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「エロいKPOPのMV3本」というお題で書いた文章(再録)

[現在はもうないため閲覧不可能な、goo POPLETA (NTTレゾナント)というメディアに2019年に寄稿した記事の再録です。note用に少し編集済みです]

 「エロいKPOPのMV3本」というお題を頂いたものの、KPOPには本当に性的な意味で露出が多かったり絡みが濃厚なMVが結構あって、19禁指定されたりもしている。かといって4TENSIX BOMBなどのような直球すぎるMVを紹介するのも少し気がひけたので、(注:リンク先ご注意ください)とりあえず「エロい」を辞書で引いてみた。

エロい:
文法情報 (形容詞)(口語)
対訳 erotic; sexy; arousing; risque; sultry
Weblio英和和英辞書より

大体は「性的興奮を呼び起こすもの」という意味の単語が並んでいる中で、risqueという単語を見て「そういえば最近こういう意味で使う例も多いかもしれない」と思った。risqueは英語のriskの元になった単語(元々はフランス語)で、「きわどい・ぎりぎりの」という意味があるそうで、性的なニュアンスはまああったりなかったり〜あってもいいけどなくてもいい〜というような複雑なニュアンスを含んでいる言葉のようだ。

というわけで、こちらのニュアンスでの「エロい」を感じた3本を選んでみた。

Triple H「365 FRESH」


直球じゃないMVという前振りでヒョナがらみのMVかい!というツッコミもあるかもしれないが、こちらは後輩アイドルグループのPENTAGONのE−DAWN(イドン)とフイの3人ユニットの楽曲という事で、ヒョナにしては露出も絡みもどちらかといえば控えめだと思う。

MVの中でチンピラのフイはなんらかのヤバい仕事をしくじって追われており、盗んだ車で逃走中に偶然ヒョナを拾う。ヒョナは床屋で働いていたがセクハラしてきた客に抵抗したところその客が死んでしまい、どうしたものかと夜の街をさまよっていた。気まずいながらも2人でドライブしているところに更に車の前に飛び込んできたのがイドンで、彼は死にたくて色々な方法を試してみるものの自分では死にきれないので車に飛び込もうとしたのだった。明らかにヤバいやつではあるものの放置して警察が来たりしたら更にまずい。という事でしゃーなしイドンも車に乗せることになった結果ヒョナとイドンはたちまち恋に落ち、そんなどう見てもヤバそうな2人をなんだか放っておけないフイという、男女3人の奇妙な逃避行を描いたMVだ。PENTAGONのリーダーであり、グループの楽曲は勿論プデュのNeverやWANNA ONEのEnergeticなどの作曲でもおなじみの才能溢れるフイが不憫な役柄ですが、MV中でのヒョナとイドンの絡みは可愛らしい感じであまりいやらしさはないと思う。

それならこのMVの何がエロいかというと、後々ヒョナとイドンがガチのカップルで、しかもユニット結成の大分前からつきあっていたという事が判明したという背景があるからだ。実質リアルなカップルがイチャイチャしてるようなものである撮影現場で、プロとして役割に徹したであろうフイ先生の立場こそ、一番際どくエロいのでは。ちなみにHoetaek(フイの本名)・Hyuna・Hyojyong(イドンの本名)でトリプルHなのだけど、芸名ではなくあえて本名というプライベートを取りこんだ感じまでもが、今となってはなんとなくエロく思えてこなくもない。

VIXX LR「Beautiful Liar」


ゴス・欠損・アンドロイド・ボンデージ・香り・オリエンタリズムなど性癖にピンポイントで刺さってくるような、ニッチだけど「わかってる」コンセプトとMVには定評のあるVIXXなので、むしろこのお題で選ぶにはふさわしいかもしれない。VIXX LRはそんなVIXXのメインボーカルLeoとラッパーのRaviのユニットである。韓国のアイドルグループ内ユニットはKRYとかCBXとかTTSとか、メンバーの頭文字を組み合わせた「そのまんまだな」というユニット名が結構あるのだが、VIXX LRの場合はLeftとRightを思わせる頭文字の2人である事で、対照的な2人の雰囲気が感じられるのがちょっと捻りがある。「Beautiful Liar」はファン・スアというIUやガイン、Sunny Hillなど主に女性アーティストのMVを制作する事が多かった女性の映画監督が撮っている。男性アーティストでは初期のINFINITEを多く手がけていて、SHINeeのKEYがINFINITEのウヒョンとTo Heartというユニットを組んだ時は前からスア監督作品が好きだったKEYの指名でMVを撮っていた。最近はMVを撮る頻度は減ったようで、男性アーティストは更に珍しいと思う。

「Beautiful Liar」の歌詞は愛する人の為に嘘をついて突き放すという内容だが、MV中ではLeoの中のもうひとりの人格がRaviとして描かれており、Leoは最終的にRaviを殺してしまう。これを見たときに最初に思ったのは「これ、遊戯と闇遊戯じゃない?」だった。ボクの中のもう1人のボクとの遭遇・衝突・共闘・別れ...まさしく「闘いの儀編」。漫画もしくはアニメの遊戯王を知らない人にはさっぱりわからなさそうな例えになってしまったが、要するにどういう属性の間柄であれ、相反する存在でありながらも同時に近く離れられない2人という設定には何かしらのきわどさが感じられる気がするということだ。ガラスで作った針のようなLeoの繊細な声と、ゴールドのぶっとい鎖がジャラジャラ鳴っているような力強いRaviの声の対比も、よりMVの中の物語と呼応しているようで味わい深い。

NELL「The Day Before」


韓国のベテラン人気ロックバンドNELLの作品。イ・ミンギとソン・ジェリムという人気俳優が主演という事で、当時話題になっていた記憶がある。このMVはラストで意味がわかると衝撃を受けるようなどんでん返し系なので、具体的な説明は避けさせて頂いてとりあえずまずは見てもらいたい作品だ。
歌詞の内容や韓国語の原題「そして、残されたものたち」からある種のメッセージは読み取れるため「エロい」という表現は少し不適切かもしれない。しかし、撮り方や見せ方などはかなり際どく感じられる手法のように思ったので、あえて入れてみた。歌詞の意味と合わせて見られる事をお勧めしたい。

[2022年のメモ:この文は掲載媒体自体が丸ごと無くなってしまったため、どこかに再録したいなと思いつつ放置していたものです。この度、PENTAGONのカムバックとイドンがヒョナにプロポーズしてヒョナもオフコースイェス‼︎😭😭😭😭と返事した(2022年2月4日)記念にと重い腰を上げて再録しました。フイに幸あれ。]

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