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お久しぶりです

階段を下りてリビングのドアを開けたら母親に「れいわになりましたね」と言われて、一瞬だけ何のことか分からなかったけどすぐに理解して「そうだね」と言った。

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SNSも令和と平成の話題が無限に広がっていた。「終わりが苦手だ」とツイッターで言ったら賛同してくれた人がいた。何故か乃木坂46のことを思い出した。2期生が加入した時点で彼女たちは終わる術を失った。どれだけ人が入れ替わっても、グループは存在し続ける。わたしが死んでも時間がわたしなしで進んでいくのと似ている。NGT48の事件を受けて「アイドルはなろうとしてなるものではないと彼女らは知るべきだ」と言っている人がいた。勘弁してほしい。憧れてアイドルになった人がいったい何人いると思っているのか。頼むから勘弁してほしい。

数年前の松井玲奈さんのANNは素晴らしかった。素晴らしすぎて、岡村さん考案の自販機チャレンジの時間がもったいなかった。もっと話を聴いていたかった。バナナムーンのPodcastはいつも最高だった。オークラさんの誕生日付近の週になるとオークラさんが長めに話をしてくれるときがあって、オークラさんの話も、それを笑いながら聴くバナナマンも最高だった。愛おしい時間だった。デブドリンクはわたしにとっても青春の味だ。

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19歳ではじめて付き合った女の子の目覚ましアラームがhideだったこと。引っ越しても結局手放さなかった白い馬の写真のこと。2011年の震災の前日に仕事をさぼって飲んだエスプレッソのこと。セックスができなくなったこと。女子高生の制服を盗み続けなければ生きていられなかった人のこと。緑のダサいキャップをかぶって観にいった堂本剛さんのライブ。嘘のように優しいピアノの音色。肌触りのいいシルクの黄色いストール。血色のいいくちびるの端。Burberryのブルーレーベル。

思い出のほとんどは平成ですね。

平成の悲しみをすべて集めたら、きっと今生きているすべての人の心をつぶすことができるだろう。痛みだけは失いたくないと言ったらほんとうに痛すぎてわたしだけではとても受け止めきれないけど、すべて失くしたらわたしは誰のために何を書くのか。

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春はとても生きるのが難しい季節で、わたしはいつも以上に物音に過敏になり、呼吸が荒くなり、脈拍も常に速くて、身体が常に熱っぽくて、体温が低くて、誰かにSOSを出しそうになった。人狼のように夜中はずっと唸っていた。う~~~~~~~~。
どうして唸っているのですか?胸の中のじぶんが問いかけるのだけど、誰も理由は知らない。雨が降ると妙に落ち着いて、そのときだけゆっくり呼吸ができた。「はじまりはいつも雨」を聴きながら平成を終えた。悪くない気分だった。いい歌詞よなぁ。君の名前は優しさくらいよくあるけれど呼べば素敵なとても素敵な名前と気づいた。

素敵な名前に気づける人でありたいです。
令和もよろしくお願いします。

#エッセイ

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