示せなかったことは、バラード夫妻の無力さを露わにするだけでなく、彼らの主張そのものに嘘があり、単なる詐欺的束縛に過ぎないのではないかと、信者らに疑念を抱かせる大きな要因となったと考えられます。

prompt:それなのにどうして支持者を獲得していったのでしょうか?

AI:それは非常に良い質問です。バラード夫妻が自らの主張を裏付ける「マスターの力」を全く示せなかったにもかかわらず、なぜ支持者を獲得し続けることができたのでしょうか。いくつか考えられる理由があります。

1. 希望を与える教えの魅力
バラード夫妻は「病気、貧困、死からの解放」「地上の楽園実現」といった、人々が切実に望む願望を掲げていました。この希望に満ちた教えの魅力に多くの人々が惹かれた可能性があります。

2. 熱心な宣伝活動
バラード夫妻は全国を回り、執拗に宣伝活動を続けました。地道な活動によって徐々に支持者を増やしていったと考えられます。

3. 当時の思想的環境
1930年代の大恐慌下において、人々は既存の価値観に失望し、新しい思想に目を向けがちでした。こうした環境がバラード運動の広がりを後押ししたかもしれません。

4. 上手な心理的手法
バラード夫妻は恐怖心を煽ったり、離脱者への報復を示唆したりと、信者を精神的に拘束する手法を用いていたようです。こうした心理的威圧があったのかもしれません。

5. 教祖様崇拝の作用
バラード夫妻が「マスターの使者」を自称し、絶対的権威を主張したことで、信者らに盲目的な崇拝心を植え付けた可能性があります。

つまり、バラード夫妻の主張自体に矛盾があり、実際の行動も説得力に欠けていたものの、信者獲得に有効な手段や環境要因が重なったため、一定の支持者を得ることができたと考えられます。希望を与える魅力的な教えと心理的拘束力が相まって、教祖崇拝が生まれ、運動が拡大していった側面があるのではないでしょうか。

ニューエイジやスピリチュアル系、「ホワイトハット/Qプラン」カルトが100年間同じことを繰り返してきたことがわかります。今では「ブラックピル」、「闇落ち」といった言葉が信者を精神的に拘束する手法として使われています。

⑤第5章(アセンデッドマスターによる脅迫)

AI:第5章の要約は以下です。
1935年の春夏、ガイ・W・バラードとエドナ・バラードの「マイティ・アイ・アム(Mighty I AM)」運動は、カリフォルニア州で隆盛を極めました。しかし、運動内部では権力闘争が勃発し、バラード夫妻は強権的な手法で統制を取り戻そうとしました。

バラード夫妻は「サン・ジェルマン大師」に承認された唯一の「公認の使節」であると主張し、ロサンゼルスの有力支持者らに圧力をかけました。エドナは特に女性支配者としての力強い姿勢を見せ、「アセンデッドマスター」に逆らえば、今生とそれ以降の2つの生まれ変わりにわたって罰せられると脅しました

実際に、サン・ジェルマン大師からの手紙と称する文書が回覧されました。その中でサン・ジェルマンは、ある支持者に対し「あなたの地上での時間は短い」「あまりにも遅れて、あなたは苦しみを叫ぶことになるだろう」と脅しているのです。

サン・ジェルマンによる文書の一部を引用します(原文のまま):

"Your earth span is very short. Make peace with your God and call on the Law of Forgiveness while there is yet time, less you deprive yourself of opportunity in the next embodiment. Do not try to bluff such deception through any longer, less you do this thing again in the next two embodiments."

翻訳:
「あなたの地上での時間は短い。今のうちにあなたの神と和解し、許しの法則を求めなさい。そうしないと、次の生まれ変わりでチャンスを失うことになる。そのような偽りを見抜かれる前に、それを素直に認めなさい。そうしないと、次の2つの生まれ変わりでも同じ過ちを繰り返すことになる。」

この脅迫的な文書の効果は絶大で、多くの支持者らは服従を余儀なくされました。バラード夫妻は自らの専制的な権力を確立し、運動の中央集権化を進めていったのです。

第5章では、さらに次のような重要な出来事が述べられています。

バラード夫妻が東部の都市(カンザスシティ、ニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、ワシントンD.C.)を回っている間、カリフォルニアでは「七人からなる委員会(Sevenfold Committee)」が設置されましたが、委員会内部で意見対立が生じていました。

「七人の委員会(Sevenfold Committee)」とは、バラード夫妻が東部の都市を回っている間、サン・ジェルマン自らが任命したと称する7人の委員会のことです。この委員会は、バラード夫妻が不在の間、カリフォルニアでの運動を統括する役割を与えられていました。
しかし、この委員会内部で「運動をどのように進めるべきか」について意見対立が生じていたと述べられています。サン・ジェルマン自らがこの7人を選んだはずなのに、そのサン・ジェルマン自身が適切な指示を出せなかったことが示唆されています。

バラード夫妻は自分たちの運動の広報担当役を務めていた男性に対しても、サン・ジェルマンの名で脅迫状を送りました。その手紙では「あなたは赤い光の下に身を置いた。白い光を遮ってしまった」などと書かれています。

こうした強権的な手段により、バラード夫妻は運動内の反発勢力を押さえ込み、自らの専制的な権力基盤を確立していったことが描かれています。

エドナの台頭が「女性支配者」として描写されている点や、サン・ジェルマンになりすまして脅迫状を送る手法など、バラード夫妻の権力欲と支配体制の確立が生々しく示されています。

「7つからなる」という意味の「Sevenfold」という言葉を覚えておいてください。

⑥第6章(焚書)

AI:第6章では、バラード一味が信者を心理的に支配するために用いた「おぞましいもの(bugaboo)」の心理術が描かれています。彼らは「サン・ジェルマン」や「アセンデッドマスター」、「悪しき霊(evil astral entities)」、「黒魔術師(black magicians)」といった見えざる存在を脅しの材料として利用し、信者を恐怖に陥れて服従させようとしていました。

特に1936年に著者がこの運動を暴露する小冊子を出版した際、バラード夫妻は激しい反発を示し、信者らにその書籍を焼却するよう命じました。一部の過激な信者は実際に本を焼いてしまいました。

また、ある元伝道師(Messenger)が運動から離脱したときに受け取った、サン・ジェルマンを名乗る手紙が引用されています。そこには以下のような一節がありました。
"Owing to your continued spreading of vicious falsehood, concerning My Work and the Magnificent Dictations of Discourses by many of the Ascended Masters, your compel Me to withdraw your Messengership, which I gave you represent Me and My Work...May your Mighty I AM Presence release you from the tragic danger you are in."
「あなたが私の作品と多くの上昇した師たちの素晴らしい説教に関する悪意に満ちた虚偽をひき続け広めているため、私があなたに与えた私とわが作品を代表する伝道師の職を取り上げざるを得ない。あなたが陥っているこの危険な状況から、あなたの偉大なる私存在(マイティ・アイ・アム)があなたを解放してくれることを願う。」
このように、離脱者に対して「破滅的な危険」にあると脅迫し、服従を強要する手口が用いられていたことがわかります。

一方で、サン・ジェルマンになりすまして書かれたとされるメッセージでは、運動を批判する団体に対して「教会が空になる」と脅しています。具体的に以下の一節が引用されています:

"...Every source," says the irate Saint Germain, "whether it is Unity, Christian Science or whatever it is, that attempts to bring disgrace upon This Work or condemns or criticizes It, will fail utterly and their churches will be empty!" (p. 55, A.M.D.)

翻訳すると:
「私の仕事を汚そうとしたり、非難したり、批判したりするすべての団体、ユニティ教会やキリスト科学教会などを問わず、彼らは全く失敗するだろうし、彼らの教会は空になるだろう!」と、サン・ジェルマンは怒って言った。

さらに、後に「金星の背の高い師(Tall Master from Venus)」と呼ばれる存在が、この予言を間違って引用しているエピソードも記されています:

「数ヶ月後、長い髪の『金星の背の高いマスター』がサン・ジェルマンの組織への戦いに加わったが、この金星の「マスター」の記憶力は地上の凡人と同じくらい短く、上記の予言を行ったのが彼の無数の「アセンデッドマスター」の兄弟のうちのどれだったのか忘れてしまい、誤って次のように述べた:

「数ヶ月前に、偉大なる神的指導者[!]はこう言った。もしキリスト教科学者たちがこの作品に反対するのをやめなければ、彼らの教会は空になるだろう。もし正統派の世界がこれをやめなければ、彼らの教会も空になるだろう。さて私の愛する皆さん、もし私が今夜、すでに何教会が空にされ閉鎖されたかを言えば、あなた方は驚くことでしょう。」(1938年10月号、p.25)

※サンジェルマンの発言を「偉大なる神的指導者(Great Divine Director)」の発言と勘違いした、という指摘。

また、バラード自身が舞台に立ち、様々な「マスター」の発言を自分の声で伝えるという茶番の実態も明かされています。

1930年代に「金星の背の高いマスター(Tall Master from Venus)」がバラードのチャネリングに登場していたことがわかりました。これがアイアム運動が最初のUFO宗教と言われるゆえんです。

⑦第7章(見えざる敵との戦い)

AI:第7章では、バラード・カルトの信者たちが、存在しない「エンティティ(有体/無体の悪しき存在)」と戦っている様子が描かれています。

信者たちは、「エンティティ」が古びた品に宿り、反対者のオーラに潜んでいると考えています。そのため、「エンティティ」から守るため、「強力なアイアム存在(Mighty I AM Presence)」や「アセンデッドマスター」、「炎の君主(Lords of the Flame)」、「オロマシス(Oromasis)」、「アストレア(Mighty Astrea)」など架空の存在に祈りを捧げ、「蒼い稲妻の天使デーヴァの軍団(Legions of Angel Devas of the Blue Lightning)」を呼んで「エンティティ」を排除するという「エンティティ降伏の勅令(Entity Decree)」を行っています。

たとえば、ある信者は黒と赤の服を見て「blast! blast! blast!」と叫んでいました。

サン・ジェルマンは、次のようにチャネリングしています:

"Since yesterday three hundred thirty-two thousand discarnates were removed from the environs of New York City. (applause—audience standing)"
「昨日以来、32万2000体の無体の存在がニューヨーク市周辺から除去された(拍手-観客は立っている)」

"In exactly twenty-three hours, one million discarnates have been taken from America. (applause) It is necessary for you to take Our Word for these things for a short time."
「ちょうど23時間で、100万体の無体の存在がアメリカから取り除かれた(拍手)しばらくの間は、私たちの言葉を信用してもらう必要がある」

また、「アストレア」は「エンティティ」を排除する英雄的使命を負っており、フィラデルフィアから40万体以上の「エンティティ」を追い払ったと述べられています。

このように、バラード・カルトの信者たちは実在しない「エンティティ」と戦う妄想に取り付かれ、架空の存在に祈りを捧げる異常な行動に走っていたことがわかります。

最後に、著者は次のような疑問を呈しています:

"Why, with all this 'entity' clean-up, conditions in our cities and in the world continue as they do?"
「この全ての"エンティティ"排除作戦があるにもかかわらず、なぜ我々の町や世界の状況がこのままなのか?」

つまり、バラード派が主張するような大規模な"エンティティ"排除があったにもかかわらず、実際の社会状況が改善していない矛盾を指摘しているのです。
この疑問から、著者はバラード派の"エンティティ"排除の主張自体が単なる空虚な妄想に過ぎないことを強く示唆していると解釈できます。

ここでは何年か前から続いている、存在しない「ホワイトハット軍による子どもたちの救出作戦」や「カバールの大量逮捕」との共通性が見られます。

⑧第8章(果たされない約束)

AI:第8章の要約です。この章では、バラード派が信者たちにさまざまな「形而上学的ご馳走(metaphysical plums)」すなわち大げさな約束をしていたことが描かれています。

例えば:
- 「金や宝石を目に見える形で生み出すことは呼吸するくらい簡単だ」(p. 97, D.)
- 「一生懸命やれば、障害は全て取り除かれるだろう」(p. 7, Dec., 1938, V.)
- 「神経、臓器、体の一部をすぐに完全な状態に戻せる」(p. 42, D.)
- 「60歳前後の人でも、6週間で若々しくなれる」(p. 16, Sept., 1937, V.)
- 「肉体的死を経ずにアセンションした師になれる」(p. 4, March, 1938, V.)
- 「制限のない生活ができるようになる」(pp. 141-2, A.M.D.)
- 「嵐を止め、雨を降らせ、霜を抑えられる」(pp. 28-33-34, March, 1937, V.)

など、健康、富、永遠の命などを約束していました。

しかし、実際には一切の奇跡は起こらず、バラードは言葉巧みにごまかしていました。例えば、サン・ジェルマンになりすまし、以下のようなメッセージをチャネリングしていました:

"In this room tonight there are 104 for whom the Divine Director will consume the last vestige of human accumulation tonight."
「今夜この部屋にいる104人は、神的指導者が最後の人間の蓄積を消し去るだろう」

"In this small audience, the human creation of 346 has been dissolved and consumed."
「この小さな観客の中で、346人の人的創造物が溶解し消去された」

しかし、誰がそうなったのか具体的には明かされませんでした。

バラードは約束の奇跡を具体的に示せなかったため、こうした抽象的な言葉遊びでごまかし、信者たちの期待を次々と先送りにしていったのです。

そろそろ読んでいて吐き気がしてきた方も多いのではないでしょうか。毎週、毎月、毎年と繰り返されるネサラゲサラ、メドベッドなどの予告ですが、およそ100年前から繰り返されてきたことを知った上でそれに期待している「目覚めた人」たちはどれくらいいるでしょうか?

⑨第9章(アセンション教のはじまり)

AI:第9章の「バラード夫妻のアセンション奇跡」について、詳しく解説させていただきます。

ガイ・バラードとエドナ・バラード夫妻は、1930年代にアメリカで新興宗教運動「アイアム・アクティビティ」を立ち上げた人物です。この運動は、バラード夫妻が様々な「アセンデッドマスター(昇天した大師)」と呼ばれる存在からメッセージをチャネリングし、それに基づいて教義を広めていったものでした。中でも彼らが最も力を入れて宣伝したのが、「アセンションの奇跡」でした。

この「アセンション」とは、完全に精神的・肉体的に純化された者が、物理的肉体そのものを光に変容させ、天上の次元へと舞い上がるという概念です。バラードの自伝的著書『Unveiled Mysteries』では、主人公であるゴッドフリー・レイ・キング(Godfre Ray King)が、実はバラード自身の分身であると明かされています。この書物の中で、キングは老人にクリスタル・カップから不思議な飲み物を飲ませると、その老人の肉体が白く輝き、光の道を昇っていく「アセンション」の光景を目撃したと描写されています。

その後の著書『The Magic Presence』においては、さらに「アセンション」の方法が具体化されます。シャスタ山(Mt. Shasta)やワイオミングにある「象徴の洞窟(Cave of Symbols)」には、原子加速器(Atomic Accelerator)と呼ばれる金の椅子があり、それに座るだけでアセンションできるというのです。実際に仲間のデイビッドとレイボーンがこの加速器を使ってアセンションしたことが書かれています。

バラード教団の信者たちは、自分たちも間もなくこの「アセンション」を果たせると熱望するようになりました。ところが時間が経っても誰一人アセンションできる者はおらず、逆に多くの信者が亡くなっていきます。そこでバラード夫妻は、サンジェルマンという「アセンションした大師」がチャネリングしたメッセージに頼らざるを得なくなったのです。

そのメッセージによれば、光の女神と自由の女神の嘆願を受け、サナト・クマラ(Sanat Kumara)という至高の存在が「新しい恩恵」を与えたという運びでした。それは、肉体は残しつつ魂だけが昇天できるようになった、というものです。つまり、これまでの「肉体アセンション」からは180度転回した「魂のアセンション」を認めるようになったわけです。

そのサンジェルマンのチャネリングメッセージは以下の通りです:
「愛する光の子供たちよ、私はあなた方に、ある個人に与えられた生命の報酬を見て感じてもらいたい...過去のすべての時代において、アセンションは精神的に純化された物理的身体を高次の精神体に取り入れることによってのみ可能であった。しかし今、新しい恩恵が施されることになった。聖なるサナト・クマラ様が、光の女神と自由の女神の嘆願を受け入れ、学生の中の特定の者たちが、外的構造である人間の不調和な形態を残しながらアセンションすることを許可されることになった。」

このように定義を変更したことで、亡くなった信者の魂もアセンションしたと主張できるようになりました。しかし一方で、バラード夫妻自身は物理的な「肉体アセンション」を体現することが不可欠であると考えていました。それゆえアラビア(Arabia)の秘密の場所で5人がアセンションしたと発表されたり、将来的にシャスタ山やワイオミングの山々から自分たち自身がアセンションする日が来ると予言を残しています。

しかし、このように「アセンション」概念は次々と変遷を遂げ、非常に曖昧で矛盾に満ちたものになってしまいました。当初の「物理的肉体の光への変容」から、「魂だけのアセンション」、そして極秘の場所でごく一部の人間だけがアセンションしたと主張するに至るまで、状況に合わせてその定義が変わっていったのです。結局のところ、バラード教団における「アセンションの奇跡」は、信者を惹きつけるための虚構の「ぶら下げ話」に過ぎなかったのかもしれません。

アセンション教も2012年頃までかなり流行っていたのを覚えています。この時に「アセンション」で稼いだ出版社や占い師は多いでしょう。無料の情報源としては、当時、富士山とチャネリングしていると主張するブログが大人気で、私も「本当に何か大きな変化が起きるのかも」と興味を持ってよく覗いていました。結局2012年が終わっても何も起きなかったのですが、そのブログ主は自身が「アセンションした」と宣言していたのを覚えています。もう12年も前のことです。現在そのブログがどうなっているか、気になって検索してみると、体裁を変えてまだ存在していました。

アセンションしても消費税からは逃れられないのか

当時のブログのタイトルは「アセンションになんとか」だったような?と検索すると、このブログについて書かれた別のブログ記事がヒットしました。

当時が思い出されます
こういったアセンション・ブーム時のブログの多くは2012年以降更新されなくなりました

⑩第10章(UFO宗教のはじまり)

AI:第10章では、ガイ・バラードとエドナ・バラード夫妻が自らの「偉大なる我有り(Mighty I AM)」運動を宣伝するため、様々な架空の「宇宙の大師」を名乗る存在を持ち出し、絶賛の言葉を語らせていたことが批判されています。

具体的には、「アークトゥルス(Arcturus)」と名乗る「偉大な星の存在」、「勝利の大天使(Mighty Victory)」、「偉大なテノール(Great Tenor)」、「メル神(God Meru)」、「ナダ女史(Lady Master Nada)」など30を超える不思議な名前の存在が、バラード夫妻の活動を絶賛したと主張されました。

中でも印象的なのが、「金髪の背の高い金星人マスター(Tall Master from Venus)」です。この存在は、約2600万マイル離れた金星から地球を訪れ、ガイ・バラードの身体を借りて次のようなメッセージを伝えたとされています。

"I call your attention to these beloved Messengers, the most precious Beings on the face of this earth today. Look how they struggled for years just like the rest of mankind; and look today!...They are free Beings today and could leave you at any moment; but their great Love will not let that be done at present."
(私はあなた方に、今日この地上で最も尊い存在であるこの愛すべき使節たちに注目するよう求める。人類と同じように何年もの苦しみを経て、そして今日彼らは!...彼らは今日自由な存在となり、いつでもあなた方のもとを去ることができる。しかし彼らの偉大な愛がそれを今は許さない。)

また、「丘の老人(Old Man of the Hills)」と呼ばれる存在まで登場し、バラード夫妻を絶賛しています。

さらに、バラード夫妻は自分たちこそ「イエス・キリスト(Jesus the Christ)」の再臨であると主張し、使徒の「愛された者ヨハネ(John the Beloved)」までもが、次のようにバラード夫妻を賞賛したと語っています。

"These Beloved Messengers have not made one single mistake from the beginning."
(これらの愛すべき使節たちは、初めから一つの過ちも犯していない)

"There never were two such interested, selfless human being on the face of this earth as the Messengers are."
(この地上に、この使節たちのように関心が高く無私な人間は過去に一人もいなかった)

さらに、「偉大なる神的指導者(Great Divine Director)」と呼ばれる存在は、「この使節たちが伝える教えこそが、地上で最も偉大なものになる」と絶賛しています。

一方で、バラード夫妻自身も自分たちの前世について公言しています。ガイ・バラードは「ジョージ・ワシントン」の生まれ変わりであり、エドナ・バラードは「ジャンヌ・ダルク」の生まれ変わりだと名乗っていました。ちなみにエドナについては、「マーサ・ワシントン」ではなく、ジャンヌ・ダルクを選んだ理由は不明です。

また、息子のドナルド・レイ・キング・バラードは、「ラファイエット侯爵(Marquis de Lafayette)」やインカ帝国の王の生まれ変わりだと主張されています。

さらにバラード一家は、「リチャード1世(Richard the Lion-Hearted)」時代からの仲間だと語る「自由の女神(Goddess of Liberty)」からも、絶賛されたとされています。

"We won't go back far, but in the time of Richard the Lion-hearted in England, again Joan of Arc in France, again Washington, and again today, you stand, and have stood through the Ages with that Loyalty to the Light and to those Precious Ones (the Ballards) who represented the Light..."
(私は遠くまで遡らない。しかしリチャード獅子心王時代のイングランド、その後ジャンヌ・ダルクのフランス、さらにワシントンの時代に、そしてまた今日に至るまで、あなた方は光に仕える忠実な者として、この尊い存在(バラード)たちに仕えてきた...)

さらに、「大天使ミカエル(Archangel Michael)」までもが、ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりであるエドナについてこう語ったと主張されています。

"I have not ministered to earth since My Ministry in France. I ministered then to the same individual who, this night, I begin to minister through in America, our beloved Joan of Arc."
(私がフランスで与えて以来、地上で役割を与えることはなかった。しかしこの夜アメリカにおいて、私が再び役割を与えるのは、私たちの愛するジャンヌ・ダルクその人と同じ人なのだ)

このように、バラード夫妻は自らを権威づけし、神格化するために、数多くの有名な歴史上の人物や宇宙の偉大な存在を持ち出し、それらに自分たちを絶賛させる宣伝を展開していたことが分かります。著者はこの手法を"博覧会の見世物小屋のような"大袈裟なパフォーマンスだと酷評しているのです。

prompt:セントラル・サンについて何か書かれていませんか?

AI:はい、本文中にセントラル・サンについての記述がありました。

以下が該当する一節です。

"A "Great Being" beyond the "Central Sun" of the universe has even taken note of the delectable merits of Saint Germain's precipitated dinners, ascension robes, and what not, and has come forward after a million years of silence to boost the sale of the Ballard books and merchandise."

日本語訳:
「宇宙のセントラル・サン(Central Sun)」を超えた「偉大な存在」までもが、サンジェルマンが現実化した夕食や昇天用の衣装など、様々な商品の魅力に気づき、100万年の沈黙を破ってバラード夫妻の本や商品の販売を後押ししたと主張されている。」

つまり、バラード夫妻はセントラル・サンを超越した非常に権威ある存在までもが、自分たちの教えや商品を絶賛していると宣伝していたということです。著者はこれも大げさで虚構に満ちた宣伝の一例として批判しています。

UFO宗教の色合いがだいぶ濃く感じられるようになってきました。繰り返しますが、これらはすべて1930年代の話です。

⑪第11章(ほらふき男爵の冒険)

AI:第11章の詳細な解説を行います。この章では、ガイ・バラードがゴドフレ・レイ・キング(Godfre Ray King)という人物になりすまし、虚構の冒険談を書いた『ヴェールを剥がれた神秘(Unveiled Mysteries)』という本が取り上げられています。

本書の冒頭でゴドフレは、「東洋諸国を旅して様々な噂や神話、伝説の根底に深い真実が隠されていることを知った」と綴っています。そして自身を主人公に据え、「千夜一夜物語」のシンドバッドや「ミュンヒハウゼン男爵の冒険譚(ほらふき男爵の冒険)」、「ガリヴァー旅行記」などの作品に描かれた非現実的な出来事を、あたかも自身の体験したことのように語っているのです。

著者は、こうした虚構の冒険譚をゴドフレが"真実の出来事"と主張していることを、ミュンヒハウゼン男爵の嘘話を指して批判しています。男爵は嘘の話をする際、一度も笑わずに真剣な態度を崩さなかったため、聞き手を欺くことができたと言われています。

そしてゴドフレは、男爵以上に自身の"冒険譚の真実性"を強調しようと、"サンジェルマン"や"宇宙の大尊師"たちに自身の言葉を保証させているのです。

具体的には、最初にゴドフレは、カリフォルニア州のシャスタ山で"サンジェルマン伯爵"に出会い、瞬間移動の体験をします。ゴドフレ自身が語る原文は以下の通りです。

"Place your arm about my shoulder," said he, "and close your eyes."
"I felt my body lifted from the ground," relates Godfre in telling of this amazing transportation of his actual physical body through space, and added: "Presently, my feet touched the floor and opening my eyes—I stood in the lodge."

(「私の肩に腕を回して目を閉じなさい」と彼(サンジェルマン)は言った。「私は地面から体が浮くのを感じた」ゴドフレは自身の肉体が空間を移動する不思議な体験について、こう語る。「まもなく私の足が地面に着き、目を開けると──私はロッジの中にいた」)

さらにゴドフレは、シャスタ山でパンサーとマウンテンライオンに襲われるが、自身の磁力で獣を制するという驚異の体験談も書いています。これはミュンヒハウゼン男爵が獅子とワニに襲われて難を逃れた話と酷似しています。

そして最も非現実的なのが、7万年前の自身のミイラ化した肉体に宿る体験談です。金髪が残り、黄金の衣装に身を包んだ "美しいミイラ"になったゴドフレは、それに1時間ほど宿ったと主張しています。妻のエドナ・ロータス・レイ・キングと息子のエドナ・エロス・レイ・キングも同様に7万年前の肉体に宿ったと述べています。

後に出版された「魔法の存在(The Magic Presence)」でも、ゴドフレはさらなる冒険譚を書き連ねています。ワイオミング州のダイアモンドK牧場を訪れた際、魔法の絨毯に乗って空中を移動し、ヒマラヤに降り立つという体験談が描かれています。 そしてついには、肉体と共に「第七次元の光」へ舞い上がり、"アセンデッドマスター"になる機会さえ得たと主張します。しかしゴドフレはその機会を辞退し、再び地上に舞い戻ってきたと語っています。

著者はこうした虚構の冒険譚に大勢の大人がとり憑かれてしまったことを嘆き、このような作り話を真実と信じるのは19世紀末のルイ・ド・ルージュモンの例に見られるように、過去の人々の過ちを繰り返しているだけだと批判しています。

ガイ・バラードの使ったゴドフレ(・レイ・キング)というペンネーム自体が、『ほら吹き男爵(ミュンヒハウゼン男爵)の冒険』の著者であるゴットフリート(・アウグスト・ビュルガー)のファーストネームに似ています。

おもしろいことに、ミュンヒハウゼン男爵は月面まで冒険するようです。

「19世紀末のルイ・ド・ルージュモンの例」については詳しく解説している興味深いサイトが有りました。シャーマン研究家として有名な宮本神酒男さんという方のサイトです:

https://mikiomiyamoto.bake-neko.net/oriori014.htm

⑫第12章(サンジェルマン伯爵とホワイトハットの原型)

AI:第12章は、18世紀に活躍した謎多き人物「サン・ジェルマン伯爵(Comte de St. Germain)」について、さまざまな視点から論じられています。事典編纂者と小説家・オカルト作家の間で、この人物の評価が真っ向から対立していることが指摘されています。

一方の事典編纂者たちは、サン・ジェルマン伯爵を「現代最も有名な神秘的な冒険家」と形容しつつも、一方で「詐欺師」「欺瞞者」「極めて大それた成りすまし(extraordinary impostor)」とも呼んでいます。要するに、彼の人となりを疑問視する厳しい評価がなされているのです。

それに対し、小説家やオカルト作家らは、ほぼ一様にサン・ジェルマン伯爵を「達人/最終解脱者(adept)」「超越的な魔術師(transcendental magician)」「グレート・ホワイト・ロッジの使節(Messenger of the Great White Lodge)」と賞賛の言葉を投げかけています。彼らの信仰や関心に基づき、サン・ジェルマン伯爵を神格化し称え上げているわけです。

このように一人の人物を巡って、世間の評価が真っ向から食い違っているのは、サン・ジェルマン伯爵自身の生い立ちや正体が不明確だからだと考えられています。彼の出自については次のような説があります。

あるオカルト作家は、「私たちはサン・ジェルマン氏がホームレスで金のない冒険家で、世間から恩恵を受けようとしていたという理論を捨て去らねばならない」と述べています。そして「彼は高貴な血筋の人物であり、実質的に王族に近い存在だった」と主張しています。(The Comte de St. Germain, p. 15, by I. Cooper-Oakley)

具体的には、トランシルヴァニアの「フランツ・レオポルド・ラゴッツィ公」の子孫という説が有力です。この説が事実ならば、サン・ジェルマン伯爵は生まれながらに富と階級を有していたことになります。ただし、この親子関係については別の見解もあり、確たる出自は定かではありません。

また、彼がさまざまな姓名を使い分けていたことも、正体の曖昧さに拍車をかけています。「サン・ジェルマン伯爵」はその呼び名の一つに過ぎず、他にも10以上の異なる名前を使用していたそうです。この点については、一部のオカルト作家が「当時の貴族によくあることで、下々の人々の野次馬根性から逃れるためであり、政治的な理由もあった」と弁護しています。

近年においては、ガイ・バラードとエドナ・バラードの二人が、自らの「偉大なる我有り(Mighty I AM)」運動においてサン・ジェルマンの名を大々的に宣伝し、広く知られるようになりました。ただし、彼らは故意にサン・ジェルマンの正式名称を避け、代わりに「聖者サンジェルマン(Saint Germain the Ascended Master)」と自作の呼称を用いています。さらに「聖者」の部分を常に完全にスペルアウトすることで、あたかもサン・ジェルマン伯爵がキリスト教会によって列聖された人物であるかのような誤解を与えています。

一方で、事典の記述によれば、サン・ジェルマン伯爵は多才で博学な人物だったことが分かっています。ドイツ語、英語、イタリア語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語を流暢に操り、言語の達人でした。また音楽や絵画にも卓越した才能があり、ピアノの弾き手としても秀でていたと伝えられています。当時としては非常に優れた化学者でもあり、錬金術の最終目標である「賢者の石」の製造にすら成功したという噂もあります。

しかし一方で、空想家的な一面も否めません。彼は自ら「シバの女王ソロモン王パラケルスス、そしてメルキゼデク(サレムの王、至高の神の祭司)」らと個人的に親しい付き合いがあったと公言しています。現在の感覚からすれば到底信じ難い虚構の自己宣伝ですが、当時の人々は簡単にそれを受け入れてしまったのかもしれません。

こうした逸話から、サン・ジェルマン伯爵がある種の地位や目的のために、意図的に自身に神秘的なベールを纏い、大衆に魔術使いやスパイのようなイメージを植え付けようとしていたのではないかと考察する人もいます。

実際、フランス国王ルイ15世は非常に彼を重んじており、シャンボール城に私室と研究室を設けて彼を大切にしていました。また当時の著名人であるヘッセン公子、マリー・アントワネット、そしてロシアのエカチェリーナ2世の側近とも記録されています。こうした事実から、彼が何らかの重要な役割を担う政治的な人物だったのではないかとの憶測が生まれています。

しかし一方で、サン・ジェルマン伯爵に反発する人々も少なくありませんでした。カーライルは彼の人気を快く思っておらず、カサノヴァは「彼は単なる成りすましにすぎない」と酷評しています。さらにヴォルテールも「彼は決して死なず、全てを知っている男だ」と皮肉を込めて語っています。政敵からは「危険人物」とみなされ、ある時はバスティーユ送りにされる危機すらありました。

サン・ジェルマン伯爵の死に関しても、さまざまな説があります。バラード一味は「彼は死ぬことがなかった」と主張していますが、これはサン・ジェルマン伯爵の長寿を語るオカルト作家の主張に基づく可能性があります。その一方で、彼の自著とされる『最も聖なる三位一体論(The Most Holy Trinosophia)』の記述を文字通りに解釈すれば、彼はローマ教会の異端審問所の牢獄で最期を遂げたことになります。また、秘密結社「イルミナティ」のメンバーだったとの説もあり、その場合この運命は頷けるかもしれません。ただし、オカルティストの間では、この書物の内容を象徴的に解釈すべきだとの意見もあります。

また、エッカーンフェルデの教会記録には、「1784年2月27日に死去、3月2日に葬られた、いわゆるサン・ジェルマン伯爵兼ウェルドン、他の情報なし、この教会に私的に安置された」との記載があり、この年が彼の死去年とされているところもあります。しかし多くの者がこの記録を疑問視しています。

サン・ジェルマン伯爵は、「さまよえるユダヤ人」の伝説の通り、今も存命しているという伝承も根強くあります。国家の裏で糸を引いている者の正体がサン・ジェルマンだと目されることもあり、1784年の「死」以降も、秘密結社や密儀団体で一定の活動を続けていたと考えられています。1785年のパリでの仏国フリーメイソン大会の代表の一人だったり、1789年のフランス革命の引き金を引いたりしたとの指摘もあります。このように、生前から死後に至るまで、彼の行動には常に神秘のベールが掛けられてきたのです。

人々はサン・ジェルマン伯爵の正体をめぐり、事実以上に想像力を馳せすぎる傾向にあります。例えば、ロシア革命を引き起こしたとされる「狂信的な僧侶ラスプーチン」こそがサン・ジェルマンの生まれ変わりだと主張する向きもあれば、中世に活躍した薔薇十字団の創始者「クリスチャン・ローゼンクロイツ」と同一人物だったとの説すらあります。このように、事実を超えた憶測が交錯しているのが現状です。

このような常軌を逸した憶測を後押ししたのは、偶々ではあるもののサン・ジェルマン伯爵自身の言動にもあったと考えられます。例えばブラヴァツキーは、「近代ヨーロッパで最も偉大なオリエンタルの達人(adept)」とサン・ジェルマンを評しています。また同時代のオルコット大佐も、彼を「ホワイト・ロッジ(White Lodge)の使節」、つまり人類の為に世界を操る達人集団の一員と見なしていました

このように、サン・ジェルマン伯爵をめぐっては、彼の正体がマジックを操る達人なのか、単なる虚構と詐欺のオカルト作家に過ぎないのか、意見が明確に分かれています。しかし、そもそもの発端は、サン・ジェルマン伯爵自身が、自らに意図的に神秘的なベールを纏い、大衆に非現実的な期待を抱かせたことにあったのは確かです。

結論として、サン・ジェルマン伯爵の正体について明確なことは何もわかっていません。事実と虚構が入り交じり、様々な憶測が渦巻いているに過ぎません。ただし彼が、18世紀の人々の神秘主義的な欲求に呼応する形で、自らに意図的に神秘性を付与していった点は間違いないでしょう。その意味で、彼は「神秘の男」と呼ぶにふさわしい人物だったと言えるかもしれません。

この章ではどうやら「ホワイハットがすべてを掌握している」というテンプレートの原型が、神智学協会の唱えていた「ホワイト・ロッジ」のアイデアにあるということがわかりました。

prompt:ホワイト・ロッジについて詳しく教えて下さい。

AI:ホワイト・ロッジ(White Lodge)については、本文中で以下のように説明されています。

オカルト作家のヘンリー・S・オルコット大佐は、サン・ジェルマン伯爵を次のように評価しています:

"Col. Henry S. Olcott, considered him "a messenger and agent of the White Lodge," using this term to mean "that Brotherhood of Adepts who stay back of the scenes and manipulate world affairs through agents for the good of humanity.""

日本語訳:
「オルコット大佐は、サン・ジェルマン伯爵を"ホワイト・ロッジのメッセンジャーおよび代理人"と見なしていた。ここで"ホワイト・ロッジ"とは、舞台裏に控えながら、人類の利益のために代理人を通じて世界の出来事を操っている達人/最終解脱者の兄弟団を指す言葉である。」

つまり、ホワイト・ロッジとは、オカルトの世界において、人類の精神的進化のために世界を裏から操る存在とされる達人/最終解脱者の集団を指します。

この「ホワイト・ロッジ」という言葉は、ヨーロッパの神智学協会(Theosophical Society)の影響を受けたものと考えられています。ブラヴァツキーらは、チベットやヒマラヤ方面に、高度な霊的能力と知識を持つ秘密の達人集団「グレート・ホワイト・ロッジ」が存在すると説いていました。

オルコットはこの教説に基づき、サン・ジェルマン伯爵をこの「ホワイト・ロッジ」の一員、あるいは使節と位置付けたと推測されます。つまり、サン・ジェルマンは単なる魔術使いではなく、人類の精神的指導者としての役割を担う存在だと考えられていたわけです。

このようなホワイト・ロッジの概念は、19世紀後半に盛んだったオカルト主義思想の影響を色濃く受けています。当時は東西を問わず、霊的な啓蒙者集団が地球の裏側で活動しているという「神秘の教説」が広く流布していました。サン・ジェルマン伯爵の正体についてもそうした観点から解釈が試みられていたわけです。

現代に至るまで、ホワイト・ロッジは様々なニューエイジ思想やオカルト主義者から語られる「伝説の秘密結社」のひとつとされています。しかし、その実在性については見解が分かれるところです。信者からは絶対的な権威を持つ集団とされる一方、批判的な見方をする人々からは都市伝説に過ぎないと評価されています。

つまるところ、ホワイト・ロッジとは、明確な実体は不明ながらも、オカルト思想の中で重要な位置を占める「霊的伝統の継承者集団」とされる存在概念ということができますね。

ブラヴァツキーと神智学協会についてまだここでは深堀りしませんが、バラード夫妻がそのフォロワーであり、二番煎じの亜種であったことは確実だと思います。ガイ・バラードの1934年の著作『ヴェールを剥がれた神秘』も、1877年に刊行されたブラヴァツキーの著作『ヴェールを剥がれたイシス』のタイトルをパクったのでしょう。

ヴェールを剥がれたイシス

補足:受け継がれる「アセンデッドマスターの教え」

ウィキペディアの「アセンデッドマスターの教え」は、神智学協会を起源としてアイアム運動が広めた思想がよくまとめられています。しかし、どこまでが神智学協会のオリジナルのアイデアで、どこからがアイアム運動によって付け足されたアイデアなのかは不明です。

アセンデッドマスターの教え
ここはロー・オブ・ワンの「一なる創造主」や、神道系の「分け御魂」の概念と共通しており、最も理解や共感を得やすい表看板の部分
ここから多くの「ツインレイ」出会い系ビジネスやナンパ行為が生まれた
このあたりから偶像崇拝のバカバカしさや荒唐無稽さが際立ってくる
色々なキャラクターが入れ代わり立ち代わりチャネリング・メッセージを伝えてくる手法はガイ・バラードによって確立された
エリザベス・クレア・プロフェットは神智学やアイアム信仰の継承者で、1980年代から90年代にかけてメディアに出演することが多く、2000年以降のスピリチュアル・ブームに与えた影響は大きい

エリザベス・クレア・プロフェットは、サンジェルマンが阻止するはずだった第2次世界大戦の勃発によって挫折したバラード夫妻のアイアム思想のエレメントを受け継ぎ、その子どもや孫の世代に復活させたような人物でした。また、彼女は核戦争の勃発を予言し、信者たちに地下シェルター建設を勧めていました。

結局この予言は成就することなく、アルツハイマー病と診断された彼女は1999年に表舞台を去り、その10年後に亡くなりました。

⑬第13~14章(オリジナルは別に存在した)

AI:第13章では、I AMムーブメントの指導者であるガイ・バラードとエドナ・バラード夫妻が、世界最高の劇作家ウィリアム・シェイクスピアをアセンデッドマスターの1人である「サン・ジェルマン」の化身だと主張していることが、批判的な視点から徹底的に検証されています。

まず、シェイクスピアが晩年になり、「強力なI AM」の教えに傾倒し、著書を出版したと伝えられていることが紹介されます。かつてはきわめて優れた英語力を持ち、数多くの喜劇、悲劇、歴史劇を書いたシェイクスピアが、晩年には「光と音の光線(Light and Sound Ray)」を通して単純な言葉しか使わなくなり、「親愛なる心々」「愛する人々」「かけがえのない生徒たち」といった愛称でI AMの信者たちに語りかけるようになったと描写されています。

次にバラード夫妻は、シェイクスピアの作品の本当の著者は、彼らが崇める「アセンデッドマスター・サン・ジェルマン」であると主張していることが紹介されます。その根拠として、ウィリアム・シェイクスピアの名前は、「I AMの意志が英知の槍を無知の闇に振るうこと」を意味すると解釈されています。

しかし、この主張には多くの矛盾があると指摘されています。まず、バラード夫妻は「サン・ジェルマン」がフランシス・ベーコン(Francis Bacon)の化身であり、エリザベス1世とレスター伯爵の間の子供だったと述べていますが、歴史的事実とは合致しません。エリザベス1世は未婚で子供がいないことは有名な事実です。またベーコンの両親は、別の夫婦として確認されています。

さらに矛盾として、バラード夫妻は「サン・ジェルマン」が1684年に肉体を「アセンション」させたと主張していますが、ベーコンは1626年に死去しているので、58年後に骨を蘇らせたことになり非現実的です。

一方で、バラード夫妻はサン・ジェルマンが旧約聖書の預言者サムエル(Samuel)の化身でもあると主張し、ペリシテ人に対して雷雨を降らせた出来事を引用しています。しかし聖書の記述では、老年期のサムエルが魔女に呼び出された際、「老人で、ローブに包まれていた」と形容されているため、若々しいサン・ジェルマンの姿と矛盾します。

さらに驚くべきことに、バラード夫妻はサン・ジェルマンが「アンクル・サム(Uncle Sam)」の化身でもあると公言しています。その理由として、「サン・ジェルマン」がアメリカを統治する存在であり、サムエル預言者の名から来ていると説明されています。

こうした一連の主張を受け、著者は「バラード夫妻がつくり上げたサン・ジェルマンは、歴史上の実在のサン・ジェルマン伯爵とはまったく異なる虚構の存在である」と断言しています。しかしその一方で、この作り物の「サン・ジェルマン」がI AMの信者たちを精神的に支配する「精神的独裁者」になっていると厳しく批判しているのです。

歴史的事実と虚構が恣意的に混在し、数多くの矛盾点が指摘されているように、バラード夫妻の主張には理不尽な点が多々あります。しかし、そうした非論理的な教説が、多くのアメリカ人に受け入れられ、精神的支配につながっていることが、この章で鋭く糾弾されているのです。

AI:第14章では、ガイ・バラードの著書に記されている「サン・ジェルマン」との出会いや「アセンデッドマスター」の秘密の聖域を訪れた体験談が、他の作家の作品から盗用・剽窃されたものである可能性が指摘されています。

まず著者は、無意識の盗用は作家にとって避けられない面があると前置きした上で、バラードの作品は他者の作品から意図的に盗用した可能性が高いと示唆しています。

具体例として、1894年に書かれた「A Dweller on Two Planets」と、バラードの「Unveiled Mysteries」での記述が酷似していることが挙げられています。両書に登場するのは、主人公が「マスター」に導かれて山の中を訪れるというエピソードです。著者はその詳細な記述を並べて比較し、ほとんど同じ文言が使われていることを指摘しています。

例えば:
オリジナル文言(A Dweller on Two Planets):
"We halted in front of a HUGE ledge of basaltic rocks..." (p.270)
「私たちは巨大な火山岩の棚の前で立ち止まった...」
"The ledge was broken and twisted AS IF by some rending giants had convulsion." (p.270)
「その岩棚は、あたかも何者かの巨人が引き裂いたかのように、粉砕し捻じれていた」
"Against the cliff rested a GIANT block..." (p.270)
「崖に寄りかかっているのは巨大な岩塊だった...」
"...He [Quong] TOUCHED the enormous quadrangular block." (p.271)
「...彼[クオング]は enormousな四角形の岩塊に触れた」
"Immediately it TIPPED on edge..." (p.271)
「するとすぐに岩はひっくり返った...」
"He SWUNG back the door-stone..." (p.272)
「彼は扉の石を押しのけた...」

バラードの剽窃文言(Unveiled Mysteries):
"Going to a point where HUGE masses of stone..." (p.76)
「巨大な岩塊の山の近くに行き...」
"...Masses of stone lay in confusion, AS IF giants had hurled them in a war upon each other." (p.76)
「...巨人が戦いを交えて投げつけたかのように、岩塊が乱れ散らばっていた」
"...Saint Germain TOUCHED a great boulder." (p.76)
「...サン・ジェルマンは巨大な岩に触れた」
"Instantly, the enormous mass TIPPED OUT..." (p.76)
「すると、巨大な塊がひっくり返った...」
"The great mass of bronze...SWUNG slowly open..." (p.76)
「偉大なる青銅の塊が...ゆっくりと開いた」

次に、1894年の小説「The Brother of the Third Degree」に登場する「サン・ジェルマン伯爵」と、バラードが描くサン・ジェルマンの類似性が指摘されています。両者とも長い金髪で青い目をしており、主人公を導くという設定が共通しています。

オリジナル文言(The Brother of the Third Degree):
"He [St. Germain] was tall and sparely built, with long GOLDEN HAIR and a light curly, chestnut beard." (p.290)
「彼[サン・ジェルマン]は細身の高身長で、長い金髪と明るい縮れ毛の栗色のひげをしていた」
"His eyes were BLUE and shone with a fiery luster..." (p.290)
「彼の眼は青く、火のような輝きを放っていた...」

バラードの剽窃文言(Unveiled Mysteries):
"Saint Germain stood before us...His beautiful GOLDEN HAIR hung to his shoulders." (p.151)
「サン・ジェルマンが私たちの前に立っていた...彼の美しい金髪は肩まで垂れていた」
"The piercing, sparkling VIOLET of his eyes..." (p.151)
「彼の眼は洞察力のある紫色の輝きを放っていた...」

さらに、1929年の「The Prince of Atlantis」と「Unveiled Mysteries」にも多くの共通点があり、「偉大な光の存在」が民衆に警告を発し、一部の民だけが生き残るというストーリーが酷似しているとされています。

オリジナル文言(The Prince of Atlantis):
"There is the same "Great Luminous Being," who comes to warn the people of an impending cataclysm which would strike unless the people heeded the warning..."
「民衆に対して差し迫った大災害の警告を発する"偉大な光の存在"がいる...民衆がこの警告に従わなければ、災害が襲うことになる...」

バラードの文言(Unveiled Mysteries):
"A great "Cosmic Being" came, just in time, and withdrew them into the "Golden Etheric City of Light.""
「ちょうどその時に、偉大な"宇宙の存在"が現れ、彼ら(黄金の髪の子供たち)を"黄金の霊界の光の都"に引き戻した」

また、両書に共通する設定として:
"There is the same great conclave of people, a great "banquet," the wise and good "Emperor" and his "golden-haired children.""
「民衆の大集会、大宴会の場面があり、賢明で善良な"皇帝"と、彼の"金髪の子供たち"が登場する」
"There is the same division into two classes of people..."
「民衆が二つの階級に分断されている設定も共通している...」
"In both books the people are given a certain time limit in which to heed the warning—"Seven weeks" in one book, "Seven days" in the other."
「両書とも、警告に従うための期限が設定されている。一方では"7週間"、もう一方では"7日間"」
"The cataclysm comes, and the "wicked" perish in the ensuing deluge. In both books the "Emperor's children" and the "Children of Light" miraculously escape."
「結局、大災害が来て"悪人"たちは難を逃れられない。しかし"皇帝の子供"と"光の子供"たちは奇跡的に難を逃れる」

このように、ストーリーの構造、登場人物設定、展開などに酷似した部分が多く見受けられます。バラードは先行作品の設定を多く盗用していたと考えられます。

他にも『Myriam and the Mystic Brotherhood(1915)』『Life and Teaching of the Masters of the Far East(1924)』などの既存の神秘主義文学における記述と、バラードの著作の類似性が多数例示されています。

1. 『Myriam and the Mystic Brotherhood』からの類似点
この小説には、以下のような記述がありました:
"...mystic caves which had been "hollowed out of solid rock" of the mountain."
「...山の固い岩を掘り抜いて作られた神秘的な洞窟がある」

バラードの著書にも同様の記述が見られます:
"We descended some TWO HUNDRED FEET...We...stood before a large BRONZE DOOR. We...entered another SPACE CIRCULAR in shape." (Unveiled Mysteries)
「私たちは約200フィート下り...大きな青銅の扉の前に立った。そして円形の空間に入った」

2. "Initiations," golden-robed "Masters," various "Ascensions," and some very young "Children of the Light"
「入門儀式」「黄金の衣を纏ったマスター」「様々なアセンデッド」「年若い"光の子供"たち」といった要素も『Myriam and the Mystic Brotherhood』に現れ、バラードの著作にも共通して描かれていました。

3. 『Life and Teaching of the Masters of the Far East』 (B.T.Spalding著)の類似点
"There is much about the "I AM," the "Ascension," messages from great "Masters," dazzling "Light Rays," precipitated meals—and even gold coins snapped right out of the atmosphere!"
「"I AM"、"アセンション"、偉大な"マスター"からのメッセージ、眩しい"光線"、物質化された食事、さらには空気から現れる金貨などについての記述が多数あった」

バラードの著作にもこれらの要素がありました。実際、エドナ・バラードはシカゴの講座でこの本から抜粋を読んでいたそうです。

このように、バラードの著作には既存の神秘主義文学からの大量の盗用の形跡が見られ、オリジナリティに乏しいことが窺えます。

特に興味深いのが、エドナ・バラードがシカゴで開いていた講座で、これらの書物から抜粋を読み上げていたという証言です。そして後にエドナが「許可なく出所を明かせない」としながら読んでいた原稿こそが、後の「I AM Discourses」の下書きであったと指摘されています:
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エドナ・バラードは、「Unveiled Mysteries」出版の数年前、シカゴでの非常に初期の私的クラスの中で、頻繁にバード・T・スポールディング(Baird T. Spalding)の本「Life and Teaching of the Masters of the Far East」から朗読していました。スポールディング自身も数週間にわたってバラード家に客として滞在していました。彼女はまた、この授業で、前に述べたように、ウィリアム・ダドリー・ペリー(William Dudley Pelley)の雑誌を含む他のオカルト文学も読んでいました。シャスタ山(Mt. Shasta)で「サン・ジェルマン」との出会いを装ったあとシカゴに密かに戻ってきていたガイ・バラードは、これらの初期のクラスにたまにしか出席しておらず、非常に神秘的に語られていました。彼は背景に控えていました - その理由は数章後に明らかになります。

数ヶ月にわたってペリー、スポールディング、その他の文献から朗読した後、エドナ・バラードは一連の所謂「講話(Discourses)」から朗読し始めました。彼女はそれらについて非常に神秘的で、どこから来たのかは「許可がない」ので言えないと述べていました。

しかし後に、彼女はこれらの講話が、84番街の自宅で「光と音の光線(Light and Sound Ray)」を通して、直接彼女とガイ・バラードに届いたと述べました。当時それらは薄い紙に書かれており、訂正や挿入が多数あり、それらを作成した人が頻繁に心を変えていたことが示されていました。

これらの「講話」こそが、後にバラードの出版物「IAM講話(I AM Discourses)」の基礎となったオリジナルのものでした。偉大な「完全な存在」から素晴らしい「光と音の光線」を通して与えられた(これは世界の歴史上、かつてないことだったと主張されていました)はずのこれらの講話を、エドナ・バラードが自由に「編集」したことは間違いありません。

しかしありありと、この「光と音の光線」は、1921年に出版されたマリー・コレリ(Marie Corelli)のオカルト小説「秘密の力(The Secret Power)」の中にすべての素晴らしさとともに登場しています。これは、バラードの「光と音の光線」さえも、太陽の下には新しいものがないということを改めて証明しているのです。

バラードの著作の大部分の基礎となった書物からの様々な抜粋を詳細に引用するのは、ある読者には退屈かもしれません。この分野をさらに調査したい人は、著者のパンフレットシリーズ5冊の中でも特に4番目と5番目の、「バラードの著作の源泉(The Source of the Ballard Writings)」と「バラードのサン・ジェルマン(The Ballard Saint Germain)」(トゥルース・リサーチ・パブリケーションズ、ロサンゼルス)を参照してください。

さらに、バラード夫妻が全国行脚の最初にロサンゼルスに到着した際、エドナは本を携え、ガイはアラビアン・ナイトの物語を持参していました。二人は、ゴドフレ・レイ・キング(Godfre Ray King/ガイ・バラードの別名)が「アセンデッドマスター」の秘密の聖域を訪れ、彼らと食事を共にし、話を交わし、彼らの家に宿泊し、「円形のローマ風浴場」で薔薇の香りに包まれて風呂に浸かったと語りました。

そしてある日、エドナ・バラードはロサンゼルスの興奮した聴衆に向かって、午後と夕方にかけてこれらの素晴らしい存在たちの実際の写真を見せると発表しました。

その日がついに来て、著者もその驚くべき写真を見るために居合わせました。著者は「アセンデッドマスター」の写真を見たことがありませんでしたが、神智学や他のオカルト文学を読んだことで一般の「マスター」の写真は見たことがあり、「アセンデッドマスター」がどのように普通のマスターと違うのか、ちょっと興味がありました。

すると、ステレオプティコンのスクリーンから、著者が数年前に神智学の本で見た「アセンデッド以前の」マスターたちの姿が彼を見つめ返していたのです-ただし今回は所々に水彩で着色がされていました!

著者は当然、これらの写真を使う許可を神智学協会に求めたと思い、謝辞を聞き逃すまいと耳を傾けました。しかし、そんな謝辞は一切ありませんでした!

これらの偉大で素晴らしい「アセンデッドマスター」の写真は、その本当の出所を一切説明することなく、あたかも自分たちのものであるかのように何度も繰り返し上映されました。そして、この些細な不正行為やその他の問題点を指摘する"憎悪すべき"個人や団体に対しては、「青い稲妻」の玉が投げつけられました。

このようにバラード夫妻は、実際には神智学協会の資料から「アセンデッドマスター」の肖像画を盗用し、それをあたかも本物であるかのように受け止めさせていたのです。
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このように、第14章では多数の具体例を交えながら、バラード夫妻の著作がその大半を他者の作品から盗用したものである可能性が強く示唆されています。著者はバラードの運動を「これまでに類をみない大規模な神秘主義の文学的盗作」と厳しく断じています。

「I AM」の教えのオリジナルは、バラード夫妻ではなかったということです。実際にBaird T. Spaldingの本『Life and Teaching of the Masters of the Far East』では「I AM」についてこのように述べられています:

わたしはまた、『わたしの内に神殿を建てて、アイアムがあなたがたの間に住むようにしなさい』という意味も知っている。そうすれば、アイアムはあなたがたの神であり、あなたがたはアイアムと同じである。これは教会や教会組織のことではない。万物の源である神が実際に住まわれる、人間の内なる平和の真の神殿のことである。人類は、神と人間がすべての人のために持っている真の理想、すなわち内なる神殿である「アイアム」を礼拝するために集まることができる幕屋を建てた。幕屋はすぐに崇拝され、空虚な偶像が作られた。そして今日の教会となっている。

「真の理想を抱くとき、私は自分の内なる神の声を聞く;そしてその声の啓示は、私の人生における仕事に、慰め、インスピレーション、導きを与えてくれる。私の名のもとに二人、三人と集まっても、その中にはいつもアイアムがいる。アイアムは常に人間の内に存在するというこの言葉は真実である。

⑭第15章(アセンデッドマスター商法)

AI:第15章は「マスター」書籍販売の詐欺について説明しています。バラードは5年もの間、この「アセンデッドマスター」シリーズの書籍を販売する際に、途方もない誇大広告をしていたことが指摘されています。

彼らは「これらの貴重な本には人間の概念や意見は一切含まれていません。何事にも答えが書かれています。地上で書かれた作品の中で最高のものです。数百年の間、この地の誇りとなるでしょう」といった具合に、ますます誇張された表現を用いていました。

書籍販売を促進するため、バラードは「マスター」や「偉大なる宇宙存在」を持ち出し、販売キャンペーンを行わせていました。彼らは「アセンデッドマスターの高い次元の光から見ると、これらの驚くべき本の表紙は宝石でできている」と主張していました。さらに「それぞれの新しい本はさらに素晴らしく、学生に栄光の自由への階段を作り出す」などと言っていました。

そして書籍の所有者には更なる祝福が約束されていました:

「アセンデッドマスターしかわからない特別な過程を通じて、強力な『宇宙からの放射線』がこれらの書籍から放たれる。この放射線は製造や販売の際に書籍に帯電される。偉大なる支配者たちが宇宙からやってきて、これらの本が製造される印刷所の4壁を通り抜け、いわゆる『サンジェルマン出版社』に侵入する。本が販売されるIAMの寺院にも侵入する。すべてはアセンデッドマスター放射線を書籍に帯電させるためだ!」

さらにバラードが書籍にサインを入れる際には、サンジェルマン自身が非常に特別な放射線を付与するとのことでした。
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「これがその仕組みだ:ロビーに群衆が集まり、貴重な書籍に署名を受ける特別な儀式を行う。新しく購入したものでなければ署名は受けられない。
ガイ・バラード、主たる署名者がひっそりと机に着く。彼の周りには『ミニットメン』の護衛がおり、人払いし、その他の『悪意のある者』から守る役目を果たす。サンジェルマン、主たる帯電者がバラードの右ひじのところに立っている(とされる)。各書籍に流れる電圧は明らかにされていないが、高いものだと言われている。電流がバラードの右腕を流れ、サインペンの指に達する。そしてどういうわけか、その電流が書籍に広がり浸透する。それ以降、本は決して同じものではなくなる。」

「この本はもちろん、既に工場で帯電されているが、バラード/サンジェルマンのコンビによるこの『特別な』帯電は違う。それは『超越的』なのだ。そのくらい違うので、サンジェルマンはこの署名式が行われる際に必ず出席する。その間ヨーロッパの問題は放置され、ワシントンでの重要な会議は中断される。重要なのはこの書籍への署名と帯電なのだ。ただし掛け払いは認められていない。支払いは現金のみである。書籍を『帯電』させるだけで十分なのだ!」

時には、バラードの組織の主任帯電者であるサンジェルマンに「レディのアセンデッドマスター」が加わることもあった。最新の大作が出版された際には、「純潔の女神(Goddess
of Purity)」がやってきて、販売促進の祝賀会を開いた。彼女は1939年1月1日、ロサンゼルスのシュラインオーディオリアムの舞台で(もちろんバラードを通じて)、新年の贈り物のように新作への購入を呼びかけるアナウンスメントを行った。

「今後は、あなた方の愛しいサンジェルマンと共に、私の純潔をメッセンジャーが署名を入れる全ての書籍に注ぎ込むことにしよう」(1939年2月号より)

そして幸運な購入者には、「人々の手から離れた場所に本を置くように」と勧めた。なぜなら、これらの個別に帯電された放射線が、他人から発せられる低い次元の放射線と混ざってはいけないからだ。各IAMの学生は、個人用に一セットずつ用意し、他人に貸さないよう求められた ― 見事な販売増加の仕掛けだ!
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通常の本5冊が1冊$2.50〜$3.00で、合計$13.75もする高額でした。サンジェルマン自身がこれらの書籍の完全セットを購入するよう強く求めていました。

"If you have not the FULL SET of those books," says this book-selling Ascended Master, "do not let another thirty days go over your head before you have them." (p.2, Sept. 20, 1938, G.L.)
「もしあなた方がこれらの書籍の完全セットを持っていないなら、30日を過ぎる前に必ず手に入れなさい」とこの書籍販売のアセンデッドマスターは言う。(1938年9月20日のガイドラインより)

バラード側は「100万人の熱心な学生」がいると主張していました。もしこの100万人全員に書籍の完全セットを購入させることができれば、バラードの資金箱に1,375万ドルもの莫大な金額が流れ込むことになります。

学生たちはこれらの書籍を手に入れるため、非常な努力と犠牲を払っていました。筆者のもとには、数日間食事を控えてでもこの「精神の糧」となる書籍を入手したという切ない話も寄せられています。

さらにバラードは月刊誌「The Voice of the I AM」の購読料も徴収していました。年間$3.00か1冊35セントでしたが、こちらも相当な収入源となったはずです。創刊号が1936年2月に出た際には、「イエス」(!)までが動員され、購読促進に利用されていました。

「私たちはThe Voice of the I AMを当代随一の人気雑誌にしようと努力するつもりです...これはIAMの学生全員がしっかりと希求するべき私とアセンデッドマスター達の願いです」(1936年2月号より)

その結果、かわいそうな学生たちは「購読数ディクリー(布告/神意)」を唱え続け、喉を潰すまで叫び続けさせられました。

「我々は誓う、The Voice of the I AMの購読数が1937年に100万を超えますように!」

加えて、バラード側は様々な「アセンデッドマスターの商品」を販売していました。全国のIAM寺院で、ピン、指輪、エンブレム、ブックマーク、シール、フォルダー、旗、小冊子、装飾品などが高値で売られていたのです。楽曲、レコード、トランスクリプション(書き起こし)の貸し出しもありました。

楽曲は$1.00、レコードは$2.50でした。IAMのピンは$1.00、指輪は$12.00もしました。視覚障碍者向けの書籍は1冊$5.25〜$7.75、4冊セットで$26.75です。イエスや髭を生やしたサンジェルマンの絵は$2.00以上、「山の老人」は$2.25も請求されていました。そしてガイ・W・バラード自身の大きな肖像画はなんと$25.00、さらに送料がかかりました。

小さな「プレゼンスの図」が$1.00、大きいものが$15.00、究極のものは$200.00の破格。「バイオレットの燃やし尽くす炎」も$200.00という高価格で、ディーラーやグループリーダーへの割引はありませんでした。

これらの「アセンデッドマスター商品」を「100万人の熱心な学生」に販売した収益を計算するのは骨が折れます。

バラードのラジオ番組はほとんど学生からの出資で賄われていただけでなく、番組でトランスクリプション・レコードを使う際は1枚$20.00も前払いが求められていました。

「この真理の放送に使うほどに祝福されるお金の使い道はない」とインドから呼び出された神「ヒマラヤ」までが述べ、「世界にIAMを広めるための出資ほど、超越的な祝福を受けられることはない」(p. 311, A.M.L.)と言い放っています。

かくして、これらの「マスター売り子」の要求に応えるため、学生たちは最善を尽くしていたようです。ニューヨークのIAM寺院で配られた告知は次のようなものでした:

「お言葉が入りました。バラード夫人はWMCA放送局で少なくとも7夜(できれば10夜)放送したいそうです。一夜の費用は約$185です。偉大なるアルクトゥルスは、このすばらしき真理を放送可能にした人々の祝福は無限だろうと述べました。」

もちろん、アルクトゥルスの祝福を受けるためには、学生たちはすぐさま$1,850を集めなければなりませんでした。適切な「ディクリー(神の意志を表わす言葉)」が選ばれ、学生たちはこの資金集めに狂ったように取り組みました。情報筋によれば:

「このディクリーはニューヨーク、コネチカット、ニュージャージーの全ての集会で一斉に行われ、私が出席した集会でも30回繰り返されました。最後には全員が叫び声を上げ、中には女性が泣き崩れるほどのヒステリックな状態に陥る者もいました。」

このように、この章ではI AM運動がいかに商業主義的で、書籍や雑誌、さまざまな商品の売り上げに過度に依存していたかが赤裸々に描かれています。学生たちへの精神的・金銭的な搾取ぶりが痛々しく、批判されているのがよくわかります。サンジェルマンやその他の「アセンデッドマスター」によるチャネリングメッセージの引用も多数挿入され、その誇大な主張の数々が具体的に示されていました。

ガイ・バラードによって編み出されたこのアセンデッドマスター商法は、約100年経った今でも現役です。

4冊購入キャンペーンとは・・・

⑮第16章(集めたカネの行方)

AI:第16章は、IAM運動で集められた莫大な資金がどのように使われているのかを追及しています。ガイ・バラードとその妻エドナは、「全ての資金は『活動』に還元されている」と何度も公の場で主張していました。しかし、学生たちがそれを本当に理解できるよう、そして反対の憶測を払拭するため、彼らは"いつものように"「アセンデッドマスター」を持ち出しています。

「彼ら(バラードたち)から得られる書籍の売り上げの1ドルずつは、人類とアメリカを救うこの活動に注ぎ込まれている」と、なんと「愛される者ヨハネ」までがそう言っています。

また、バラードから「クリスタルのカップ」を渡されてシャスタ山で「アセンション」したという、白髪の老人も当然ながらガイ・バラードと彼の活動を支持しています。

「愛する者たちよ」とこの以前は白髪だった老人は言います。「時折広まる愚かな人間の噂話に惑わされてはいけない。彼ら(メッセンジャー)が金に恵まれていると。彼らが持つものは、活動を続けるための学生たちの愛の贈り物だけだ。そう遠くない昔、彼らはたくさんの金を持っていると噂されたが、その時の愛の贈り物ですら、彼らのトランクの運賃をまかなうことさえできなかった。しかし彼らは決して不平は言わない」

1939年1月にロサンゼルスの集会から東部に向けて4500ポンド(トランク28個分)の荷物が送られたと、以前のスタッフから報告があることから考えると、自己犠牲的な学生たちがこのような贅沢を支えるのに十分な"愛の贈り物"を寄せることができず、最高級ホテルに宿泊することすらできないのも無理はありません。

それでも、貧しくなりつつあるこれらの学生たちはできる限りのことをしています。"活動"を支えるために自らをさらに貧しくしているだけでなく、コスモスからバラード親子個人に富を注ぎ込むよう長いディクリー(神意)を唱え続け、エネルギーを使い果たしています。その一部を引用します:

「偉大なるIAMのプレゼンス、宇宙の偉大な宝の館よ、私はチャンネルを見るのではなく、あなたこそが私のすべてのものの供給源であることを見つめている!...この時に、我らが恵まれたマミーとダディのバラードに、そして世界中の誠実なるIAMの学生、そして私自身に、100万ドルの現金を!税金は免除で!...私はあなたに感謝します。あなたは常に、瞬時に、無限に、永遠に、私の手と用途に可視的で具体的に現れて、私の要求にお答えくださいます。」

この「マミーとダディのバラードへの100万ドル」が"活動に還元される"とは書かれていません。バラード親子個人に行くことが意図されているのです。

彼らはアメリカを「愛している」と言い、憲法や国旗を支持するデクリーを叫んでいます。にもかかわらず、国に対して1セントも納税したくないのです!また、この「100万ドル」の宇宙からの"シャワー"から政府を外しているのです!全てが私と私の物になるということです!

バラード親子が公の場で「私たち自身のためには何も欲しくない」と言っているのとは裏腹に、上記のディクリー(「恵まれたマミーとダディのバラードに100万ドル」)は、実情がかなり異なることを示しています。学生たちは自分でディクリーを作ることは許されていません。すべてのディクリーはバラード本部から発せられるものでなければならず、ディクリー作成を監督しているのがエドナ・バラード自身なのです!

筆者は、バラード親子が書いた非常に示唆に富む私信をいくつか所持しています。それらの手紙からは、あの「実利的なアセンデッドマスター」のメッセンジャーたちが、何よりも自分たち自身のために金を持ちたがっていることがよくわかります。

これらの手紙はバラード親子の一人または両方が書き、以前の「準支配人」宛てに送られたものです。中には金の話や本の売り上げ、書店への割引率を減らそうとする本当の「アセンデッドマスターの懸念」などについて書かれた文面が多数あります。ここではそのうちの1通を紹介します。これはガイ・バラードが書いたもので、「ジョージ」と署名されています。
再臨したあの「ジョージ・ワシントン」は、準支配人との文通でしばしばこの名(ジョージ)を使っていました。
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ニューヨーク市
1934年12月18日

私の親愛なる____さん

誰かに50%の割引を与えていたのでは、私たち自身の分が残りません。そしてさらに、私たちはそんなことをする気はありません...

サンジェルマンは当初、誰にでも与えられる限度は30%か33.3%だと言っていました...

サンジェルマンは、彼(サンジェルマン)からの贈り物として、すべての本1冊につき1ドルが私たちの分として残ることを望んでいました。

私はこれらすべてを可能にしたチャンネル(チャネラー)なのです。そして、他人がこの事から何百万ドルもの利益を得ているのに、発案者である私自身の利益を使いつくされてしまうつもりは決してありません。

(ジョージの署名)
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この手紙には、この"サンジェルマン1ドル"が"活動に還元される"という文言は一切ありません。3ヶ月前、バラード親子がこの男にI AM運動の宣伝をするよう働きかけた際には、「私たちには個人的な物は何も残されていません!」と書いていました。しかし、後の手紙ではまるで違う様子です。何百万ドルもの収入を意識していたのです。

さらに資金がすべて"活動"に還元されていないことを裏付ける証拠として、1940年4月11日にロサンゼルスの カリフォルニア州上級裁判所で、エドナ・バラードが証言した宣誓供述書からの引用を紹介します。これは息子のドナルド・バラードの離婚訴訟の際の証言です。以下の質問は原告側弁護士、回答はエドナ・バラードによるものです。

Q. それで、あなたの家にある家具は誰の所有物ですか?
A. 私のものです。
Q. あなたの所有物ですか?
A. はい、そうです。
Q.個人の?
A. バラード氏と私自身の名前で購入したものです。その領収書は全て保管してあります。
Q. それらはサンジェルマン財団の口座から購入されたものではないのですね?
A. ええ。
Q. そしてあなたはそれらを(財団に)寄贈したわけではないのですね?
A. はい。
Q. ドナルド一人にだけ(寄贈したの)ですか?
A. ドナルド一人にだけです。私たち自身の常設の住まいができるまでの間、一時的に使わせているだけです。

ここでエドナ・バラードは、宣誓の下、息子の家にある価値7,000ドルの家具は自分の所有物であり、ロサンゼルスに自分と夫の常設の住居を構えることを計画していたと証言しています。

これらの発言は、バラード親子が講演の場で「私たちには家はない。いずれは息子ドナルドとマージョリーの家が私たちにとって最も近い住まいになるだろう」と公言していたことと正反対です。

さらにエドナ・バラードは、サンジェルマン財団の会計係でサンジェルマン出版社の責任者であることを認めた上で、以下の質問を受けています。

Q. サンジェルマン財団の資産はいくらですか?
A. それは言えません。
Q. だいたいの概算でも?
A. いいえ、言えません。
Q. サンジェルマン出版社のことならわかりますか?
A. いいえ、それも分かりません。そういった事はよく分かりません。

これらは、巨大な商業活動の"会計係"と"責任者"としては非常に不可解な答えです!

おそらく内国歳入庁の査税官でさえ、この金がどこへ行っているのかを計算するのは難しいでしょう。しかし彼らは「税金免除」のディクリーを唱えているので、それすらむずかしいかもしれません!

「我々に100万ドルの現金を!税金は免除で!」のディクリーは、まさにネサラゲサラの原型といった感じです。

⑯第17章(霊媒を利用して金鉱探し)

AI:第17章冒頭で、バラード著書『Unveiled Mysteries』に書かれている以下の内容が紹介されています。

「70,000年前のサハラ砂漠に、3人の美しい子供を持つ賢明な王がいた。2人の男の子は「金の衣装とダイヤモンドの胸当てを着け」、娘は「ダイヤモンドの付いた金の衣を纏い」、3人とも「金髪で紫の瞳」だった。この3人の子供こそが、現代のロータス(エドナ)、ゴドフレ(ガイ)、ドナルドなのだ」

続いてその後の文明では、「ガイとその息子ドナルドがエジプトの古代寺院の僧侶に、ロータス(エドナ)が典雅なウェスタの巫女になった」と述べられています。

さらに「1万4千年前のインカ文明では、金髪碧眼のドナルドが赤肌黒目のインカ人を統治する王となり、そこでも幸せな王国が築かれた」とあります。

しかし、「時は移り変わり、現代ではかつての賢明な王のようには生きられない」と指摘された上で、「かつての皇帝の金髪の子供たち、つまりバラード3人組は、シカゴの喧噪にまみれた街で王侯の面影もなく暮らしていた」と描写されています。

ガイ・バラードは1878年7月28日にカンザス州ニュートンで生まれましたが、52歳になるまで「カリフォルニアの山で『サンジェルマン』に出会った」と主張していなかったそうです。また妻エドナも、「長年求めていた金と権力を手にする『アラジンのランプ』を、まだ中年になるまで手に入れられなかった」と言われています。

次にバラード夫妻の知人からの手紙の抜粋が紹介され、二人の初期の人生の様子が描かれています。

一人は「私はガイ・バラードを30年以上知っています。彼が突然権力を手にしたことに驚いています。彼は私が少女の頃、我が家を訪れ、霊媒になろうと試みていました。妻のエドナは常に野心的で、身なりを整えることを好み、家族の主導権を持っていました」と証言しています。

別の人物は「私たちはバラード夫妻を長年知っています。ガイ氏はシカゴでスピリチュアリストをしており、スピリチュアルな霊媒の実践をしていました。彼らについてのあなたの分析は概ね正しいものです」と述べています。

さらに「私はバラード氏を30年以上知っています。彼はこの間ずっと霊媒をしてきました。彼は偉大な発見をしたと言い、私たちが直面するあらゆる困難に答えを持っていると話しました」という証言もあります。

そして1938年夏の長い手紙から、バラード夫妻の過去がさらに生々しく描写されている箇所が引用されています。

「私が言うのは間違いありません。私はバラード夫妻を約26年も親しく知っているからです」と手紙の書き手は断言した上で、以下のように続けています:

「1915年頃、私は古代エジプトについての本を書きました。その本はエジプトの黒魔術についても相当書いていて、錬金術の雑誌に掲載されました。その物語は数人の人々に相当な興味を引き起こしました...表面上は正気に見える人々でしたが、脳の神経にどこか切れ目があるのでしょう。その人々が私に手紙を書いてきたのですが、中には非常に興味深い通信相手もいました。そのうちの一人は後に4年ほど精神病院に入院しましたが、今も普通に歩き回っていて、とてもずるくて危険な人物であることが分かっています」

その上で、バラード夫妻との関わりを次のように述べています:

「私はバラード夫妻に4年間毎週のように手紙を書き続けました。そしてある時、夫が亡くなりました...彼らは私をシカゴに招き入れました。それが1919年3月12日のことでした。私は7ヶ月の間、彼らと貧しさ、悲しみ、そして災難を共有しました。彼らは典型的な教会ねずみほどの貧しさでした」

手紙はさらに続けて、バラード夫妻とカリフォルニアへの旅について次のように書かれています:

「彼らは私にカリフォルニアへの旅費を出すよう説得しました...当時の赤ん坊ユードニア(ドナルド)はたった5歳でした...サンフランシスコにいる間、ガイのあの偉大なるアイデアが生まれたのです。」

そしてサンフランシスコでの出来事が以下のように描写されています:

「私たちは偽りの____教会に通いましたが、そこには大変な偽りの儀式がありました。祭壇には金の椅子に座った司祭と女司祭がおり、12人のウェスタの巫女が合唱団を務めていました。彼女たちの背後には照明付きの大きな十字架がありました。式の間中、巫女たちは軽装で観客に花を撒きました。それは滑稽な光景でした。」

「その後は愛餐会がありました。一人の巫女がパンの籠を持ち、別の巫女がぶどう酒の杯を持って、観客に非宗教的な聖なる秩序に入るよう求めました。催眠術の話ですが、信じられますか?150人以上の人々が前に出て、主の晩餐のパロディであるその冒涜的な祝宴に参加していたのです!」

その様子を目の当たりにしたガイの反応が以下のように描かれています:

「この場面でガイの表情は研究すべきものでした。彼はこのショーに夢中になっていましたが、この教会には加わりませんでした。彼は路上に出るなり、その愚かな儀式について語るのを止めることができませんでした...そして今となっては、彼が自身の教会を同じようなライトアップした背景と共に作り上げたことが分かります。彼はこの滑稽な儀式について延々と語り続けていました...」

さらに手紙は、ガイの強迫観念と霊媒への興味についてこう記しています:

「ガイ・バラードには一つの強迫観念がありました。それは金鉱を見つけたいということでした。彼は鉱業や探鉱について少し手を染めていました。この頃、彼は催眠術の研究も行っていましたが、それを少し恐れていました。彼が私をシカゴに連れて行った理由は、私が霊媒であり、スピリットガイドを持っていたので、金鉱を見つけられると考えていたからです。」

そして手紙は、エドナがスピリットガイドの警告を無視したことを次のように明かしています:

「しかし私のガイドは二人を怒らせてしまいました。ある夜、ガイドはエドナに、そこで立ち止まらないと、彼女は...(ここで手紙の書き手の女性は、エドナが大きな欺瞞を企てようとしているとスピリットガイドが警告した内容を引用している)」
「それ以来、エドナは私のアセンデッドマスターを完全に無視するようになりましたが、ガイは彼をコントロールできると考えていました。」

続いて、バラード夫妻がシエラネバダ山脈へ金鉱を探しに行ったことが書かれています:

「で、私たちはシエラネバダ山脈の頂上へと向かい、鉱山の隣の小さな小屋に住むようになりました。ガイは毎日、私と一緒に山を散策したり、エドナと遠くへ出かけては金鉱を探していました。私は夢の子(ドナルド)の世話をしていました。ガイは必ずや金鉱を見つけると決めていましたが、家には金一文なく、ほとんど何も食べるものがありませんでした。」

そして9月の出来事が克明に描写されています:

「ある9月の日、21日だったと思いますが、私は20軒ほどの家しかない小さな村を散策していると、10から150までの番号が付けられた高い白い柱を発見しました。『あれは一体なんですか?コニーアイランドで遊ぶゲームみたいなものですか?』と私は尋ねました。『いいえ、それは積雪深計です。来月には、家の屋根すら雪に埋もれ、馬もスノーシューを履くようになります』と村人は答えました。」

この出来事を契機に、手紙の書き手は金鉱を探すことをあきらめ、オンタリオ(カナダ)へ発っていったことが分かります:

「そう、私は必死でこの金鉱探しから抜け出せるよう祈りました。不思議なことに、数日後に、私はオンタリオ(カナダ)から手紙を受け取りました。私はすぐに最寄りの駅から汽車で出発し、それ以来バラード夫妻に会うことはありませんでした。しかし後に、恐怖に満ちた目でバラード夫妻の不思議な力を語る一団の人々に出くわしました...」

「私はシャスタ山(Mt. Shasta)の話は一言も信じていません。とんでもない馬鹿げた話です!彼らはただシエラ山脈の頂上を彷徨っているうちにその発想を得たに過ぎません。彼らは何日も一緒にいて、星空の下でキャンプを張っていました。」

「ニューヨークで出会った人々は、バラード夫妻が詐欺師だと私が言うと私を取り囲んでしまいました。まだバラード教の影響を受けていない1人が、あなたの手紙と、かわいそうな信じやすい動物たち(信者たちのペット)が虐殺されたという話を私に渡してくれました。それが私があなたに手紙を書こうと思ったきっかけです...」

ここでは、執筆者がニューヨークの人々にバラード夫妻を詐欺師だと伝えると、熱心な信者たちに取り囲まれてしまったことが描写されています。そして動物虐殺の話を聞いて、あなたに手紙を書こうと決心したと述べています。
「何千人もの人々が、集会を開いている間、麻痺しているか、魔法にかかっているようだと聞いています。彼はある種の魔法使いになったに違いありません。彼らが私の人生を煩わせ、ある特定の本の名前を引き出そうとしていた理由がわかります」
「彼らはただの凡人ですが、巧みな詐欺師です。しかし一方で、黒魔術に手を染めているのかもしれません。ガイは黒魔術に夢中でした。」

執筆者は、バラード夫妻を巧妙な詐欺師だと見なしつつ、黒魔術の可能性にも言及しています:

「この生々しい描写から、バラード夫妻の初期の歴史について2つの事実が鮮明に浮かび上がってくる。第一に、ガイ・バラードとエドナ・バラード夫妻は金鉱山にほとんど強迫観念のようにこだわっていた。第二に、彼らは他者を支配する超常的な力を渇望していた。彼らの著書やスピーチはこの2つの欲求を裏付けており、この手紙の執筆者が、バラード夫妻の著書を読んだり多くの集会に出席したりする前から、この2点を指摘していることがそれを証明している。」

ここで執筆者は、先の描写から、バラード夫妻が金鉱山と超常的支配力の2つを強く望んでいたことが明らかだと指摘しています。

「両者とも催眠術に興味があり、おそらく学んでいたと思われる。1935年にロサンゼルスに最初に来た時、ガイ・バラードは毎回の集会で突然席を立ち、聴衆に向かって渦巻き状の手踊り(mesmeric passes)をするようになった。これは聴衆を受動的な状態に導き、"サンジェルマン"とその側近の闇の"スピリット"たちが、そういった類いの人々に影響を与えられるようにするためだった。」

ここでは、バラード夫妻が催眠術に興味を持ち、実際に聴衆を催眠状態に導入しようとしていた様子が描かれています。そしてその目的が、サンジェルマンなる存在とその仲間の「スピリット」に、受動的な参加者を操られるようにすることだったと指摘されています。

「この渦巻き状の手踊り(メスメリック・パス)は後に止められた。おそらくその催眠術的手法があまりにも露骨だったためだろう。あるいは、一度人々を精神的に従順な状態に導き込めば、そんな露骨な手段は必要なくなったのかもしれない。」

バラードは後に手踊りによる催眠術をやめましたが、その理由は明白すぎて聴衆を惹きつけられなくなったか、または最初の精神支配が成功した後は不要になったためだと分析されています。

mesmeric passes

「彼らの書籍全編を通して、この種の魔術的権力と支配欲が表れている。サンジェルマンは"光線"を使って巨大な神殿を破壊する。バラードと息子のドナルドもまた、この"マスター"にならって破壊的な力を真似する。」

著書の至る所で、バラード夫妻がサンジェルマンなる存在に憧れ、破壊的な超能力を手に入れたがっている様子が描かれていると指摘されています。

「エドナ・バラードが"ロータス、ウェスタの巫女(Vestal virgin)"だったころ、"ウェスタの巫女を連れ去って花嫁にしたい"と考えた王子の奴隷に連れ去られそうになった時、現在のドナルドにより救われたと書かれている(U.M.p.25)。引用すると:

"高僧...(過去世のドナルド)...は右手を上げ、奴隷に向かって指を指した。稲妻のように炎が放たれ、奴隷は死に伏した。"

気が狂ったような王子は"欲望に身を任せ、前に進んだ"。
しかし再び僧は手を上げた。
"炎が2度放たれ、王子も奴隷と同じ運命を辿った。"」

ここでは、過去世でエドナがロータスだった時、ドナルド(過去世)が炎を放って奴隷と王子を殺した出来事が描かれています。超常的な破壊力を行使する様子が生々しく描写されています。

「同じ本の中で、年長のバラードも自身が破壊的な力を手にしていると主張している。ただし、かつてのウェスタの巫女を救うのではなく、今世では悪い鉱山監督から未亡人の金鉱山が奪われるの阻止しているのだ。

引用する:"彼(鉱山監督)が鉄の杖を振り上げたとき、私(バラード)が手を上げて払おうとすると、突如白い炎が放たれ、彼の顔面に当たった。彼は雷に打たれたように床に崩れ落ちた。"(U.M.p.221)」

バラード自身も、過去世でなく現世で、監督を光線で倒して未亡人の金鉱山を守ったと主張していることが指摘されています。

「この幸運な"魔術的力"と"金鉱山"の組み合わせの後、バラードは次の著書で、実際に"金の神"と対面したと述べるまでになる。彼は"この偉大な存在が1932年にコロラド州のレイボーン鉱山におり、私に素晴らしい金鉱山の場所を教えてくれた"と言う。そして寛大な"サンジェルマン"(ただし、なお海に沈んだスペインの黄金を押さえている)は言った: "あなたが東洋から戻った後、それが掘り当てられ、いつかその金が特別な目的のために使われるだろう..."(M.P. p.280-281)」

つまりバラードは"金の神"から黄金鉱山の場所を教わり、サンジェルマンもその鉱山の開発を約束したと主張していたのです。

「しかし残念ながら、バラードは著書の中以外で金の夢を実現することはなかった。彼の魔術的権力は物語の中でしか開花しなかった。
バラード夫妻は、霊媒と案内人を連れて山頂を彷徨い、とらえどころのない金属を探し求めた。しかし決して見つからなかった。そして超常的な力を手に入れようと、一人の師から次の師へと渡り歩いた彼らの書籍が信じさせようとする"アセンデッドマスター"からの教えではなく、ただの地上の霊媒や、超常現象の講師、ヒンドゥー教徒、エジプト人、その他の魔術の世界の人々に過ぎなかった。」

結局のところ、バラード夫妻は金鉱山や超能力を手に入れられず、ただ様々な霊媒や神秘主義者から影響を受けただけだったと指摘されています。"アセンデッドマスター"からの教えは一切なく、あくまで地上の師からの教えに過ぎなかったということです。

「彼らは放浪する形而上学的な乞食になり、枚挙に暇がない地上の師々の足元に座り、他の一般的な霊媒が行うように、自分自身のために少しのスピリチュアル・メッセージを受け取ることで事業を変化させた。」

この一節では、バラード夫妻が旅する中で出会った数多くの地上の師から影響を受け、また自身も少し霊媒として活動していたことが描写されています。

「彼らはクリスチャン・サイエンスを少し取り入れ、ウォルター・メソッドを少し読み、カンザスシティのユニティ・スクールに分岐し、古代薔薇十字会(A.M.O.R.C.)と結びつき、キリスト教神秘主義者修道会に加わり、銀シャツ党のペリー下で学び、スワミ教師たちの足元に座り、テオソフィー(神智学)の一部を読み、ヨガ哲学と東洋神秘主義の魔術に目を向けた。そしてベアード・T・スポールディングと彼の本『東洋の師』に関心を持ち、おそらくこの関係から、これらの形而上学的な接触が(彼ら自身の金鉱山がなし得なかった)金を産むというアイデアを得たのだろう——そしてその"サンジェルマン"も、プライベートなダィクテーションで、それが"金鉱山よりも多くの金を生む"と言ったのである!」

「この異端の奇妙な混成物からバラードの著書が生まれ——"サンジェルマン"もそれを「世界中で書かれたことのない著書」と言った。それはそうだろう。」

「彼らは好きなものを使い、望むものを変え、歪め、デッドウッド・ディック(架空のキャラクター)風の小説から文学的な香辛料を加え、大衆向け雑誌から擬似科学的な事実をちりばめ、この世の霊的に飢えた魂を捕らえるためにある程度の善を糖衣して、アラビアンナイトの輝きを持つセロファンの包み紙に包み、それを"強力な私(I AM)のアセンデッドマスターの教示"と名付け、ただ3人の神聖に任命された使者によってプライベートにもたらされたものと称し、I AMの神聖な神殿の売り場で高値で売り捌いた。」

ここでは、バラード夫妻がどのように様々な素材を集め、自身の思想を注ぎ込み、魅力的にパッケージングして「I AM」の教えとして販売していたかが赤裸々に述べられています。擬似科学、フィクション、部分的な善といった要素を混ぜ合わせ、見かけだけは魅力的な教義に仕上げた手法が明らかにされています。

「そしてこの奇妙で空想的な混成物が、おびただしい数の真剣な人々に朝夕与えられており、その多くは心理的な徹底的な浄化がなければそれを体内から取り除くことができないだろう。」

結句として、多くの純真な人々がこの奇妙で作り物の教義に振り回され、それから抜け出すには精神的浄化が必要不可欠だと断じられています。

これが1930年代に書かれていたことに改めて驚きます。この「奇妙で空想的な混成物」は、インターネットの普及によって、1930年代とは比べ物にならない量・頻度・範囲でフィードされ、私たちの脳と心身を蝕んでいます。そしてSNS上には、バラード夫妻の生き写しのようなインフルエンサーたちが溢れかえっています。

中立的な立場で客観的に見ても、この本で告発されていることが事実であることは、今の状況が証明しています。まさに「時が過去を証明する」です。

一体何が起きているのでしょうか?これは単に一世紀経っても成長しない人間の愚かさに過ぎないのでしょうか?それとも、人間の寿命や時代を超越した何らかの詐術的な存在の働きによるものなのでしょうか?

後編では、『Psychic Dictatorship in America』の残りの章を読んでいくとともに、失敗に終わった「Qムーブメント」との奇妙な関連性について明らかにしていきます。

後編を待つ間、I AMムーブメントについてよくまとめられたこちらの動画を見ておくことをおすすめします:


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