糖尿病治療と低血糖

今回は糖尿病の治療をしていくうえで、避けては通れない低血糖について解説していきます。

どんな時に起こりやすいか

まずはどんな時に低血糖が起こりやすいかを見ていきましょう。

・治療薬を変更したとき
内服薬を開始した時、追加してとき、あるいはインスリンを開始したとき。
このような時には、想定よりも治療薬の効果があったり、薬の追加などをきっかけに、生活習慣を大きく変わったときに低血糖になってしまうことがあります。

・薬を間違えたとき
治療薬を変更した時や、他院に変わった時には特に注意が必要です。
薬を変更したのと、追加したのを間違えることがあります。
薬の飲み間違いがあればすぐに連絡しましょう。


・普段よりも運動量が多かったとき
運動は血糖値を大きく下げます。 そのため用事やイベントで運動量が多い場合には血糖値が低くなることがあります。 運動量が多くなることが分かっている時は前もってインスリンの単位数を減らしておく場合もあります。

・飲酒量が多かったとき
飲酒量が多い翌朝などは血糖値が低くなることがあります。

・体調不良や時間がなく食事量が普段よりも少なかったとき
普段の食事量に合わせて、薬やインスリンの単位数が調節されていたりするので、食事量が少ない場合には血糖値が低くなることがあります。


低血糖の症状

低血糖では下記のような症状が代表的です。
・はひふへほ
は:腹が減る 食後なのにお腹が減る
ひ:冷や汗 
ふ:震える
へ:変にドキドキする
ほ:ほっておくと倒れる

・その他の症状
目がかすむ、 あくびがでる、 イライラする

*無自覚性低血糖:無症状症状の方もいます
・低血糖を何度も起こす方に多い
・運転や高所での作業などは避けましょう
このような場合は、低血糖を避けていたり、血糖認識トレーニングなどにより低血糖の症状を再度自覚できるようになる場合があります。


低血糖になった時の対応

非常事態です。
「すべての作業」を中断して、ブドウ糖を10g摂取しましょう。
15分後に低血糖症状が持続するようなら再度ブドウ糖を10g内服しましょう。

30分以上は安静にして、30分後も低血糖症状が繰り返した場合や、意識障害がある場合には医療機関に受診しましょう。


気をつけること

糖尿病の治療薬が血糖値を下げることであるため、低血糖を100%避けることは不可能です。 低血糖の起こりやすい状況や症状、対処法を知っておき、準備しておきましょう。

また、血糖値やHbA1cの目標は血糖変動や治療薬により異なります。
高血糖を避けるよりも、低血糖が少なくなるような目標値を設定しましょう。

名古屋糖尿病内科クリニック
糖尿病専門医 平井博之

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