子ども達は、自分の学びのスタイルをよく知っている。その上で、大人にできることはなにかを考える。
発達の特性をもつ子ども達への学習支援をしているスタジオplus+。
日々、子ども達と一緒に学習をしていると、子ども達は私たちが想像する以上に、自分のことを理解していることに気がつきます。
今回はその視点から、本八幡教室のスタッフに、子ども達を支援する上で、私たちが気をつけていること、意識していることに関して言葉にしてもらいました。
※上記の記事で紹介した研修でも、類似の内容を研修情報としてお伝えしています。
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学習支援をしていて思うのは、子ども達は、実は自分のことを良く知っているということだ。
耳で聞いて覚えることが得意な子は、覚えようとするときに、ブツブツと唱えたりするし、目で見て覚えることが得意だけど書くのが苦手な子は、ジッとみていたりする。
覚えなければならないときに、何も書こうとしない姿をみると、中には「真剣に覚えようとしていないのでは?」と感じてしまう人もいるかもしれない。
実際に、書いて覚えるという方法を教えてもらった経験のある方も多いはず。
しかし、そうではないのだ。
「書く」ということに負担感がある子どもたちは、覚えなければならないときに、「書く」ことを避ける。
それは、怠けているわけではなくて、「覚える」ことにエネルギーを割くために、負担感のある「書き」を排除しているだけなのだ。
つまり、手先の不器用さがあったり、「書く」か「覚える」かの、どちらか1つにしか注意を向けることが難しかったりする子の場合は、「書く」ことよりも「覚える」ことを優先させているだけなのだ。
しかし、そこで「書かずに覚えられるはずがないから、書きなさい。」なんてことを言って、「書く」ことを強要してしまったら、どうなるのか。
「覚える」ことに割いていたエネルギーの大半を、「書く」ことに使うようになるだろうから、思ったほどの成果は出せないかもしれない。
あるいは、「面倒くさいから嫌だ。」と言われて、こちらが腹を立てることになるかもしれない。
彼らが言う「面倒くさい」は、「そこに負担感がある」という意味なのだ。その負担感がわかれば、それを取り除いたり、軽減したりすることができるし、場合によっては、それをする必要性について話をすることもできる。
取り組みたがらないのには、理由がある。
その理由や、子ども達の特性を理解することは、支援に余裕を生む。
なぜなら、「やる気がない」とか「怠けている」という理解にはならないからだ。
つまり、子ども達が、学ぶことに集中しやすい状況や環境をつくりだすことができるということだ。
ここで、話は、最初に戻る。
子どもは、自分のことを知っている。
覚えやすい方法、考えやすい方法。得意なこと、苦手なこと。
自覚していないことも多いが、彼らの行動や発言を見守っていると、苦手なところは最小限に、得意なところは最大限に活用して学びとっていこうとしているのがわかる。
だから、子どもから教えてもらうのだ。
どうしたら、学びやすいのか。
どこに負担感があるのか。
どの負担を取り除けば、学びやすくなるのか。
基本的に、子どもたちは、「わかるようになりたい」し、「できるようになりたい」と思っている。勤勉なのだ。
しかし、彼らの学びのスタイルは、ひとつではない。ひとりひとり性格が異なるように、特徴や特性も、それぞれに異なる。
スタジオplus+の学習支援は、子どもたちと一緒に、その学びのスタイルを探っていくことでもある。
その方法として、取り組みやすそうな方法を試して、その方法が取り組みやすかったかどうかを一緒に検証したり、どのような負担があるかを言葉にするお手伝いをしたり、「わかる」の具体的な視点を一緒に確認したり・・・など多岐にわたる。
それは、子ども達と一緒に、子どもたちの中にねむる宝を発掘する作業のようにも感じている。
その宝を曲げたり、傷つけたりしないように、そのままの形で掘り起こしたいから、あくまでも主体は子ども。
私たち大人は、一緒にお手伝いをしているだけにすぎない。
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文責:石川恵子
児童発達支援管理責任者/社会福祉士/キャリアカウンセラー。
若者の社会復帰を支えるNPO職員、学童クラブ指導員などを経て、現在NPO法人ダイバーシティ工房が運営する「スタジオplus+」本八幡教室の教室長。発達障害や不登校など「学校生活に特別なニーズがある子どもたち」を対象にした学習支援を行う。
◆◇◆団体概要◆◇◆
NPO法人ダイバーシティ工房
わたしたちは、「すべての子ども達が多様な価値観に出逢い自立して生きていける社会」を目指し、学習支援と相談支援を行なっています。
家庭状況と個別の特性に合わせた学びの機会の提供、相談援助を行い、生きづらさの軽減と、一人ひとりの成長をサポートしていきます。
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