【詩】お医者さん - リマスター
想いが、言葉が、ぱきんとはじけて割れて、限られた断面だけが、間違って人へと伝わっていく。
「間違い?」
誤解が誤解を大きくしていき、僕にも誰にも答えが見えなくなる。
「答え?」
かちこちに凝り固まったしこりをどんなに洗い流そうとしても、焼け石に水だ。
"お医者さんに相談に行かなきゃ"
「ここがずっと赤いんです」
「ほら、こんなに真っ赤になっちゃって」
「こんなはずじゃなかったんです」
お医者さんは、ふんふんと肯いて、腫れあがった患部をじっと見つめている。
「掻きむしったんだろう」
「やめろやめろというのに」
「また掻きむしったんだろう」
僕はお医者さんの目を見る。
「どうしたらいいでしょう」
お医者さんは肘掛けに肘を置き、僕の患部を見ながらゆったりと呼吸をした。
「いたわってあげることだ」
「患部だけでなく」
「全て、いたわってあげることだ」
(2013.2.15 初稿)
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