見出し画像

追加投資|エンペイ:バーティカルSaaS x フィンテックの挑戦

DNX Ventures(以下、DNX)は、株式会社エンペイ(以下、エンペイ)の総額約8.5億円のシリーズBラウンドに、株式会社MIXI、Spiral Capitalとともに共同リード投資家として追加出資させていただきました。2021年シリーズAラウンドに続きリード投資をさせていただきました。本ラウンドは、既存投資家の株式会社ちゅうぎんキャピタルパートナーズと新規投資家のHAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND(株式会社博報堂DYベンチャーズ)、GMOペイメントゲートウェイ株式会社、株式会社旺文社ベンチャーズとの共同出資です。


教育現場における現金集金作業の大きな課題

日本の保育業界は労働力不足という大きな問題に直面しており、手動および現金ベースの支払いシステムが業界の生産性を低下させています。特に、忙しく、デジタルネイティブの保護者にとって、保育園での現金取り扱いは大きな負担です。
女性の就業率の上昇に伴い、保育の需要が増加しています。しかし、厚生労働省によると、2022年10月時点で保育士の有効求人倍率は2.49倍に達し、保育士不足が深刻な課題となっています。このような状況は、子どもたちや保育施設にとって厳しいものです。保育士の業務負担を軽減し、効率化を図ることは、彼らが保育に集中できる環境を作ることで、結果として保育の質の向上に繋がります。そのため、保育業界では集金プロセスのデジタル変革(DX)が急務となっています。

教育現場で直面するこれらの問題に対して、エンペイは「現場救済の旗手」としての役割を果たし、これらの挑戦に積極的に取り組むことで、迅速な成長を実現しています。
現在では、保育施設のみならず、小中高の学校、学童、塾など、現金集金にまつわる同様ペインが高まる教育機関において、エンペイへの引き合いは強くなっています。

「enpay」が解決すること 

エンペイは「やさしいフィンテックを。」をミッションに掲げ、集金業務のキャッシュレス化・DX化を実現する「enpay」、口座振替による集金業務をより効率化する「koufuri+」、教育施設や子どもたちを支援するための決済手段「enpayウォレット」を提供しています。

<保育・教育現場のキャッシュレス化の必要性>

エンペイは現在、保育施設や教育施設を主なターゲットとして、請求書発行と集金プロセスを効率化するための二つの革新的なSaaS/フィンテックソリューション、「enpay」と「koufuri+」を提供しています。特に保育や教育業界では、以下の課題が存在しています。

  • 現金ベースの取引が保育士や教員の生産性を低下させ、横領リスクも増加

  • 支払いの遅延に対する催促業務の負荷や精神的負担

  • 法規制による現金保管の禁止によって毎日銀行に振り込みに行く必要性があり、職員の負担が大きい

「enpay」は月額変動請求書のキャッシュレス支払いに特化し、保育園や幼稚園向けに設計されています。一方、2023年4月にリリースされた「koufuri+」は、固定月額請求の支払いを自動化し、公立学校、予備校、塾などで使用されています。これらは、現金の取り扱いと催促の通知に起因する保育・教育施設の職員の物理的および精神的な負担を解消し、請求・集金管理のプロセス全体を自動化することで、保育・教育施設の効率と生産性を高めることを目指しています。

教育現場の業務負担を軽減することができ、子育て中で忙しい保護者も現金を使うことなく、支払漏れも避けられることで教育機関と保護者の双方にとってwin/winなサービスとなっています。

DNXが投資した理由

DNXが、今回のシリーズBも引き続きリード投資家として投資を決定した理由は主に以下の3点です。

1.情熱的な経営チーム

まず第一の理由は、SaaS、Fintech、教育市場に精通したチームが集結している点です。エンペイの共同創業者である森脇CEOは、以前リクルートマーケティングパートナーズで、保育業界特化のSaaS事業「キッズリー」の創設者兼事業責任者として、もう一人の共同創業者である田野CTOと共に2019年の売却まで事業を牽引しました。彼らは「保育業界とSaaSを深く理解している」チームです。また、森脇CEOは業界内からも、その人柄の良さと事業への深い情熱と専門性で高い評価を受けています。

創業者二人の魅力により、エンペイのミッションに魅力を感じ、EdtechやFintechに精通した方々が続々と集まって強い組織を形成しています。

2.順調なグロース、低いチャーンレート、魅力的な市場と大きなマクロの流れ

シリーズAラウンド以降、エンペイは1,000以上の保育・教育施設から受注を獲得しています。特に注目すべきは公共機関への導入が進んでいる点です。複数の自治体でデジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズが確認され、「enpay」の導入が拡大しています。この背景には、国内のキャッシュレス化率を現在の32.5%から2025年までに40%、将来的には80%へ引き上げるという政府の方針があります。これに伴い、地方自治体も公共サービスにおけるキャッシュレス決済の推進を進めており、enpayの成長を加速しています。

教育市場全体としては、決済金額が7兆円に達しており、約40,000の幼保施設と170,000の教育施設がDX化の初期段階にあります。シリーズA投資時から比べて、導入施設数、MRR、GMVにおいて目覚ましい事業成長が見られ、一方で施設側のやむを得ない事情以外でのチャーンはほとんどありません。ユーザーからの高評価はもちろんのこと、保育・教育施設にとって「なくてはならない」存在としての地位を確立していることが証明されています。

3.新プロダクトを続々とローンチする力

シリーズA投資時は、プロダクトの「enpay」のみが提供されていましたが、その後「koufuri+」や「enpayウォレット」が加わりました。これらのプロダクトは高速で構想からリリースに至り、チームの高い事業開発能力、プロダクト開発力、実行力を示しており、その点をDNXは高く評価させていただいております。

「koufuri+」はリリース後、小学校での利用が着実に増加しています。2024年1月に正式リリース予定の「enpayウォレット」は、施設側の工数削減だけでなく、コスト削減を目的としたサービスです。これらのサービスは、子どもに関連する様々なユースケースで使用されることが期待されます。

株式会社エンペイ 代表取締役CEO/Founder 森脇潤一様のコメント

約2年前の前回ラウンドに続き、DNX Venturesにリード投資家としてご出資頂けたこと大変嬉しく思っております。ご出資だけではなく、様々な角度からの継続的な経営支援を頂けたことにより事業成長に繋げる事が出来ました。心から感謝しています。投資家とはどんな状況下に置いても投資先を信じ、投資先が必要としている支援を率先して行ってくださる集団だということを身を持って感じ、その可能性に対して心を揺さぶられる事が多々ありました。
社会に新しい価値を生み出し、それを届け社会を変えていくことは並大抵のことではありません。DNX Ventures筆頭に多くの株主に支えて頂きながら、我々の目指すミッション達成に向けて精進して参りたいと思います。改めて関係各位に深く感謝申し上げます。ありがとうございます。
ーー株式会社エンペイ 代表取締役CEO/Founder 森脇潤一

最後に

「やさしいフィンテックを実現し、テクノロジーの力で新しいお金の流れと社会を創造する」というエンペイのミッションに共鳴する多くのステークホルダーがいます。これには、情熱を持つエンペイチームメンバー、価値を実感しているユーザー、そして株主が含まれます。多くのユーザーがエンペイが提供する価値を実感し、教育現場の変革を期待しています。私たちは、エンペイチームを支え、このミッションを共に実現するために力を尽くしていきたいと考えています。


(文・髙岡 美緒)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?