差し出す手が冷たい

手が冷たい。

冬になると手が冷たくなって、爪が紫色になりませんか。私は毎年なります。爪の付け根がいちばん濃い紫色で、そこからグラデーション式に薄くなっていく。いわゆる末端冷え性なのですが、自分以上に手の冷たい人に今のところ出会ったことがない。まるで氷の手。ヒャドくらいなら出せそうです。

と思って写真に収めようとしたことがあるのだけど、写真だとよく分からないですね。実際はもっと紫色なのです。

お湯で手を洗うと、温度差でビリビリと痺れて痛くなる。我慢してずっとお湯に手をつけていると、だんだん痛みが引いてほんわか気持ちよくなってくる。誰かと手を繋ぐときも、温度差で手がよく痺れていた。
詩にも書いたことがあるのだけど、とある人は本当にお湯くらい手が温かかった。さらっとした繋ぎ心地なのに、とにかくぽかぽか温かくて、あっという間に幸福な気持ちになった。時々繋いでいる手を解いて、熱を逃がすためにぶるぶると手を振る必要があったほどだ。

当時も今と変わらず詩を書いていて、自分が温かさを感じている時間と同じだけ、恋人は冷たさを感じているのだなぁ、といつも考えていた。差し出す手が常に冷たいというのは、それなりに悲しい事実である。

考えすぎだろ、とか、自己陶酔でしょ、とか思う人が多数だということは理解しているのだけど、私はそういう人間なのです。


#日記 #エッセイ

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