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【詩】ねぇ -リマスター

ねぇ、ぼくは時々、君にそっくりな人を見るんだけど、君は、ぼくを見た? 3日前も、偶然、見かけたんだ。君は一人で忙しそうに歩いてた。いつも持ってた水色の傘の下から見える、口角の上がった口元が君そっくりだったんだ。淡いグレイのストールの巻き方も、その後ろ姿も、傘の持ち方も、歩き方や、香水と、風呂上がりに脚に塗るボディークリームのあまい匂いまで。ぼくはいつも、とっさに身を隠してしまうのだけど、前にまわって確かめてみるべきだったかな?でも、あの日は雨で道が泥濘んでいたし、ぼくも用事があって行かなきゃいけない場所があったんだ。いつまでも、じっと隠れているわけにはいかないから。  

ねぇ、よく見るんだよ。君もぼくを見たかな?


(2013.3.12 初稿)


#詩

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