諸君　私は甘味が好きだ
諸君　私は甘味が大好き

チョコレートが好きだ
ショートケーキが好きだ
大福が好きだ
わらび餅が好きだ
かき氷が好きだ
綿あめが好きだ
ラムネが好きだ
りんごジュースが好きだ
ホットココアが好きだ

レストランで　喫茶店で
和菓子屋で　洋菓子屋で
ファストフード店で　コンビニで 
買い食いで　食べ歩きで
自宅で　遠足で

この地上で行われるありとあらゆる間食行動が大好きだ

戦列にならんだ若者の集中攻撃が轟音と共に在庫を吹き飛ばすのが好きだ
コラボカフェの最後の一品をギリギリ買うことができた時など心がおどる

観光地でちょっと高い名物品デザートを物色するのが好きだ
数十分の忍耐の末ようやく抹茶ケーキにありつけた時など胸がすくような気持ちだった

フォークの先端部でパフェの上っ面を蹂躙するのが好きだ
ぜんざいの餅を箸で掴み損ねて何度も何度も刺突している様など感動すら覚える

敗北主義の渋柿達を縁側に吊るし上げていく様などはもうたまらない
泣き叫ぶ砂糖粒達が職人の振り下ろした手の平とともに唸り声を上げる綿あめ製造機にもこもこと膨らまされるのも最高だ

哀れな中高生達が放課後の時間に健気にも高級洋菓子店にきたのをL.O.16:00の看板が人間関係ごと木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える

交通ダイヤの乱れに滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだった予定が蹂躙され閉店時刻が過ぎ去っていく様はとてもとても悲しいものだ
自作ワッフルの物量に押し潰されて満腹になるのが好きだ
こぼれたホットケーキミックスを拭くために蟻の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ

諸君　私は甘味を天国の様な甘味を望んでいる
諸君　私に付き従う大隊戦友諸君
君達は一体何を望んでいる？

更なる甘味を望むか？
情け容赦のない喫茶マウンテンの様な甘味を望むか？
贅沢三昧の限りを尽くした三千円くらいの特盛パフェの様な甘味を望むか？

『甘味（スイーツ）！　甘味（スイーツ）！　甘味（スイーツ）！』
　　　　　　　　
よろしい　ならば甘味（スイーツ）だ

我々は渾身の力をこめて今まさに振り降ろさんとするフォークとスプーンだ
だがこの暗い闇の底で半日もの間堪え続けてきた我々にただの甘味ではもはや足りない！！

大甘味を！！
一心不乱の大甘味を！！

我らはわずかに一個大隊　千人に満たぬ敗残兵に過ぎない
だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している
ならば我らは諸君と私で総力100万と1人の軍集団となる

我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし口を開けさせ思い出させよう
連中に幸福の味を思い出させてやる
連中に我々のフォークとスプーンの音を思い出させてやる

天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる
一千人の吸血鬼の甘党で
世界を貪り尽くしてやる

全フラペチーノ　発動開始　旗艦カンミ・アスパ・ルテーム　始動

離床！！　全ワイヤー　全索引線　解除
「最後の大隊　大隊指揮官より　全空腹艦隊へ」
目標　大阪本土　梅田市街中心部！！

第二次スイーツパラダイス作戦　状況を開始せよ
征くぞ　諸君