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追加投資|リハサク:運動療法クラウドシステム

DNX Ventures (以下、DNX)は株式会社リハサク(以下、リハサク)の約 1.5 億円のプレシリーズ A ラウンドにリード投資家として出資させていただきました。本ラウンドでは既存投資家である ANRI に加えて、新規投資家として株式会社 Welby(以下、Welby)にも出資いただきました。リハサクは整骨院をはじめとした治療院にける、理学療法士や柔道整復師による適切な運動療法(リハビリ)指導をサポートするクラウドシステムを提供しています。

治療院業界の課題

治療院業界の課題は、2020 年には全国で約 14 万施設に増加した整骨院や整体などの治療院数と、健康保険の収益減少です。(2010 年全国治療院数は 11.5 万施設)

柔道整復師養成学校の増加や開業のしやすさが施設数増加の背景となっていますが、健康保険による治療費は 2010 年の 4068 億円から 2019 年にかけて 3178 億まで約 22%減少し、治療院の健康保険による収益確保は限界に達していることが明らかになっています。

また、患者の疾患は院内の施術だけでなく、自費診療であるリハビリ指導と組み合わせることで治療効果が高まることが確認されていますが、多くの治療院では適切なリハビリ指導の技術が不足しており、自費診療による収益も上げることができていません。

リハサクとは

リハサクは、治療院において柔道整復師や理学療法士による患者の疾患に適したリハビリ指導をサポートするクラウドサービスです。治療院は患者ごとに異なる疾患に対応する独自のリハビリ動画メニューを作成し、患者に送信します。患者は実施した運動メニューをリハサクのアプリに記録し、治療院とのチャット機能で質問や指導を行うことができます。リハサクの導入により、治療院はリハビリによる治療効果を高めつつ、患者の継続的な来院を促進し、収益を増大させる機会を得ることができます。

今回の投資によせて

DNX ではリハサクに対して 2019 年のシードラウンドから投資し、伴走してきております。今回、主に以下の背景により追加投資させていただきました。

1. 経営陣の強化

昨年 9 月に DNX が招聘し、谷垣氏が CEO に就任しました。谷垣 CEO はこれまでヘルスケア業界での SaaS 事業のマネジメント経験を有し、代表取締役として経営全般を率いていただきます。また、創業者であり旧 CEO であった近藤取締役は理学療法士としての知見を発揮する形でカスタマーサクセスの責任者を担います。
これにより谷垣 CEO のマネジメント経験と近藤取締役の治療院業界の専門知識を掛け合わせた強力な経営陣が構築されました。

2. 治療院の経営を支援するプロダクトロードマップ

リハビリ支援機能に加えて、「AI 姿勢解析」と「新規患者獲得支援サービス」の導入を進めています。
これにより、集客や適切な施術、治療効果向上、収益拡大が可能となるプロダクトロードマップを実現します。AI 姿勢解析は患者の姿勢を可視化し、適切な施術を提供する手助けを行います。新規患者獲得支援サービスは、治療院のマーケティングをサポートし、新規患者の増加と治療に専念できる時間の増加に貢献します。

3. 医療業界への事業拡張

医療機関、医療機器メーカー、製薬企業などを対象にデジタルサービス事業を展開する Welby との業務提携により、リハサクは医療業界に事業を拡張することが可能になります。具体的な業務提携の内容として、医療機関・患者向けの周辺機能拡大や医療機関向け普及活動、製薬企業向けのパッケージ作成や営業活動が含まれます。

谷垣 CEO からのコメント

DNX の倉林さんとは、Class of 2009 MBA の「私費の会」でご縁を頂き、それ以来お付き合いをさせていただいておりました。2022 年の GW 明けに、倉林さんからリハサクという会社がシリーズ A 調達に失敗し、Saas ヘルスケアという観点で小生のバックグラウンド的にもフィット感があるので、Management 強化のため CEO 候補として興味があれば、紹介します、というお話を頂きました。その縁から弊社創業者近藤との対話を重ねフィットを感じ、CEO として 22 年 9 月に Join させていただきました。それ以来、DNX チームにはお世話になりっぱなしです。入社後の一番のチャレンジはまさに今回の調達だったわけですが、倉林さん自らたくさんの VC をご紹介頂き、早期にピッチの機会を頂けたことは、リハサクがキャピタルマーケットからどうみられているか、また私自身が肌感としてどう見られているか、について早期に知ることに繋がり、今回の調達のみならず、次回の調達についての準備としても、非常に有益なものになりました。弊社一同、これまでDNXチームから頂いた支援を、リハサクの成長という形で、しっかりお返しすることにコミットすることが、今後も継続してご支援いただくことの、最低条件、と心に刻み、日々のモチベーションの源泉にしております。DNX 新井さんには、CEO としてリードされてこられたご経験から共感を伴う親身なアドバイスを頂き、いつも、いい刺激と気づきを頂いております。また上野さんには、採用支援や PR サポートなどで大変お世話になっております。

今回の調達により、入社後の、入りと出を揃えざるをえない財務状況の中、成長が止まったリハサクを再成長軌道に乗せること、それが今回の調達後の活動を通じて我々が見たいものです。そのためには、リハビリの DX 領域にいる我々にとって、いかに患者さんそして医療従事者の本質的な課題を理解し、それを解決するサービスを継続的多面的に提供し続けるか、またそれらを価値を構築中のパートナーに理解頂き、マルチチャネル展開をしていけるか、が重要になってきます。運動療法は、予防においても治療においても、副作用なく、安心して、比較的低コストで継続できるものである一方、十分社会実装ができておりません。そのポテンシャルは社会的にも市場的にも超巨大です。社会的にもビジネス的にも魅力的なリハサクの事業機会に対して、パッションと興味を持って、一緒に働きたいと思ってくれるメンバーを増やし、リハビリのデジタル化を通じて「患者さんが主体的になるようなリハビリの世界を実現する」というミッションの達成に向けてリハサクは一丸となって次のステージに進みます。引き続きご支援よろしくお願いいたします。

ーー株式会社 リハサク 代表取締役 谷垣主税

DNX は、新たな経営陣の構築、プロダクトロードマップの推進、医療業界への業拡大を通じて、リハサクがヘルスケア業界の経営支援プラットフォームとして大きく成長することを期待しています。

(文・新井 豪一郎)


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