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新規国内投資|アダコテック

本日2019年7月1日付けにて、株式会社アダコテックより配信されましたプレスリリースのとおり、弊社DNX Ventures(旧Draper Nexus)は株式会社アダコテックへ新たに投資を実行致しましたことをご報告致します。本ラウンドへ東京大学エッジキャピタル(以下UTEC)とともに出資致しました。
>> プレスリリース

アダコテックって?

アダコテックは、異常をほぼ100%検出する高速な検査・検品AIを開発する企業。2012年に創業、産業技術総合研究所によって開発されたAIを自社製ソフトウェアとして提供してきました。全数検査の要求が高い業界や単価が高いシビアな製造業を中心に、その異常検知力の高さとリーズナブルな導入コストが評価され、導入が進み始めています。

アダコテックのAIは、「普段の正常な状態」を学習させることで、「普段と違う=異常な状態」として検出する異常検出の技術です。この技術を活用し、自動車部品などの製造業における検査・検品や、トンネルなどのインフラ非破壊検査のほか、監視カメラの動画解析用途や装置の経時劣化をモニターするなど、「異常検出」が求められる様々なシーンで活用されています。

AI比較における技術的特徴は?

アダコテックのAIは、一般的なディープラーニングの100分の1程度しか教師データを必要としません。教師データを取得する負担が小さいことに加え、シンプルな計算方式を用いるためCPUの負担が小さく市販のPCで運用ができ、導入コストが低いことも大きなメリットです。

また、一般的なディープラーニングが異常検知のために正常品と異常品の両方を教師データとするのが一般的であるのに対し、弊社のソフトウェアは正常品のみを教師データとするため、予め学習させていなかった異常や、機械の動作から未然に異常を察知し製造工程を停止させるために活用することもできます。

このように、秀でた異常検出力はもちろんのこと、教師データが集めにくいケースや、部品単価が高価な場合の検品・検査に、より適性のあるAIであると考えられます。


正常データだけを教師データとするため、必要な教師データが少なくても導入可能。開発段階のサンプル試作、小ロットでの試験製造などでも力を発揮します。

異常を未然に防ぐことができるので、製造機器そのもののメンテナンスで異常を検出したり、製造コストのかかるトランスミッションなどの製造で異常を出さない生産体制を整えることにも貢献。


すでに10以上のクライアントで導入実績

初めての資金調達、かつ社員3名で歩んできた同社ですが、これまで積み重ねてきた実績はすでに実り始めており、10以上のクライアントでPoC(概念実証)、FS(実現可能性調査)を経て、順次パイロット検証、実運用に移行中です。その多くが自動車部品などの製造業における検査・検品や、トンネルなどのインフラ非破壊検査などの社会的に重要なシーンに適用されています。
調達した資金は、経営メンバー・エンジニアなど増員、チーム強化を重点的に行う予定。プロダクト面では、自社特許に基づくグレードアップに向け、さらなる研究開発を進めるほか、検査・検品AI技術をより多くの企業が気軽に検証・活用していただけるよう、SaaS化の準備・提供を進めます。


弊社倉林コメント

False Negativeが許されない製造業の検品市場において、既存のディープラーニングの課題を克服する技術を持つアダコテック社に投資させて頂くこととなりました。また、今回の投資は弊社と東大エッジキャピタルとの初めての共同投資でもあります。高い技術的優位性を持つ日本発の技術の海外展開を実現させるべく、共に知見を持ち寄りご支援させて頂きたいと思います。


また、本日メディアでも、同社の資金調達ニュースをご紹介いただきました。ぜひ合わせてご覧ください。(順不同)
>> Tech Crunch Japan
>> THE BRIDGE
>> 日経デジタル


検査偽装やリコール問題などの悲しいニュースが絶えない製造業界では、検品強化・徹底が必至となっています。そうしたニーズに対し、アダコテックがますますスピード感をもって優良な検品・検査AIを開発・提供し、企業が様々なシーンで広くご活用いただけるよう、弊社もサポートして参ります。

日本発・アダコテックの検品・検査AIにご期待ください。


弊社その他の投資先はこちらからご覧いただけます!
https://www.dnx.vc/jp/portfolio

(文・上野なつみ)

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