もしも自分が不老不死や不老長寿の身になったとして、自分の中に確かに存在するはずのアイデアを他人に理解してもらえなくなることが恐ろしい。線文字Bのダジャレなんて、思いついても仕方がないだろう？

「信じてくれよ、この風景は一万年前の名画にそっくりなんだ」

「信じてくれよ、二万年前の流行歌にこういうのがあってさ」

「信じてくれよ、三万年前の詩人の言葉を」

……

「十万年前におきた戦争は二十万年前の小説にそっくりだった。そんなことを今のお前に言っても、何も信じちゃくれないんだろう？」

余談
妖怪惑星クラリスが突如としてサービスを終了してから、もう半年以上になる。人々の記憶にも「そういえばそんな怪奇ソシャゲもあったな」くらいにしか残っていないし、最大手ファンコミュニティを自負するdiscordサーバー(通称「下水道」)にも同時接続者数が8人を超えることは滅多にない。あの惑星のあらゆる情報が世界から失われつつある。我々の記憶の中には確かにこびりついているにも関わらず、「このBGMクラリスのやつじゃん！」とか「このキャラ舌ペロゴリホーモに似てるね」なんて言っても誰にも理解してもらえないのだ。我々は妖怪惑星での記憶を失い、2017年12月以前の日常に帰っていき、かくして意味は失われる。

(本編と余談のギャップがひどすぎる回だ)

#スペースデブリより愛をこめて