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アイルランド抵抗歌 The Boys of the Old Brigade いにしえの旅団の少年たち

The Boys of the Old Brigade

Paddy McGuigan

"Oh father, why are you so sad,
on this bright Easter morn?
When Irishmen are proud and glad
Of the land where they were born."
"Oh, son, I see in mem'ries view
A far-off distant day,
When, being just a boy like you,
I joined the I.R.A

Where are the lads who stood with me
When history was made?
Oh, gra machreee I long to see
The Boys of the Old Brigade.

In hills and farms the call to arms
Was heard by one and all,
And from the glens came brave young men
To answer Ireland's call.
'Twas long ago we faced the foe,
The old brigade and me,
But by my side they fought and died
that Ireland might be free.

Where are the lads who stood with me
When history was made?
Oh, gra machreee I long to see
The Boys of the Old Brigade.

And now, my boy, I've told you why
On Easter morn I sigh
For I recall my comrades all
From dark old days gone by,
I think of men who fought in vain
With rifle and grenade
May Heaven keep the men who sleep
From the ranks of the old brigade.

Where are the lads who stood with me
When history was made?
Oh, gra machreee I long to see
The Boys of the Old Brigade.


いにしえの旅団の少年たち

パディーマクギガン

「父さん、どうしてそんなに悲しそうなの この輝かしいイースターの朝、アイルランド人が生まれた土地で喜びと誇りに満ち溢れているというのに」「息子よ、思い出していたのだ  遠く離れた日をね。君くらいの年のころ、私はIRAに入ったのだ」

どこに行ったのだろう 私と共に居た若者たち  歴史が築かれたときに  愛する者よ  また会いたい  いにしえの旅団の少年たちに

丘で、農場で、武装の呼びかけを誰もが聞いた  アイルランドの求めに応えるために勇敢な若者が谷からやってきた  「ずっと昔、いにしえの旅団と私は敵に直面した。私の傍で彼らは戦死した。アイルランドの解放のために」

そして今、君に語るのだ。何故イースターの朝にため息をつくのかを  過ぎ去った暗い日々の仲間たちを思い出すよ  私は考える、ライフルと手榴弾でむなしく戦った男たちを  天国よ守りたまえ、眠りについたいにしえの旅団の兵を


いにしえの旅団とは、IRAの初期、1916年のイースター蜂起からアイルランド内戦直前キャンペーンまでのIRA部隊を指すと思われる。この時期のIRAは分裂や内部抗争、一般人を巻き添えにしたテロのはるか以前、国民的な合意と支持を得た義勇軍という懐かしさで思い出す人が多いようだ。

この時期のアイルランドとIRAの雰囲気を知りたいならば、映画「麦の穂を揺らす風」を観るとよい。またNetflixでも、イースター蜂起からアイルランド内戦頃までの闘争を描いたオリジナルドラマ「リベリオン」が配信されている。

パディーマクギガンは抵抗歌を数多く作っており、どれもリパブリカンに愛されているが、特にこの歌は親しまれていて、サッカーの試合でも応援歌として歌われることがある。ところが、それが問題になる。テロ組織たるIRAを賛美する歌をサポーターが歌うことはまかりならぬ、というのが、リパブリカンのファンが多いセルティックFCの公式見解である。

日本人の感覚では信じられないかもしれないが、ヨーロッパではサッカーチームの贔屓が政治的、宗教的な信条をそのまま反映することがよくあるらしい。アイルランドで言えば、スコットランドのグラスゴーを拠点にする、アイルランド移民と縁が深いセルティックがリパブリカン、ナショナリストが応援するチームで、シンボルカラーは緑。ベルファストを拠点にするレンジャーズはユニオニスト、ロイヤリストが贔屓にするチームで、シンボルカラーは白。かの地ではサッカーの試合は「代理戦争」である。日本でもワールドカップで暴れるフーリガンが問題になったが、サポーターの応援は単なるチームの好き嫌いを超えた民族的確執を孕んでいるのである。

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