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2020812

最近お留守番ができるようになった息子。

私は一人で近くの八百屋にフルーツを買いに行く。

剥いていないリンゴと剥いてあるマンゴー。

しかし財布を忘れ、すぐにまた来ると八百屋の店主に告げて家に戻る。


息子に財布を忘れたことを話し、今度は一緒に外に出た。

八百屋にフルーツの代金を支払い、

坂道の途中にある小洒落たカフェに入った。

よく磨かれた木材で出来たむき出しの階段を上ると、

窓がない6畳ほどのくつろぎ系のカフェは、白を基調とし観葉植物などがシンプルに配置されたナチュラルインテリア。

テーブルと椅子ではなく、ちゃぶ台と座布団。


そこでは、レストランを経営する友人が他の従業員と昼休みにランチをしていた。

息子はその友人の隣に引き寄せられるように座り、当たり前のように友人が息子に自分のランチを与えようとするので、私は慌てて断った。


小洒落たカフェの店員が気を利かせて、私と息子に試食品まかないをフライパンのまま出してくれる。


レストラン経営の友人と従業員は自分たちの店に戻る。

残った客は、スーツを着た営業途中の新入社員男性。

その友人たち4人ほどが入店。

男女ともに全員スーツ姿だ。


私はカフェの店主に頂いた試食品まかないのフライパンと皿をキッチンに持って行く。

キッチンも対面式でよく見える。アットホームなカフェ。


その女性店主は。

今までの私のイメージでは、いつも不機嫌な顔をしていて、私を嫌っていると思っていた。

しかし、今日は違う。

凄く好意的で優しい女性店主は、

「子供がいなかったら良かったのにね」

と笑顔で私に言う。


私は、少し考え込んでしまった。

ふと客席を見るとスーツ姿の男女5人が団欒している。

どうやらここは都会のカフェではなく、旅先にあるカフェ。

お客たちは、見知らぬ者同士でも気軽に話掛け合うような雰囲気なのだが、どうやら子連れにはなかなかそれが難しいので、女性店主は、ひとり旅をしていた頃の積極的でオープンな私を思い出して、もし、ひとりでだったら、見知らぬスーツ姿の男女グループとも気軽に話していたであろうという。

そんな気持ちがこもったセリフだったらしい。

私は、確かにそうかもしれないけれど。

と思うものの、息子がいることに後悔するような気持ちもわかなかった。


ベランダから外を見ると西日が美しく、斜向かいにある大きなアーケードのテーマパークが照らされていた。


私と息子は街を歩く。

徒歩でも3時間ほどで歩いてまわれる街。

ピンクやムラサキの建物、カラフルでポップなテーマパーク。

街並みはファンタジックで可愛らしいのだが、日々過ごしている場所なので、特別ワクワクしない。


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