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ダイバーシティ工房の働き方改革 -内部での人事制度説明会とこれからの働き方ワークショップ-

4月1日の入社式の前に、人事制度の説明会と働き方を考えるワークショップを開催しました。

工房では、この活動を「組織づくりプロジェクト」の一環としています。
「組織づくりプロジェクト」は、2018年度から始まった長期での「工房版・働き方改革」です。
人事部の久野は「組織づくりプロジェクト」の立ち上げ背景をこう語ります。

私たちは、どんな状況にいる方でも必要な支援を受けられるようなセーフティネットの役割を担う団体です。制度の狭間に落ちてしまいそうな方をサポートする場面が多くあり、その対象は主に、子ども達や子どものいるご家庭です。

実際に向き合っている課題は、非常に難しい領域であるため、自分たちがなんのために働いているかを考えながら、課題解決に向かっていく必要があります。
その解決が、工房という組織で、この人たちとならできる!と思って、仲間になってくれた皆さんです。

しかし、実際に「組織づくりプロジェクト」をやろうと決まり、2018年度のはじめにヒアリングを行うと、組織に対してポジティブな意見だけでなく、ネガティブな意見も返ってきました。
ビジョンに共感して入ってきた仲間達から、マイナスな気持ちが生まれてしまっている状況を知って、悲しい気持ちになりました。

それでも、「人事部としてやらねば!」と張り切ったのですが、人事部だけでやっても、現場が見えてこない制度づくりは「向かうべき方向が違うのではないか」と気づきました。
人事部がやるのではなく、実際に現場で働いているみんなとやっていく必要があると感じました。

NPOの働き方は、まだまだ認知されておらず、所属しているスタッフでも、自分のキャリアを明確には描けないメンバーもいます。

組織が大きくなるにつれて、現場で働くスタッフの思いと、事務局スタッフの思いが変化していき、同じ思いを持っているはずなのに、なぜか伝わらない気がする、なぜかマイナスな感情になってしまう、そんな場面もありました。

人事部で制度のベースを作りながら、よりよくしていく部分をみんなで一緒につくりたい。
いわゆるよくある「働きやすさ」だけではなく、工房の目指すビジョンを先に見据えて、みんなが活躍していける働き方を考えていきたい。

工房で人事を続けてきた久野は、そう強く語ってくれました。
工房だからこその「強み」を生かして働ける場を作りたいと考えてきた思いが形となって、制度が作られてきた1年だったのだろうと感じました。

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説明が終わった後は、チームに分かれて理想の組織を話すワークショップです。

「キャリアに縛られずに、得意なことで活躍できるようになりたい。」と、自分らしさを発揮したいという声や、「『頑張れそうじゃない?』と言ってもらえることを応援してもらいながらチャレンジしたい。」など、前向きな感想が、たくさん出てきます。

ドキドキの状態で進行をしていた久野も、安堵の表情です。

「働く仲間が素敵なことが嬉しい。その中で得意を活かして頑張りたい!と思っている。」
「評価制度が決まったので、それをもとに方向性を見極めていきたい。」
「今後、より良くしていくために、現場の人が参加することを意識していきたい。」
「事業部内外で横のつながりをもって、様々な現場を見ることにも、個々人が動いていけるといいなと思う。」

みんなが少しずつ主体的になっていく様子に、参加している私もワクワクします。
他にも、以下のような意見が各チームで上がってきました。

・タスクに縛られずに、大きな目標に向かってみんなで進んでいける体制を構築したい
・いままでの組織体でやって来てないことをやっていく組織だから、その評価基準にあわせて変えていく柔軟性がある制度だといいなと思う。
・働き方に縛られず、NPOだからこその社会への働きかけを、みんなが外に出て行って、楽しそうなことに足を突っ込んでみる、みたいなことができるといいなと思っている。
・自分のスキルや関わりの幅を広げることのできる組織で嬉しい。
・よりよくしていくために、現場からも意見を出していきたいと思った。
・事業部に縛られず、横のつながりも作っていきたい。

みんなの理想の形を目指すために、目標設定や振り返り、ランチ会の制度についての詳細だけでなく、スキル評価の項目についてやチェックシートの運用方法、また、給与制度の具体的な話も、全体に向けて共有されました。

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その後は、具体的なキャリアについての説明です。
キャリアの一例として、マネージャー職へのステップが示されました。

これは一例なので、この年次で目指すべきというわけではないですが、4年目からは、マネージャーになっていくキャリアをイメージしてもらえると嬉しいです。
受益者(=サポートされる子ども)を増やすためには、マネージャーの育成が大切と仮定をしたので、その進路を考えてもらうと、イメージがしやすいと思います。
ただ、学校などへの研修の専門性を高めることで、受益者が増えると思えば、そのスキルを伸ばすという選択肢もあります。
工房の目指したいvision「すべてのこどもたちが多様な価値観に出会い、自立していきていける社会」の実現に対して、自分のスキルをどのように活かせるか、伸ばしていけるかを考えて、キャリアを見据えていってほしいと考えています。

久野の話は「私たち組織は、社会においてどのような立ち位置にいて、自分たちはどうしたいのか」を一人ひとりに問いかけているように感じました。

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その他に、新しくできたスキル手当や福利厚生の詳細についても、設計した背景から運用の制度についてまで、具体的な説明がありました。これから具体的に動き出す仕組みは、振り返りとランチ会です。

自分の業務を振り返ってフィードバックをもらう場、という受け身な立場でなく、自分で言語化をして話してみることで気づくことを大事にしていく場だと捉えてほしい、と久野は言います。

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一人ひとりの、得意が生かされ、前向きに働くことができる環境をつくるには、仕事だけではなく、プライベートでの出来事や日常での気づきを共有していくことも、大事だと感じています。
『働くこと』の大きな目標を見据えることが、本人の目標につながっていくような働き方ができるといいな、と思いを馳せる私がいました。

周囲を見渡すと、最初の緊張感はなくなり、みんな朗らかで明るい表情をしていました。
こうして、フラットな関係性で職員同士が関わり、話のできる組織であることを、改めて実感し、自分たちで工房を大きくしていくための種をもらったような感覚がしました。

どんな花を咲かせていこうかと楽しみにしながら、一人ひとりがグンと成長できるような環境を、みんなで一緒に作っていきたいと思います。

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今後、1年間の中で行われる具体的な仕組みの内容や実施報告についても、引き続き発信をしていく予定です。

written by 池田春奈

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