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赤月ゆには何故

赤月ゆに、ユリイカでわざわざ明言するほど「私はバーチャルではない。リアルな吸血鬼だ」って主張してるのにファン層はそういう見方はしてなさそうだし、作り手の気持ちを想像すると辛くなる。

数字が出てるぶん路線変更や活動休止もできないし、想定した受け取り方をしてもらえないまま半年以上作品を作り続けるのってきっとしんどいぞ

赤月ゆに、あれだけ海外SF小説に造詣が深くて忍殺を読んでないということはあり得ない(推測)し、となるとあれはNRSならぬVRS(ヴァンパイア・リアリティ・ショック)を視聴者に与えたかった(けど不発に終わった)んじゃないかと思うんだ。

以上、邪推だ。
本家に対して失礼なことを言うから、気にする人は読まないように。


赤月ゆには何故VRSを起こせなかったのか

赤月ゆにがVRS (ヴァンパイア・リアリティ・ショック)を起こせなかった理由。その最大のものは、やっぱりVtuber視聴者のリテラシーの問題だと思うけど、その次に大きかったのは、彼女が実生活への言及視聴者への呼びかけをあまりしていなかったことなのかもしれない。

彼女はたしかに視聴者を『眷属』と呼んで、暗にミーム伝播の媒介としての立ち位置を与えているけれど、その要素が出たのは6月末、彼女がYoutuber活動を始めてからちょうど2ヵ月が経った頃になる。
当時のゆにちゃんファンの様子を私はほとんど知らないけれど、デビュー時でそこそこ反響のあった彼女のことだ。たぶんその時点では既に視聴者の彼女への消費スタイルは固まってしまっていたのではないかと思う。
2ヵ月だった時点で、急に「吸血鬼はミームで増える。(視聴者の君たちはその媒介だ)」と言われても時すでに遅しというものなのではないか?


視聴者に与える役割

私的な話から入るが、私はここ最近、のらきゃっと論考のdiscordサーバーに入り浸っている。

論考と言っても私みたいにコンテンツとしての分析や乾燥の話ではなく、「彼女はどんな世界に住んでいるんだろうか」「彼女の世界の戦争ってどんな風だろう」といった部分への掘り下げを主にしている場所で、たとえるならTRPGのルールブックのフレーバー部分を妄想しているようなものだ。
のらきゃっとの場合、ファンの想像力のベクトルは我々と同じ現実世界ではなく、彼女がいるはずの未来世界へと向かっているのだが、たぶん赤月ゆに(の作者)がやってほしかった話はこういうことなんだろうな、と思わずにはいられない。
そしてたぶん、赤月ゆにが『バーチャルな吸血鬼キャラ』ではなく、『現実世界にいるかもしれない吸血鬼』となるための鍵はここにある。

思うに。赤月ゆにと現実世界の間の溝を、視聴者に補完させるためにもっと工夫を凝らすべきだったのではないか?


手掛かりと巻き込み

そのためには手掛かり巻き込みが必要だ。

◆手掛かり◆
たとえば「それなりに血液を飲まないと生きていけない」という設定を出せば、視聴者は「この平和な現代日本で、いったいどうやって血液を入手してるんだ?」と想像力をはたらかせる余地が生まれる。
「17世紀は主にイギリスに住んでいたんだけど」と話せば、「いったいどんな家に住んでたんだろう? 身分は貴族としてなのか、平民としてなのか。農民だとしたら日中の活動はできないし、夜中に働いていても違和感のない職業……となると手工業?」と想像の余地がうまれる。
(ただしこっちは17世紀イギリスの様子を知らないといけないから、さっき出した例よりかは効果が薄そうだ。加えて想像したところで今の赤月ゆにに直接関係する話でもないという問題点もある)

こうやって視聴者に想像の手掛かりを与えるのが第一のテクニックだ。
もちろん急に伏線や設定を増やしても取っつきづらいから、最初から少しずつ提示して、どのタイミングでファンになった人でも常に関心が持てるように、なるべくキャラクター本人に関連付けた形で入り口を用意する。
(ちょうどのらきゃっとの戦闘用アンドロイド設定のように。)


◆巻き込み◆
2つ目のテクニックは、視聴者を巻き込むことだ。
それも単なる『動画視聴者』としてではなく、世界観の中の存在として、もっと積極的に視聴者に役割を与えて実行(ロールプレイ)させることだ。

最近の例だと、バーチャル蠱毒の九条林檎No.5が私にとっては最も身近だ。
視聴者を『ディナー』と呼んで、自身を『主(様)』と呼ばせる。もちろん呼び名以外の部分でも、上位存在である吸血鬼とその食物たる人間という関係を前面に出してツイートや配信をする。
ここで重要なのは、なんと言っても視聴者にもそのロールプレイに従わせることだ。常に視聴者を世界観に巻き込むことで、単なる画面の中のキャラクターとしてではなく、視聴者自身も主体的に考え、発言することのできる世界観を伴ったコンテンツとしての消費を促すのだ。

「我々はディナーです! 見返りは求めません!」

のらきゃっと論考のサーバーでは、もはやねずみさんとしてではなく、オリジナルますきゃっと(量産化されたのらきゃっと型アンドロイドの一個体)の設定を考えるファンまでたくさん出ている。さながらTRPGだ。

TRPG的なコンテンツの作り方は……今の自分には多くを語れそうにない。
俺は語れるぜ!って人がいたら是非とも語ってほしいです。読みたい。


赤月ゆに、彼女の場合、単なる『眷属』呼びではなく、もっと積極的に『眷属』としてのロールプレイができるように導線を用意してもよかった。
それこそ「思考・文体の模倣と発表はミームの伝播と変異を促すから積極的にやるように。マシュマロ等で送ってきてくれたら積極的に反応する」みたいな宣言をすれば、熱心なファンは自身がファンであることを行動で示せるようになる。
この案だと、文体を模倣する中で自然と赤月ゆにの実生活や過去に想像を巡らせる機会が生じるから、上で話した想像の手掛かりの役割もいくらか果たせることだろう。(我ながら名案かもしれない)

まあそんな募集がなくても、私は赤月ゆにの模倣で遊んでいるけれど。


まとめ

嘘です。今から書くのは感想です。
本当にわからない。今だから後出しで好き勝手に尤もらしいことを言えるけど、本当にそれが正しいのかは自分にもわからないんだ。私が尤もらしい話をしている時、そこそこの確率で「自分でも正しいかわからない考えを人前に曝してみて批判や感想をもらおう」という意図でやっている。



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