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部下に届け この想い

少しばかりテクニカルな話になります。先週、とある企業で打ち合わせした際のお話です。

こちらの企業では、毎年継続的にマネジメント向けの研修をご依頼を頂いており、その際に相談されました。

部下に目標と現実の差異を認識してもらおうと声がけをしています。どうしても目標数値とのズレを放っておくわけにはいきませんので。ですが、実際未達だった部下に指導した際の反応を見ていると、すごく落ち込んだのか、あるいは、私の言い方がきつくなってしまい不信感を抱いてしまったのか、どうもその後、覇気が感じられません。上手くいっていないなぁ…と感じてしまいます。

と。日々試行錯誤をされている様子で、研修を務めさせて頂いた甲斐があったと感じました。

部下への指導は未来志向で

さて、上記のお話は「部下に対する指導が、指導と伝わっていないかもしれない…」というものです。

恐らく、多くのマネジメント職の皆様が経験する悩みではないでしょうか。

これについて、僕なりの考えを紹介します。

まず初めに、今回のケースを共有しましょう。上司が感じる問題点は、部下の予算未達と自身の言葉選び。そもそも過重なノルマではないか?という目標であれば、圧倒的にその配分自体を疑う所ですが、今回のケースでは、そこまでブラックな過重度は見受けられず、どちらかと言うと「常識的な範疇」。かつ個人ノルマと言うよりも「チーム目標」という捉え方が根付いており、チームとしてこの数値を叩くことへのコミットメントをもう少し促したい…という狙いでした。

ですが、それが中々伝わっていないのでは…と不安を抱えているとのことです。

①まずは部下と話そう

当たり前ですが、部下が何を感じているのかを確かめなくてはなりません。単に反応が薄いだけかもしれませんからね。思い込みで事が運んでしまうのは避けたいですし、それがチームメンバーとの対人コミュニケーションであればなおのこと。

ですので、まずは機会を作る事が最優先。ですが、この時も、例えば別室で面談…というよりは、ランチついでにくらいのカジュアルな雰囲気での対応の方が良いかと思います。

仮に「指導されたことに対して警戒して」いたり、そもそものチーム目標数値に対し、納得感を持っていなかったようであれば、別室対応の際に本当の心持を聞きだすのも難しいですので…。

「最近どう?なんか元気ないなぁと思って少し心配だったんだよ。目標とか職場で何か困ってることとかある?」くらいにラフな感じでいいでしょう。

②そもそもの目的、共有してる?

予算編成にしろ、「なぜそうなったか」そして「その目標がどういう結果を生むか」という、ゴールイメージが、チームメンバーの指標となります。

この点の共有が曖昧なまま「社命だから」「上の方針だから」では、何のためにやるのかがぼやけてしまいがち。特に、会社に対し信頼が薄い部下に対しては「なんでこんな会社のために…」と逆に気持ちを濁す結果を生むことさえあります。

そりゃそうですよね。日々大してコミュニケーションもない人間から、いきなり「はい明日までこれやって。出来なかったらクビね」と言われるのと、「こうこうこういう理由でこの数字があるんだけど、これを達成するために自分に出来ることと出来ないことを明確にしてみんなと共有しよう」では、モチベーションが段違いです。

今一度確認をしてみましょう。目の前の仕事の「本質的な目的」と「根拠」が共有されているのかを。

③過度に原因を追究しない

今回のように、例えば予算未達に対し「どうしてそうなったのか」という問題を追及して、再発を防ぐという視点。原因追求型とでも言いましょうか。僕は実はあんまりこれをしませんでした。何故かというと、原因追求型の解決は多くの場合「なぜこうなったの?」という視点から入ります。そしてこの「なぜ」と言うフレーズが曲者だと感じているから。この言葉は、極度のパワー差がある状態で使うと「私が悪いんだ…」という一種の洗脳効果(までいかないけど…)を持つことがあるからです。

例えば今回のケースでもそう。未達には様々な要因が絡んでいます。単に部下自信の怠惰だとすれば、それは大いに改善が必要ではありますが(気持ちの問題だけでなく、適正な配置と言う視点も含みます)、実際は数値を叩くという過程には、単純な契約する・しないという事実以外に複雑な周囲の環境が絡みます。

・顧客のスケジュールやタイミング
・人の手に余る問題(災害等)
・売り手の精神状態(妻の具合が悪い中、仕事を優先せざるを得ない等)

つまり、簡単に言うと「本人が解決できない問題」が絡むケースもあり得るという事です。そこを一緒くたに「なぜ売り上げられなかったのか」という視点で指摘をしてしまうと、モチベーションを下げることに繋がります。勿論、しっかりとした上司・部下の信頼関係が築けていれば、実はそこはクリアできるんですが、「本当にこの人(上司・会社等)信頼していいのだろうか…」と部下が疑心暗鬼な状況で「なぜできなかった?」「どうして達成しなかった?」と追い込むことは、露骨にパワーの差をみせしめるだけでなく、自分がそのどうしようもならない輪廻の中にいることを部下に自覚させてしまい、自主的なチャレンジや思考を奪うことにもなりかねません。

これは甘やかすということではありません。マネジメント側のミッションは「部下が100%のモチベで仕事に望むことが出来る状況を作り上げる」ことにあります。その中で指導は、「目標と現実のずれを修正し、部下を導く」ために行われるのがよりベターだとごとうは考えています。だって、「誰が悪い」を考えている暇があったら、「どうやって問題を解決していくのか」を考える方が生産的でしょ。

生産性、特に「性」と言う字は「忄=りっしんべん」を備えます。ここには「心理とか感情、思考」と言う意味が含まれます。

つまり生産性は、「”生”きる存在」の「忄=こころ」が伴って、初めて成り立つものなのですから。

部下の非を憂うのではなく、気持ちを未来へと向けさせる。それがボスの仕事。

ですが、日本の労働の場、特に指導の場については、このいわば魔女狩りパターンがまだまだ多いと感じます。

・〇〇が良くないから修正
・この書き方はマズいから
・このやり方ではだめだ

こうした指導では、これからどうやって今ある問題を乗り越え、本質的な目標を達成しようかと言う「未来」の話をするつもりが、いつのまにか、過去に誰が何をして、この結果を招いた責任があるのかという犯人探しをしていた、という状況を生みがちです。

だからこそ、それを回避するために②のゴールイメージの共有が成されているか否かが重要になります。

「そもそも、何のためにやっているのか」「どういう状態が理想なのか」が部下と上司双方でしっかりと共有されていれば、「次はどんな手を打つべきか」という未来志向の話が出来るようになります。これで魔女狩りは避けられます。

そしてその中で、僕がよく使う必殺フレーズがあります。

「どうしよっか」

部下と肩を並べ、部下に問うのです。「どうしよう?」と。「どうしたい?」と。部下自身に未来の答えを委ねることで、彼ら自身にも、これからの打ち手を考えてもらう。

そうして集めたピースをチームで吟味し、最適解を導く。そんなチームが増えていくといいですよね。

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・ハラスメント対策・ワークライフバランス
・女性活躍推進  ・マネジメント 
・業務改善    ・採用力強化
・男性育休取得  ・ライフシフト 
・いじめ     ・男女共同参画 
・孫育て     ・人生100年時代
・仕事術     ・時短術 
・チームビルド  ・学生向け講演 ほか




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