私の好きなSCPの話

……の前に、小話を語らせてくれ。


正夢はデジャヴの解釈から生まれた

……のではないかと、急に思いついた。

「この光景はどこかで見た覚えがある。でも思い出せない。現実に起こったことではないらしい……となると、これは夢で見たのか。夢は起きるとすぐに忘れてしまうから、今の今まで思い出せなかったのも無理はない」
……そんな風にデジャヴを解釈して生まれたのではないか?


閑話休題、私の好きなSCPの話

SCP-1733『開幕戦』が好きだ。
このSCPは、とあるバスケットボールの試合を録画したDVD(……とは明言されてないけど、まさかVHSではなかろう)だ。DVDだから、当然再生するたびに同じ試合が繰り返されるのだが、これがSCPたる所以は、映像中の人物たちが自分達が同じ時間を繰り返していることを自覚していることだ。

27度目の再生で、試合の解説者が奇妙な既視感に言及。
44度目の再生で、映像中のほとんどの人物が既視感を認識。
45度目の再生では、試合は放棄され、建物からの脱出を試みるも失敗。
46度目の再生以降、同じ時空の繰り返しを自覚した人たちは自殺や殺人、即席の新興宗教や乱交に走り……端的に言うと勝機ではなくなった。

現在ではそのDVDの再生は禁止されている。

……言うまでもなく、読者のほとんどが体験したことがある、既視感という現象をホラーに仕立てたものだ。ふとした既視感を覚えるたびに「ひょっとしてこれはn度目の再生なのかもしれない。自分は映像の中の人物かもしれない」と想起させる、よく出来たホラー話だ。


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