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BTの名曲Flaming Juneを振り返る Trance Classic Archives 01


暑い季節になると無性に聴きたくなる曲ってありますよね?

波打ち際の音がサンプリングされていたり、タイトルやサウンドが海をイメージさせる曲。フェスティバルの定番曲。太陽のように暑い曲から涼しげな夕方を連想させるような曲まで。

1990年代からシーンを形成してきたトランスにおいても、夏に映える名曲が数多く存在し、現在でも新しいリミックスやカバーが制作されたり、トランスクラシックのパーティーで世代を超えて盛り上がりをみせるなど。かつて生み出された名曲の数々は現代においてもダンスミュージックライフをより楽しいものにしてくれます。

Trance Classic Archivesの投稿では、そんな名曲の中から今シーズンは夏にまつわる名曲のいくつかをピックアップいたします。

記念すべき第1弾はトランスシーンにおいて発表から25年間もの不動のアンセムとして語り継がれているBTの傑作"Flaming June"をピックアップします。

6月の暑い日はどうしてもこの曲を思いうかべてしまいますので。


BT - Flaming June

"Flaming June"はアメリカのプロデューサーBTが1997年に発表したシングルで、BTがブレイクするきっかけにもなったUKが誇るレジェンドPaul OakenfoldのレーベルPerfectoから発売されました。


"Flaming June"はシングルとして大ヒットを記録しましたが、同年に発表されたBTの2nd Album "ESCM" にも収録されており、入手が容易だったCDアルバムの収録曲として聴いたことがある方も多いのではないでしょうか?

美しいピアノのイントロから始まるドラマティックな展開と現在のヨーロッパ系トランスサウンドの根幹ともいえるエモーショナルなメロディーはDJやパーティー・クラブミュージック好きのみならず、多くの人達を魅了してきました。

1996年から1997年頃にかけてのゴアトランス(サイケデリック)とも違うヨーロッパ主体のトランスシーン黎明期には、Chicaneの"Offshore"やRobert Milesの"Children"、Way Out Westの"The Gift"、Nalin & Kaneの"Beachball"など、Epicサウンドといわれていた幻想的なトランスシーンの名曲が次々と発表されており、現在でも多くの人達に愛されていますが、この"Flaming June"もまた現在のシーンにまで影響を与え続けている代表的な1曲と言えるでしょう。

制作秘話

BT自身が語るFlaming Juneの制作エピソードやPaul Oakenfold (Perfecto)やDJ達とのエピソード、BT自身はどの"Flaming June"が好きか?など。

全編英語ですがmuzikxpressのインタビュー動画ではアーティスト本人によってこれまで明かされてこなかったエピソードが多く含まれており、取材内容も大変素晴らしい。とてもお薦めのチャンネルです。


様々なバージョン

公式のRemixからBT自身によるリメイクやアレンジ、アンオフィシャルなRemix、パーティーの為に生み出された海賊版(ブートレグ)まで様々なFlaming Juneが存在します。

今回はその中から時代やジャンルごとの支持されてきたいくつかのバージョンを紹介させていただきます。


BT & PVD Original Mix

まずはオリジナルミックスですね。もっとも聴かれた"Flaming June"といえばこれでしょう。現在でも活躍するトランスDJのレジェンドPaul Van Dykとの連名となる形でOriginal Mixとなっています。

叙事的な長めのイントロとアウトロがドラムンベースのようになっているので、パーティーにおいては最後にもう1曲聴きたい!という時のワンモアで聴けるととても嬉しい。


Chicane Remix

オリジナルの1997年に制作されたいくつかの中のRemixにおいても特に人気の高いバージョン。BTの曲をChicaneがRemixするというだけでも夢のような話なのですが、クレジットのパワーに負けず内容も大変素晴らしいです。

ブレイク中にChicaneらしい情熱的なフレーズが挿入されるのが特徴で、オリジナルの良さも活かしたRemixですね。Chicaneはその後、2011年にも"Always"というBTのトラックもRemixしているので、気になる方はそちらも是非聴いてみてください。


Jaytech vs. James Grant Remix

2010年に発売された人気コンピレーションAnjunadeepの02に収録されたRemix。Anjunadeepからリリースされなかったのでコンピレーション専用の曲なのか思われながら長い間発売が望まれていたMixで、2012年にリリースされた時に嬉しかった人は多かったはずです。

かなりグルーヴィーなProgressive TranceのRemixとなっており、曲調と相まってパーティーでもかなりの盛り上がりをみせていたのを覚えています。Jaytechの来日時にも一番盛り上がるタイミングでプレイしていました。


Laptop Symphony Rework

BT自身が2000年代中期から始めたLaptop Symphonyというライヴパフォーマンス用に制作されたバージョンです。

このパフォーマンスは自身の曲と他のアーティストの曲をMixしながらPCでアレンジを加えていく形式なのですが、BT自身がかなりエレクトロサウンドに惹かれている時期だったのでFlaming JuneもまたかなりElectro Houseよりの曲として作り直されています。


Paul Van Dyk Remix

Blackhole Recordingsから発売されたFlaming Junesの2012 Mixesに収録。Paul Van Dyk自身によるリメイクはオリジナルの良さをそのままに直球のアップリフティングトランスに再構築したことで多くのトランスファンからの支持を獲得したバージョンですね。

Gareth Wyn Remix

Gareth WynはIbizaのAmnesiaやヨーロッパ各地で開催され続けていたパーティーCreamのレジテントDJ。主にオープニングアクトとしてテクノやハウス寄りの曲をプレイしてたのですが、その際にこのRemixをプレイしており、長い間アンオフィシャルのRemixでした。

2012年に収録されたRemixesの中でもテクノ寄りのバージョンなので、そういうRemixを探している人にはマッチしていると思います。


Ashley Wallbridge Remix

2016年にリリースされたAshley WallbridgeのRemixです。Enhancedレーベルからということもあって、かなりEDM寄りのフェスティバル向けサウンドとなっています。

本人もかなり気に入っていたようで、近年のライブツアーではこのバージョンをプレイしている印象が強いですね。


CLASSICAL TRANCELATIONS (オーケストラバージョン)

Orkideaがディレクターを務めたCLASSICAL TRANCELATIONSというトランスやダンスシーンの名曲の数々をオーケストラアレンジで演奏するコンサートでの"Flaming June"。

原曲の叙事的な雰囲気が最も強く表現されたバージョンといえるかもしれません。フィンランドの国営放送Yleの一環として2016年に行われて以来、定期的に開催が続けられており、CDや映像作品なども発売されています。

他の曲のアレンジが気になる方はこちらから


Electronic Opusバージョン

こちらはBT自身によるオーケストラとの共同制作で自身のライヴに併せてセッションする"Electronic Opus"というコンセプトアルバムでのバージョンです。

"Flaming June"以外のBTの名曲もすべてアレンジがされているので、気に入った方は是非チェックしてみてください。検索すればライヴ動画も出てきますよ。

Dan Thompson Remix

RAMが主催するNocturnal Knights Reworked & Remixed Vol. 1に収録されたDan Thompsonによるリミックスはトランスファンにとっては嬉しい原曲の雰囲気を残しながら今のトランスシーンの為に再構築したRemixといえるでしょう。

この記事を書いている2021年6月時点では正規リリースされている最新のRemixで、シングルカットが望まれている1曲です。


Craig Connelly Remix

このRemixは正規リリースされていないのですが、TranceシーンのライジングスターCraig Connellyによる2020年の新しいRemixです。

トランスクラシックに並々ならぬ愛があるCraigが制作した事もありリスペクトに満ちた内容となっています。


最後に

今回の記事で紹介しきれなかったオフィシャルのRemixやハードトランスバージョンなどもまだまだあり、更に聴いてみたいと思っていただけたら更に調べてチェックしてくれたら嬉しく思います。

One and Only Official Page

最後に私もDJや運営に携わっている東京のTrance Classic Party "One and Only"においても"Flaming June"は度々プレイされてきた人気曲です。

一番最後に開催された2019年末のR-Loungeのパーティーにおいても、YODAさんがDJ後のワンモアでプレイされて凄い盛り上がりを見せていました。

One and Onlyも配信やいずれはパーティーを開催出来るよう、再開に向けて少しずつ準備をしていきますので、応援と共にフォローのほどをどうぞよろしくお願いします。

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