ちょくいち

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存在と非在のあいだ

たまたま地上に 僕は生まれた僕は 僕が生まれるずっと前からある傷に肉体を与えるために 生まれた と書いたのは、ル・クレジオだったか… 平行宇宙にはさして面白味を感じないが、未在とか非在といった概念を高校3年生の夏、山籠りして、毎日汗と粘液にまみれて悶えのたうちまわりながら編み出した時、 わたしはわたしでないことを すこしだけ理解した。

    • 美は多数決ではない

      陪審員もふくめ、審査員にはなりたくないの。 ジャッジメントそのものが嫌い。 あたしの辞書にジャスティスはないから。 お相撲みたいに、はっきり勝ち負けがわかれるのは、好き。 力の差が残酷なくらいはっきりわかるから好き。 だから、負けて悔しがって、三年先の稽古をするお相撲さんを応援したくなるの。 明日勝ちたいからって、翌日、小手先の注文相撲をとるやつなんてクソだわ。 まるで、詩のボクシングで勝ちたいからって、ウケ狙いに走る、お笑い芸人さんに対して失礼な詩人もどきみた

      • 心身一如

        ふんとに。 ふにふに。 はがはが もごもご 炎を吐く はーっ ふわー すー きゅっ どーん! 腸腰筋を牽き上げる 腸骨の皿の内側をとおって丸く包み込みX字、恥骨結合 仙骨の裏 どーん! きまった腰 恥骨 ぎゅーん! 呼吸 胸をひらく 腰を据える 肋骨は感情。 耳を澄ます 匂いを嗅ぐ やる気のないまぶた 水平線 第三の眼 孫悟空の頭の輪っか 内圧 隙間 方向 感情 呼吸 顎 肩、鎖骨、肩甲骨 自由な背骨 開か

        • 嗚呼、私のチョク孕む子

          浦戸湾を別名 「孕(はらみ)湾」という。 その形が臨月の妊婦に似ているから。 その湾の奥に、閂(かんぬき)のように突き出して国分川と湾を隔てているのが 孕半島。 わが母校の校歌に 「孕湾頭 軒高く 兼山碑下に 庭潔し」 と、大町桂月が謳った 優美で母性的な景勝。 しかし その半島の付け根には 皮肉なことに 保健所の犬猫処分場がある。 近くに潮干狩りの名所があって、 5月のシーズンには親子連れで賑わう その横で、 誰が放置したのか 野良の仔

        存在と非在のあいだ