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ホットギミック ガールミーツボーイを男の子が観たら

ホットギミック ガールミーツボーイは女の子のためにつくられた映画だと思う。だけど僕はこの映画を観て男の子としてたくさんの気づきや、新たに感じることができたことがあったから、あえて男の子にもこの映画を観てほしいと思う。

そこには男として過ごしていると気づけなかったことや、知らなかったこと、女の子が生きる世界が広がっているから。

※下記一部ネタバレありです。

ダメ男に惹かれてしまう気持ち

この作品、出てくる男の子たちがエロい。
予告編を観たときから思っていたんだけど、みんな危険な匂いがプンプンして危なっかしい。っていうか正直全員サイコパスに見える。でもそんな彼らは妙にエロい。

「女の子がダメ男に惹かれちゃう気持ちってどんな感じなんだろう?」

その疑問の答えを見た気がした。

彼らはみんな危うい感じで、心の中にずかずか入ってきて、しかもどこか陰を感じさせてどこか寂しそうだ。母性が刺激されて、どうにかしてあげたくなっちゃう。

たぶん男がメンヘラっぽい女の子につい惹かれてしまうあの感じを、女の子と男の子に置き換えたらこんな感じなのかもしれない。

お酒に酔うように恋に落ちていく

初が梓をどんどん好きになっていく様子の描写を見て思った。

「女の子が恋に落ちていく感覚ってこんな感じなのかもしれない!」

頭がぼーっとしてきてちゃんと考えることができなくなる。好きな人で頭の中が支配されていく。自分の世界全てがその人を中心に再構築されていって、世界の有り様すら変わってしまう。他のことや人が全部どうでもよくなって、まるで相手と自分だけの世界を生きているみたいだ。

この感覚を味わうと「女の恋は上書き保存」と例えられる意味がわかった気がした。

正確には「上書き」をするというより、世界線を移動しているような感覚に近いと思う。なんせ世界ごとまるごと再構築されてしまうのだから。

初が言っていた「初恋って過去形にならないんだ」という言葉の意味が腑に落ちた。

「この心もこの体も全部私のものなんだ」

初が亮輝とのかけあいの中で「この心もこの体も全部私のものなんだ」と叫ぶシーンはこの映画の最大のハイライトだと思う。

この言葉は僕の中にとても深い意味をもってじわじわと溶け込んでいった。

このシーンって亮輝と初が思いを伝え合う典型的なラブシーンのはずなんだけど、男の僕からすると不安な感じがした。

「この子は自分のそばにずっといれくれるとは限らなくて、いつかいなくなってしまうかもしれない」

いわゆる典型的な恋愛映画って、耳をすませばとか時をかける少女のイメージで、男の子が思いを伝えて、女の子をそれを全身で受け止める。そこでの女の子のスタンスは「待っている」とか「一生ついていく」だったりする。

でも初は違った。と同時に
「女の子が抱える不安ってこういうことだったんだ。」と気づかされた。

亮輝を演じた清水さんがインタビューで「”この心もこの体も全部私のものなんだ”という言葉の意味がわからなかった」と言っていた。

同時に「それは男にとってあたりまえの感覚だから」とも言っていた。

正にそうなのだ。あの若さで繊細かつ俯瞰的にそういった見方ができる清水さんに思わず惹かれた。

僕たちが知っている恋愛映画の王道って実はフェアじゃなかったのかもしれない。選ばれる側と選ぶ側。男と女は対等に自立した存在同士で、お互いに相手と一緒にいるということを同じ目線でフラットに選択し合いながら付き合っていくのがあたりまえの感覚だと思っていた。

でも実は「女の子が自分の心や身体を自分のものだと思えない」という不均衡があったのだ。

僕は「俺の女」という言葉に違和感があってずーっと嫌いだった。

その意味が理解できたし、男として女の子がいっしょにいて「この心もこの体も全部私のものなんだ」と思えるような人間でありたいな、と強く思った。


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